13 / 53
六月二十七日月曜日 晴れ時間「ライバル」
6/27晴れ③
しおりを挟む
その日、ちょっとした事件が起きた。
つい先日、受けた期末テストの結果が出たのだ。
廊下に張り出されるようなことはなかったけれど、先生が丁寧に。
「数学の一位は青山くん、二位は柴田さん、三位は桜庭さん。またキラキラコンビのワンツーね」
キラと目が合ったらニヤリと笑われた。
面白くない、面白くない!
五教科中、三教科をキラにトップを獲られた。
勉強だって小学生の時から誰にも負けたことがなかったのに。
受験だって突破してきた私が初めて負けた相手がよりにもよって、またキラだなんて悔しい。
せめて勉強だけは負けたくなかった、次こそは!
と考えてから、次はないんだっけ、と思い出した。
でも、悔しがる私より、もっと悔しがってる人がこっちを見ていたことにその時はまだ気づけないでいた。
「カンニングじゃないの? だって隣の席だし」
五時限目の用意をしていた私の耳に、そんな声が聞こえてきた。
運悪く、カノンちゃんもキラも教室にはおらず、他の子たちにも聞こえていないみたいだ。
「ああ、カンニングなら、あの成績はあり得るよね」
クスクスと桜庭ファミリーが嫌な笑い方を浮かべて私を見ている。
なるほど、私が総合二位になったから、桜庭さんは三位に落ちてしまったんだ。
「私、カンニングなんか」
立ち上がって抗議しようとしたら、彼女たちは首をすくめて。
「なんのこと? 別に、柴田さんのこと言ってるわけじゃないし」
「そうだよ、柴田さん自意識過剰。目立ちたがりみたいだもんね? なんでも自分のことに聞こえるんじゃない?」
腕を組んで笑いながらそう言ったのは、桜庭さんだった。
「私、目立つことなんかしてない」
「してるじゃない、いつまでも前の学校の制服着てさ。田舎のダサイセーラー服なんか見下してるんでしょ、どうせ」
「そんなこと」
言いかけた時、キラとカノンちゃんが教室に戻ってきた。
不穏な空気に他の子たちも気づき始めていて、桜庭さんたちは気まずそうに席に戻っていく。
「キラリちゃん、大丈夫?」
「うん、なんともないよ」
カノンちゃんが私に慌てて近づいてくる。
キラが話しかけてこなかったのは、女子同士の争いごとに顔を突っ込んだらもっと騒ぎになるかも、と察したのかもしれない。
カノンちゃんがいるとあの子たちは私に近づいて来なかった。
言うべきことをズバリと言ってしまうカノンちゃんのことを、苦手としている様子。
「ねえ、アンってば。そんな言い方された方は傷ついちゃうよ? もうちょっと優しい言い方できないの?」
などとドストレートに言うものだから、さすがの桜庭さんも、うっと言葉に詰まってしまうのを見かけたことがある。
さすがは五人兄弟の長女でクラス委員だ。
だから、その日の出来事は、カノンちゃんが来て、桜庭さんたちが散って、それで終わったはずだった……のに。
「ごめんね、キラリちゃん! 今日はクラス委員の集まりがあるの。もし良かったらキラと一緒に帰ってくれる?」
それは嫌だ、と首を振る私の横で、同じようにキラも首を振っていた。
キラはトラック運転手のお父さんと二人暮らし。
お父さんの帰りが遅い時や、長距離で帰れない日なんかは、キラは家で夕飯を食べて行ったりもする。
それがなくても、嫌でも夕方のノビルの散歩で一緒になるんだから、下校の時まで一緒にいたくはないのはお互い様だろう。
しょうがない、今日は一人で帰ろうか、と歩き出した時だった。
つい先日、受けた期末テストの結果が出たのだ。
廊下に張り出されるようなことはなかったけれど、先生が丁寧に。
「数学の一位は青山くん、二位は柴田さん、三位は桜庭さん。またキラキラコンビのワンツーね」
キラと目が合ったらニヤリと笑われた。
面白くない、面白くない!
五教科中、三教科をキラにトップを獲られた。
勉強だって小学生の時から誰にも負けたことがなかったのに。
受験だって突破してきた私が初めて負けた相手がよりにもよって、またキラだなんて悔しい。
せめて勉強だけは負けたくなかった、次こそは!
