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君の秘密を教えて

君の秘密を教えて 第三話

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 薄い色合いの口紅ではなく、赤いグロスリップをたっぷりと塗り付ける。
 それから長い長い睫毛をマスカラで天に向かせた。
 不機嫌そうな彫りの深い二重瞼に茶色いアイシャドウを塗れば、美人独特の眼力が映える。
 選んだウィッグはふわふわ広がる柔らかい素材のミディアムロング。
 髪の毛の色は毛先だけがアッシュに染まっている。
 想像よりも気の強そうな美女が今、俺の目の前で不機嫌そうに溜め息を吐く。
 気怠そうな憂いを帯びた仕草さえも、色気を醸し出していた。
 そんな美女の赤い潤んだ口元から言葉が漏れた。
 
「………なぁ祐希ぃ………これどう見ても男って解るだろ……」
 
 そう言って深く溜め息を吐きながら、美女に仕上がった瞬ちゃんが俺を睨む。
 俺はそんな瞬ちゃんにものすごい勢いで、携帯カメラのシャッターを切っていた。
 
「ううん!?そんなことないよ!?滅茶苦茶可愛いから!!!」
 
 正直恋人フィルターが掛かっていなくても、瞬ちゃんが女装をしたら美しいに決まっている。
 そもそもとんでもなく美しい顔をしているのだ。美女にならない訳がない。
 瞬ちゃんに女装をさせると奈苗に伝えれば、俊足で似合いそうな衣装とウィッグを準備してきた。
 奈苗のお見立て通りに出来上がった美女の姿に、俺も今大興奮である。
 
「………この写真、幾ら加工するとはいえ、アイツに送るんだろ?気が重いな……」
 
 事の発端は秀人に俺が恋愛相談をしたことが原因だ。
 その際に秀人からの「彼女の写メが見たい」という要求が発生した。
 誤魔化しに誤魔化してきたけれど、流石にそろそろ誤魔化しきれなくなり、今瞬ちゃんが已む負えず美女に化けたという訳だ。
 白いハイネックのノースリーブに、黒いロングのスカート。脇にはスリットが勿論入っている。
 部屋に置いてある姿見の前で立ちながら、瞬ちゃんが吐き捨てる様に囁く。
 
「……いやこれ………どちら様ですか?だ……」
 
 ああ、これ俺も同じ事言った懐かしい……。
 瞬ちゃんの写真を必死で携帯で加工しながら、女性に更に近づけてゆく。
 瞬ちゃんは俺の隣に座り俺の加工技術を見ていた。
 今日は俺も女装をしているし、瞬ちゃんにも女装を施している。
 まるで女子会の様に見えるけれど中身は二人とも完全に男だ。
 すると瞬ちゃんが何を思ったのか俺の携帯を取り上げた。
 
「え!?瞬ちゃん何するの!?」
 
 加工途中の写真をそのままに俺と二人の写真を撮る。
 そして俺の顔を自分の方に向かせていきなりキスをした。
 カメラのシャッター音が鳴り響くと、瞬ちゃんは俺から身体を離す。
 そして出来上がった写真をみて呟いた。
 
「みて、偽物のレズ」
「え、この写真可愛い」
 
 俺の携帯の中に映ったまるで女同士のキス写真はクオリティが高く、正直俺も歓心をする。
 傍目から見れば、女の子同士のイチャイチャ写真でしかないのに中身は男だ。
 すると瞬ちゃんは美女の顔でにんまりと笑い、俺の身体をベッドに押し倒した。
 
「え……瞬ちゃん?」
 
 俺が思わず名前を呼べば、瞬ちゃんは俺のスカートの中に手を入れる。
 この時に俺は正直瞬ちゃんが何を考えていたか解ってしまった気がした。
 そして俺の脚を撫でまわしながら、色っぽい表情を浮かべて囁く。
 
「折角何時もと違う恰好してんだしさぁ………このままヤろうぜ」
 
 ………ああやっぱり。
 美女使用の瞬ちゃんとエッチなことをするのは、正直滅茶苦茶興味がある。
 でも今瞬ちゃんの着ている洋服は奈苗から借りたものだ。
 大体洋服を着たままでいやらしい事をすると汚すのが定例だ。
 
「……したいけど……でも……」
 
 奈苗の服を汚す訳にはいかない。
 けれど俺の太ももを撫でる指先はもう大分際どい所に入り込んでいた。
 ショーツの太ももの辺りを往復しながら、わざと時折俺のものを撫でる。
 そのたびに身体が反応してほしくなってしまう。
 
「……もう濡れてるのに?」
 
 そう言いながら瞬ちゃんが俺の先走りで濡れた下着を弄る。
 くちゅっという水音が聞こえた辺りで、完全にこのままヤる方に思考がシフトした。
 
「っ……シテくださいっ!!」
 
 俺がそう囁いた瞬間に瞬ちゃんは満足気に笑った。
 
 
 
