《完結》スイーツコンシェルジュの甘い甘い誘惑

皇子(みこ)

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じゅうに

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託也が俺の目前で他の奴に、抱き着き眠った。

   今まで感じた事の無い、嫌な気持ち。心臓がギューっと握りつぶされそうだ……これが嫉妬というものか。


「俺の物だ返してもらおうか」

「え~どうしょっかなぁ~~だあってぇ此処には、託也から来たのよ。それより貴方、女とキスしてたんだって?

    それはダメよぉ~託也ってぇ意外と、ロマンチストで夢見る夢子ちゃんなのよぉ~幸せに出来ないなら……貴方には渡せない」



この女……店を切り盛りするだけあって、なかなかいい目をするな。だが、俺にも引けないものがあるんだよ。


「それは、誤解だ。託也には説明する」

「えーっどおっしよっかなぁ??簡単に渡すのは嫌だから!意地悪しちゃおっかなぁ~ねえ!貴方のお爺様引退されてお暇でしょ?今度お店に御来店願えないかしら?」


こいつ……何故知ってるんだ。


「だあってぇ大事な託也あげるんだから、調べるのは基本でしょ~」

「何故兄貴では無い?」


「お兄様は、少し頭がガチガチだから今は無理でしょう?先が有るかは知らないけどね。

    お爺様は。話が合いそうで、お会いしてみたいと思っていたのよ。それにね、将を射んと欲すれば先ず馬を射よ。よね~」


「お前の実家に頼めば会えるんじゃ無いのか?華族だろうが」


俺も託也の邪魔になりそうな奴は、要注意人物として、調べたからな。こいつとは似たり寄ったりだな。


「嫌よ!面白くないわ。人生楽しくなくっちゃね。託也は、子供の頃からの付き合いだけど、面白かったのよ。

   単純で真面目で誠実な人、それでいて、トラブルメーカーなのよ。一緒に居て飽きなかったわね。

   貴方共長い付き合いになるわね。どーぞ~よろしくねぇ~」


そう言いつつこの女、託也の頭を撫で
てやがる。

   俺は託也の前に立ち、寝てる託也を女から引き離し、抱き上げた。


「商談成立だ、託也は返して貰う」

「楽しみにしてるわよぉ~」


女の声は無視して、店を出た。託也の車迄行き、ポケットを漁りキーを見つけ出し、託也を助手席に寝かせた。自身も運転席に乗り、はじめて託也の顔を間近で見る。


「ごめん……泣かせたな。キスシーンか……俺なら先ずは相手を殺しそうだ」

暗闇の中、微かな駐車場のライトに照らされる、綺麗な顔の目尻にじんわり涙が滲んでいた……それをキスで消して。


「帰ろう家へ……納得するまで話そうな。そして、一緒に暮らして欲しい。一緒に居たい」



俺は、暖かな温もりを感じながら、意識の無い託也をきつく抱き締め、動けなかった。

   
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