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第一章 人生が変わった7日間
27:本音を聞きました
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「私、王子様と結婚なんてしたくないです」
「シャルちゃん……」
本当は言うつもりなんてなかった。けれど溢れた言葉は止められなくて。
「本当にそうしないと、アルフィール様は死んじゃうんですか? 他に方法はないんですか?」
涙目で見つめると、イールトさんは辛そうに眉根を寄せた。
「残念だけど、避ける方法は現時点では他にないんだ」
「そんな……」
「他に解決法がないか、色々と探してはいるんだ。考えられるだけの対策も立てるつもりだよ。それでもアルフィールお嬢様は、ゲームの強制力というのを一番に心配されている。公爵閣下にも相談して、王子殿下との婚約も解消しようとしたけれど無理だった。結局、あの馬車の事故も起きたわけだしね。万が一違う方法を取って、お嬢様の死を回避出来なくなったら困るというのが、お嬢様と公爵閣下のお考えなんだ」
「公爵様も、王子様とアルフィール様の婚約がなくなることを願ってるんですね」
「閣下の一番の願いは、お嬢様が生き残ることだよ。婚約解消も、ヒロインが殿下の婚約者に成り代わることも、そのための方法の一つというだけだ」
淡々としたイールトさんの話からは、イールトさん自身の考えは見えてこない。
だから私は……思わず口にしていた。聞きたいような、聞きたくないような、恐ろしい質問を。
「イールトさんは……私に王子様と結婚してほしいですか?」
私の手を握るイールトさんの手に、力がこもる。イールトさんは少しだけ目を瞑ると、私を真っ直ぐに見つめた。
「俺の願いは、アルフィールお嬢様がこれから先も生き続けることだよ」
「そう、ですか……。それは、私が……私の気持ちが、もし」
「それ以上は言わないで、シャルちゃん」
私が言いかけた言葉は、イールトさんの指で塞がれた。
「第一王子殿下は素晴らしい方だ。きっとシャルちゃんも好きになる。だから今、それ以上言っちゃダメだ」
そんな事ないって言いたいのに、止められてるから何も言えない。違うと何度も首を振る私に、イールトさんは言い聞かせるように話を続けた。
「君のその気持ちは、今だけの幻だよ。それにね、シャルちゃん。それを聞いたら俺は、君のそばにいられなくなる。君に嘘はつきたくないし、アルフィールお嬢様を見捨てるなんて、俺には出来ないんだ。だから……ごめん」
まだ何にも言ってないのに。私の気持ちは全部伝わってるみたいで。予想していた通りの結果に、涙が溢れた。
「一人に……少しだけ、一人にしてください」
「……分かった」
イールトさんは静かに立ち上がり、部屋を出て行く。私はイールトさんのハンカチを握りしめて、声を殺して泣いた。
そうしてひとしきり泣くと、昂っていた気持ちは段々と収まってきて。ハンカチに残っていた大好きなイールトさんの香りが、痛む胸に染み込んだ。
(好きな人に違う男の人を勧められるのって、こんなに辛いんだな……)
回らない頭で言われた言葉をぼんやりと考える。
あれ? さっきイールトさんは「そばにいられなくなる」って言った……?
(それって本当は、私のそばにいたいってこと? 私の勘違い……ってことはないよね、きっと)
イールトさんは「嘘はつきたくない」とも言っていた。それはきっと、私の気持ちを聞いたら嘘でも「嫌いだ」と言わなきゃいけないって意味だと思う。私を好きになってくれたけど、アルフィール様を助けるために諦めようとしてるのかもしれない。
それなら私は……やっぱり諦めたくない。
(そうだよ。アルフィール様を見捨てるなんて言われたら、そっちの方がドン引きだもん)
頭がクリアになるのと同時に、落ち込んでいた気持ちも浮き上がる。
もしこれが私の勘違いだったとしても構わない。私は地味で平凡だけど、明るさと元気だけが取り柄だ。好きだって気持ちで突き進む方が私らしい。
(大体、王子様がどう思ってるかも分からないんだから。婚約解消に応じないってことは、王子様にも気持ちがあるはずだもん。それを確認しないとダメだよね)
アルフィール様を見捨てられないのは、私だって同じだ。でも、求められている解決法は受け入れられない。それなら私は、どうするべき……?
私は、私一人だけでも絶対に諦めないと心に誓って。どんな風にこれから動くべきか考えながら、イールトさんのハンカチを抱き締めた。
「シャルちゃん……」
本当は言うつもりなんてなかった。けれど溢れた言葉は止められなくて。
「本当にそうしないと、アルフィール様は死んじゃうんですか? 他に方法はないんですか?」
涙目で見つめると、イールトさんは辛そうに眉根を寄せた。
「残念だけど、避ける方法は現時点では他にないんだ」
「そんな……」
「他に解決法がないか、色々と探してはいるんだ。考えられるだけの対策も立てるつもりだよ。それでもアルフィールお嬢様は、ゲームの強制力というのを一番に心配されている。公爵閣下にも相談して、王子殿下との婚約も解消しようとしたけれど無理だった。結局、あの馬車の事故も起きたわけだしね。万が一違う方法を取って、お嬢様の死を回避出来なくなったら困るというのが、お嬢様と公爵閣下のお考えなんだ」
「公爵様も、王子様とアルフィール様の婚約がなくなることを願ってるんですね」
「閣下の一番の願いは、お嬢様が生き残ることだよ。婚約解消も、ヒロインが殿下の婚約者に成り代わることも、そのための方法の一つというだけだ」
淡々としたイールトさんの話からは、イールトさん自身の考えは見えてこない。
だから私は……思わず口にしていた。聞きたいような、聞きたくないような、恐ろしい質問を。
「イールトさんは……私に王子様と結婚してほしいですか?」
私の手を握るイールトさんの手に、力がこもる。イールトさんは少しだけ目を瞑ると、私を真っ直ぐに見つめた。
「俺の願いは、アルフィールお嬢様がこれから先も生き続けることだよ」
「そう、ですか……。それは、私が……私の気持ちが、もし」
「それ以上は言わないで、シャルちゃん」
私が言いかけた言葉は、イールトさんの指で塞がれた。
「第一王子殿下は素晴らしい方だ。きっとシャルちゃんも好きになる。だから今、それ以上言っちゃダメだ」
そんな事ないって言いたいのに、止められてるから何も言えない。違うと何度も首を振る私に、イールトさんは言い聞かせるように話を続けた。
「君のその気持ちは、今だけの幻だよ。それにね、シャルちゃん。それを聞いたら俺は、君のそばにいられなくなる。君に嘘はつきたくないし、アルフィールお嬢様を見捨てるなんて、俺には出来ないんだ。だから……ごめん」
まだ何にも言ってないのに。私の気持ちは全部伝わってるみたいで。予想していた通りの結果に、涙が溢れた。
「一人に……少しだけ、一人にしてください」
「……分かった」
イールトさんは静かに立ち上がり、部屋を出て行く。私はイールトさんのハンカチを握りしめて、声を殺して泣いた。
そうしてひとしきり泣くと、昂っていた気持ちは段々と収まってきて。ハンカチに残っていた大好きなイールトさんの香りが、痛む胸に染み込んだ。
(好きな人に違う男の人を勧められるのって、こんなに辛いんだな……)
回らない頭で言われた言葉をぼんやりと考える。
あれ? さっきイールトさんは「そばにいられなくなる」って言った……?
(それって本当は、私のそばにいたいってこと? 私の勘違い……ってことはないよね、きっと)
イールトさんは「嘘はつきたくない」とも言っていた。それはきっと、私の気持ちを聞いたら嘘でも「嫌いだ」と言わなきゃいけないって意味だと思う。私を好きになってくれたけど、アルフィール様を助けるために諦めようとしてるのかもしれない。
それなら私は……やっぱり諦めたくない。
(そうだよ。アルフィール様を見捨てるなんて言われたら、そっちの方がドン引きだもん)
頭がクリアになるのと同時に、落ち込んでいた気持ちも浮き上がる。
もしこれが私の勘違いだったとしても構わない。私は地味で平凡だけど、明るさと元気だけが取り柄だ。好きだって気持ちで突き進む方が私らしい。
(大体、王子様がどう思ってるかも分からないんだから。婚約解消に応じないってことは、王子様にも気持ちがあるはずだもん。それを確認しないとダメだよね)
アルフィール様を見捨てられないのは、私だって同じだ。でも、求められている解決法は受け入れられない。それなら私は、どうするべき……?
私は、私一人だけでも絶対に諦めないと心に誓って。どんな風にこれから動くべきか考えながら、イールトさんのハンカチを抱き締めた。
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