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【spin-off】bittersweet first love
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はて、俺の初恋はいつだったか???
※※※
「お前さ、先週、お隣さんの子に告られたんだって」
委員会帰り、小学校から友人の吉岡が一緒にクラスに戻る途中、そんな事を言い出した。
俺たちが通っていたのは私立大学付属の男子校。共学の小学校に帰国子女として編入したのだが、どういう訳かうちの学校は中学から男女別学になっている。その為、女子は隣の校舎で女子校として成り立っていた。
吉岡にはその女子部に彼女がいる。大方、そこから耳に入ったのだろう。
「そんな昔の事、覚えていない」
「ひどっ!いくら顔を覚えられないからってそれはないんじゃ?しかも、告られた時、知らない人に手紙もらうなんて気持ち悪くてもらえませんとか言ったんだろ?」
吉岡はまるでその場にいたかのように語り、彼女からの入れ知恵なのか告白時の俺の態度に対して非難轟々。だがこちらにだって言い分はある。
「そりゃそうだろ。いつも見てましたって言われても俺にとってはどこの誰か分からない。そんな相手から好きでした、付き合ってくださいと言われて、はい、分かりましたって言えるか??」
中等部にいたころはそんな風に女子からアプローチされた事は一度もなく、高等部に入った途端、俺の名前やら個人情報を彼女らがなぜか知っているという奇妙な事が起こり始めている。身長が標準よりも高くなり目立つようになったせいだと思ってはいたのだが、気味が悪い。
「まあ、分からなくもないけど。お前、見た目は王子様っぽいって女子部に噂されてんのにその口の悪さは何とかならないの?」
「ならない」
間髪入れずに即答すると吉岡は閉口してしまい、それ以上その話題には触れてこなかった。俺ももちろん触れずにいたのだが疑問が残る。
...王子様って何だ?
モヤっとした気持ちでクラスの教室に戻ると、俺たちを待っている日直の田山がいるはずだったのだが、もう1人。男子校にいない女子生徒の姿があった。女子部との交流が盛んだったので男子校でも、大して気にも止められないのだが。田山は机に向かっていて、彼女は前の席に座り2人で顔を突き合わせていた。どうやら話をしているらしい。そんな2人に好奇心に駆られた俺と吉岡は足音を立てず近づく。
田山は日誌を書きながらなので俺たちには全く気がついていなかった。
「...好きな科目は英語と化学。これは絶対!!理系だし」
田山は文系のはず?と微妙な違和感を覚えるがそのままスルーして話に聞き耳を立てていると、彼女はもっと食い込む。
「じゃあ、12月24日生まれって本当??」
「そうそう、だから藤澤の誕生日って覚えやすいんだよな」
「やだっ、また新情報」
...犯人はお前らか!!?
情報流出先が判明し、頭にきた俺は田山の座っている椅子を後ろから思いっきり蹴るとバランスを崩した田山が椅子から転げ落ちた。
「ってえな!?わわっ藤澤!??何で!!?」
「今、戻ってきたんだよ」
怒りで眉間に皺を寄せる俺と慌てまくってる田山の間に吉岡は仲裁に入る。
「まーまー、藤澤も許してやれよ。田山がお喋りなのはいつもの事だろう?」
それには田山も悪びれず、そうそうと頷いて、俺ははぁーっと深く息を吐く。
「...もう、絶対するなよ」
「はーい」
素直に手を挙げる田山はいいとして、俺が思うに元凶はこちら。チラリと一瞥すると、彼女は机に背を向けて寄りかかっており、罪悪感は微塵も感じられなかった。
「...藤澤って頭固いわ。誕生日くらい知られたっていいじゃない、へるもんじゃないし」
その言い草に再びカチンとくる。
「高澤は良いかもしれないけど、俺は嫌なんだよ!!」
この生意気そうな女子は中等部の頃からの顔見知り。昔からサバサバした竹を割ったような性格で、田山とつるんでいると何かと構われるというかイチャモンをつけられていた。おかげで名前と顔だけは覚えている。
...高澤晶。この男女め。
俺は彼女に対してだけは無関心ではいられず、つい感情的になってしまう。互いにいけ好かない存在だと同じ気持ちでいることだろう。
「だから、毒舌王子って言われるのよ!!あっかんべー」
子供じみた捨て台詞を吐きながら教室を出る彼女の後ろ姿に舌打ちする俺。そんなやり取りをずっと見てきた田山と吉岡は呆れ顔だった。
「お前ら相変わらず...仲、悪いな」
「は?あっちがふっかけてきたんだろ」と分かりやすく不貞腐れる。
※※※
「お前さ、先週、お隣さんの子に告られたんだって」
委員会帰り、小学校から友人の吉岡が一緒にクラスに戻る途中、そんな事を言い出した。
俺たちが通っていたのは私立大学付属の男子校。共学の小学校に帰国子女として編入したのだが、どういう訳かうちの学校は中学から男女別学になっている。その為、女子は隣の校舎で女子校として成り立っていた。
吉岡にはその女子部に彼女がいる。大方、そこから耳に入ったのだろう。
「そんな昔の事、覚えていない」
「ひどっ!いくら顔を覚えられないからってそれはないんじゃ?しかも、告られた時、知らない人に手紙もらうなんて気持ち悪くてもらえませんとか言ったんだろ?」
吉岡はまるでその場にいたかのように語り、彼女からの入れ知恵なのか告白時の俺の態度に対して非難轟々。だがこちらにだって言い分はある。
「そりゃそうだろ。いつも見てましたって言われても俺にとってはどこの誰か分からない。そんな相手から好きでした、付き合ってくださいと言われて、はい、分かりましたって言えるか??」
中等部にいたころはそんな風に女子からアプローチされた事は一度もなく、高等部に入った途端、俺の名前やら個人情報を彼女らがなぜか知っているという奇妙な事が起こり始めている。身長が標準よりも高くなり目立つようになったせいだと思ってはいたのだが、気味が悪い。
「まあ、分からなくもないけど。お前、見た目は王子様っぽいって女子部に噂されてんのにその口の悪さは何とかならないの?」
「ならない」
間髪入れずに即答すると吉岡は閉口してしまい、それ以上その話題には触れてこなかった。俺ももちろん触れずにいたのだが疑問が残る。
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田山は日誌を書きながらなので俺たちには全く気がついていなかった。
「...好きな科目は英語と化学。これは絶対!!理系だし」
田山は文系のはず?と微妙な違和感を覚えるがそのままスルーして話に聞き耳を立てていると、彼女はもっと食い込む。
「じゃあ、12月24日生まれって本当??」
「そうそう、だから藤澤の誕生日って覚えやすいんだよな」
「やだっ、また新情報」
...犯人はお前らか!!?
情報流出先が判明し、頭にきた俺は田山の座っている椅子を後ろから思いっきり蹴るとバランスを崩した田山が椅子から転げ落ちた。
「ってえな!?わわっ藤澤!??何で!!?」
「今、戻ってきたんだよ」
怒りで眉間に皺を寄せる俺と慌てまくってる田山の間に吉岡は仲裁に入る。
「まーまー、藤澤も許してやれよ。田山がお喋りなのはいつもの事だろう?」
それには田山も悪びれず、そうそうと頷いて、俺ははぁーっと深く息を吐く。
「...もう、絶対するなよ」
「はーい」
素直に手を挙げる田山はいいとして、俺が思うに元凶はこちら。チラリと一瞥すると、彼女は机に背を向けて寄りかかっており、罪悪感は微塵も感じられなかった。
「...藤澤って頭固いわ。誕生日くらい知られたっていいじゃない、へるもんじゃないし」
その言い草に再びカチンとくる。
「高澤は良いかもしれないけど、俺は嫌なんだよ!!」
この生意気そうな女子は中等部の頃からの顔見知り。昔からサバサバした竹を割ったような性格で、田山とつるんでいると何かと構われるというかイチャモンをつけられていた。おかげで名前と顔だけは覚えている。
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「だから、毒舌王子って言われるのよ!!あっかんべー」
子供じみた捨て台詞を吐きながら教室を出る彼女の後ろ姿に舌打ちする俺。そんなやり取りをずっと見てきた田山と吉岡は呆れ顔だった。
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