回復魔法を使って皇太子様に溺愛されました

第5話

～数日後～

「シン。今から神殿に行くが、ついてくるか？」

あの日から数日たったある日、お父様はそう言ってきた。
神殿に行けるということは… もう一度あの庭の行けるかも！

「はい！」

僕は笑顔でそう応えた。

「よし。では行くか」

お父様はそう言い、前回と同じ様に僕を抱き上げ、転移魔法を使った。

「気分は問題ないか？」

お父様は心配そうに聞いてきた。
僕はそのことに正直に応えた。

「はい。大丈夫です」

お父様はホッとした顔をした。
しかし、すぐに寂しそうな顔をする。

「あの。大丈夫ですか？」

僕は思わず言ってしまった。
しかしお父様は、僕がそう言うと僕の方を見つめて口を開いた。

「少しお父さんのことを思い出しただけだ。　あいつは、移動魔法でいつも酔っていたから…」

なるほど。だから僕に大丈夫か聞いてきたのか。

「そうだったんですね…」

お父様は僕がそう言った後小さく頷いた。

「でも、あいつは根性な奴で、大丈夫か聞いてきたら、絶対に大丈夫と応えるやつだった。」

お父様は寂しそうな顔の中に、笑顔をつくった。しかし、その笑顔は引きつっている。

「さて、わたしはここに用事がある。前にいた場所で待っていてくれるか？」

僕は、お父様の言葉に「はい」としっかりと応えた。

するとお父様は、前と同じように笑顔で行ってしまった。
そして僕は、前と同じように庭で待つことにした。