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*気付かれないように*
バレちゃいました4
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「佐々木さんは、小さい頃からお世話になっているこの病院の看護師さんなの。で、同じ学校の友達、真宙くんです」
と二人を勝手に自己紹介。
「佐々木さん、パパやママには言わないでね、心配するし」
「どうしようかなあ」
すっかり嬉しそうな佐々木さんにはまた後日ちゃんと説明しよう。
なんか怪しい、次回来た時には全員に冷やかされそうで怖い。
「えっと、真宙くん? はーちゃんと同じ学校なら、お願いがあるんだけど」
待って、佐々木さん! 何のお願い?!
止める間なく佐々木さんは真宙くんに話し出す。
「まあ、もう脱走とかする年じゃないから大丈夫だろうけれど」
「脱走?! ハナちゃんって病院脱走したことあるの?」
「ああ、もう何でもないの! 佐々木さん、ホラ! 電車が来たよ」
これ以上二人に話をされたら、幼かった私の数々の武勇伝がバラされてしまう。
恥ずかしい、真宙くんに自分のバカげた過去をひとつ知られてしまった。
「じゃあ、また再来週ね、はーちゃん」
二駅後の駅で降りて行く佐々木さんに、手を振って別れた。
「面白い看護師さんだね」
真宙くんも佐々木さんに手を振っていた。
電車が出発し、佐々木さんが見えなくなってから真宙くんは苦笑した。
「本当に大丈夫? ハナちゃん」
「心配し過ぎ。本当に平気なんだよ? 定期健診だって半年に一回だし。本当に心配な患者ならもっと頻繁に検診受けさせるでしょ? つまりはそれぐらい放置しても大丈夫だってこと」
なんて、ちょっとだけ嘘をついて真宙くんを安心させた。
違うんだ、本当は半年に一回だったのは前回までで、今回から三か月に一回になったんだ。
女の子は高校生ぐらいから成長ホルモンのせいで身体のバランスがおかしくなってくるからね、って名目だったけれど……。
私の説明にはイマイチ納得してなさそうな真宙くん。
「学校で具合が悪くなったらすぐに俺に言ってよ?」
「自分で保健室行けるよ」
「ちょ、俺の親切心をすぐに切り捨てないで」
クスクス笑いながら真宙くんを見たら、困った顔をしていた。
「空人も、身体弱かったから。女の子みたいに色白くって細くって泣いてばっかりで。遊んでていつも倒れるんじゃないかって、心配してたの思い出した」
あ、その顔ってばルカみたいだ。
私を心配してくれる時のルカの顔だ。
「空人くん、元気になってくれて良かったね」
「うん、本当に。今じゃ可愛げないくらい不愛想だけどね?」
空人くんの睨んでいる顔が二人とも浮かんだんだろう、顔を見合わせて苦笑した。
「私も元気だからね、心配しないでほしい」
「……う~ん、それはまだちょっと疑っちゃうかも」
だから知られたくなかったのになあ、佐々木さんってば。
「そういえば、佐々木さん。ハナちゃんのこと、はーちゃんって呼んでた」
「うん、入院してるときそう呼ばれてたの」
言ってから思い出した、確か春香先輩もはーちゃんって。
「同じ呼び名でも顔が全然違うから、比べられると困る! 私のことはハナちゃんのままでいてね、真宙くん」
「はーちゃんも可愛いと思うけどなあ。でも俺だけの秘密にしといてあげる」
「残念でした、ルカは知ってます」
残念すぎる、と嘆いてみせた真宙くん。
JRに乗り換えて二つ目の駅で降りるはずだったのに、私の駅までついてきて家まで送ってくれた。
「今日はありがとね、ハナちゃん」
その背中に寂しさを感じる。
知らなかったらこうして家まで送ってくれることはなかっただろうに。
心配かけてごめんね、と聞こえないように謝って見送った。
と二人を勝手に自己紹介。
「佐々木さん、パパやママには言わないでね、心配するし」
「どうしようかなあ」
すっかり嬉しそうな佐々木さんにはまた後日ちゃんと説明しよう。
なんか怪しい、次回来た時には全員に冷やかされそうで怖い。
「えっと、真宙くん? はーちゃんと同じ学校なら、お願いがあるんだけど」
待って、佐々木さん! 何のお願い?!
止める間なく佐々木さんは真宙くんに話し出す。
「まあ、もう脱走とかする年じゃないから大丈夫だろうけれど」
「脱走?! ハナちゃんって病院脱走したことあるの?」
「ああ、もう何でもないの! 佐々木さん、ホラ! 電車が来たよ」
これ以上二人に話をされたら、幼かった私の数々の武勇伝がバラされてしまう。
恥ずかしい、真宙くんに自分のバカげた過去をひとつ知られてしまった。
「じゃあ、また再来週ね、はーちゃん」
二駅後の駅で降りて行く佐々木さんに、手を振って別れた。
「面白い看護師さんだね」
真宙くんも佐々木さんに手を振っていた。
電車が出発し、佐々木さんが見えなくなってから真宙くんは苦笑した。
「本当に大丈夫? ハナちゃん」
「心配し過ぎ。本当に平気なんだよ? 定期健診だって半年に一回だし。本当に心配な患者ならもっと頻繁に検診受けさせるでしょ? つまりはそれぐらい放置しても大丈夫だってこと」
なんて、ちょっとだけ嘘をついて真宙くんを安心させた。
違うんだ、本当は半年に一回だったのは前回までで、今回から三か月に一回になったんだ。
女の子は高校生ぐらいから成長ホルモンのせいで身体のバランスがおかしくなってくるからね、って名目だったけれど……。
私の説明にはイマイチ納得してなさそうな真宙くん。
「学校で具合が悪くなったらすぐに俺に言ってよ?」
「自分で保健室行けるよ」
「ちょ、俺の親切心をすぐに切り捨てないで」
クスクス笑いながら真宙くんを見たら、困った顔をしていた。
「空人も、身体弱かったから。女の子みたいに色白くって細くって泣いてばっかりで。遊んでていつも倒れるんじゃないかって、心配してたの思い出した」
あ、その顔ってばルカみたいだ。
私を心配してくれる時のルカの顔だ。
「空人くん、元気になってくれて良かったね」
「うん、本当に。今じゃ可愛げないくらい不愛想だけどね?」
空人くんの睨んでいる顔が二人とも浮かんだんだろう、顔を見合わせて苦笑した。
「私も元気だからね、心配しないでほしい」
「……う~ん、それはまだちょっと疑っちゃうかも」
だから知られたくなかったのになあ、佐々木さんってば。
「そういえば、佐々木さん。ハナちゃんのこと、はーちゃんって呼んでた」
「うん、入院してるときそう呼ばれてたの」
言ってから思い出した、確か春香先輩もはーちゃんって。
「同じ呼び名でも顔が全然違うから、比べられると困る! 私のことはハナちゃんのままでいてね、真宙くん」
「はーちゃんも可愛いと思うけどなあ。でも俺だけの秘密にしといてあげる」
「残念でした、ルカは知ってます」
残念すぎる、と嘆いてみせた真宙くん。
JRに乗り換えて二つ目の駅で降りるはずだったのに、私の駅までついてきて家まで送ってくれた。
「今日はありがとね、ハナちゃん」
その背中に寂しさを感じる。
知らなかったらこうして家まで送ってくれることはなかっただろうに。
心配かけてごめんね、と聞こえないように謝って見送った。
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