社内恋愛はじめました。

柊 いつき

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81.I cherish you.⑥

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暗がりの中で衣摺れの音が聞こえた。ベッドが軋むと藤澤さんが私を抱きしめてきて、触れ合う素肌の感触が気持ちよかった。首筋から鎖骨、乳房と彼の指が滑り落ちる。そのおかげで収まりかけていた熱がジュクジュクと復活してしまう。

「はぅ...」

ツンと上を向いたままの乳房の頂を彼の指が掠めると、身体が大きく跳ね上がった。その弾みで強く抱きしめられてしまう。

「...優里、可愛い...欲しくてたまらない」

藤澤さんの瞳には私1人だけが映っている。熱っぽく求められとそれだけで身体が熱くなる。身体の力を抜いて彼の胸にもたれかかるようにすると、頰を触れられ、唇を重ねられた。

クチュリクチュリと舌を絡めあうようなキスだけで、身体の芯が疼く。乳房を揉みしだかれると、意図せず口から喘ぎ声が漏れて恥ずかしかった。

「ぅくん ...はっ ...っぁ!」

さっきよりも身体が敏感になっている。ひくつく足の間に彼の指が滑り込みある場所をこねるように動かすと、息が止まりそうなくらいの衝撃をうけた。

「ーっ!?」

そのうえ、彼の指先は経験の浅い私のナカを解すように縦横無尽に動き、私は自分の手で声が出ないように必死で塞ぐ。

...あ...もぉ......声 、出ちゃう。

「可愛い声、聞かせて?」

私が声を堪えているというのに彼は私の足を閉じられないように固定し、ある一点を執拗に責めてゆく。蠱惑的な彼の視線が流れた場所が 指先で触れられたように熱くなっていく 。 

「すごい締め付けてるよ。俺の指 、好き ? 」

未知の感覚に震えながら膣の一点が激しく収縮を繰り返すのに大胆に脚を広げたまま、喉の奥底からあられもない声が。

「ふじ、さ .......だめ ......ああ ~ ! ! 」

もう 、とても自分の意志では口を塞いではいられなかった。
頭が真っ白くなり、何もかも考えるのが億劫になるくらいの快楽をあたえられる。

...終わった、の...?

でも、知識で知っている最終的な事は済んでいないのは分かっていた。気がつくと彼が背を向けており、待っている間、深く息を吐く。すると、彼は何やら準備を終え私の膝を割って身体を間に入れてきた。

「力、抜いてくれる?」

膝を撫でられ、敏感ままの私の身体はピクンと反応して。

「ん...」

吐息が反射的に漏れてしまうと、膝の裏を持ち上げられ、グッと何かを押し付けられ、それが彼自身だとわかった時にはすでに侵入を許していた。

「.......んっ、いっ!」

痛かった。

指なんて比べものにならないくらいの圧迫感を感じ、身体の中心をメリメリっと押し広げられる。    
その初めての痛みに私が背をしならせると彼に身体を抱きしめられていた。
痛みから逃れたくて、何かに縋りたくて、指をどこかに引っ掛けた気もする。

「っ...」

彼の苦しげな呻き声が耳元で聞こえた。彼も苦しいのかと思うと我慢できた。ゆっくりと慎重に彼自身が私の中へと入ってくる。辛かったけど、苦しかったけど、ようやく彼自身で身体がいっぱいに満たされた。
その間、ずっと目を瞑ってしまい、ポタリと頰に落ちてきたものは彼の汗。私が目を開けてそれを知ると、藤澤さんは優しく私を気遣ってくれた。

「...辛い?」

「いえ...だから、最後まで」

いくら経験がなくても入ったら終わりじゃないことくらいは知っている 。それによって襲ってくるだろう更なる痛みを覚悟しながら見上げると 、彼が戸惑っているのが分かった。彼は私が初めてだから、決して自分からは動こうとはせず。

「無理しなくていいよ。俺はこれで充分満足だから」

繋がっている部分はそのままに、彼は私の乳房の頂に吸いついた 。 

「んやっ 、 … …はぁ … … 」

歯で軽く噛まれたかと思うと口から出されて空気に晒される 。彼の熱い体温に慣らされた部分に唇を這わされる。時々、私の中で震える彼自身の存在。それを感じながら、やっぱり不安になる。

「...ふ、ふじ..さわさん」

「ん....?」

「私、だいじょう...ぶ、ですから...好きなように...」

「...優里」

フッと目を細めた彼が名前を呼んで、私の唇を食むように塞ぐ。お互いの舌を絡めあってゆくと、1つに繋がっている場所が痛みもあったけれど、どこかが疼く気がした。

唇が離れ、彼の低い声が「愛してる」と甘く囁くと、また。

それが繰り返されていくうちに指が絡めとられ、彼がゆっくりと私の中で律動を始めた。正直言って、彼が動くたびにひきつれるような痛みがあった。「痛い」と言ってしまうと彼は途中でやめてしまうのではないかと思い、言葉に出さずに堪える。言葉に出さない代わりに生理的な涙が勝手に出てどうしようもなく。彼はそれに気がついたのか、指先で何度か涙を拭ってくれた。

それでも、掠れた低い声で言われる「愛してる」という言葉と深い深い口づけで、次第に痛みは耐えられるものになってゆく。それからは、ただお互い忙しない短い息を吐き、私は途中から甘い声を抑えられずに。

この痛みが嬉しいと思えるなんて女性って不思議な生き物だ。

彼の体温に抱かれて、愛されて、幸せな時間だった。

藤澤さんはこれ以上ないくらいに私を優しく愛してくれたのだと思う。
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