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2章 接続独唱
第18音 生殺与奪
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【生殺与奪】せいさつよだつ
絶対的権力を持つ事。
=========
ルネアは学習部屋でリートと共に勉強中。
ルネアはプリントを見ながら言った。
「僕、魔法を扱う才能ないんでしょうか…。」
「も、元々魔法力が無かったから、使うのに苦労するのかも…」
「でもでもぉ、ビジョンは見えるんですよぉ~」
リートは黙ってしまうと言った。
「じゃあ…ビジョンを見たり、時を行き来する以外の能力が使えないのかも…。」
ルネアはガクッとしてしまうと、リートは苦笑。
「し、仕方ないわ。ラムにもこの事は言っておくから。」
「ふぃ~」
ルネアは適当な返事をしてプリントを見ていると、とある魔法に興味を持つ。
「この、攻撃魔法・防御魔法にある、最高クラスの魔法ってラムは使えるのかな?」
「どうかしら。でもそこまで使えちゃったら、大魔導師を目指した方がいいでしょうね。」
リートは笑ってしまうと、ルネアはその魔法を見ていた。
「攻撃魔法の【破極天災(はきょくてんさい)】、大地や大空や世界一帯を大災害に落とし込む恐ろしい魔法…こんなの使う人いるんですか…?」
「人間はそこまで大きな魔法力は持てないから、いないんじゃないかしら。」
ルネアは安心すると、リートはルネアの見ているプリントを一緒に見た。
リートは次に防御魔法の方を指差すと言う。
「防御魔法の最高クラスの魔法は【極点守護(ごくてんしゅご)】。
この地サグズィも、極点守護の力で穏やかな地と生命が保たれているのよ。
大地を支え、生命に生きる環境を与えている。
もしかしたら、この力を使える人がこの世界にはいるのかも。極点守護で守られた島ですものここは。」
ルネアは感心すると、その最高クラスの魔法である二つの力を眺めていた。
(破極天災って魔法があるって言われてるなら、この世界にも使える人が存在する気がする。
だって、この世界に極点守護を使える人がいるかもしれないのに…。)
=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*=*
その日の夜、児童園の裏。
児童園の裏ではまめきちが散歩をしていた。
すると近くの木の上で誰かを発見したそうで、浮かない顔をして話しかける。
「いるんだろう。」
すると、木の上にいた誰かは言った。
「見つかっちゃった?
ね~聞いて!大変な事になりそうなの~!」
青年の様な声、まめきちは溜息をつくと言う。
「お前も薄情な奴だな、アールを助けたいのなら助ければいいのに。」
「僕が下手に動いて、事が悪い方向に行ったら嫌だもん。僕は言われた事しかやらない。」
青年の言葉にまめきちは眉を潜めると、その青年に言った。
「そうか。所詮お前はそういう奴か。」
「はい~!?そういう君はなんなの!あの子に苦しい思いさせて!なんとも思わないの!」
その言葉にまめきちは黙り込み、それから立ち去りながらも言う。
「私にはわからないんだよ。彼は本当に彼なのか、それとも【アイツ】か。」
青年は言葉に詰まると、まめきちをそのまま見送った。
そして青年は退屈そうに木の上で寝転ぶと、アールとレイがやってくるのを見つける。
(あ…)
レイは周りに誰もいない事を確認すると、アールに言った。
「ラム・ローフ、容姿魔法を操り姿を変える事が出来る、ペルちゃんの探している例の子…」
すると、アールは今までにない反応をする。
無表情だった顔が、一瞬にして緩んでレイを睨んだ。
レイはその顔を見た瞬間、にったり笑って言う。
「驚いた?私知っちゃったのよ、ほぼ奇跡みたいなものなんだけど。」
アールは平静を装うが、一度緩んだ表情はなかなか固くはならない。
誰が見ても焦っているようにしか見えないだろう。
「いいのよ焦らなくて。私はあなたの味方、ペルちゃんには言わないでおくわ。」
レイは笑顔で言うと、アールは自身の表情を隠すように口を手で覆うと言った。
「…どこでそれを…!」
「情報を漏らした相手を口封じとか考えてる?
