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134.beloved②
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今日の夜ご飯は外のお店で待ち合わせ。最近ご飯を食べに行くのは美波ちゃんと化粧品会社に勤める由香。由香は私の中学時代からの親友だったけれど、私を介してオシャレ好きの二人は仲良くなっていた。
同期の真央ちゃん結婚退職、真奈美ちゃんは彼氏持ちということで何かと誘いづらい。そうなると必然的にシングル彼氏なし同士が集まるわけで。でも、ずっと彼氏のいない私と違い、なんせ、2人とも女子力が高いから、とにかくモテる。その気になればいくらでもお付き合いできる人はいるのに、シングルには訳があるというか。
次に付き合う人は、妥協しないという信念がある。
それというのも、私たちはもう三十路。結婚を視野にいれる現実的なお年頃になっていた。だから、2人とも少しでもいい出会いをつねに求めていて、今日もそんなお話が話題に上がる。
こんな時、私はいつも通り聞き役だったはずが今日はどういうわけか違っていた。
「ねー、優里も合コンに行かない?」
「何で私が?そういうの苦手だって...」
いつもは他人事のように聞いていた合コンは、参加をした事がない。もともとそういう場が苦手な方で、忙しい事をいい事にずっと断りっぱなし。それなのに今日は由香から熱心に参加を勧められる。
「...もういい加減、引きずるのやめなよ。
そんな大昔の失恋なんて。優里よりも仕事と結婚したような男なのよ?」
「それはそうだけど...男の人ってどうも苦手で」
実際問題として学生時代からの友人の松浦を除き、私は男性がもともと苦手。自分としては男性を避けているという意識はなかったけれど、親友の由香には確実にそう見えるらしい。それに輪をかけて藤澤さんとの別れがあったので、ますます男性に対する苦手意識というものが強くなった気がした。この歳になればある程度の社会性も出てきて、こんな私の事を好いてもらえる機会もあるというのに、それでもいざ付き合うとなると別問題。
中学時代から藤澤さんとのことまで私の数少ない男性遍歴を知っている由香には、全く反論の余地がない。
けれども、藤澤さんと完璧に別れてしまったあとにどれだけ彼女に励まされた事か。
「...へぇ、優里ってそんな仕事人間と付き合ってたんだ?うちの会社の人?」
そこへ初耳とばかりに美波ちゃんが口を挟む。
結局、私と藤澤さんが付き合っていたことは松浦以外誰にも話す事なく終わった事で、由香はたまたま社外だったので私は彼女を相談相手に選んでいた。
「そうなの。優里の元彼ってば本当にヒドイ男でさ。だから、新しい彼でも作ればそいつの事忘れられると思うのよ」
お酒の勢いもあり由香が藤澤さんの素性を詳しく美波ちゃんに話そうとしていたので、私は焦るあまり口が滑った。
「わー、分かったってば。今度の合コンは行けばいいんでしょ?」
こんな訳で生まれて初めての合コン参加が決定。
この頃の私は藤澤さんのことは大して引きずっていなくて、それを証明するのにはもってこいのいい機会だったと思う。
『優里の為にとっておきのメンバーを揃えたんだから、オシャレして来てね』
前日に美波ちゃんからこんな内容のメールをもらってしまい、明日の合コンに行く格好に悩みまくるくらいに。
...とりあえず昔のデート服を引っ張り出し、アクセサリーはと。
いつもだったら迷いなくお気に入りのピアスを身につけていくけれど、合コンにつけていくのは流石に躊躇してしまう。
藤澤さんにプレゼントされたものだから罪悪感というか、後ろめたさというか...。
それに似た感情が合コンにそのピアスを身につけることを邪魔していた。
※※※
そんな気持ちで迎えた合コン当日。場所からして、大学時代に流行っていた合コンと大違い。頭にあったイメージは居酒屋さんみたいな所だったけれど、今回の場所はバーカウンターとかあるオシャレなイタリアンレストランだった。
...へぇ、社会人になるとこんな所で合コンするんだ。
ちょっとしたカルチャーショックを受けながら予約席に触り、メンバー紹介されると自分が場違いのような気がしてくる。
女性陣は、由香と由香の会社の同期の子に、美波ちゃん私。言うまでもなく、私以外素敵女子な綺麗どころ。男性陣はというと商社マンに銀行マン。全員が30歳半ばくらいで大学の同期だと話していた。
ここで美波ちゃんがとっておきのメンバーと話していたのに納得がいく。
うちの業界もそれなりに年収や知名度はあるけれど、金融系、商社は別格。これは合コンなんて軽いものではなくて、積極的に結婚相手を探すことを目的とする集団お見合いのように思えた。男性は自己アピールをして、女性はそれに華を添える。
初めて出た合コンの敷居の高いこと高いこと。私は殆ど話すことができなくて、話の中心にいる人の話に耳を傾けるだけだった。
それでも、男性と少しだけ話しもできた。
「三浦さん...だっけ?」
「は、はい...」
誰かの話を聞いていたら、隣に座っている男性にいきなり声をかけられてビックリ。思わず反射的に構えてしまうと、男性は私のその態度を見るなり。
「もしかして、こういう飲み会って苦手?」
「はい、まぁ...」
お酒が適度に入っていたので、つい本音をポロリ。あっと気が付いた時にはもう遅くて、気分を害したかしらと心配すると。
「...実は俺もちょっとこういうの苦手で」
人差し指で頰を照れ臭そうにかき、私と意見を合わせてくれた彼に少しだけ親近感を抱いた。
同期の真央ちゃん結婚退職、真奈美ちゃんは彼氏持ちということで何かと誘いづらい。そうなると必然的にシングル彼氏なし同士が集まるわけで。でも、ずっと彼氏のいない私と違い、なんせ、2人とも女子力が高いから、とにかくモテる。その気になればいくらでもお付き合いできる人はいるのに、シングルには訳があるというか。
次に付き合う人は、妥協しないという信念がある。
それというのも、私たちはもう三十路。結婚を視野にいれる現実的なお年頃になっていた。だから、2人とも少しでもいい出会いをつねに求めていて、今日もそんなお話が話題に上がる。
こんな時、私はいつも通り聞き役だったはずが今日はどういうわけか違っていた。
「ねー、優里も合コンに行かない?」
「何で私が?そういうの苦手だって...」
いつもは他人事のように聞いていた合コンは、参加をした事がない。もともとそういう場が苦手な方で、忙しい事をいい事にずっと断りっぱなし。それなのに今日は由香から熱心に参加を勧められる。
「...もういい加減、引きずるのやめなよ。
そんな大昔の失恋なんて。優里よりも仕事と結婚したような男なのよ?」
「それはそうだけど...男の人ってどうも苦手で」
実際問題として学生時代からの友人の松浦を除き、私は男性がもともと苦手。自分としては男性を避けているという意識はなかったけれど、親友の由香には確実にそう見えるらしい。それに輪をかけて藤澤さんとの別れがあったので、ますます男性に対する苦手意識というものが強くなった気がした。この歳になればある程度の社会性も出てきて、こんな私の事を好いてもらえる機会もあるというのに、それでもいざ付き合うとなると別問題。
中学時代から藤澤さんとのことまで私の数少ない男性遍歴を知っている由香には、全く反論の余地がない。
けれども、藤澤さんと完璧に別れてしまったあとにどれだけ彼女に励まされた事か。
「...へぇ、優里ってそんな仕事人間と付き合ってたんだ?うちの会社の人?」
そこへ初耳とばかりに美波ちゃんが口を挟む。
結局、私と藤澤さんが付き合っていたことは松浦以外誰にも話す事なく終わった事で、由香はたまたま社外だったので私は彼女を相談相手に選んでいた。
「そうなの。優里の元彼ってば本当にヒドイ男でさ。だから、新しい彼でも作ればそいつの事忘れられると思うのよ」
お酒の勢いもあり由香が藤澤さんの素性を詳しく美波ちゃんに話そうとしていたので、私は焦るあまり口が滑った。
「わー、分かったってば。今度の合コンは行けばいいんでしょ?」
こんな訳で生まれて初めての合コン参加が決定。
この頃の私は藤澤さんのことは大して引きずっていなくて、それを証明するのにはもってこいのいい機会だったと思う。
『優里の為にとっておきのメンバーを揃えたんだから、オシャレして来てね』
前日に美波ちゃんからこんな内容のメールをもらってしまい、明日の合コンに行く格好に悩みまくるくらいに。
...とりあえず昔のデート服を引っ張り出し、アクセサリーはと。
いつもだったら迷いなくお気に入りのピアスを身につけていくけれど、合コンにつけていくのは流石に躊躇してしまう。
藤澤さんにプレゼントされたものだから罪悪感というか、後ろめたさというか...。
それに似た感情が合コンにそのピアスを身につけることを邪魔していた。
※※※
そんな気持ちで迎えた合コン当日。場所からして、大学時代に流行っていた合コンと大違い。頭にあったイメージは居酒屋さんみたいな所だったけれど、今回の場所はバーカウンターとかあるオシャレなイタリアンレストランだった。
...へぇ、社会人になるとこんな所で合コンするんだ。
ちょっとしたカルチャーショックを受けながら予約席に触り、メンバー紹介されると自分が場違いのような気がしてくる。
女性陣は、由香と由香の会社の同期の子に、美波ちゃん私。言うまでもなく、私以外素敵女子な綺麗どころ。男性陣はというと商社マンに銀行マン。全員が30歳半ばくらいで大学の同期だと話していた。
ここで美波ちゃんがとっておきのメンバーと話していたのに納得がいく。
うちの業界もそれなりに年収や知名度はあるけれど、金融系、商社は別格。これは合コンなんて軽いものではなくて、積極的に結婚相手を探すことを目的とする集団お見合いのように思えた。男性は自己アピールをして、女性はそれに華を添える。
初めて出た合コンの敷居の高いこと高いこと。私は殆ど話すことができなくて、話の中心にいる人の話に耳を傾けるだけだった。
それでも、男性と少しだけ話しもできた。
「三浦さん...だっけ?」
「は、はい...」
誰かの話を聞いていたら、隣に座っている男性にいきなり声をかけられてビックリ。思わず反射的に構えてしまうと、男性は私のその態度を見るなり。
「もしかして、こういう飲み会って苦手?」
「はい、まぁ...」
お酒が適度に入っていたので、つい本音をポロリ。あっと気が付いた時にはもう遅くて、気分を害したかしらと心配すると。
「...実は俺もちょっとこういうの苦手で」
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