と考えてから、次はないんだっけ、と思い出した。
でも、悔しがる私より、もっと悔しがってる人がこっちを見ていたことにその時はまだ気づけないでいた。
「カンニングじゃないの? だって隣の席だし」
五時限目の用意をしていた私の耳に、そんな声が聞こえてきた。
運悪く、カノンちゃんもキラも教室にはおらず、他の子たちにも聞こえていないみたいだ。
「ああ、カンニングなら、あの成績はあり得るよね」
クスクスと桜庭ファミリーが嫌な笑い方を浮かべて私を見ている。
なるほど、私が総合二位になったから、桜庭さんは三位に落ちてしまったんだ。
「私、カンニングなんか」
立ち上がって抗議しようとしたら、彼女たちは首をすくめて。
「なんのこと? 別に、柴田さんのこと言ってるわけじゃないし」
「そうだよ、柴田さん自意識過剰。目立ちたがりみたいだもんね? なんでも自分のことに聞こえるんじゃない?」
腕を組んで笑いながらそう言ったのは、桜庭さんだった。
「私、目立つことなんかしてない」
「してるじゃない、いつまでも前の学校の制服着てさ。田舎のダサイセーラー服なんか見下してるんでしょ、どうせ」
「そんなこと」
言いかけた時、キラとカノンちゃんが教室に戻ってきた。
不穏な空気に他の子たちも気づき始めていて、桜庭さんたちは気まずそうに席に戻っていく。
「キラリちゃん、大丈夫?」
「うん、なんともないよ」
カノンちゃんが私に慌てて近づいてくる。
キラが話しかけてこなかったのは、女子同士の争いごとに顔を突っ込んだらもっと騒ぎになるかも、と察したのかもしれない。
カノンちゃんがいるとあの子たちは私に近づいて来なかった。
言うべきことをズバリと言ってしまうカノンちゃんのことを、苦手としている様子。
「ねえ、アンってば。そんな言い方された方は傷ついちゃうよ? もうちょっと優しい言い方できないの?」
などとドストレートに言うものだから、さすがの桜庭さんも、うっと言葉に詰まってしまうのを見かけたことがある。
さすがは五人兄弟の長女でクラス委員だ。
だから、その日の出来事は、カノンちゃんが来て、桜庭さんたちが散って、それで終わったはずだった……のに。
「ごめんね、キラリちゃん! 今日はクラス委員の集まりがあるの。もし良かったらキラと一緒に帰ってくれる?」
それは嫌だ、と首を振る私の横で、同じようにキラも首を振っていた。
キラはトラック運転手のお父さんと二人暮らし。
お父さんの帰りが遅い時や、長距離で帰れない日なんかは、キラは家で夕飯を食べて行ったりもする。
それがなくても、嫌でも夕方のノビルの散歩で一緒になるんだから、下校の時まで一緒にいたくはないのはお互い様だろう。
しょうがない、今日は一人で帰ろうか、と歩き出した時だった。
0
あなたにおすすめの小説
14歳で定年ってマジ!? 世界を変えた少年漫画家、再起のノート
谷川 雅
児童書・童話
この世界、子どもがエリート。
“スーパーチャイルド制度”によって、能力のピークは12歳。
そして14歳で、まさかの《定年》。
6歳の星野幸弘は、将来の夢「世界を笑顔にする漫画家」を目指して全力疾走する。
だけど、定年まで残された時間はわずか8年……!
――そして14歳。夢は叶わぬまま、制度に押し流されるように“退場”を迎える。
だが、そんな幸弘の前に現れたのは、
「まちがえた人間」のノートが集まる、不思議な図書室だった。
これは、間違えたままじゃ終われなかった少年たちの“再スタート”の物語。
描けなかった物語の“つづき”は、きっと君の手の中にある。
今、この瞬間を走りゆく
佐々森りろ
児童書・童話
【第2回きずな児童書大賞 奨励賞】
皆様読んでくださり、応援、投票ありがとうございました!
小学校五年生の涼暮ミナは、父の知り合いの詩人・松風洋さんの住む東北に夏休みを利用して東京からやってきた。同い年の洋さんの孫のキカと、その友達ハヅキとアオイと仲良くなる。洋さんが初めて書いた物語を読ませてもらったミナは、みんなでその小説の通りに街を巡り、その中でそれぞれが抱いている見えない未来への不安や、過去の悲しみ、現実の自分と向き合っていく。
「時あかり、青嵐が吹いたら、一気に走り出せ」
合言葉を言いながら、もう使われていない古い鉄橋の上を走り抜ける覚悟を決めるが──
ひと夏の冒険ファンタジー
極甘独占欲持ち王子様は、優しくて甘すぎて。
猫菜こん
児童書・童話
私は人より目立たずに、ひっそりと生きていたい。
だから大きな伊達眼鏡で、毎日を静かに過ごしていたのに――……。
「それじゃあこの子は、俺がもらうよ。」
優しく引き寄せられ、“王子様”の腕の中に閉じ込められ。
……これは一体どういう状況なんですか!?
