4 / 35
第一章
第二話
しおりを挟む
トレードマークの長い金色の髪を切り落とし、無難な茶色程度に収める。
まるで真面目な人間の中に紛れ込む様に、俺はスーツに身を包んだ。
今日こそは仕事が見付かる。俺の就職活動は絶対に決まるに違いない。
そう思いながら面接を受け、懸命に自分のアピールをした後で、必ず決まって返ってくる言葉はこれだった。
「…………君の熱意と仕事に対する真面目な気持ちは解るんだけど………君、有名人だよね??
確か有名なヤンキーの…………」
「えっ…………いやいやそんな…………」
「斎川虎之助って名前と顔を………この辺で知らない人は居ないんじゃ………」
面接のオフィスの一室で、俺と面接官のサラリーマンは凍り付く。
この瞬間に俺は、また落ちたと思うのだ。
面接に向かう先々で、このやり取りを何時も繰り返している。ひどいところは門前払いだ。
清く正しく不良をやって来たつもりではあるけれど、清く正しい不良なんてものはそもそも矛盾した言葉だ。
そんな当たり前の事に気付くまでに、俺は大層時間が掛かってしまっていた様だ。
***
「…………もう駄目だ俺………この街じゃ多分仕事見付かんねぇわ………」
仏壇の前に腰かけて、そのまま後ろに倒れ込む。
天井の木目の柄を目で追い駆けながら、物思いに耽り溜め息を吐く。
不良をしていた長い年月を、物凄く無駄にしたと思いながら、畳の上で不貞腐る。
物事を極める事に関して、αという性はとても向いている。だがしかし俺が極めてしまったものと言えば、不良としてのネームバリュー位だ。
俺に出来る事と言えば喧嘩位しか無く、それ以外の知識なんてない。
気が付いたら何にも出来ないロクデナシが一人、社会に出来上がっていた。
「………マジで俺、一体何やれば良いんだ………もう面接出来るとこ粗方全滅だろ…………」
今日は意気込んでいった面接も上手くいかず、午後の居間でただただ落魄れる。
自棄酒ならぬ自棄コーラをしながら、母さんの遺影の前で求人サイトと睨めっこ。
大好きなコーラが今日はなんだか、何時もより炭酸が喉に突き刺さって痛い気がした。
残り10日以内に、住み慣れたこの家から出ていかなければならない。もう時間がない。
流石の親父もどうやら、俺の仕事の決まらなさに退いている様だ。
出来るバイトさえもないとは、流石にどうかと俺も思う。
目ぼしい求人は全て見て回った。自分でも取ってもらえそうな場所を探していたつもりだ。
なのに落とされる。斎川虎之助の名前は自分が思っていたより、ずっとずっと一人歩きをしていた。
この街は俺を知り過ぎている。何もかもが知られているせいで、働く事さえままならない。
頭が就職活動でいっぱいいっぱいで、パンクしてしまいそうになる。
もう一層どっか遠くに逃げたいとさえ、現実逃避も考えていた。
何度も何度も求人サイトにスクロールを繰り返し、そのうち東京以外の土地の求人も漁り始める。
その時、ある求人広告が視界に入った。
『旅館住み込みスタッフ募集。海からとても近い温泉宿。アットホームな職場です』
それは都内から離れた温泉街にある、旅館の求人公告だった。
温泉宿で住み込みのアルバイトが出来るのであれば、無理して引っ越しをする必要なんてない。
それに場所だって県外だ。流石に此処までは『斎川虎之助の悪名』は轟いて居ないだろう。
この時、全てをガラリと変える為には、他県に行く位の思い切りも必要だと感じた。
品のある50代位の穏やかな着物姿の仲居さんが『嘉生館』と書かれた、のぼり旗を手にして微笑んでいる。
他の写真だって年配の従業員の人が、穏やかに笑いながら自然と共に写っているものだ。
作り笑顔なんかじゃなく、ありのままに朗らかに人が過ごしているのが、手に取るようによく解る。
それに一番素敵だと感じた所は、この職場はΩの就労が可能なところだった。
大体のΩがまともな職に就くことが出来ず、酷いところは風俗勤務だ。
そんな中でこんな風に、小さくとも何処かのΩを救えるなんて、とても素敵な事だと感じた。
まるで誘われるかの様に、俺は記載された電話番号を携帯に打ち込む。そして嘉生館に電話を掛けた。
『はい、もしもし嘉生館です!!』
とてもハキハキした様子の明るい声色が響く。俺はそれに内心ドキドキしながら言葉を返した。
「あ、あの………俺、東京の人間で………求人見たんですけれど………!!!
