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翌朝
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「おはよう、姉さん」
「おはよー……」
翌朝。目が覚めたとき横に弟くんが居なかったのでやはり夢だったかと思うのも束の間、リビングから人の気配がしたのですぐに杞憂だと分かった。
やっぱり夢でも幻でもなかった。わたしの頭が変な可能性はまだあるけど。
「うん?」
なんか、部屋が広く感じる。いや、気のせいではなく明らかに広くなっている。
もしかしてこれからは二人で住むから部屋がその分広くなった?そんな能力もあったのか、わたし!?
「ああ、今日は燃えるごみの日だったから全部出しておいたよ。結構スッキリしたでしょ」
「お手数をおかけして大変申し訳ございません」
「なんで土下座するの!?」
いや、だってそりゃ弟くんがゴミ出ししてくれる、なんて妄想はしてたけども。
流石にあの量の、文字通りのゴミ山から分別して処分してもらったという事実があまりにも偉大過ぎて。
「ほら起きて、朝ごはん食べよう」
わたしの弟くんは少し善人過ぎやしないだろうか。悪い人に騙されないようにお姉ちゃんがしっかり守らなくては。
いや現在進行形で迷惑かけてるのはそのお姉ちゃんなんだけど。
「今日は何か予定あるの、姉さん」
「んー、弟くんのベッドを買いに行こうかなって」
朝食を食べながら会話を交わす。仕事は今のところ急を要するものはないし、原稿も余裕とまではいかないが限界でもない。
「俺の?新しく買うなら別に寝袋でもいいけど」
「ダメよ、弟くんが身体壊したら悲しむのはお姉ちゃんよ」
「そっか、じゃあお言葉に甘えようかな」
実家を出たばかりの時と違って、今は懐に余裕があるのだ。寝室もスペースは余ってるし、多少狭くなっても寝るだけの場所だから構いはしない。
「ご飯食べ終わったら、すぐ出かける?」
「そうね、そうしたら外でお昼ごはん食べるのにいいくらいの時間になりそうだし」
「分かった。それじゃあ俺も準備するよ」
「ん」
その後も雑談をしながらご飯を食べ終わり、昨夜と同じく二人で食器を洗い片付ける。
そういえば、ベッドを買いに行くということは街に行くということだ。流石にそれなりの格好をしないと、わたしはともかく一緒に行く弟くんに恥をかかせてしまう。
……それなりの格好になる服なんてあったかな。洗ってあるかな。
「まあ別に昨日着た服でも──」
クローゼットを開けると、キッチリと整理収納された服が目に入る。
そして端には申し訳程度にある弟くんの衣服。
そっか、昨日と違う服を着てるけどどこに着替えがあったんだろうと思ってたが、ここにあったのか。
「あ、ごめん、勝手に使っちゃって。嫌だった?」
「ううん。すごく嬉しい」
わたしの家のクローゼットは無駄に大きくて立派だ。わたしなんかには勿体無いくらいに。
これはお母さんが、いつかオシャレに目覚めるかもしれないでしょう?と言って、実家を出るときに買ってくれたものだ。
いつも乱雑に服を入れていたから気付かなかったけど、大きくて邪魔だなあと思ってたけど。
「ね、弟くん。ベッドを買いに行くついでに、服も見に行かない?」
「お、良いね。姉さんもついにオシャレに目覚めた?」
「いや、わたしのじゃなくて弟くんの服」
「え、俺の?そんな俺のばっかり買っても悪いよ、置くところもないし」
「いいのよ、わたしが買いたいんだから。それに置くところならあるじゃない」
「だって、こんなにスペースが余ってる」
お母さんの想像とはちょっと違うかもしれないけど、そういう使い方も良いよね。
それに弟くんはオシャレが好きでしょう?お姉ちゃんは知ってるんだから。
「おはよー……」
翌朝。目が覚めたとき横に弟くんが居なかったのでやはり夢だったかと思うのも束の間、リビングから人の気配がしたのですぐに杞憂だと分かった。
やっぱり夢でも幻でもなかった。わたしの頭が変な可能性はまだあるけど。
「うん?」
なんか、部屋が広く感じる。いや、気のせいではなく明らかに広くなっている。
もしかしてこれからは二人で住むから部屋がその分広くなった?そんな能力もあったのか、わたし!?
「ああ、今日は燃えるごみの日だったから全部出しておいたよ。結構スッキリしたでしょ」
「お手数をおかけして大変申し訳ございません」
「なんで土下座するの!?」
いや、だってそりゃ弟くんがゴミ出ししてくれる、なんて妄想はしてたけども。
流石にあの量の、文字通りのゴミ山から分別して処分してもらったという事実があまりにも偉大過ぎて。
「ほら起きて、朝ごはん食べよう」
わたしの弟くんは少し善人過ぎやしないだろうか。悪い人に騙されないようにお姉ちゃんがしっかり守らなくては。
いや現在進行形で迷惑かけてるのはそのお姉ちゃんなんだけど。
「今日は何か予定あるの、姉さん」
「んー、弟くんのベッドを買いに行こうかなって」
朝食を食べながら会話を交わす。仕事は今のところ急を要するものはないし、原稿も余裕とまではいかないが限界でもない。
「俺の?新しく買うなら別に寝袋でもいいけど」
「ダメよ、弟くんが身体壊したら悲しむのはお姉ちゃんよ」
「そっか、じゃあお言葉に甘えようかな」
実家を出たばかりの時と違って、今は懐に余裕があるのだ。寝室もスペースは余ってるし、多少狭くなっても寝るだけの場所だから構いはしない。
「ご飯食べ終わったら、すぐ出かける?」
「そうね、そうしたら外でお昼ごはん食べるのにいいくらいの時間になりそうだし」
「分かった。それじゃあ俺も準備するよ」
「ん」
その後も雑談をしながらご飯を食べ終わり、昨夜と同じく二人で食器を洗い片付ける。
そういえば、ベッドを買いに行くということは街に行くということだ。流石にそれなりの格好をしないと、わたしはともかく一緒に行く弟くんに恥をかかせてしまう。
……それなりの格好になる服なんてあったかな。洗ってあるかな。
「まあ別に昨日着た服でも──」
クローゼットを開けると、キッチリと整理収納された服が目に入る。
そして端には申し訳程度にある弟くんの衣服。
そっか、昨日と違う服を着てるけどどこに着替えがあったんだろうと思ってたが、ここにあったのか。
「あ、ごめん、勝手に使っちゃって。嫌だった?」
「ううん。すごく嬉しい」
わたしの家のクローゼットは無駄に大きくて立派だ。わたしなんかには勿体無いくらいに。
これはお母さんが、いつかオシャレに目覚めるかもしれないでしょう?と言って、実家を出るときに買ってくれたものだ。
いつも乱雑に服を入れていたから気付かなかったけど、大きくて邪魔だなあと思ってたけど。
「ね、弟くん。ベッドを買いに行くついでに、服も見に行かない?」
「お、良いね。姉さんもついにオシャレに目覚めた?」
「いや、わたしのじゃなくて弟くんの服」
「え、俺の?そんな俺のばっかり買っても悪いよ、置くところもないし」
「いいのよ、わたしが買いたいんだから。それに置くところならあるじゃない」
「だって、こんなにスペースが余ってる」
お母さんの想像とはちょっと違うかもしれないけど、そういう使い方も良いよね。
それに弟くんはオシャレが好きでしょう?お姉ちゃんは知ってるんだから。
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