デッドエンド・ウェディング

うてな

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36 グリーンクォーツ:心身の健康

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「事実を言えば… 璃沙は毒を盛ってねぇな」

広也の言葉に美夜も綺瑠も驚いた表情を見せていた。

「つ、つまり…璃沙は何も悪くないって事?ヒカリのせいだって事?」

「ああ ヒカリに騙されたみたいだな 璃沙はまんまと引っかかって 美夜に毒を渡しちまったんだ」

すると、美夜は真面目な表情で言う。

「でも、璃沙さんは毒の事を知ってたわ。その事を事前に教えてくれたっていいじゃない…。」

「璃沙は脅されてたんだよ 脅しの内容は面倒だからまた後で言うとして 美夜を毒殺しなけりゃ綺瑠が死ぬとも言われてた それでも美夜を殺せねぇって最後まで踏みとどまってたんだぞ」

それに美夜は、思わず璃沙の方を見た。璃沙は何も話したくないのか、ずっと黙っている。綺瑠も璃沙の方を見ると言った。

「なぜ、そんな重要な事を教えてくれなかったの?」

璃沙はそれでも無言を貫こうとしたが、一同の視線がバックミラーに映る璃沙に集まる。あまりの視線に璃沙は観念し、溜息をついてから話した。

「綺瑠が…好きだからだよ。」

その言葉で、思わず綺瑠と美夜は眉を潜めた。進也は顔を赤くしてしまうと、璃沙は続ける。

「綺瑠の気持ち、望み、そういったもの全てを尊重したかった。綺瑠は美夜を引き取る前に『美夜を一番に考え、幸せにする。』そう言ったろ。私が綺瑠を美夜から奪ったら、それは美夜の幸せを奪う事になる。綺瑠の望みを、叶えられなくなる。…だから私は、嫌われる道を選んだんだ。」

それに一同が反応すると、綺瑠は呆れたように溜息。璃沙はそれを聞いて俯いた(勿論赤信号で止まっている)が、綺瑠は言った。

「彼が適当に呟いた事を、守り抜こうとするなんてね。」

「え?」

璃沙が言うと、綺瑠は続けた。

「あの時の彼は、初対面の美夜に何の思い入れもなかっただろう。思い入れも何もない人間を、幸せにしたいって彼なら普通思うかい?」

それを聞いた進也は、目を丸くして満面の笑み。

「確かに不思議な話っす。あの綺瑠がそう考えるとは思えないっすね。」

「思わないだろうけど、でも確かにそう言った。」

璃沙の言葉に、綺瑠は鼻で息をつく。綺瑠は窓の外を覗きながらも言った。

「彼が愛してた女、夢月が死んだのも丁度あんな場所だった。…彼の目には君を作った学者、夢月が映っていたんだよ。」

「それってどういう…?」

美夜が聞くと、綺瑠は美夜を見て続けた。

「あの時の彼は美夜がどうとか関係なくて、生かしたい女を失った自分と美夜を重ねてしまっただけ。だから僕が言いたいのはね、璃沙が考えているほどあの時の言葉は重要じゃないって事さ。」

璃沙はその言葉に反応すると、ふと我に戻って運転に再び集中する。美夜は綺瑠に聞いた。

「表の綺瑠さんは夢月さんの事を好きだったって聞きましたが、裏の綺瑠さんは好きでしたか?」

美夜の質問に、綺瑠は美夜を見つめた。美夜は目を丸くすると、綺瑠は視線を逸らしてから言う。

「気になってはいた。その時の僕は、みんなに恐れられたり偏見の目で見られていたからね。彼女も僕と同じ境遇でね、身近に感じてはいた。僕が多重人格だって知っても、驚く素振りも見せなかったし。…それがどうかしたかい?」

綺瑠に聞かれ、美夜はふと反応。それを見た綺瑠は、首を傾げてから言う。

「まさか、死んだ夢月にも嫉妬してるの?」

図星だったのか、美夜はギクッとしてしまう。美夜は大人しく何度か頷くと、綺瑠は顔を逸らしてから言った。

「可愛い…」

そう言われ、美夜は頬をピンク色にしてしまう。綺瑠は美夜の顔を見ると、不気味な笑みを浮かべて「えへへ…」と笑った。その表情に美夜は逆に鳥肌を覚えてしまうが、それを見た進也は笑いながら言う。

「相変わらず裏綺瑠の笑顔は気持ち悪いっす!」

貶された綺瑠は進也の方を見て、不機嫌そうな顔を見せた。綺瑠は口を尖らせながらも言う。

「進也の意地悪。でもそういう所もイイ。」

顔と言葉が一致しない、一体どういう感情なのか。実は喜んでいた綺瑠を進也は恐れ、広也に抱きついて言った。

「あああ兄貴、綺瑠が怖いっすよぉ…!」

しかし広也はくっつかれて鬱陶しいのか、怒りの表情で言い放つ。

「離れろッ 熱っ苦しい」

それに美夜は苦笑していると、なんやかんやで家に到着。綺瑠は駐車中の璃沙に聞いた。

「で、遊園地の話になるけどさ。急になんでキスしてきたの?」

それを聞いた美夜は反応し、璃沙は顔を思わず引きつった。璃沙は綺瑠に視線を合わさずに言う。

「理由なんて聞くな!…結果私にくっつく事がなくなったんだから、結果オーライだろ。」

「でも美夜と綺瑠が別れちまったっす。」

と言ったのは進也。そう言われ、綺瑠は不機嫌そうな顔。

「あっちの僕は何を考えているんだろうね。もう彼の主張はナシで僕と美夜とで結婚しちゃおうよ。」

美夜はその言葉に苦笑。すると広也は、停車した車から降りながら言った。

「結婚しようとしまいが 元カノの存在は厄介だな どうにかしておきたいもんだ」

すると綺瑠は目を輝かせる。勿論無表情でだ。

「広也、それだよ。結婚式中、元カノ達を全員どっかに縛っておけば…!」

「それは誘拐で犯罪だ!馬鹿。」

と言ったのは璃沙。綺瑠は不機嫌な表情を浮かべると、美夜は上の空で思う。

(リッカさんが本郷さんとグルの元カノさんの話をしていたな。…確か、コトネさん、マヒルさん、ヒカリさん、クルミさんの四人だったはず。ヒカリさんは毒殺未遂事件で捕まって、クルミさんは傷害罪で捕まったから…後は本郷さんを含めて三人って事になるのかしら。璃沙さんは一応、犯人一覧から抜いておこう…。)

すると進也は家へ一番乗りしながら言う。

「でもどうやって元カノを止めるんすか?相手が何かしら行動しないと止める理由ができないっす!」

美夜は進也の意外と現実的な話を聞いて考える。

(コトネさんは結婚式の時には必ずやってくる。マヒルさんは一回しか会った事ないからわからないけど…。)

そう思いつつも、美夜は綺瑠を見た。綺瑠は璃沙に案をダメ出しされたのが悔しいのか、璃沙を睨みつけていた。美夜は思う。

(マヒルさんは、コトネさんみたいに綺瑠さんを深く恨んでいる感じはしなかったし…。綺瑠さんに、どんな人か聞いてみようかな。ついでにリッカさんの事も気になるし、聞いてみよう。)

美夜は綺瑠の方にやってきた。

「綺瑠さん、後で二人で話できますか?」

それを聞いた綺瑠は一瞬時が止まる。そして何を勘違いしたのか、服を整えながら咳払いした。

「い、いいよ美夜。今夜だね…。いや、ここは服を整える所じゃなくて脱ぐところか…」

とても緊張した様子の綺瑠。すると璃沙は怒りの表情を浮かべて言う。

「勝手に夜の約束を取り付けるな!」

璃沙に怒られたせいか、綺瑠は再び璃沙を睨んだ。

「やっぱり君は僕が嫌いなんだ!僕を怒って楽しんでるんだな!」

「はぁ!?美夜が真剣に話をしてんだから、真面目に約束取り付けるのが道理だろ!」

「僕は至って真剣だ。」

綺瑠はドヤ顔で言うので、璃沙は呆れたのか言うのをやめた。二人の言い合いは珍しくないのか、進也も広也も眺めているだけ。美夜はそんな二人の仲裁をする様に、綺瑠に言った。

「ただお話をするだけです。お庭の方でいいですか?」

そう言われ、綺瑠はショックを受けた顔。やがて綺瑠は不貞腐れた表情を浮かべ、小言を言う。

「璃沙があんな事言うから、部屋からお庭に変わった…。」

すると、強調するように美夜は言った。

「元から庭で話すつもりでしたよ!?」

しかし綺瑠の耳には届いておらず、暫く落ち込んだ様子であった。それを呆れた様子で見ている璃沙と広也は、さっさと家の中へ向かう。ちなみに進也は、既に家の中へと帰っていた。
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