六音一揮

うてな

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2章 接続独唱

第21音 相思相愛

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【相思相愛】そうしそうあい
お互いに慕い合い、愛し合っている事。

=================

朝早くラムは、木の傍でこんな事を考えていた。

(アール、お前きっと何か隠してるよな。
あの日見た傷、最近の調子といい、只事じゃない気がする。
アイツの悩み、全部俺が聞いてやらないと…!)

ラムは心に決めた顔をすると、次に別の恐怖が襲う。

(でも新入生に止められそう…)

ラムは無駄な心配をしている為、今日もアールの相談には乗れないだろう。



そしてアールは、自分の部屋で一人着替えをしていた。

(友情…愛情…。ラムは…どう思ってるのだろう…。
ここ数年、ラムと共に過ごす時間が減った…。)

部屋の壁を真っ直ぐに見つめるアール。

(ラム、お前は今でも私の事を…友だと思ってくれているか…?)

アールは閉塞感しかない部屋に、一人ポツンと立っていた。



一方ルネアはダニエルの部屋にお邪魔していて、ダニエルにこんな質問をする。

「ルカくんは零からここ、ツウは拾われたんでしょ、ダニエルさんは?」

「私はお邪魔したのよ。」

ダニエルはウィンクをして言った。
ルネアは首を傾げてしまうと、ツウが言う。

「ダニエルはサグズィを歩き回ってたんだって、ここに入る前はね。」

「旅人…!?」

ルネアの目は輝くと、ダニエルは言った。

「旅というか、家族を探してたのよねぇ~」

「家族…ですか?」

ルネアは首を傾げてしまうと、ダニエルは頷く。

「ええ。家は貧乏してたけど、楽しく暮らしてたわ。
でも生活が苦しくなるのは嫌だから、自ら自分を売りに出して、売られた後は逃げ出すってのを繰り返してたの。」

ルカはそれに笑ってしまうと言った。

「ダニエルは超力持ち!だからどんな拘束具も壁も牢屋もぶっ壊してたん~!」

「す…凄い…男前だ…!」

ルネアは感心し、ダニエルは照れた顔をする。

「あら~力はあっても心はオ・ト・メ。」

その言葉にルネアは苦笑、ダニエルは話を続けた。

「ある時ね、帰ろうと思ったら私の村が戦争でなくなっちゃってて。
辺り一面火の海だったわ。
道中の町は人の叫び声とか、必死に逃げる姿とかあったけど、私の村には人も消えてた。
みんなみんな灰にされちゃったのよ。みすぼらしい灰にね。」

その話を聞いてルネアは想像してしまったのか、吐きそうになってしまう。
ルネアは先日、ノノと魚釣りに行った時の町の方角から上がった煙を思い出したのだ。

(きっとあの町はもう…いや…もっと多くの町が…人が…)

ダニエルはルネアを見て少し慌てた様子になると言った。

「あら、こういう話はやめておきましょうね。
…そうそう、人がいなくなった村とかで食料調達とかしてたらまめきちさんに会って、
ここに来たらそう!みんな可愛いのよ!みんなみんっな!可愛すぎて涙出ちゃう!
だから私はここで暮らすって決めたの…!」

「最後適当やろ~ん」

とルカは言って倒れるリアクションをするが、ダニエルはルネアの様子を見た。
どうやらルネアを気にして、わざと最後はふざけた様子。
しかしルネアの顔色は良くならず、どんどん想像を膨らませている様子だった。
そこで三人の部屋の扉が開くと、ラムが顔を出した。

「お…おい…!」

それを見たツウは言う。

「覗くの好きだねラム。」

「あやすぃん」

ルカもなまった声で言うと、ラムは言った。

「話に入りづらいだけだっ」

ラムは話を聞いていた為か、ラムもあまり調子が良くないようだ。

「る…ルネアが可哀想だから部屋に連れて行くよ、辛いだろうし…。」

ラムがそう言うと、三人は顔を見合わせてからルネアを三人で運ぶ。
それをラムに託すと、ラムはルネアの顔色を確認した。

「おい、大丈夫かよ…深く考えんな…」

ラムはルネアにそう言い聞かせたが、ラム自身も深く考えすぎていた。
ルネアは聞こえるか聞こえないかくらいの返事しかせず、黙っているのだった。

ラムはルネアを部屋に連れると、布団をひいて寝かせてあげた。
するとルネアは一瞬にして熟睡。
ラムはつい笑ってしまった。

「寝たいだけかよ。」

そして静かな部屋。
ラムはふと、さっきの話から考えてしまう。

「戦争…。もしこの児童園も巻き込まれたら誰か…」

そう思った瞬間、ラムは考えるのをやめる。

(駄目だ!こんなの考えたら何にも手がつかなくなる…!
……でも、もし起こったら…?俺達はどうすればいいんだ…?)