住み込みでアルバイトって、まだ定員大丈夫ですか………???」
『大丈夫ですよぉ!東京からわざわざありがとうございます!御連絡先よろしいですかぁ??』
電話の対応の良さと、声だけでわかる人となり。肩に無理に力をいれる必要もなく、自然体で話を進める。
何よりここ最近の就職活動は、門前払い迄されるくらいの対応が続き、俺はとても弱りきっていた。
人間として対応して貰えている。それだけで涙が出そうな程に嬉しい。
時折笑みを溢し合いながら、誰か解らない電話の主と会話を進める。
すると先方から、驚くべき提案が飛び出した。
『都内からわざわざこちらまで面接に来るのでしたら、旅行感覚でお試しの短期アルバイトしてみますかぁ?
それで身体に合うかどうか試してみますぅ?』
それを聞いた時、懐の広さを感じる企業だと感動する。
そういう申し出は此方からすれば、もの凄く有難いことだ。
「………良いんですか?助かります!」
『アハハ!!大丈夫です!!宜しくお願い致します!!』
電話の向こうから聞こえてくる声色は、まるで鈴を転がしているみたいに賑やかだ。
話をしている最中に、その声の主が男性な事に気が付いた。
この声色の感じだと、年齢はとても若いに違いない。まるで少年みたいな声だと思った。
『じゃあ、来る日取り決めましょう?何時にしますぅ?』
「………もう明日とかでも大丈夫です!!」
俺がそう叫べば、電話の向こうからまた鈴を転がした様な笑い声が聞こえる。
穏やかでとても心地の良い笑い声。俺はこの人の声が何となく好きだと思った。
***
まさに有言実行を施行し、電話をした次の日には、荷物を纏めて家を飛び出す。
正直ダメで元々位の気持ちで受けた面接である。
例えご縁が無かったとしても、いい頭のリセットになるに違いない。気分は本当に旅行感覚だ。
朝7時発進の新幹線に乗り込み、約一時間仮眠をとる。
電車の中で目を醒ませば、窓から真っ青な海が見えた。
陽の光を反射しながらキラキラ輝く水面の美しさに、思わず顔が綻びる。
面接に落ちてしまっても、これが見れたなら後悔は無いと思う。
それ程迄に美しい景色が、俺の目の前に広がっていたのだ。
そして俺は、海の見える古びた駅に降り立った。
嘉生館のある町は、海が目と鼻の先にある。
小さな商店街にはお土産屋が立ち並び、絵に描いた観光地そのものだ。道を歩けばこの町の名物であろう、海産物の焼ける匂いが漂ってくる。
とても長閑で穏やかな町の人々は、よく笑いのんびりと暮らしているみたいだ。
俺は初めてこの街を訪れたけれど、純粋に良い場所だなぁと思う。
商店街を暫く歩いて神社を通りすぎ、木々の増えた道の中を歩いてゆく。その先で古き善き木造建築の門構えが、俺の事を出迎えてくれた。
「此処が嘉生館………」
此処に来る前に俺は嘉生館のことを調べた。
客室総数23室の小さな旅館には、源泉掛け流しの二種類の温泉が引かれている。
温泉付きの客室の数は3部屋。創業80年の老舗の旅館には、マニアな固定ファンもついているそうだ。
嘉生館の門に足を踏み入れると、緑の薫りがふわりと漂う。
手入れのされた庭の奥には、悠々と鯉の泳ぐ大きな池があった。
そういえば昔、母さんがまだ元気で生きていた頃に、こういう旅館に遊びに行ったことがある。俺はその時まだガキだった。
親父と母さんと手を繋いで、キラキラ光る海の真っ白い砂浜を歩く。
嘉生館は俺が昔行った旅館ではないけれど、その頃の懐かしい気持ちを思い返させてくれた。
「………来て良かった」
思わずそう呟くと玄関からヨロヨロと、嗄れた小さな爺さんが一人出てくる。
その爺さんの見た目はどっからどうみても、絵本の中に出てくる小人そのものだ。
スーツの上に『嘉生館』と書かれた、クリーム色の法被を羽織っている。
彼は曲がった腰のまま俺に近付き、俺を見上げて口を開いた。
「御予約のお客様ですか??」
「……あ、いや、俺、今日面接予定の斎川です………」
俺がそう告げると、爺さんはしわしわの顔を更にしわしわにして笑い、手をポンと打ってみせる。
彼を見ながらこの場所の従業員の年齢は、それなりに歳上なんだろうと察した。
まるで真面目な人間の中に紛れ込む様に、俺はスーツに身を包んだ。
今日こそは仕事が見付かる。俺の就職活動は絶対に決まるに違いない。
そう思いながら面接を受け、懸命に自分のアピールをした後で、必ず決まって返ってくる言葉はこれだった。
「…………君の熱意と仕事に対する真面目な気持ちは解るんだけど………君、有名人だよね??