静かな場所が好きで大人しめな地味子ちゃん
できるだけ目立たないように過ごしたい
湖宮結衣(こみやゆい)
×
文武両道な学園の王子様
実は、好きな子を誰よりも独り占めしたがり……?
氷堂秦斗(ひょうどうかなと)
最初は【仮】のはずだった。
「結衣さん……って呼んでもいい?
だから、俺のことも名前で呼んでほしいな。」
「さっきので嫉妬したから、ちょっとだけ抱きしめられてて。」
「俺は前から結衣さんのことが好きだったし、
今もどうしようもないくらい好きなんだ。」
……でもいつの間にか、どうしようもないくらい溺れていた。
【運命】と言われて困っています
桜 花音
児童書・童話
小6のはじまり。
遠山彩花のクラスである6年1組に転校生がやってきた。
男の子なのに、透き通るようにきれいな肌と、お人形さんみたいに、パッチリした茶色い瞳。
あまりにキレイすぎて、思わず教室のみんな、彼に視線が釘付けになった。
そんな彼が彩花にささやいた。
「やっと会えたね」
初めましてだと思うんだけど?
戸惑う彩花に彼はさらに秘密を教えてくれる。
彼は自らの中に“守護石”というものを宿していて、それがあると精霊と関われるようになるんだとか。
しかも、その彼の守護石の欠片を、なぜか彩花が持っているという。
どういうこと⁉
あいつは悪魔王子!~悪魔王子召喚!?追いかけ鬼をやっつけろ!~
とらんぽりんまる
児童書・童話
【第15回絵本・児童書大賞、奨励賞受賞】ありがとうございました!
主人公の光は、小学校五年生の女の子。
光は魔術や不思議な事が大好きで友達と魔術クラブを作って活動していたが、ある日メンバーの三人がクラブをやめると言い出した。
その日はちょうど、召喚魔法をするのに一番の日だったのに!
一人で裏山に登り、光は召喚魔法を発動!
でも、なんにも出て来ない……その時、子ども達の間で噂になってる『追いかけ鬼』に襲われた!
それを助けてくれたのは、まさかの悪魔王子!?
人間界へ遊びに来たという悪魔王子は、人間のフリをして光の家から小学校へ!?
追いかけ鬼に命を狙われた光はどうなる!?
※稚拙ながら挿絵あり〼
突然、お隣さんと暮らすことになりました~実は推しの配信者だったなんて!?~
ミズメ
児童書・童話
動画配信を視聴するのが大好きな市山ひなは、みんなより背が高すぎることがコンプレックスの小学生。
周りの目を気にしていたひなは、ある日突然お隣さんに預けられることになってしまった。
そこは幼なじみでもある志水蒼太(しみずそうた)くんのおうちだった。
どうやら蒼太くんには秘密があって……!?
身長コンプレックスもちの優しい女の子✖️好きな子の前では背伸びをしたい男の子…を見守る愉快なメンバーで繰り広げるドタバタラブコメ!
限界集落で暮らす女子中学生のお仕事はどうやらあやかし退治らしいのです
釈 余白(しやく)
児童書・童話
現代日本と不釣り合いなとある山奥には、神社を中心とする妖討伐の一族が暮らす村があった。その一族を率いる櫛田八早月(くしだ やよい)は、わずか八歳で跡目を継いだ神職の巫(かんなぎ)である。その八早月はこの春いよいよ中学生となり少し離れた町の中学校へ通うことになった。
妖退治と変わった風習に囲まれ育った八早月は、初めて体験する普通の生活を想像し胸を高鳴らせていた。きっと今まで見たこともないものや未体験なこと、知らないことにも沢山触れるに違いないと。
この物語は、ちょっと変わった幼少期を経て中学生になった少女の、非日常的な日常を中心とした体験を綴ったものです。一体どんな日々が待ち受けているのでしょう。
※外伝
・限界集落で暮らす専業主婦のお仕事は『今も』あやかし退治なのです
https://www.alphapolis.co.jp/novel/398438394/874873298
※当作品は完全なフィクションです。
登場する人物、地名、、法人名、行事名、その他すべての固有名詞は創作物ですので、もし同名な人や物が有り迷惑である場合はご連絡ください。
事前に実在のものと被らないか調べてはおりますが完全とは言い切れません。
当然各地の伝統文化や催事などを貶める意図もございませんが、万一似通ったものがあり問題だとお感じになられた場合はご容赦ください。
転んでもタダでは起きないシンデレラ
夕景あき
児童書・童話
ネズミから人の姿に戻る為には、シンデレラに惚れてもらうしかないらしい!?
果たして、シンデレラはイケメン王子ではなくネズミに惚れてくれるのだろうか?·····いや、どう考えても無理だよ!というお話。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる