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七月一日金曜日 晴天「優しさ日和」
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「な、なにがおかしいのよ」
「だって、アンってばママがケーキ作りすぎたとか。やっぱママじゃなかったじゃん」
「アンちゃん、アイス溶けそうだから食べてもいい? それにしても、お菓子作るの天才だよね、アンちゃん」
私たちにからかわれて、真っ赤な顔をしたアンちゃんも溶けそうなアイスクリームに口をつける。
「でもさ、どんなにお菓子を上手に作れてもね」
「うん?」
「シバタ駄菓子店のイカクンセイや、ハムカツもどきには負けるわけ。私も、あの味が恋しくなってたまに行っちゃうの。その時は、キラリの部屋に招待してよね?」
「う、うわ、じゃあ、部屋片づけておくよ。カノンちゃんも良かったら遊びにきてね? とはいえ、なんもないのよ。布団と小さいテーブルとカラーボックスだけだし」
「そっか。全部、東京の家に置いてきたの?」
「うん、洋服数枚と勉強道具だけしか持ってきてない」
「三ヶ月だけとか言ってたもんね? あ、キラリちゃんのお母さん、調子はどう?」
女の子同士の会話は次々に話題が変わっていく。
「一昨日から、本格的な治療が始まったみたいで、今すっごく調子が悪いみたい。メッセージも、おはようとおやすみぐらいよ」
「寂しくない? キラリ」
「ん~、正直最初は寂しかったけど、今はこうしてカノンちゃんやアンちゃんもいるし。毎日忙しいし楽しくなってきてる」
「良かった。お母さんも早く元気になるといいね」
「あのさ、家はね、いつでもオッケーだから! キラリが寂しいなって時には、泊まりにきてくれてもいいよ」
カノンちゃんの祈るような声掛けも、アンちゃんの心遣いも優しい。
「ありがとう!でも、うちにはおばあちゃんがいてくれるし、後ね、犬の散歩もあるの! だから、忙しくしてるから、寂しくなんかないよ! でも」
「でも?」
「二人とも夏休みに遊んでくれたら嬉しい。ここって海で泳げたりもするんでしょ?」
「私はいいけど、アンはどうする?」
アンちゃんは困ったような顔をして、からかう口調のカノンちゃんを横にらみ。
「どうしたの?」
「泳げないの! カナヅチなのよ、海の側で生まれたくせに」
「だったら、教えようか?」
「いいの? 教えて! 泳げるようになりたい」
じゃあ、夏休みには何をしようか、と計画を立て合う。
女子三人が集まれば、十七時なんて、あっという間だった。
「ってわけで、遅れてごめん!!」
家に帰ったら既にキラはノビルと出掛けた後で、制服のまま追いかけて神社の側で追いついた。
「いいじゃん、そういう時は俺一人でだって平気だから、ゆっくりしてくれば良かったのに」
「ありがと! でも、キラとノビルと散歩するのも楽しいからさ」
ひひっと笑った私をキラは不思議そうな顔して見てた。
「なに?」
「いや、普通に笑うようになったなって」
「え?」
「どっか遠慮して笑ってたじゃん? 最初の頃。友達できて良かったじゃん」
キラの笑顔に釣られて私も笑う。
キラのおかげでもある、なんて何だか恥ずかしくて言えないけどさ。
「あ、アンちゃんの泳ぎの先生、キラも付き合ってよね?」
「はあ? なんで俺まで」
「ただ側で、頑張れって応援してくれればいいから、ね? お願いね!」
「面倒くせえ」
笑い合い、ノビルを真ん中にして少しだけ駆け足。
夕方十八時を過ぎても明るい空、生ぬるい風は夏の匂いがした。
「おー、キラリちゃん、久しぶり!」
ノビルの散歩を終えて帰ってきた私たちを迎えてくれたのは、おばあちゃんと一緒に縁側に腰かけていたキラのお父さんだった。
「こんばんは~!」
こっちに来てからキラのお父さんに会うのは、二度目だった。
一度目は、引っ越して三日目くらいだったと思う。
あの時よりも、また一段と右腕だけが日焼けを増している。
その太い右腕に目を留めていたら。
「不思議だろ? これは運転手灼けって言うんだ。運転手は右側に窓があんだろ? だからだよ」
「あ、そういうことなんですね!」
なるほど、と私が納得する顔を見てキラのお父さんは、ガハハハと大きな声で笑う。