確か有名なヤンキーの…………」
「えっ…………いやいやそんな…………」
「斎川虎之助って名前と顔を………この辺で知らない人は居ないんじゃ………」
面接のオフィスの一室で、俺と面接官のサラリーマンは凍り付く。
この瞬間に俺は、また落ちたと思うのだ。
面接に向かう先々で、このやり取りを何時も繰り返している。ひどいところは門前払いだ。
清く正しく不良をやって来たつもりではあるけれど、清く正しい不良なんてものはそもそも矛盾した言葉だ。
そんな当たり前の事に気付くまでに、俺は大層時間が掛かってしまっていた様だ。
***
「…………もう駄目だ俺………この街じゃ多分仕事見付かんねぇわ………」
仏壇の前に腰かけて、そのまま後ろに倒れ込む。
天井の木目の柄を目で追い駆けながら、物思いに耽り溜め息を吐く。
不良をしていた長い年月を、物凄く無駄にしたと思いながら、畳の上で不貞腐る。
物事を極める事に関して、αという性はとても向いている。だがしかし俺が極めてしまったものと言えば、不良としてのネームバリュー位だ。
俺に出来る事と言えば喧嘩位しか無く、それ以外の知識なんてない。
気が付いたら何にも出来ないロクデナシが一人、社会に出来上がっていた。
「………マジで俺、一体何やれば良いんだ………もう面接出来るとこ粗方全滅だろ…………」
今日は意気込んでいった面接も上手くいかず、午後の居間でただただ落魄れる。
自棄酒ならぬ自棄コーラをしながら、母さんの遺影の前で求人サイトと睨めっこ。
大好きなコーラが今日はなんだか、何時もより炭酸が喉に突き刺さって痛い気がした。
残り10日以内に、住み慣れたこの家から出ていかなければならない。もう時間がない。
流石の親父もどうやら、俺の仕事の決まらなさに退いている様だ。
出来るバイトさえもないとは、流石にどうかと俺も思う。
目ぼしい求人は全て見て回った。自分でも取ってもらえそうな場所を探していたつもりだ。
なのに落とされる。斎川虎之助の名前は自分が思っていたより、ずっとずっと一人歩きをしていた。
この街は俺を知り過ぎている。何もかもが知られているせいで、働く事さえままならない。
頭が就職活動でいっぱいいっぱいで、パンクしてしまいそうになる。
もう一層どっか遠くに逃げたいとさえ、現実逃避も考えていた。
何度も何度も求人サイトにスクロールを繰り返し、そのうち東京以外の土地の求人も漁り始める。
その時、ある求人広告が視界に入った。
『旅館住み込みスタッフ募集。海からとても近い温泉宿。アットホームな職場です』
それは都内から離れた温泉街にある、旅館の求人公告だった。
温泉宿で住み込みのアルバイトが出来るのであれば、無理して引っ越しをする必要なんてない。
それに場所だって県外だ。流石に此処までは『斎川虎之助の悪名』は轟いて居ないだろう。
この時、全てをガラリと変える為には、他県に行く位の思い切りも必要だと感じた。
品のある50代位の穏やかな着物姿の仲居さんが『嘉生館』と書かれた、のぼり旗を手にして微笑んでいる。
他の写真だって年配の従業員の人が、穏やかに笑いながら自然と共に写っているものだ。
作り笑顔なんかじゃなく、ありのままに朗らかに人が過ごしているのが、手に取るようによく解る。
それに一番素敵だと感じた所は、この職場はΩの就労が可能なところだった。
大体のΩがまともな職に就くことが出来ず、酷いところは風俗勤務だ。
そんな中でこんな風に、小さくとも何処かのΩを救えるなんて、とても素敵な事だと感じた。
まるで誘われるかの様に、俺は記載された電話番号を携帯に打ち込む。そして嘉生館に電話を掛けた。
『はい、もしもし嘉生館です!!』
とてもハキハキした様子の明るい声色が響く。俺はそれに内心ドキドキしながら言葉を返した。
「あ、あの………俺、東京の人間で………求人見たんですけれど………!!!
住み込みでアルバイトって、まだ定員大丈夫ですか………???」
『大丈夫ですよぉ!東京からわざわざありがとうございます!御連絡先よろしいですかぁ??』
電話の対応の良さと、声だけでわかる人となり。肩に無理に力をいれる必要もなく、自然体で話を進める。
何よりここ最近の就職活動は、門前払い迄されるくらいの対応が続き、俺はとても弱りきっていた。
人間として対応して貰えている。それだけで涙が出そうな程に嬉しい。
時折笑みを溢し合いながら、誰か解らない電話の主と会話を進める。
すると先方から、驚くべき提案が飛び出した。
『都内からわざわざこちらまで面接に来るのでしたら、旅行感覚でお試しの短期アルバイトしてみますかぁ?
それで身体に合うかどうか試してみますぅ?』
それを聞いた時、懐の広さを感じる企業だと感動する。
そういう申し出は此方からすれば、もの凄く有難いことだ。
「………良いんですか?助かります!」
『アハハ!!大丈夫です!!宜しくお願い致します!!』
電話の向こうから聞こえてくる声色は、まるで鈴を転がしているみたいに賑やかだ。
話をしている最中に、その声の主が男性な事に気が付いた。
この声色の感じだと、年齢はとても若いに違いない。まるで少年みたいな声だと思った。
『じゃあ、来る日取り決めましょう?何時にしますぅ?』
「………もう明日とかでも大丈夫です!!」
俺がそう叫べば、電話の向こうからまた鈴を転がした様な笑い声が聞こえる。
穏やかでとても心地の良い笑い声。俺はこの人の声が何となく好きだと思った。
***
まさに有言実行を施行し、電話をした次の日には、荷物を纏めて家を飛び出す。
正直ダメで元々位の気持ちで受けた面接である。
例えご縁が無かったとしても、いい頭のリセットになるに違いない。気分は本当に旅行感覚だ。
朝7時発進の新幹線に乗り込み、約一時間仮眠をとる。
電車の中で目を醒ませば、窓から真っ青な海が見えた。
陽の光を反射しながらキラキラ輝く水面の美しさに、思わず顔が綻びる。
面接に落ちてしまっても、これが見れたなら後悔は無いと思う。
それ程迄に美しい景色が、俺の目の前に広がっていたのだ。
そして俺は、海の見える古びた駅に降り立った。
嘉生館のある町は、海が目と鼻の先にある。
小さな商店街にはお土産屋が立ち並び、絵に描いた観光地そのものだ。道を歩けばこの町の名物であろう、海産物の焼ける匂いが漂ってくる。
とても長閑で穏やかな町の人々は、よく笑いのんびりと暮らしているみたいだ。
俺は初めてこの街を訪れたけれど、純粋に良い場所だなぁと思う。
商店街を暫く歩いて神社を通りすぎ、木々の増えた道の中を歩いてゆく。その先で古き善き木造建築の門構えが、俺の事を出迎えてくれた。
「此処が嘉生館………」
此処に来る前に俺は嘉生館のことを調べた。
客室総数23室の小さな旅館には、源泉掛け流しの二種類の温泉が引かれている。
温泉付きの客室の数は3部屋。創業80年の老舗の旅館には、マニアな固定ファンもついているそうだ。
嘉生館の門に足を踏み入れると、緑の薫りがふわりと漂う。
手入れのされた庭の奥には、悠々と鯉の泳ぐ大きな池があった。
そういえば昔、母さんがまだ元気で生きていた頃に、こういう旅館に遊びに行ったことがある。俺はその時まだガキだった。
親父と母さんと手を繋いで、キラキラ光る海の真っ白い砂浜を歩く。
嘉生館は俺が昔行った旅館ではないけれど、その頃の懐かしい気持ちを思い返させてくれた。
「………来て良かった」
思わずそう呟くと玄関からヨロヨロと、嗄れた小さな爺さんが一人出てくる。
その爺さんの見た目はどっからどうみても、絵本の中に出てくる小人そのものだ。
スーツの上に『嘉生館』と書かれた、クリーム色の法被を羽織っている。
彼は曲がった腰のまま俺に近付き、俺を見上げて口を開いた。
「御予約のお客様ですか??」
「……あ、いや、俺、今日面接予定の斎川です………」
俺がそう告げると、爺さんはしわしわの顔を更にしわしわにして笑い、手をポンと打ってみせる。
彼を見ながらこの場所の従業員の年齢は、それなりに歳上なんだろうと察した。
0
あなたにおすすめの小説
【完結】愛されたかった僕の人生
Kanade
BL
✯オメガバース
〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜
お見合いから一年半の交際を経て、結婚(番婚)をして3年。
今日も《夫》は帰らない。
《夫》には僕以外の『番』がいる。
ねぇ、どうしてなの?