ラムは止めようと思ったが、再び考えてしまった。

(みんなと一緒なら……怖くないかな…)

しかしラムは顔を下げてしまうと呟く。

「でも…死ぬのはやっぱり怖い…。」

「死ぬのは怖いか?」

と、背後から声が聞こえる。
ラムは咄嗟に振り返ると、それはアールだった。

「あ、アール…!」

ラムはルネアの前に胡座で座っていたので、アールはその隣に座った。

「寝てるのか?」

「あ…ああ。さっき戦に巻き込まれた町の話を聞いてさ…
俺もルネアも調子悪くなってきちまって…。」

「ラムも怖がっているのか。」

そう言われたラムは少し恥ずかしそうな顔になって言う。

「ま…まあ。」

アールはそれを聞いて、少し黙ってから聞く。

「ラムは、死ぬとしたら誰と一緒に死にたい?」

「え!?いきなりなんだよ!」

ラムが言うと、アールは真面目な顔をラムに向けた。
答えなければいけない状況だとラムは察すると、小声で言う。

「あ…アールと一緒なら…って!不吉な事言わせんな!」

ラムはそう言ってアールの顔を見ると、アールは目を丸くしていた。
頬が少しピンクかかっていて、アールがいつも美味しいご飯を食べた時にする嬉しい顔だった。
ラムはそんなアールを見てポカンとしてしまうと、アールが先に顔を背ける。

「…ラムは死なない。」

「…え?」

ラムはアールの言葉を疑問に思うと、アールは振り向いた。

「私がラムを守るから…ラムは絶対に死なない。」

アールは決意に満ちた顔をしていた。
ラムは予想外の言葉に顔だけでなく耳まで赤くする。
すると、ラムは強がった様子で言った。

「ば、ばかっ。ここの児童園の人達も守れよ…!」

しかし、アールは正直な考えを述べる。

「全員を守るなんて不可能…。と言うより、一人でそんなに守れない。」

それにラムは笑ってしまうと、アールを見て言った。

「そっちの方がお前らしい回答だ!」

アールははぐらかされたと思って、すぐに仏頂面に戻ってしまう。

ちなみにルネアは起きているが、寝ているフリをしていた。

(これでアールさんもラムの事を女だって知ってたら、きっと好き同士だったんだろうなぁ。
にしても、寝るフリってスリルたまんないなぁ~)

ルネアはそんな呑気な事を考えていた。
アールはルネアの前髪が気になると、前髪を整えてあげる。

すると、ルネアにとあるビジョンが流れた。

――「寒いけど…ここで待ってて、必ず迎えに行くから…」――

ルネアは急なビジョンに不自然に動くと、アールは手を離してしまう。

(寝ているのに驚いた…?)

そして更に、扉の外から強く壁を叩く音が聞こえた為、みんなが驚いた。
アールは驚いたと同時に、ルネアの方を見てしまう。
やはり動くのだ、彼が。
ルネアは冷や汗を流していた。

(バレるバレるバレるバレるバレる)

ラムは扉の外を困った顔で見ていると、アールは立ち上がって扉の前に向かう。

「じゃ、私はこれで。」

そう言ってアールは部屋を出て行ってしまった。
ちなみに扉の外にいたのはレイで、二人の雰囲気をぶち壊しにする為に叩いていた。
ラムはアールが立ち去った事を、魔法力が遠ざかるので確認すると思う。

(やっぱアールが裏切るなんて…信じらんねぇよ、俺。)

そんな事をラムが思っている傍ら、廊下窓の外からはアール似の青年が覗いていた。

(片割れくん…もっと大胆に言えばいいのにな…)

青年は少し考えると、ある言葉を思い出す。

――「お前も薄情な奴だな、アールを助けたいなら助ければいいのに。」――

これはまめきちの言葉だ。
青年はそれを思い出すとムスっとする。

(僕だってできますよ。きゅーーぴっとになるくらい!)

すると青年は笑顔を見せる。

(あ!そーだ!)

青年はそう思うと、すぐにその場を立ち去るのであった。



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