 昔瞬ちゃんと初めてエッチな事をした時に、女装姿で俺のものを見て、性癖がおかしくなりそうなんて言っていた。
 でも今正直その気持ちが滅茶苦茶解るのだ。
 
「んっ……む……ふっ……ううっ……」
 
 お互いにお互いのものを舐め合う合間に、瞬ちゃんが器用に俺の中に指を這わせる。
 こんな事をされてしまったなら舐める事に集中できない。
 口での愛撫が疎かになってしまうのを感じながらも、俺のをしゃぶる瞬ちゃんを見る。
 この美女にこんな大きなものがぶら下がってるなんて倒錯的だ。
 俺が見ているのに気付いた瞬ちゃんが、俺のをしゃぶるのを止めて俺の方に目をやる。
 俺のものは瞬ちゃんの赤いグロスリップで汚れていた。
 正直もう俺と瞬ちゃんの口元はお互いの付けている口紅でベタベタだ。
 こんなに激しいキスをしていたのかと、思わず身体が震える。
 すると瞬ちゃんの指先が気持ちのいいところに触れた。
 
「んあぁっ………!!!だめっ………!!!」
 
 女の子のようにイくのを覚えてしまってから、俺は簡単にイく身体になった。
 正直今もう瞬ちゃんに前も後ろも攻められて限界だ。
 瞬ちゃんは俺の身体を押し倒して、完全に俺を攻めるのに徹している。
 これ以上されてしまったら、入れられる前にイってしまう。
 
「しゅんちゃんっ……もうやだぁ……!!もうほしい……!!!」
 
 俺がグズグズ泣いて甘えれば瞬ちゃんが俺の頭を撫でる。
 今日は綺麗なお姉さんに可愛がられている感じがした。
 
「祐希我慢出来ねぇの?そんなにほしい?」
 
 そう囁きながら俺に自分のを見せつけて笑う。その姿が余りにも魅力的だった。
 この光景は俺も性癖が変になりそう。
 
「………っ、ほしい……ちょうだい……?」
 
 俺がそう言った瞬間に瞬ちゃんは満足そうに笑う。
 慣れた手付きでベッドサイドにあったコンドームを付けて、俺の身体を抱き寄せる。
 何時も通りに瞬ちゃんが俺の中に入ってきた。
 身体の中にイく寸前のぞわぞわした感覚が走り、そろそろイく覚悟を決める。
 俺の身体がきつく瞬ちゃんの身体を締め上げた瞬間、携帯のシャッター音が鳴り響いた。
 
「あっ!!!……………んぇ?」
 
 身体が軽くイクのとシャッター音は同時だった。
 思わず間抜けな声を出した瞬間に、俺の携帯を片手に美女仕様の瞬ちゃんが笑う。
 
「祐希見て、ほら、スゲー良い顔………」
 
 瞬ちゃんが軽くイッたばかりの俺に、恥ずかしい俺の写真を見せ付ける。
 なんだこれ、完全にハメ撮りじゃないか。
 思わず凍り付く俺の頬を瞬ちゃんは撫でる。そして甘ったるい声で囁いた。
 
「お前の事情にこうして付き合わされてんだから、俺の趣味にも付き合ってくれるよな?」
 
 ………瞬ちゃんってハメ撮りする趣味あるの!?
 瞬ちゃんのものがほんの少し俺の中で大きくなるのを感じて、俺は深く息を吸う。
 それに携帯の中に収まった自分の写真が余りにも淫らで、なんだか変なスイッチが入った。
 
「は……はひ……………」
 
 俺が返事をした瞬間に瞬ちゃんが腰を動かす。
 それと同時に気持ちが良いところが擦れて腰が震えた。
 
「んぁっ!!あぁぁあぁぁ!!イく!!!」
 
 俺の身体がイクのと同時に携帯のシャッター音が鳴る。
 
「祐希が俺の締める時に、カメラ構えると丁度いいな?」
 
 瞬ちゃんはそう言いながら意地悪に笑っていた。
 この後俺の携帯のカメラは破廉恥極まりないハメ撮りで埋まり、奈苗の服は見事にクリーニング行きになった。
 けれどなんとか彼女の写メは完成したのだ。
 
 
 
「秀人、彼女写メ撮らしてくれたんだけどさ、見る?」
 
 俺が秀人とそう言えば秀人が目を輝かせる。
 
「……まじで!?やっと御目にかかれるのか!!」
 
 瞬ちゃんの顔画像は瞬ちゃんだとは絶対解らない位に、加工に加工を重ねた。
 俺の携帯カメラに入っている彼女の写メは、どっからどうみても女の子だ。
 秀人が俺の携帯を手に取り写メを見る。そして目を丸くした。
 
「え、目茶苦茶美女じゃん!!」
 
 だろ!?そうだろ!?すげぇ美女だろ!?
 まぁそれ瞬ちゃんだけど!!!
 そう思いながら得意気に笑った瞬間に、秀人が少しだけ苦笑いを浮かべる。
 
「でもなんか………天城先輩にすげぇ似て見える……。
お前等二人ってお互いの彼女がお互いに似てるのちょっと気持ち悪いな………」
 
 ギクリ。
 俺は秀人を誤魔化すように笑い、上手いことその場を収める。
 まぁあれ実際俺だしこれは瞬ちゃんだし仕方ない。
 似てるのは当たり前なのだ。
 けれどこの後に時折瞬ちゃんは、俺の女装に付き合ってくれるようになった。
 今度は二人で女の子の服を着て街に繰り出すつもりである。
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