残念だけど、勝手に本人が墓穴掘ったのよ。」
アールは考えていた。
(どうする…!レイの出方次第ではラムに危険が…!)
レイはそんなアールを見ると笑ってしまう。
「優しいのね、そんなにあの子が大事?
恋したみたいに一途になっちゃって、相手は男の子よ?」
アールは眉を潜めて言った。
「レイ様もお気づきになられているのでは。」
レイはその言葉を聞くと、不穏な顔を見せる。
「やっぱり…あなたは彼女が好きなのね。」
「女であろうと男であろうと、ラムは私の大切な友人です。」
レイは言葉を塞ぐように言った。
「あなたの本当にしたい事、聞いてみようかしら?
包み隠さずどうぞ?私を納得させてちょうだいよ。」
「私はラムを救えればそれでいいのです。」
それを聴いたレイはつまらなそうな顔をしてアールの周りを歩く。
「じゃ、彼女の為なら手段を選ばないのね?」
アールは答えるのを躊躇ったが、観念したのか言った。
「…はい。」
するとレイはアールに振り向き、一気に距離を縮めた。
レイはアールの目を見つめている。
「あなたもなかなか深い愛を持っているわ。
愛する者の為に手段を選ばないの……私にそっくり。」
アールは一歩、レイから距離を置いた。
「言いたい事はわかるでしょ?
…そっくりって事は……私も手段を選ばないの。」
レイは一気に声色を暗くしたので、アールは一瞬警戒をする。
「ペルちゃんの好きな彼、最近恋人ができたのよ。
ペルちゃんも大変ね、彼を奪う為に焦って無差別に誰かを襲うかもしれないわ。
でも、あの子だけ助かればあなたはいいのよね?」
しかし、アールは深刻そうな顔をして黙っていた。
「でも大丈夫、私はあなたの味方。言ったでしょ?
ペルちゃんには黙ってあげる、全て全て。」
レイはアールの頬を指でなぞりながら言う。
それから顔を近づけると言った。
「出来るだけの事はしてあげたいの。あなたの為に…」
アールは冷ややかな表情でレイを見ると言った。
「わざわざそんな話を持ちかけるなんて…他に目的があるのでしょう。
あなたの…望みが。」
するとレイはアールから数歩離れ、アールに向かって両腕を広げた。
「私を愛して頂戴。
心が駄目なら、まずは体から。」
レイはそう言うと、小さく笑う。
アールの顔は一瞬驚くと、すぐに憎悪のある表情に変わった。
歯を食いしばり、拳を強く握り。
レイは葛藤しているアールを見て楽しんでいた。
アールは心を決めたのか、彼女との距離を縮めて優しく抱きしめる。
レイは幸せそうに抱きしめ返すと、アールはどうしようもないくらいの強い感情に支配された。
(コイツを殺せたらどれだけ楽な事か…!)
アールはポケットにあるカッターを手に取りそうになるが、そんな自分を強く自制する。
(駄目だ…!コイツを殺したら…ラムの大嫌いな軍と全く変わらない…!)
アールは静かに葛藤し、やはり彼女を受け入れるしかなかった。
レイはそんな葛藤はお見通しだった。
アールはペルドの野望を止める為に生き、一人の友人を守る為に生涯をかけるつもりであった。
しかし今は最大の弱みを握られ、他の女を愛さなければならなくなる。
悲しむ涙なんて彼にはない、恨み、憎しみだけだった。
(ラム…!…ラム…絶対…助ける…から……)
アールは必死に耐えて、自分に言い聞かせた。
青年はいつ移動したのか、児童園の表にいた。
月明かりがよく当たり、彼の姿が映し出された。
青年の姿はなんと、アールにそっくり。
所々違いは見られるが、遠くから見たら間違いなく判別がつかない。
眼鏡の有無で判断するしかないだろう。
「主の言う事は絶対忠誠である、僕達の種族。
交わしてしまったら逃れられない契約。
彼は交わしてしまったんだ…あの魔物と。」
青年は児童園の方を見つめるともう一つ言った。
「またね片割れくん、僕は一足先にお休みするよ。」
そう言って青年は背中から翼を広げる。
翼は漆黒で、コウモリのような翼だった。
絶対的権力を持つ事。
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ルネアは学習部屋でリートと共に勉強中。
ルネアはプリントを見ながら言った。
「僕、魔法を扱う才能ないんでしょうか…。」
「も、元々魔法力が無かったから、使うのに苦労するのかも…」
「でもでもぉ、ビジョンは見えるんですよぉ~」
リートは黙ってしまうと言った。
「じゃあ…ビジョンを見たり、時を行き来する以外の能力が使えないのかも…。」
ルネアはガクッとしてしまうと、リートは苦笑。
「し、仕方ないわ。ラムにもこの事は言っておくから。」
「ふぃ~」
ルネアは適当な返事をしてプリントを見ていると、とある魔法に興味を持つ。
「この、攻撃魔法・防御魔法にある、最高クラスの魔法ってラムは使えるのかな?」
「どうかしら。でもそこまで使えちゃったら、大魔導師を目指した方がいいでしょうね。」
リートは笑ってしまうと、ルネアはその魔法を見ていた。
「攻撃魔法の【破極天災(はきょくてんさい)】、大地や大空や世界一帯を大災害に落とし込む恐ろしい魔法…こんなの使う人いるんですか…?」
「人間はそこまで大きな魔法力は持てないから、いないんじゃないかしら。」
ルネアは安心すると、リートはルネアの見ているプリントを一緒に見た。
リートは次に防御魔法の方を指差すと言う。
「防御魔法の最高クラスの魔法は【極点守護(ごくてんしゅご)】。
この地サグズィも、極点守護の力で穏やかな地と生命が保たれているのよ。
大地を支え、生命に生きる環境を与えている。
もしかしたら、この力を使える人がこの世界にはいるのかも。極点守護で守られた島ですものここは。」
ルネアは感心すると、その最高クラスの魔法である二つの力を眺めていた。
(破極天災って魔法があるって言われてるなら、この世界にも使える人が存在する気がする。
だって、この世界に極点守護を使える人がいるかもしれないのに…。)
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その日の夜、児童園の裏。
児童園の裏ではまめきちが散歩をしていた。
すると近くの木の上で誰かを発見したそうで、浮かない顔をして話しかける。
「いるんだろう。」
すると、木の上にいた誰かは言った。
「見つかっちゃった?
ね~聞いて!大変な事になりそうなの~!」
青年の様な声、まめきちは溜息をつくと言う。
「お前も薄情な奴だな、アールを助けたいのなら助ければいいのに。」
「僕が下手に動いて、事が悪い方向に行ったら嫌だもん。僕は言われた事しかやらない。」
青年の言葉にまめきちは眉を潜めると、その青年に言った。
「そうか。所詮お前はそういう奴か。」
「はい~!?そういう君はなんなの!あの子に苦しい思いさせて!なんとも思わないの!」
その言葉にまめきちは黙り込み、それから立ち去りながらも言う。
「私にはわからないんだよ。彼は本当に彼なのか、それとも【アイツ】か。」
青年は言葉に詰まると、まめきちをそのまま見送った。
そして青年は退屈そうに木の上で寝転ぶと、アールとレイがやってくるのを見つける。
(あ…)
レイは周りに誰もいない事を確認すると、アールに言った。
「ラム・ローフ、容姿魔法を操り姿を変える事が出来る、ペルちゃんの探している例の子…」
すると、アールは今までにない反応をする。
無表情だった顔が、一瞬にして緩んでレイを睨んだ。
レイはその顔を見た瞬間、にったり笑って言う。
「驚いた?私知っちゃったのよ、ほぼ奇跡みたいなものなんだけど。」
アールは平静を装うが、一度緩んだ表情はなかなか固くはならない。
誰が見ても焦っているようにしか見えないだろう。
「いいのよ焦らなくて。私はあなたの味方、ペルちゃんには言わないでおくわ。」
レイは笑顔で言うと、アールは自身の表情を隠すように口を手で覆うと言った。
「…どこでそれを…!」
「情報を漏らした相手を口封じとか考えてる?
残念だけど、勝手に本人が墓穴掘ったのよ。」
アールは考えていた。
(どうする…!レイの出方次第ではラムに危険が…!)
レイはそんなアールを見ると笑ってしまう。
「優しいのね、そんなにあの子が大事?
恋したみたいに一途になっちゃって、相手は男の子よ?」
アールは眉を潜めて言った。
「レイ様もお気づきになられているのでは。」
レイはその言葉を聞くと、不穏な顔を見せる。
「やっぱり…あなたは彼女が好きなのね。」
「女であろうと男であろうと、ラムは私の大切な友人です。」
レイは言葉を塞ぐように言った。
「あなたの本当にしたい事、聞いてみようかしら?
包み隠さずどうぞ?私を納得させてちょうだいよ。」
「私はラムを救えればそれでいいのです。」
それを聴いたレイはつまらなそうな顔をしてアールの周りを歩く。
「じゃ、彼女の為なら手段を選ばないのね?」
アールは答えるのを躊躇ったが、観念したのか言った。
「…はい。」
するとレイはアールに振り向き、一気に距離を縮めた。
レイはアールの目を見つめている。
「あなたもなかなか深い愛を持っているわ。
愛する者の為に手段を選ばないの……私にそっくり。」
アールは一歩、レイから距離を置いた。
「言いたい事はわかるでしょ?
…そっくりって事は……私も手段を選ばないの。」
レイは一気に声色を暗くしたので、アールは一瞬警戒をする。
「ペルちゃんの好きな彼、最近恋人ができたのよ。
ペルちゃんも大変ね、彼を奪う為に焦って無差別に誰かを襲うかもしれないわ。
でも、あの子だけ助かればあなたはいいのよね?」
しかし、アールは深刻そうな顔をして黙っていた。
「でも大丈夫、私はあなたの味方。言ったでしょ?
ペルちゃんには黙ってあげる、全て全て。」
レイはアールの頬を指でなぞりながら言う。
それから顔を近づけると言った。
「出来るだけの事はしてあげたいの。あなたの為に…」
アールは冷ややかな表情でレイを見ると言った。
「わざわざそんな話を持ちかけるなんて…他に目的があるのでしょう。
あなたの…望みが。」
するとレイはアールから数歩離れ、アールに向かって両腕を広げた。
「私を愛して頂戴。
心が駄目なら、まずは体から。」
レイはそう言うと、小さく笑う。
アールの顔は一瞬驚くと、すぐに憎悪のある表情に変わった。
歯を食いしばり、拳を強く握り。
レイは葛藤しているアールを見て楽しんでいた。
アールは心を決めたのか、彼女との距離を縮めて優しく抱きしめる。
レイは幸せそうに抱きしめ返すと、アールはどうしようもないくらいの強い感情に支配された。
(コイツを殺せたらどれだけ楽な事か…!)
アールはポケットにあるカッターを手に取りそうになるが、そんな自分を強く自制する。
(駄目だ…!コイツを殺したら…ラムの大嫌いな軍と全く変わらない…!)
アールは静かに葛藤し、やはり彼女を受け入れるしかなかった。
レイはそんな葛藤はお見通しだった。
アールはペルドの野望を止める為に生き、一人の友人を守る為に生涯をかけるつもりであった。
しかし今は最大の弱みを握られ、他の女を愛さなければならなくなる。
悲しむ涙なんて彼にはない、恨み、憎しみだけだった。
(ラム…!…ラム…絶対…助ける…から……)
アールは必死に耐えて、自分に言い聞かせた。
青年はいつ移動したのか、児童園の表にいた。
月明かりがよく当たり、彼の姿が映し出された。
青年の姿はなんと、アールにそっくり。
所々違いは見られるが、遠くから見たら間違いなく判別がつかない。
眼鏡の有無で判断するしかないだろう。
「主の言う事は絶対忠誠である、僕達の種族。
交わしてしまったら逃れられない契約。
彼は交わしてしまったんだ…あの魔物と。」
青年は児童園の方を見つめるともう一つ言った。
「またね片割れくん、僕は一足先にお休みするよ。」
そう言って青年は背中から翼を広げる。
翼は漆黒で、コウモリのような翼だった。
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