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*縮まる距離*
秘密を知りました2
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「ハナちゃん、そんなに期待しないでね。普通の中華だから、めちゃくちゃ美味しいわけじゃないから。まあまあ美味しいってとこよ? あ、ウチは醤油ラーメンと炒飯がオススメだよ」
「じゃあ! じゃあ、炒飯で!」
少し食い気味の返事をした私に「了解」とまた笑いながら、お店に電話をする真宙くん。
自宅から少し離れた場所にあるお店は、入ったことはなくても私も見かけたことがあった。
通りかかるといつもいい匂いがしてきて、一度食べてみたいな、なんて思ってたお店。
まさか、そこが真宙くんのお父さんのお店だなんて思わなかった。
食べに来てくれたら割り引くから、先に俺に声かけてよね、といつも言ってくれている。
それが今日は勉強会の御礼に、と無料で食べられるなんて。
その期待が顔に出てしまってたんだろうなあ、恥ずかしい。
「あのさ、誰か付き合ってくんない?」
電話を切り終えて、てへっと笑った真宙くん。
聞けばお昼時で配達の人もてんやわんやで、お店に料理を取りに来て欲しいとのこと。
行くよ、と手を挙げようとした私よりも早く。
「私が行くよ! でさ、空人くん、悪いんだけどハナに数1教えてあげてくれない? 待ってる間に」
ちょ、ちょっと、待って、まさか!?
「じゃあ、すぐ戻って来るからさ、待っててね~!」
「しっかり教わっておきなよ、ハナ! いってきまーす!」
真宙くんとルカが連れ立って出て行くのを見送ってから、訪れた静寂に私の心臓の音だけが響いているようで緊張してしまう。
空人くんの耳にこの音が届いていないようにと必死に祈る。
「どこ? わかんないの」
「あ、えっとね、ココとココがね?」
指を差した問題を覗き込んでくる空人くん。
わっ、距離が近いっ!
「あー、そっか。これさ、どっちも引っかけ問題だから。ゆっくり読んでみ?」
空人くんに言われるままに、ゆっくりと読み解く。
私の声に合わせて、空人くんは図解をメモってくれた。
もう一度ゆっくりと最初から読みその図と見比べたら。
「わかった!!」
「な? そういうこと。もう一個の問題も、同じように今度は自分で解いてみて?」
言われるがまま解いた問題は案外と簡単で拍子抜け。さっきまであんなにウンウン考え込んでいたのに。
「空人くん、すごいね! ありがとう!」
小さく拍手して顔を上げたら、空人くんは照れくさそうに苦笑していた。
そして私の顔を見て突然、そう、あまりにも突然だった。
「あのさ、二宮」
「はい?」
「違ったらゴメンだけど、入試の日、俺と会ってたりしない?」
空人くんの言葉に一瞬頭の中が真っ白になりかけた。
空人くん、覚えててくれたの?
「え、ちょ、二宮っ!? 俺、なんかした?」
急に空人くんが焦り出したのは、突然私が泣きだしたからだ。
そんなつもりじゃなかったのに、ビックリさせちゃった。
「じゃあ! じゃあ、炒飯で!」
少し食い気味の返事をした私に「了解」とまた笑いながら、お店に電話をする真宙くん。
自宅から少し離れた場所にあるお店は、入ったことはなくても私も見かけたことがあった。
通りかかるといつもいい匂いがしてきて、一度食べてみたいな、なんて思ってたお店。
まさか、そこが真宙くんのお父さんのお店だなんて思わなかった。
食べに来てくれたら割り引くから、先に俺に声かけてよね、といつも言ってくれている。
それが今日は勉強会の御礼に、と無料で食べられるなんて。
その期待が顔に出てしまってたんだろうなあ、恥ずかしい。
「あのさ、誰か付き合ってくんない?」
電話を切り終えて、てへっと笑った真宙くん。
聞けばお昼時で配達の人もてんやわんやで、お店に料理を取りに来て欲しいとのこと。
行くよ、と手を挙げようとした私よりも早く。
「私が行くよ! でさ、空人くん、悪いんだけどハナに数1教えてあげてくれない? 待ってる間に」
ちょ、ちょっと、待って、まさか!?
「じゃあ、すぐ戻って来るからさ、待っててね~!」
「しっかり教わっておきなよ、ハナ! いってきまーす!」
真宙くんとルカが連れ立って出て行くのを見送ってから、訪れた静寂に私の心臓の音だけが響いているようで緊張してしまう。
空人くんの耳にこの音が届いていないようにと必死に祈る。
「どこ? わかんないの」
「あ、えっとね、ココとココがね?」
指を差した問題を覗き込んでくる空人くん。
わっ、距離が近いっ!
「あー、そっか。これさ、どっちも引っかけ問題だから。ゆっくり読んでみ?」
空人くんに言われるままに、ゆっくりと読み解く。
私の声に合わせて、空人くんは図解をメモってくれた。
もう一度ゆっくりと最初から読みその図と見比べたら。
「わかった!!」
「な? そういうこと。もう一個の問題も、同じように今度は自分で解いてみて?」
言われるがまま解いた問題は案外と簡単で拍子抜け。さっきまであんなにウンウン考え込んでいたのに。
「空人くん、すごいね! ありがとう!」
小さく拍手して顔を上げたら、空人くんは照れくさそうに苦笑していた。
そして私の顔を見て突然、そう、あまりにも突然だった。
「あのさ、二宮」
「はい?」
「違ったらゴメンだけど、入試の日、俺と会ってたりしない?」
空人くんの言葉に一瞬頭の中が真っ白になりかけた。
空人くん、覚えててくれたの?
「え、ちょ、二宮っ!? 俺、なんかした?」
急に空人くんが焦り出したのは、突然私が泣きだしたからだ。
そんなつもりじゃなかったのに、ビックリさせちゃった。
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