一目惚れだって言ったじゃない。
愛してるって言ってくれたじゃないか。
ねぇ、僕はもう要らないの…?
独りで過ごす『発情期』は辛いよ…。
やっと退場できるはずだったβの悪役令息。ワンナイトしたらΩになりました。
毒島醜女
BL
目が覚めると、妻であるヒロインを虐げた挙句に彼女の運命の番である皇帝に断罪される最低最低なモラハラDV常習犯の悪役夫、イライ・ロザリンドに転生した。
そんな最期は絶対に避けたいイライはヒーローとヒロインの仲を結ばせつつ、ヒロインと円満に別れる為に策を練った。
彼の努力は実り、主人公たちは結ばれ、イライはお役御免となった。
「これでやっと安心して退場できる」
これまでの自分の努力を労うように酒場で飲んでいたイライは、いい薫りを漂わせる男と意気投合し、彼と一夜を共にしてしまう。
目が覚めると罪悪感に襲われ、すぐさま宿を去っていく。
「これじゃあ原作のイライと変わらないじゃん!」
その後体調不良を訴え、医師に診てもらうととんでもない事を言われたのだった。
「あなた……Ωになっていますよ」
「へ?」
そしてワンナイトをした男がまさかの国の英雄で、まさかまさか求愛し公開プロポーズまでして来て――
オメガバースの世界で運命に導かれる、強引な俺様α×頑張り屋な元悪役令息の元βのΩのラブストーリー。
番解除した僕等の末路【完結済・短編】
藍生らぱん
BL
都市伝説だと思っていた「運命の番」に出逢った。
番になって数日後、「番解除」された事を悟った。
「番解除」されたΩは、二度と他のαと番になることができない。
けれど余命宣告を受けていた僕にとっては都合が良かった。
ウサギ獣人を毛嫌いしているオオカミ獣人後輩に、嘘をついたウサギ獣人オレ。大学で逃げ出して後悔したのに、大人になって再会するなんて!?
灯璃
BL
ごく普通に大学に通う、宇佐木 寧(ねい)には、ひょんな事から懐いてくれる後輩がいた。
オオカミ獣人でアルファの、狼谷 凛旺(りおう)だ。
ーここは、普通に獣人が現代社会で暮らす世界ー
獣人の中でも、肉食と草食で格差があり、さらに男女以外の第二の性別、アルファ、ベータ、オメガがあった。オメガは男でもアルファの子が産めるのだが、そこそこ差別されていたのでベータだと言った方が楽だった。
そんな中で、肉食のオオカミ獣人の狼谷が、草食オメガのオレに懐いているのは、単にオレたちのオタク趣味が合ったからだった。
だが、こいつは、ウサギ獣人を毛嫌いしていて、よりにもよって、オレはウサギ獣人のオメガだった。
話が合うこいつと話をするのは楽しい。だから、学生生活の間だけ、なんとか隠しとおせば大丈夫だろう。
そんな風に簡単に思っていたからか、突然に発情期を迎えたオレは、自業自得の後悔をする羽目になるーー。
みたいな、大学篇と、その後の社会人編。
BL大賞に応募しましたので、見て頂けると嬉しいです!
※本編完結しました!お読みいただきありがとうございました!
※短編1本追加しました。これにて完結です!ありがとうございました!
