優しい空の星

夏瀬檸檬

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8番星 誰かを想って

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優しい空の星

8番星





キルとシャーロットいや、名を戻したローレンと共に実家に戻って暮らし始めてから1週間が経った。実家は、王宮殿に比べて当たり前なのだが小さい。キルとローレンがいるだけでキツキツだ。イザベルたちにはものすごい迷惑をかけていると思う。でも、今、どんなにきつくても、苦しくても、家に帰ってきて、服を作って、笑ってられる。王宮殿にはない楽しさ暖かさがあって幸せでたまらなかった。おかえりって言ってくれるそんな人たちがあって、外にはたくさんの護衛兵が隠れてることを忘れてしまうほど、幸せだった。
…でも…アルベーサ殿下…。あなたが私の心にいるよ。時々ふと思い出して、あなたの苦しむ顔が頭に浮かぶの。
「姫君?」
イザベルに呼ばれてハッとした。
机に頬杖をつきながら、ぼーっとしていたからだろう。アルと呼ぶことさえも許されなくなった私。なにが、なにがそんなにもアルベーサ殿下の気持ちを踏みにじったのだろうか。私にはまだよくわからない。
「あ、イザベル。どうしたの?」
裁縫道具の中から針と糸を取り出しながら聞いた。
「いえ。姫君、何処か具合でも悪いのですか?」
イザベルに言われて、私は首をかしげた。
布に糸を通していく。
「どうして?私元気よ。」
「それならよろしいのですが、姫君1日に1回は先ほどのように無心になられてますから。やはりアルベーサ殿下のこと気にしておられますか?」
「…」
「それでしたら、キルベール殿下が頑張ってくださっておいでですから。信じて待ちましょう。申し訳ありません。もう日も暮れてきましたから、野草を摘みに行って参ります。もうすぐアナスタシオが戻って参りますので。」
「わかったわ。大丈夫よ。」
そうではない。
アルベーサ殿下を気にしてはいるけど、キルにばかり任せてられない。私の問題だし、ていうか、キルが傷をつけて、私がえぐって広がしたわけだし。私にもできることがあるなら…言ってほしい。役に立ちたい。キルのことを好きだから。
「痛っ!」
針が指に刺さった。
いつもだったらこんなことないのに…裁縫だけは誰よりも得意だったのに。それくらい、今回のことは私の人生に心にとって衝撃的だったのだろう。
じわじわ滲み出てくる血を見ながらそう思った。


今日もキルの帰りは遅い。
私を守るために宮殿から出て不自由な村の家に暮らしてくれて…キルは、この件は王室の問題であると言ってくれたけれど、責任は取らなきゃいけない。こんな夜になってもキルは帰ってこない。不安でたまらないのだ。アルベーサ殿下の間者によって亡き者にされてはないか…。そんなこと考えずに待ってなきゃいけないのに、私は怖いのだ。誰かを失いたくない。愛するキルを、失いたくない。
「ヴェデ様。もうお休みになられませんと…」 
「アナスタシオ…イザベル。あなたたちは眠っていいわよ。キルが帰るまで待つだけだし。」
「そのようなわけには…。ローレン様もお休みになられましたし、毎日このように夜遅くまで起きて朝は早起きなさってキルベール様を見送って、このような生活では姫君倒れてしまいます。」
イザベルは言葉に力を込めてそう言った。
私は、イザベルたちの方を向いて有難う。と言った。
「でもね。キルはそれ以上に頑張ってくれてる。私だけ休むわけにはいかないのよ。私にできることは、キルにおかえりを言って、キルを笑って見送ることだけなの。それしか、できないから…。」
「ですが…」
私は、なるべく優しく微笑んだ。
私だって不安がたくさんあるわ。休めるものだったら休みたい。でも、体が勝手に動いちゃうのよ。キルに対しての愛かわからないけどあの人に会いたくて、私は無意識に動いてしまうのよ。
そんな風に思ったとき、扉の開く音が聞こえた。扉が開くと、ブーツを履いた背の高い男の人が若い男の人と帰ってきた。私は見た途端椅子から立ち上がった。
「リラン!」
キルの名前ではなく、リランの名を呼んだ。
無意識に、何も考えず、呼んだ。
リランは、私を見て微笑んだ。リランの微笑む顔。久しぶりだ。
「どうしたの?リラン。宮殿での仕事もあるでしょうに、私の実家に来るなんて。」
嬉しくてたまらない気持ちを必死に抑えながらリランに聞いた。
リランはアルベーサの先生。キルのところに来てくれるということは先生という仕事を捨てる意味でもある。まさか、リランがそんな愚かな行為はしないはずだ。
「ヴェデのため、王室のため、民のため、そなたのそばに仕えようと思い参上仕りました。今後、護衛としておそばに仕えさせていただきます。ヴェデーアスティーヌ妃殿下。」
リランはそう言いながら跪き、私の左手の甲にキスをした。
「信用できるものを君のそばに置きたくてね。リランの元へ行こうと宮殿に参ったが、リランから来てくれるとは思わなんだ。」
キルは、静かにそう言って笑った。
リランは、キルの方へ向いて立ち上がった。
「キルベール様。」
「ん?」
「この件について、一概にアルベーサ様が悪いとは言えますまい。」
「それは知ってるよ。父にも問題はあったし、何より今は亡き王妃陛下だ。問題の根源はもういないが、アルの気持ちを落ち着けることだけでもせねば、俺も、ヴェデも永遠に死を恐れ続けることになる。とりあえずはアルの真意を確かめなくてはな。」
私は少し驚いた。
キルに仕えたかった。アルではダメだ。アルは冷たいやつだ。と教えてくれたリランがまさかアルの肩を持つようなことを口にするなんて。
リランは、平等にことを進める人ではあるがまさかアルの肩を持つとは思わなかった。

夜中の2時。
東の国では草木も眠る丑三つ時。と、いうらしいこの時間。私はこんな時間にふと目を覚ましてしまった。隣に寝ているキルを起こさないようにベッドから降りた。宮殿から出てもキルと私は同じベッドで眠っていた。最近はもう慣れてきたけど、その代わり、こんな時間に目がさめるというおかしな体になっていた。
私の実家は居間を合わせて、5つ部屋があるのだが、そのうちの一部屋が私とキルの。イザベルとアナスタシオは別の部屋。ローレンの部屋も別に用意されている。リランもまた別の部屋を用意してもらおうという話になったが、リランは椅子に座ったまま寝ると言ってきかなかった。いつなんどき、間者が現れるかわからないから。
私は静かにキッチンに入っていった。
ティーカップと、ミルクを取り出した。
その瞬間、後ろからちくっと痛みが走った。ナイフの痛みだった。背中からナイフを突きつけられていたのだ。私は驚いて硬直したままだった。
「何者だ。」
低い声が後ろから聞こえてきた。
聞き覚えのあるこの低い声…
私は一か八か振り向いた。
やはり、思った通り…
「…妃殿下?」
リランであった。
私は安心したのと恐ろしかったのが重なって腰が抜けてしまった。
「はぁ…」
私はため息をついてリランを見上げた。
リランは、焦りながら跪いて、頭をさげた。
「申し訳ありません。妃殿下だとはおもわず、刃物を向けてしまったことお許しください。」
「…リランで安心したわ。間者かと…。今度こそ殺されてしまうかと思ったんだもの…」
安心して、リランであったと気づいて、気が緩んだのか涙がポロポロ出てきて止まらなかった。
「妃殿下?」
泣いていることに気づいたリランは、少し驚いて私にハンカチを貸してくれた。
こんな…こんなことこれからいくらでもあるのに。こんな、一つのことにいつも泣いてばかりじゃ迷惑かけて間者からも自らを守ることができない。自らを守れないでどうやってキルのそばにいるっていうのよ…。涙が止まらない。
カタンッ
足音が聞こえて私とリランはキッチンの扉の方へと振り返った。
「……キル…」
「キルベール様」
涙を急いで拭き取ってキルの方へと向いた。
キルは私の方へと駆け寄ってきた。
「…リランと二人で何をしていたんだい?」
「え…?眠れなくて、ホットミルクを飲もうと思って…キッチンに来て、それで…」
刃物のことは言わないほうがいいわよね。リランが悪者になってしまう。
「それで…リランも眠れなかったみたいでキッチンに来たんだけど、私が驚いて腰が抜けてしまって…」
嘘も混じってる、だけど、そうしなきゃ…
「…ヴェデ。寝室に戻ろう。」
「え?」
キルは私の腕を引っ張りキッチンを後にした。
キルらしくないこの力。キルは優しくて、包み込むような形をしているのに、腕の引っ張りの力だけは男の力だった。

寝室に戻ると、ベッドに投げ飛ばされた。
「キャッ!」
悲鳴をあげて、キルの顔を見上げるとキルは顔を真っ赤にして泣きそうになっていた。
「…キル?」
「すまない…。乱暴にして…。」
「キル?どうしたの?」
私はベッドから立ち上がってキルの両頬を両手で包み込んだ。暖かい。でも、冷たい。
「キル…泣いてるの?」
私の両手は少しずつ湿って来た。
「王子として…男として泣くなんて…したくはないが…今は…」
どんどん湿ってくる私の両手。キルの涙はずっと止まらずに流れる。わたしは両手を背中に回して抱きしめた。
「どうしたの?キル…」
「…すまない。私は今、リランに嫉妬しているようだ。」
「え?」
「…ヴェデがリランのハンカチを…持っているところを見ると…嫌な想像が…自分でもびっくりするほど…浮かんで来て…。私だけのヴェデではなくなるんじゃないか…守れるのは私ではなくリランなのか…って…嫌な感情がよぎって…」
キル…。
「…ごめんなさい。キル。」
「え?」
「私、不謹慎だけれど、今、嬉しくて嬉しくてたまらないのよ。」
「…?」
「そうやって、やきもち焼いてくれるキルがいてくれて私嬉しいの。私も、生きてて誰かの役に立ってて必要とされてるんだって思えて、嬉しいの。」
「…ヴェデ…」
私はキルを抱きしめる腕を解いて、キルの顔に私の顔を近づけた。
「…キス…してもいい?」
自分がこんなことを言うことに驚いた。いつもだったら恥ずかしくてそんなこと言えない。でも、今は、キルが私のそばにいることを幸せだと思ってくれる。その想いを大切にして精一杯その想いに応えてあげたい。
私はキルを見つめた。キルは優しく微笑んだ。
その瞬間に私の唇とキルの唇は触れた。
「キル?!」
「キスは男の仕事だよ。」
そう言いながら笑っている。
「…」
恥ずかしいことをさらっと言うキルだ。さっきの泣いているキルとは全く違う。元のキルに戻って来た。
「でも。」
「え?」
「でも、ヴェデからキスをしてくれるのであれば、最高の贈り物だ。喜んで受けるよ。」
「キル…」
キルは目を静かに閉じた。
綺麗で長いまつげ。キルを改めて見ると本当に綺麗な顔をしている。私のそばにいてくれて安心できて愛してくれるのならそんなキルの生活を私は守ってあげたい。
私も静かにキルの顔へと近づいて触れるだけのキスをした。
キルは笑いながら目を開けた。
「ははっ。」
「何で笑うのよー。」
「はははっ。ごめんごめん。ヴェデのキスは不器用でかわいいなって思ったから。」
「不器用で悪かったですねー!」
夜の2時だというのに、私とキルは話に花を咲かせた。
ここに来てから1週間経ったもののこんなにゆっくりキルと話せたのは、何日ぶりだろうか。


「アルベーサ様。ヴェデーアスティーヌ様はご実家にいらっしゃるとわかっているのですよ??」
王宮殿の俺の部屋に、内官の声が響く。
「知っておる。」
俺は、ワインをグラスに注いでグラスを持ち上げる。一口、喉にワインの潤いが広がる。
「知っているのであれば何故そのようにのんびりワインなどお飲みになられているのですか?!追っ手をださなくてよいのですか?!このままでは、王位もヴェデーアスティーヌ様もキルベール様のものになってしまっ」
パリンッ
ガラスの割れた音で部屋は沈黙に包まれる。
ガラスを内官の顔すれすれに投げたのはこの俺だ。
静かに椅子から立ち上がり内官の元へ歩く。
「すまぬな。体が勝手に動いたのだ。何故だろうな。私の頭の中で、そちを殺したいという考えでも生まれたのだろうか。」
内官は顔を真っ青にして俺を見ている。
「なにをそんなに怯えているのだ。ふっ。安心するがよい。そちを殺すなどという考えはない。」
内官は、ホッとした顔で私を見た。
「今のところはな。」
内官は、また顔を真っ青にして後ずさりをし始めた。
「し!失礼いたします!」
走って部屋から出ていった。
バカな奴が。
お前のような、賢くもない者が俺の今後についてなにを語っているのだ。少々おしゃべりのすぎる内官だ。さて…どうしてやろうか。
「やはり、追っ手は出さなくてよいのですか?」
次は違う内官が聞いて来た。
俺は、静かに笑った。
「出さなくてよい。」
この内官も賢くないな。


「ヴェデ。」
弾むような声で話しかけて来たのはローレンだった。
「ローレン。どうしたの?」
「キルベール殿下とはどうなの?」
「え?」
まるで貴族らしくないいたずらっぽい顔でローレンは聞いて来た。
私はわかりやすいくらいに顔を赤らめて、笑った。
「ええ。いい感じかな。」
私はそう言った。
「へぇ。ヴェデが言うなんて珍しいわね。いつも、恥ずかしがって答えないのに。」
私は、記憶を遡って考えた。
確かにそうだった。私は、キルとの今の現状なんて話すことだけでも恥ずかしくて、ローレンにさえ言えなかった。でも…今は…
「昨日の夜思ったのよ。キルのこと大好きで愛し合うことの何が恥ずかしいのって。昨日、やっとそう思えたのよ…」
「…そう。羨ましいな。愛する人と一緒になれるなんて…素敵なことよね。」
ローレンは切なげな顔で私にそう言った。
ローレン?なんで、そんな切なげな顔…今にも泣きそうな顔で、何かを引きずっているような顔で、なんで、笑ってるのか。
あ…そうだ。そうだった。あれは…どうなってるの…
「ろ、ローレン。貴女、結婚するって言うお話は…どう…なさったの?」
アルベーサを慕っていると、初めて会った時話してくれた。そんな中でアルベーサ殿下に捨てられた私とローレンはサーシャ家から出た。これは、どう、なっているのだろう…。
「…ローレン?」
ローレンは下を向いたままだった。
「……破棄されたわ…」
静かに開いたローレンの口からそう告げられた。

また、私たちには新しい問題が加えられることになった。
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