魔法少女はまだ翔べない

東 里胡

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六月二十七日月曜日 雨時間「友情と覚醒」

6/27雨④

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「キラリちゃん、また明日ね~!」
「ありがとう、カノンちゃん! また明日!」
 
 途中まで五人いた同じ方面の子は、最後にカノンちゃんと別れた結果、キラと二人になってしまった。
 何も言わないキラ、そして何も言わないノビル。
 いやだなあ、気まずい沈黙。

「キラ、あのさ」
「あ、謝んねえからな?」
「へ?」

 突然焦ったように、早口になるキラは足も速める。

「仕方ねえだろ、アンが何もわかってないのにお前にイジワルしたって言うし」
「別に私、キラのこと怒ってないよ?」
「は? 勝手に言うなって、そう思ってんじゃ」
「ないよ、ない。逆に、心配かけてごめん」

 うっ、と言葉に詰まって押し黙ってしまったキラが頭をポリポリかいて。
 
「やっぱ、悪かった。緊急事態だったから、つい皆にお前の家のこと説明しちゃって」
「いいんだって。キラが言わなきゃ私は皆にずっと誤解されてたし。誤解されたまんまでいいかなって、思ってたんだ」

 へへっと笑って見せたら、キラは怒ったような顔をして驚いた。

「は? なんでだよ!!」
「三ヶ月だけだから、ってそう思ってたの。本当は友達ができてもできなくても、どっちでも良かったし。アンちゃんがイジワルしてこようが、どうせ私はいずれまた東京に戻るんだしって。そうやって、実は皆を遠ざけてたんだと思う。今日のことがなければ、きっとこの先も、どうでもいいやってあきらめてたし」
「勝手に、どうでもいいとか決めんな」
 
 テイッと私の脇腹にキラの突きが軽く入る。
 
「俺だって何も知らなくて、お前がそんな態度取ってたならいけ好かないやつだなって思ってただろうけど。聞いちゃったし、だったら、もうほっとけねえし。それに俺ら友達になったんだろ!? ノビル散歩仲間だし! 真希さんは、キラリの家族だよな?」
「うん……」
「なら、心配かけるようなことする前に、俺か真希さんに相談くらいしろ、水くさいぞ、バーカ!!」

 キラの言葉に一瞬、うるっときたというのに、その後もバカバカ連呼するから、なんだか腹が立ってきちゃって。

「バカって言う方がバカなんです」
「お前よか成績は良かったけどな?」
「む、ムカつくう!!」

 言い争う私たちの声を遮るように。

「キラリ!! キラ!!」

 前方の外灯の下で手を振るおばあちゃんが見えた。
 ノビルは急に走り出し、リードを持ってたキラも、私も釣られて走り出す。

「……ただいま、おばあちゃん! あのね、ごめんね、私」
「もういいから、二人ともお腹空いただろ? キラも食べて行きな? 今日も父ちゃん遅いだろ?」

 私とキラの間に立って、私たちの肩を抱いて歩き始めるおばあちゃん。
 その温かさに、おばあちゃんの腰にギュッと抱きついた。
 何も言わなくても全部わかってくれるような、安心する笑顔。
 ああ、そうだ、ノビルの言った通りだよね。
 おばあちゃんは最初からずっと私に優しかった。
 足元のノビルは、そら見たことか、というようにどこか得意げに私を見上げていた。
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