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124.誰にも言えない④
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私ができる唯一の事といえば真央ちゃんの課長代理との誤解を解くこと。
美波ちゃんですらあの厄介な噂を信じているのだから真央ちゃんは余計にそう思っているに違いなかった。真相を尋ねてこない時点で真実だと思われているフシもあるし、なんせ今の私たちの関係はどことなく余所余所しい。その間に彼女は松田さんと大分親しくなっているようにも見え、私自身非常に心苦しかった。
...真央ちゃんと課長代理は上手くいくはずだったのに、私のせいで。
講座も3月までのはずが、前倒しで年度末で終了の見通し。ますます彼女と課長代理との距離が開いてゆくのは目に見えている。何とかしなくてはと今か今かと彼女と話せるタイミングをうかがっていたら、いつの間にか冬になってしまっていた。
そんな矢先、偶然にも会社近くの立ち寄ったデパートで会社帰りの彼女を見かける。これはチャンスと私はありったけの勇気を振り絞り、昔みたいに声をかけた。
「真央ちゃん、久しぶり。偶然だね~。ちょっと、そこでお茶しない?」
「ゆ、優里ちゃん!?」
戸惑う彼女の腕を引っ張り、半ば強引に近くの喫茶店へと連れ込む。話せばきっと分かってもらえると彼女の気持ちを信じて、そんな気持ちと裏腹に私の心臓はドッキドキだった。夕食どきだというのに平日だから空いていた喫茶店の店内。もう冬だというのに空調の暖房がガンガンに効いていたので、私達はお互い冷たい飲み物を注文。
私はアイスカフェオレで彼女はアイスティー。思いの外注文したものが早く来てしまい、2人ともすぐに飲むことはせず、ストローでグラスの氷をグルグルかき混ぜる仕草ばかりしていた。その仕草でお互いを警戒しているのが丸わかりになり、ここはこちらから切り出すの方が良いと感じる。
「あ、あのね...真央ちゃん。その、課長代理との事なんだけれど」
俯いた無言のままグルグル回していた目の前のストローの動きが私の言葉に反応して止まり、彼女の落ち着かない警戒したような態度は、あの噂を気にしてのことだと確信した。
「私たちはその...真央ちゃんが思っているような関係じゃないし、何でもないの」
課長代理との関係は他の人には肯定も否定もしていない。だからこそ噂の信憑性が増していたのだと思う。課長代理はそんな事も踏まえ私にはそういう態度を取れとアドバイスをくれたのだろうけれども、彼女には直接本当のことを話すべきだと思う。そうしないとずっと課長代理との関係は平行線のままになってしまうのは目に見えていたから。
「そんなの嘘でしょ?だって...」
それでも真央ちゃんの疑いは簡単には晴れなかった。それどころか彼女なりの根拠を話されてしまう。それを聞くと私の知らないところで課長代理との関係を疑われる要素が多々あって、そこで仕方なく、事の真相を洗いざらい話すことにした。本当は山本さんとの事まで話す必要性はなかったのかもしれないけれど、私は彼女の誤解を解くために必死だったのだ。ただ、個人名だけは伏せさせてもらった。それは彼女にも何かあったら困ると思ったから。彼女を私みたいにしない為に、課長代理の為にもそれだけは避けなければいけない。
頭の中で慎重に言葉を選びあらかた話し終えると、みるみるうちに彼女の表情が変わっていった。
「なにそれ...ひどっ!!セクハラ?それともパワハラ?」
私の代わりに憤慨する真央ちゃんを見てここでようやく誤解が解けたと胸をなでおろす。
...分かってくれて、本当に良かった。
話していくうちに彼女の態度は以前のように戻ってゆき、さっきまでの余所余所しい雰囲気は2人の間にはもう存在せず。いつもの口調に戻った真央ちゃんは前のめりになりつつ今度は小声で。
「これからずっと管理部でやっていかないといけないの?」
彼女は今の私の状況を心配してくれたらしい。それには笑顔で顔を横に振った。
「...ここだけの話、今度の春にはまた営業部に戻れるようになるみたい。それもこれも全部、課長代理のおかげだよ」
「へぇ...あの冷たい課長がねぇ...やっぱり、優里ちゃんこと...」
真央ちゃんはまだ課長代理の行動が納得いきかねるみたいに口を尖らす仕草を見せ、又、誤解されてしまうとここはすかさず弁解に努めた。
「そこ!変な誤解しないでね?私がここまでしてもらえるのは、真央ちゃんのおかげなんだから」
「私の?」
彼女は思い当たる節が全くなさそうで、キョトンとしながらストローで飲み物を口に含む。たまたま、そのタイミングを狙ったわけではなかったのだけれど。
「課長代理が私を助けてくれたのは、真央ちゃんの友達だからって何度も言われたよ。それって意味深だよね?」
その後、彼女は口に含んだアイスティーを気管に入れたらしく、激しくむせた。そんな彼女の様子から私のした事は無駄ではなかったと実感する。
※※※
課長代理ががっちりとカバーしてくれたおかげで、山本さんには特に危害を加えられることもなく、管理部での1年間の勤務を無事に終えることができた。その後、約束通り営業部の元の部署に戻してもらえる。古巣に戻って心機一転、早速、給湯室で仲が良かったミナミちゃんと再会を喜びあう。
「きゃー、優里!おかえり!」
「ただいまー!」
手を握って抱き合ってしまうほどの歓待を受けてしまい、恥ずかしかったけれどちょっと嬉しい。そこに後から真央ちゃんも加わり。
「優里ちゃん、おかえり!」
「ただいま!」
管理部では常に女性ひとりぼっちだったし、こんなテンションで誰かと話した日なんて1日もない。以前は営業職なんて向いていないとか思っていたけれど、今は居心地が良くて堪らなかった。そして、朝一の急な来客があったので、本日のお茶当番の美波ちゃんはお茶だしですぐにこの場から退場。残された私と真央ちゃんはまだ時間があったので、ちょこっとだけナイショの世間話を続ける。
「良かったね。ちゃんと戻れて」
「うん、本当。辞令が出るまでドキドキだったよぉ。でも、課長代理が心配しないでって励ましてくれたから...」
と、つい真央ちゃんの前で課長代理の話を振ってしまい、はたと気がついて口をつぐむ。すると、彼女は以前とは違った反応見せ何となく頰が紅くなっている。
「...真央ちゃん?」
私が不思議に思い声をかけると彼女はハッとして顔を赤らめたまま。すぐさまそっと耳打ちをしてきた。
「実は...ね。課長と...付き合う事になりました」
「え?!課長代理と??」
いきなりの告白に驚いて内緒話のはずが、思わず大きな声が上がってしまったのは展開の早さについていけなかったから。真央ちゃんは大声を出してしまった私を窘めはしたけれど満更ではないみたい。
「ちょ、ちょっと、優里ちゃん!声、大きいってば!」
慌てる彼女を前に、仕事のできる人って、即、行動なのねなんて、思ったのは私だけのヒミツ。
美波ちゃんですらあの厄介な噂を信じているのだから真央ちゃんは余計にそう思っているに違いなかった。真相を尋ねてこない時点で真実だと思われているフシもあるし、なんせ今の私たちの関係はどことなく余所余所しい。その間に彼女は松田さんと大分親しくなっているようにも見え、私自身非常に心苦しかった。
...真央ちゃんと課長代理は上手くいくはずだったのに、私のせいで。
講座も3月までのはずが、前倒しで年度末で終了の見通し。ますます彼女と課長代理との距離が開いてゆくのは目に見えている。何とかしなくてはと今か今かと彼女と話せるタイミングをうかがっていたら、いつの間にか冬になってしまっていた。
そんな矢先、偶然にも会社近くの立ち寄ったデパートで会社帰りの彼女を見かける。これはチャンスと私はありったけの勇気を振り絞り、昔みたいに声をかけた。
「真央ちゃん、久しぶり。偶然だね~。ちょっと、そこでお茶しない?」
「ゆ、優里ちゃん!?」
戸惑う彼女の腕を引っ張り、半ば強引に近くの喫茶店へと連れ込む。話せばきっと分かってもらえると彼女の気持ちを信じて、そんな気持ちと裏腹に私の心臓はドッキドキだった。夕食どきだというのに平日だから空いていた喫茶店の店内。もう冬だというのに空調の暖房がガンガンに効いていたので、私達はお互い冷たい飲み物を注文。
私はアイスカフェオレで彼女はアイスティー。思いの外注文したものが早く来てしまい、2人ともすぐに飲むことはせず、ストローでグラスの氷をグルグルかき混ぜる仕草ばかりしていた。その仕草でお互いを警戒しているのが丸わかりになり、ここはこちらから切り出すの方が良いと感じる。
「あ、あのね...真央ちゃん。その、課長代理との事なんだけれど」
俯いた無言のままグルグル回していた目の前のストローの動きが私の言葉に反応して止まり、彼女の落ち着かない警戒したような態度は、あの噂を気にしてのことだと確信した。
「私たちはその...真央ちゃんが思っているような関係じゃないし、何でもないの」
課長代理との関係は他の人には肯定も否定もしていない。だからこそ噂の信憑性が増していたのだと思う。課長代理はそんな事も踏まえ私にはそういう態度を取れとアドバイスをくれたのだろうけれども、彼女には直接本当のことを話すべきだと思う。そうしないとずっと課長代理との関係は平行線のままになってしまうのは目に見えていたから。
「そんなの嘘でしょ?だって...」
それでも真央ちゃんの疑いは簡単には晴れなかった。それどころか彼女なりの根拠を話されてしまう。それを聞くと私の知らないところで課長代理との関係を疑われる要素が多々あって、そこで仕方なく、事の真相を洗いざらい話すことにした。本当は山本さんとの事まで話す必要性はなかったのかもしれないけれど、私は彼女の誤解を解くために必死だったのだ。ただ、個人名だけは伏せさせてもらった。それは彼女にも何かあったら困ると思ったから。彼女を私みたいにしない為に、課長代理の為にもそれだけは避けなければいけない。
頭の中で慎重に言葉を選びあらかた話し終えると、みるみるうちに彼女の表情が変わっていった。
「なにそれ...ひどっ!!セクハラ?それともパワハラ?」
私の代わりに憤慨する真央ちゃんを見てここでようやく誤解が解けたと胸をなでおろす。
...分かってくれて、本当に良かった。
話していくうちに彼女の態度は以前のように戻ってゆき、さっきまでの余所余所しい雰囲気は2人の間にはもう存在せず。いつもの口調に戻った真央ちゃんは前のめりになりつつ今度は小声で。
「これからずっと管理部でやっていかないといけないの?」
彼女は今の私の状況を心配してくれたらしい。それには笑顔で顔を横に振った。
「...ここだけの話、今度の春にはまた営業部に戻れるようになるみたい。それもこれも全部、課長代理のおかげだよ」
「へぇ...あの冷たい課長がねぇ...やっぱり、優里ちゃんこと...」
真央ちゃんはまだ課長代理の行動が納得いきかねるみたいに口を尖らす仕草を見せ、又、誤解されてしまうとここはすかさず弁解に努めた。
「そこ!変な誤解しないでね?私がここまでしてもらえるのは、真央ちゃんのおかげなんだから」
「私の?」
彼女は思い当たる節が全くなさそうで、キョトンとしながらストローで飲み物を口に含む。たまたま、そのタイミングを狙ったわけではなかったのだけれど。
「課長代理が私を助けてくれたのは、真央ちゃんの友達だからって何度も言われたよ。それって意味深だよね?」
その後、彼女は口に含んだアイスティーを気管に入れたらしく、激しくむせた。そんな彼女の様子から私のした事は無駄ではなかったと実感する。
※※※
課長代理ががっちりとカバーしてくれたおかげで、山本さんには特に危害を加えられることもなく、管理部での1年間の勤務を無事に終えることができた。その後、約束通り営業部の元の部署に戻してもらえる。古巣に戻って心機一転、早速、給湯室で仲が良かったミナミちゃんと再会を喜びあう。
「きゃー、優里!おかえり!」
「ただいまー!」
手を握って抱き合ってしまうほどの歓待を受けてしまい、恥ずかしかったけれどちょっと嬉しい。そこに後から真央ちゃんも加わり。
「優里ちゃん、おかえり!」
「ただいま!」
管理部では常に女性ひとりぼっちだったし、こんなテンションで誰かと話した日なんて1日もない。以前は営業職なんて向いていないとか思っていたけれど、今は居心地が良くて堪らなかった。そして、朝一の急な来客があったので、本日のお茶当番の美波ちゃんはお茶だしですぐにこの場から退場。残された私と真央ちゃんはまだ時間があったので、ちょこっとだけナイショの世間話を続ける。
「良かったね。ちゃんと戻れて」
「うん、本当。辞令が出るまでドキドキだったよぉ。でも、課長代理が心配しないでって励ましてくれたから...」
と、つい真央ちゃんの前で課長代理の話を振ってしまい、はたと気がついて口をつぐむ。すると、彼女は以前とは違った反応見せ何となく頰が紅くなっている。
「...真央ちゃん?」
私が不思議に思い声をかけると彼女はハッとして顔を赤らめたまま。すぐさまそっと耳打ちをしてきた。
「実は...ね。課長と...付き合う事になりました」
「え?!課長代理と??」
いきなりの告白に驚いて内緒話のはずが、思わず大きな声が上がってしまったのは展開の早さについていけなかったから。真央ちゃんは大声を出してしまった私を窘めはしたけれど満更ではないみたい。
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