笑った顔がキラにそっくりだなって思った。
「だって、アンってばママがケーキ作りすぎたとか。やっぱママじゃなかったじゃん」
「アンちゃん、アイス溶けそうだから食べてもいい? それにしても、お菓子作るの天才だよね、アンちゃん」
私たちにからかわれて、真っ赤な顔をしたアンちゃんも溶けそうなアイスクリームに口をつける。
「でもさ、どんなにお菓子を上手に作れてもね」
「うん?」
「シバタ駄菓子店のイカクンセイや、ハムカツもどきには負けるわけ。私も、あの味が恋しくなってたまに行っちゃうの。その時は、キラリの部屋に招待してよね?」
「う、うわ、じゃあ、部屋片づけておくよ。カノンちゃんも良かったら遊びにきてね? とはいえ、なんもないのよ。布団と小さいテーブルとカラーボックスだけだし」
「そっか。全部、東京の家に置いてきたの?」
「うん、洋服数枚と勉強道具だけしか持ってきてない」
「三ヶ月だけとか言ってたもんね? あ、キラリちゃんのお母さん、調子はどう?」
女の子同士の会話は次々に話題が変わっていく。
「一昨日から、本格的な治療が始まったみたいで、今すっごく調子が悪いみたい。メッセージも、おはようとおやすみぐらいよ」
「寂しくない? キラリ」
「ん~、正直最初は寂しかったけど、今はこうしてカノンちゃんやアンちゃんもいるし。毎日忙しいし楽しくなってきてる」
「良かった。お母さんも早く元気になるといいね」
「あのさ、家はね、いつでもオッケーだから! キラリが寂しいなって時には、泊まりにきてくれてもいいよ」
カノンちゃんの祈るような声掛けも、アンちゃんの心遣いも優しい。
「ありがとう!でも、うちにはおばあちゃんがいてくれるし、後ね、犬の散歩もあるの! だから、忙しくしてるから、寂しくなんかないよ! でも」
「でも?」
「二人とも夏休みに遊んでくれたら嬉しい。ここって海で泳げたりもするんでしょ?」
「私はいいけど、アンはどうする?」
アンちゃんは困ったような顔をして、からかう口調のカノンちゃんを横にらみ。
「どうしたの?」
「泳げないの! カナヅチなのよ、海の側で生まれたくせに」
「だったら、教えようか?」
「いいの? 教えて! 泳げるようになりたい」
じゃあ、夏休みには何をしようか、と計画を立て合う。
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「ってわけで、遅れてごめん!!」
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「いいじゃん、そういう時は俺一人でだって平気だから、ゆっくりしてくれば良かったのに」
「ありがと! でも、キラとノビルと散歩するのも楽しいからさ」
ひひっと笑った私をキラは不思議そうな顔して見てた。
「なに?」
「いや、普通に笑うようになったなって」
「え?」
「どっか遠慮して笑ってたじゃん? 最初の頃。友達できて良かったじゃん」
キラの笑顔に釣られて私も笑う。
キラのおかげでもある、なんて何だか恥ずかしくて言えないけどさ。
「あ、アンちゃんの泳ぎの先生、キラも付き合ってよね?」
「はあ? なんで俺まで」
「ただ側で、頑張れって応援してくれればいいから、ね? お願いね!」
「面倒くせえ」
笑い合い、ノビルを真ん中にして少しだけ駆け足。
夕方十八時を過ぎても明るい空、生ぬるい風は夏の匂いがした。
「おー、キラリちゃん、久しぶり!」
ノビルの散歩を終えて帰ってきた私たちを迎えてくれたのは、おばあちゃんと一緒に縁側に腰かけていたキラのお父さんだった。
「こんばんは~!」
こっちに来てからキラのお父さんに会うのは、二度目だった。
一度目は、引っ越して三日目くらいだったと思う。
あの時よりも、また一段と右腕だけが日焼けを増している。
その太い右腕に目を留めていたら。
「不思議だろ? これは運転手灼けって言うんだ。運転手は右側に窓があんだろ? だからだよ」
「あ、そういうことなんですね!」
なるほど、と私が納得する顔を見てキラのお父さんは、ガハハハと大きな声で笑う。
笑った顔がキラにそっくりだなって思った。
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