旧題「ウサギ獣人が嫌いな、オオカミ獣人後輩を騙してしまった。ついでにオメガなのにベータと言ってしまったオレの、後悔」
希少なΩだと隠して生きてきた薬師は、視察に来た冷徹なα騎士団長に一瞬で見抜かれ「お前は俺の番だ」と帝都に連れ去られてしまう
水凪しおん
BL
「君は、今日から俺のものだ」
辺境の村で薬師として静かに暮らす青年カイリ。彼には誰にも言えない秘密があった。それは希少なΩ(オメガ)でありながら、その性を偽りβ(ベータ)として生きていること。
ある日、村を訪れたのは『帝国の氷盾』と畏れられる冷徹な騎士団総長、リアム。彼は最上級のα(アルファ)であり、カイリが必死に隠してきたΩの資質をいとも簡単に見抜いてしまう。
「お前のその特異な力を、帝国のために使え」
強引に帝都へ連れ去られ、リアムの屋敷で“偽りの主従関係”を結ぶことになったカイリ。冷たい命令とは裏腹に、リアムが時折見せる不器用な優しさと孤独を秘めた瞳に、カイリの心は次第に揺らいでいく。
しかし、カイリの持つ特別なフェロモンは帝国の覇権を揺るがす甘美な毒。やがて二人は、宮廷を渦巻く巨大な陰謀に巻き込まれていく――。
運命の番(つがい)に抗う不遇のΩと、愛を知らない最強α騎士。
偽りの関係から始まる、甘く切ない身分差ファンタジー・ラブ!
冷酷なアルファ(氷の将軍)に嫁いだオメガ、実はめちゃくちゃ愛されていた。
水凪しおん
BL
これは、愛を知らなかった二人が、本当の愛を見つけるまでの物語。
国のための「生贄」として、敵国の将軍に嫁いだオメガの王子、ユアン。
彼を待っていたのは、「氷の将軍」と恐れられるアルファ、クロヴィスとの心ない日々だった。
世継ぎを産むための「道具」として扱われ、絶望に暮れるユアン。
しかし、冷たい仮面の下に隠された、不器用な優しさと孤独な瞳。
孤独な夜にかけられた一枚の外套が、凍てついた心を少しずつ溶かし始める。
これは、政略結婚という偽りから始まった、運命の恋。
帝国に渦巻く陰謀に立ち向かう中で、二人は互いを守り、支え合う「共犯者」となる。
偽りの夫婦が、唯一無二の「番」になるまでの軌跡を、どうぞ見届けてください。
のほほんオメガは、同期アルファの執着に気付いていませんでした
こたま
BL
オメガの品川拓海(しながわ たくみ)は、現在祖母宅で祖母と飼い猫とのほほんと暮らしている社会人のオメガだ。雇用機会均等法以来門戸の開かれたオメガ枠で某企業に就職している。同期のアルファで営業の高輪響矢(たかなわ きょうや)とは彼の営業サポートとして共に働いている。同期社会人同士のオメガバース、ハッピーエンドです。両片想い、後両想い。攻の愛が重めです。
アルファ王子に嫌われるための十の方法
小池 月
BL
攻め:アローラ国王太子アルファ「カロール」
受け:田舎伯爵家次男オメガ「リン・ジャルル」
アローラ国の田舎伯爵家次男リン・ジャルルは二十歳の男性オメガ。リンは幼馴染の恋人セレスがいる。セレスは隣領地の田舎子爵家次男で男性オメガ。恋人と言ってもオメガ同士でありデートするだけのプラトニックな関係。それでも互いに大切に思える関係であり、将来は二人で結婚するつもりでいた。
田舎だけれど何不自由なく幸せな生活を送っていたリンだが、突然、アローラ国王太子からの求婚状が届く。貴族の立場上、リンから断ることが出来ずに顔も知らないアルファ王子に嫁がなくてはならなくなる。リンは『アルファ王子に嫌われて王子側から婚約解消してもらえば、伯爵家に出戻ってセレスと幸せな結婚ができる!』と考え、セレスと共にアルファに嫌われるための作戦を必死で練り上げる。
セレスと涙の別れをし、王城で「アルファ王子に嫌われる作戦」を実行すべく奮闘するリンだがーー。
王太子α×伯爵家ΩのオメガバースBL
☆すれ違い・両想い・権力争いからの冤罪・絶望と愛・オメガの友情を描いたファンタジーBL☆
性描写の入る話には※をつけます。
11月23日に完結いたしました!!
完結後のショート「セレスの結婚式」を載せていきたいと思っております。また、その後のお話として「番となる」と「リンが妃殿下になる」ストーリーを考えています。ぜひぜひ気長にお待ちいただけると嬉しいです!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる