デッドエンド・ウェディング

うてな

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26 ラブラドライト:思慕

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綺瑠と璃沙は、遊園地で遊んでいた。綺瑠は璃沙の手を引くと、真っ先にジェットコースターの前へ。一発目から絶叫系に乗るのは綺瑠らしいと璃沙が思っていると、綺瑠はニコニコ笑顔で言う。

「乗ろっか。」

「えっ」

璃沙はそう言ったが、綺瑠は手を引っ張ってしまう。璃沙は実はジェットコースターが苦手なのか、慌てた様子で言った。

「待て、私もか!?」

綺瑠だけが乗る訳もなく、そのまま手を引かれてジェットコースターに乗ることになった。


数分後、二人はジェットコースターに乗っていた。ジェットコースターの急降下に、綺瑠は声を上げて楽しそうにしている。一方璃沙は猛スピードで降下しているのが怖い様子。その気持ちを抑えながらも、ブツブツとこんな事を言っていた。

「こんなものただの強風に過ぎない。別に落ちてる訳じゃなくて強風が当たってるだけ…」

どうやら自分に言い聞かせている様子だった。その努力も虚しく、璃沙は恐怖に怯えている。

ジェットコースターが終わると、綺瑠は笑いながらも言った。

「あー楽しかったぁ!璃沙は?」

璃沙の方を見ると、璃沙は目を丸くしたまま黙り込んでいた。どうやら恐怖が頂点まで達し、放心状態になっている様子。それを見た綺瑠は、思わずクスッと笑った。

「ちょっと大丈夫璃沙?怖かった?」

そう言われると、璃沙は急に我に返って綺瑠に言い放つ。

「怖くない!!」

その反応が可笑しいのか、綺瑠は更に笑ってしまう。
璃沙はその笑顔を見ると、何かを思い出すのか反応を見せた。



――これは璃沙を作った夢月の記憶。夢月も今の璃沙と同じ表情をしており、綺瑠はそれに対して面白そうにしていた。

「大丈夫?夢月ちゃん。苦手だった?」

それに対し、夢月はムキになった様子で綺瑠に言い放つ。

「そんなに私が弱く見えるか!!」

それに対し、綺瑠は思わず目を丸くしてしまう。夢月がムキになっていると知ると、綺瑠はクスッと笑った。

「可愛いね、夢月ちゃん。」

そう言われ、夢月は思わず頬をピンクにしてしまうのであった。――



それを思い出し、璃沙は俯いた。夢月と自分が重なってしまうと、やはり悔しいのだろう。綺瑠はそんな璃沙を見て、手を繋いだ。璃沙は思わず綺瑠の方を見ると、綺瑠は笑顔で言う。

「ごめん、ちょっとからかった。」

璃沙はその言葉に嫌悪全開の表情を見せ、その手を思い切り振り払う。綺瑠は目を丸くすると、璃沙は視線を逸らして言った。

「ボーナス上乗せしろ。」

そう言われ、綺瑠は笑った。

「仕方ないな。」

綺瑠が歩き出すので、璃沙はその後ろを歩いた。綺瑠は璃沙の方へ視線をやると、困った顔をして言う。

「手、繋いじゃ駄目?」

「駄目だ。」

「どうしてなの?」

そう言われると、璃沙は眉を潜めた。

(綺瑠には美夜がいるからって言っても、コイツは聞かないんだろうな。)

璃沙に無言を突き通されるので、綺瑠は無視されたと思って空を見上げる。すると観覧車が目に入り、綺瑠は笑顔になって言った。

「璃沙、観覧車乗ろうよ!」

「は?」

璃沙は思わず目を丸くすると、綺瑠は頷くのであった。





一方、美夜の方では。
美夜は近くの公園のベンチに座っていた。美夜は溜息をつく。

(綺瑠さんに連絡したら、「璃沙と遊園地」って言われたっきり返事返ってこないし…。なんで綺瑠さんは、私が妬けちゃう様な事を簡単にしちゃうかな…。)

確かに綺瑠と璃沙のお出かけは、傍から見たらデートだろう。浮気とも取れてしまう行動に美夜は不貞腐れた表情になり溜息。

(もし綺瑠さんと璃沙さんが親しくなったら…?)

そんな不安が過ぎったが、美夜は目を閉じて落ち着いた表情に。

(もしそうなっても、もう一度戻れば…)

美夜はそう考えていたが、綺瑠の言葉を思い出した。


――「僕は君を早くに失いたくないよ…!」――


(…私が何度もタイムワープをしている事について、綺瑠さんが放った一言。綺瑠さんはこんなに私を大事に思ってくれているんだもの…大丈夫よね。)

美夜はそう思って笑みを見せると、美夜は正面に人が立っている事に気づく。占い師の様な服装をした、背の低い女性だ。その女性は美夜に近づくと言った。

「綺瑠の婚約者さん。」

それを聞くと、美夜は驚いた様子で言う。

「え、なぜそれを…!」

「私は占い師ですもの。なんちゃって、私はリッカ。綺瑠の元カノ。」

その言葉に、美夜は思わず構えを取ってしまう。

(そうだ。ヒカリさんって人は捕まったって話だけど、もとより私達を狙っていた人達はまだ残っているわ。本郷さんだって…。)

美夜が冷や汗を流していると、リッカは言った。

「ヒカリさんが捕まったって、新聞記事に載っていたわ。あなたと綺瑠なんでしょ、被害に遭ったのは。」

「それが何。」

美夜は若干冷たく言うと、警戒心の強い様子にリッカは黙り込む。美夜はリッカを睨んでいると、リッカは急に頭を下げた。

「ごめんなさい。」

予想外の言葉に美夜は驚いた顔をすると、リッカは顔を上げて続ける。

「私、以前本郷さんからこの計画を知らされてた。でもまさか本当に実行するとは思わなくて。」

美夜は目を丸くして黙り込むと、リッカは続けた。リッカはとても深刻そうな顔をしている。

「綺瑠は悪魔に憑依されてるから苦手で…。でもそれは言い訳、あなたに言えば良かったんだもの。」

それを聞いた瞬間、美夜は目を丸くした。

(悪魔?まさか裏綺瑠さんの事?)

比喩的には間違っていないが、そうでないなら訂正すべき間違いだろう。するとリッカは表情を緩めた。リッカは虚しさを感じさせる表情を見せ、それから美夜に言う。

「聞いて欲しいの。本郷さんがやってた事とか、色々…私が知っている範囲で。」

「なぜ急に…?」

美夜が聞くと、リッカは美夜に違和感を感じたのか急に眉を潜めた。

「本当に、あなたは冷静ね。」

その言葉に美夜が首を傾げると、リッカは続ける。

「自分の命が狙われたっていうのに、次もあるかもしれないのに、その落ち着いた反応。…時を遡れるって言う本郷さんの話、本当なのかしら。」

美夜はそれに対してギクッとしてしまい、そのまま黙り込んでしまう。リッカはそれ以上は詮索しなかった。美夜と同じベンチに座ると、美夜の方を見て微笑んだ。

「占い師はね、こういう子は放ってはおけないの。」

美夜はリッカの方を見ると、リッカは笑顔を向ける。

「あなた、悲しそうな顔をしてたわよ。」

(それは綺瑠さんと璃沙さんのことで…)

と美夜は心の中で思っていると、リッカは続けた。

「伝える理由は一つ、次があるかもしれないからよ。…綺瑠の元カノが、全員が全員異常な人間だとかも思って欲しくないし。」

美夜は「綺瑠さんの彼女さんにもこんな人いるんだ」と言いたげに目を丸くすると、リッカは溜息。

「本郷さんはね、綺瑠の元カノ全員に会って、恨みを抱えた人間を厳選してきたの。それも四人。コトネさん、マヒルさん、ヒカリさん、クルミさん。全ては、罪を彼女達に擦り付ける為よ。」

それを聞いた美夜は顔を引き攣って真っ青になると、美夜は言った。

「やっぱり…クルミさんも?」

「ええ。あの子は綺瑠があなたばかりを見ているから、心中しようと考えている子よ。」

リッカの言葉に、美夜は黙り込んでしまう。確かにクルミの今までの様子を見ると、その可能性も否めないからだ。

「コトネさんは一方的な恨みで、マヒルはなぜいるのかよくわかんないわね。恨んでる感じはしないんだけど。」

美夜はそれらを聞いていたが、やがて聞いた。

「音無アンさんっていますよね?その人はこれらの話を聞いていないんですか?」

アンはヒナツの知り合いであり、ある程度仲が良い様に見えた。それは美夜にとっては不安要素でしかない。

「ええ、本郷さんからは何も聞かされていないみたい。だって綺瑠を恨んでいませんもの。私は別だけど。」

美夜は思わず首を傾げると、リッカは眉を困らせて言う。

「私もかつては、綺瑠をどうにかしようって考えていたの。」

美夜はそれを聞いて再び身構えると、リッカは慌てた様子で言った。

「別に殺そうとかじゃないわ。ただ、綺瑠には悪い悪魔がいるから…」

それを聞くと、美夜は思わず目を細めて言う。

「暴力を働く綺瑠さんの事ですか?」

「知ってる!?」

リッカは思わず前屈みになって美夜に言うと、美夜は体を逸らして離れる。リッカは元の体勢に戻ると、溜息をついて言った。

「なんとかその悪魔を祓えたらなって…そう思って本郷さんの目論見に加担しようとしたけど、内情がわかってからは一切連絡をとってないの。」

美夜はそれを聞いて思わず安心してしまったのか、目を丸くした。美夜はリッカに対し少し心を開いたのか、クスッと笑って言う。

「悪魔じゃなくて、綺瑠さんは多重人格者なんですよ。そういう綺瑠さんもいるってだけです。」

「え?」

リッカも目を丸くすると、次に考え込んだ顔。綺瑠との過去を思い出しながら、真実かどうか吟味する。

「綺瑠は占いとか信じてないの。占いの話をしても『本当に?』みたいな感じで。」

「知ってますよ。私が星占いの話をしても首を傾げられちゃうし。」

「でもたまに、その話を興味津々に聞く事もあるの。ただ気を使ってるだけかなって思ったけど、もしかしたら多重人格だから…」

そこまで聞くと、美夜は眉を困らせる。美夜は裏綺瑠の事を考えていた。

(裏綺瑠さんも占いを信じるタイプじゃないんだけどな…。)

リッカは俯きながらも優しい笑みを浮かべた。それは心穏やかな思い出をなぞる様。

「暴力してくる以外の綺瑠は、本当に優しくて。楽しそうに占いの話を聞いてくれた。」

美夜はそれを聞くと、表情が落ち着く。終わった恋の話だからか、特別嫉妬を抱く事なく聞けているようだ。しかしリッカは悲しい出来事も同時に思い出すのか、眉を困らせる。

「でも『本当は占いを信じてない』って言われて。あんなに話を聞いてくれたのに…ってなっちゃって。私と付き合ってる理由ってなんだろうって、単に多恋だからかなって思ったりもして…だって私の前に三十人近くの女と付き合ってたらしいですもの、それで別れた。」

それを聞き、美夜は目を丸くした。

「そんなに後の人だったんですね、リッカさんは。」

「そうみたい。美夜さんの前はヒカリさんで、その前が私だったわ。」

「そうですか。」

美夜が返事をすると、リッカは切り替えた様子になって口を開いた。

「私の話は置いといて。話しましょうか、本郷さん達の事。」
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