六音一揮

うてな

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1章 序奏前奏

第6音 奇想天外

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【奇想天外】きそうてんがい
普通では思いもよらない奇抜な事やさま。

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部屋の明かりがつく。朝が来たのでツウが明かりをつけたのだ。

ルネアは昨日のドタバタで疲れ、まだグッスリ。

「王子、疲れてるの?
長く寝てると老化が進むよ?」

ツウにそう言われ、ルネアは勢いよく起き上がった。
ルネアはツウの方を見ると、ツウは思わず笑ってから言う。

「嘘だよー。
おはよう、王子。」

そう言われ、ルネアは不機嫌な顔。
それから時計を見て、目を丸くして言う。

「あれ、もう朝なんだ。」

ルネアは起き上がって部屋を見ると、ルカの寝ていた陣地が沢山散らかっている。
片付けたくなるほど散らかっている。

「うわー…なにこれ。」

その内の一つを拾い上げると、それは派手に装飾された服。
ルネアがその服を眺めていると、ツウは言った。

「王子ー?布団のたたみ方見せるよー」

ツウの言葉に、ルネアはその服を持ちながらやってくる。
そしてツウが布団を蛇腹折りにたたむ。
ルネアはそれに感動を覚えた。
ルネアは今までベッドで寝ていて布団を知らない為に、端までキレイにたたまれた布団に感動を覚えている。

「凄い!芸術!」

「大げさだよー」

ツウはそう言って押入れに布団を部屋の隅に片付けた。
ルネアはその芸術を自分も完成させたいと思い、布団をたたんだ。
しかし、蛇腹に折るのも一苦労、程度や感覚がわからない為どうしても汚くなってしまう。

「慣れればできるようになるよー」

ツウの言葉に、ルネアは日々鍛錬する事を心に決めた。

そしてルネアはまた、先程の服を拾った。
いっぱい飾り付けされているので、一つ一つ取っていく。
そのブチブチっとした音に、ルカは目覚めて起きた。
取っていく先に見えたのはジャージ、ルネアは顎に手をつけて考え始めてしまう。

(何この服。)

すると、ルカは目を大きく見開きながら言った。

「ルネア!それ俺のシャレオツ服!」

涙目でそう言ったので、ルネアは慌てて服を返す。

「すいません!何かの悪戯かと思って取っちゃいました。」

ルカはガクッと座り込むと、ツウは笑いながら二人を見ていた。
ルネアはルカを見るとクスッと笑った。

(ルカくんは見た目はちょっと怖いけど、話してみると全然怖くないな。)

ルネアは翌々見てみると、あの散らかった陣地はルカのだと知る。
物でごちゃごちゃしていて、何が置いてあるかわからない。

ツウの陣地は謎の機械やおもちゃ、棚などはカラフル。
子供らしいとも言える。

ダニエルの陣地はさっぱりしていた。
女らしい物はなく、物を大事そうに綺麗に保管されている。

それぞれの個性が見えて、ルネアはなんだか微笑ましい。

そこで、部屋の扉が開いた。
ダニエルが入ってきたのだ。

「あら、みんなおはよ。
朝からラムとアールが口論してるから見に行っちゃった~」

「へぇ」

とツウが言うと、ルカは笑う。

「よくやるな~二人共」

しかし、ルネアは全く笑えない。

「止めに行った方がいいですよ!僕行ってきます!」

そう言ってルネアは部屋を出てしまう。
三人は驚いた顔をすると言った。

「あら、いつもの事だから止めなくていいのに。」

「王子は平和主義者なんだね。」

「あれん?ルネアは二人の部屋知ってんの?」

「あら、教えないと。私行ってこようかしら。」

「俺も俺も~!」

「ルカ兄が行くなら僕も行こっかなー」

ツウは廊下を出ようとするルカを止めると更に言う。

「ルカ兄、布団。」

「あ!」

ルカは布団を急いで雑にたたむと、ルネアを追いかけるのであった。
部屋の端には綺麗にたたまれた布団二つと、雑にたたまれた布団、ぐちゃぐちゃの布団が並んでいた。

ルネアは廊下をトボトボ歩いていると、ツウとルカが駆けつけてくる。

「ちょっと王子、真逆に行ってどうするのさ。」

「わからないんだもん」

ルネアはムッとして言うと、ルカは笑った。

「しょうーがねー!俺について来い!ルネア!」

ルカは足踏みしながらも陽気にルネアを案内してくれる。
ルネアは二人についていくと、とある部屋の前にダニエルが立っていた。

「あ!ダニエルさん!」

「あら、来たのね。さあご覧なさい、これが二人の口論。」

ダニエルはそう言うと、その扉を開くのであった。

扉の先には、アールが床で正座をしていた。
しかも、ラムの前で。

「だから!俺が言ってんのはそうじゃないんだよ!」

ラムは何かに心を乱されている様子で、アールは表情一つも変えていない。

「お前は気になんないのか!?
その、何もない床に置かれた…!」

ラムはそう言って床に指を向けた。
そしてラムは言う。

「【文具入れ】が!!」

ただ何もない床に文具入れが置いてあるだけである。

ルネアは正直、無しか感じなかった。

何もない綺麗なフローリングの床の上、アールの前に置かれた筒状の文具入れ。
ペンやのり、ペン型はさみなど、工作でもやるのではないかという文具が入っていた。

(ちっさな事で怒ってるなぁ…)

ルネアはそう思ってしまうと、ダニエルは苦笑いしてしまう。

「文具入れ…ねぇ…」

するとツウも

「それだけで怒るんだね。」

と言い、ルカも腕で目を隠しながら言った。

「細かうぃん!」

「はっはっは…」

ルネアは微妙な反応をしていると、アールはラムに言う。

「この方が便利だぞ、工作の時とか。」

アールはそう言うと文具入れからハサミを取り出して見せ、ラムに差し出した。

「使うか?」

「使わねぇよっ!」

ラムは言ったが、なんだか疲れている様子。
アールを相手にすると疲れるのだろうか。
ちなみにルネアはアールの意外な一面に、微笑ましく思っていた。
それから、ルネアは部屋を観察。

アールの陣地はモノトーンカラーの物が殆どで、味っけがなく本棚は工作した物でいっぱい。
机の上には写真立てがあり、写真など入っておらず紙が一枚。
「右往左往」と筆で書かれた紙であった。

(アールさんって本当に変な人…)

次にラムの陣地を見ると、ラムの陣地は整理整頓がしっかり成されていて言葉も出ない。
しかし、可愛らしいマスコット人形などを飾っているところ、やっぱり女なんだと思わせる。
とは言い、綺麗にされすぎて触れる事も許されない領域に見えた。

ルネアはラムと同室でない事に安心していると、部屋の端にテナーがいる事に気づく。

今まで気付かなかった。

喋らないのもあるが、大人しくしている為に全く気付かなかった。
テナーの陣地は物という物は置いておらず、まるで引越ししてきたばかりの様な陣地。

そこでアールが呟いた。

「そういう事はよく私に言って。…ラムは私の事が嫌いなのか…。」

そう言われたラムは慌てた様子で言う。

「は!?きっ…嫌いじゃねぇよ!ただ…お前がだらしないから…。」

ラムは少々顔が赤い。
ルネアは恋心を感知すると、不自然な笑みがこぼれてしまう。

(そうだよね!むしろ好きなんだよ!言っちゃえばいいのに!)

「そうか…。」

アールはそう言うと立ち上がる。
そして部屋から出ようとするのだ。

「お…おい!これどうすればいいんだよ!」

ラムが聞くと、アールは言う。

「そのまま置いても…いいだろう?」

その言葉にラムはカッと来る。

「話を聞いてたか!?て言うか、机椅子あんだから座って読書や工作しろよ!
床で読書したり工作ってお前…っ」

「机は狭い。」

「じゃ机いらねぇじゃん!」

ラムはツッコミを入れるのに疲れているのか、息が切れそうだ。
すると、アールは溜息をつく。

「…そんなに私の自由を奪いたいのか。」

アールは不満そうな顔を見せて言うと、ラムは言った。

「はっ!?なんだよそれ!ちげぇよ!て言うかなんだその顔はっ!」

それで面白く思ったのか、ツウは小声で呟く。

「アール可哀想…」

そしてルネアも便乗する。

「可哀想ですね。」

「本っ当…っ」

とダニエルも涙するように言うと、ラムは三人に気づいた。

「なんだよ!俺のせいかよっ!」

ルカは三人を庇うように前に出ると、真面目な顔をする。

「ドンてぃん!」

ルカの一言に、ラムはツッコミを入れた。

「ドンてぃんってなんだよ!」

しかしルカはその真面目な顔を見せたまま詳細は言わなかった。
周囲に責められた気がしたラムは、ふとテナーを助けに呼ぶ。

「おいテナー、お前からも何か言ってく…」

と言った瞬間にラムは気づいた。

「あ、喋んねぇんだったな。」

そしてツウはテナーを見ると言う。

「あ、いたんだ。」

「影薄いですよね!」

と最早暴言を言ったのはルネア。
テナーは悲しくなったのか、両手で顔を隠した。

「三人は同室よ。」

ダニエルはそう言ってウィンクをするのであった。
しくしくし始めるテナーにラムは言う。

「大丈夫!俺が忘れてないから安心しろ!」

すると、ゴン!と何かをぶつける音が部屋に響いた。
何事かと思うと、扉の前でアールが頭を抱えている。
扉を開けずに廊下に出ようとしたのか、頭をぶつけた様だ。
ラムは心配するとアールに駆け寄る。

「大丈夫か!?てかなんで扉開けなかった!?」

「うん…。」

アールは返事をするだけ。
ツウやルカは愉快そうに笑うが、ルネアは驚いた様子。

「いつもの事ー」

とツウが呑気に言うと、ルネアは微妙な反応。
すると、ダニエルはワンテンポ遅れて驚く。

「アール大丈夫?」

ルネアはダニエルの反応の遅さに苦笑しつつも、
ドジなアールが本当に仲間を裏切るのか、あまり信じられなくなっていた。



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