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4章 奇想組曲
第57音 心慌意乱
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【心慌意乱】しんこういらん
慌てて心が乱れ、
何が何だかわからなくなってしまう状態。
==================
ルネアは食堂の机に伏せる。
「アールさん帰ってきません」
ラムも表情を歪めた。
「おかしいなぁ。さっきまで……」
と、ショックな事を思い出して黙り込む。
シナは疑問符を浮かべながらも言った。
「そう言えばレイちゃんもいないわよ」
それに驚いたのはラム。
(ま…まさかこの戦時中に駆け落ちとか…!)
ラムの落ち着きのない様子に、リートは心配そうに見ていた。
(アールは大事な友達だもんね…)
ルネアはボーッと上の空を見つめていた。
そしてテノはそんな二人を見ていられないのか、
「生き返れぇッ!」
と喝を入れるのだった。
+~+~+~+~+~+~+~+~+~+~+~+~
アールは森を歩いていた。
一歩一歩、正気のない足を運ばせていた。
レイの殺害命令の件もそうだが、やはりさっきの青年の言葉も気になってしまう。
その時だった。
近くの茂みがガサッと揺れる。
アールがその茂みに近づくと、突然レイが驚かすように出てきた。
アールは少しの間止まっている。
「アールさん。どこに行っていたの?…帰りましょう?」
――レイを殺せ――
突如アールの脳内を横切る言葉。
アールはレイに両手を伸ばす。
レイは何事かと思っていると、彼の手が首に伸びていた。
驚いたレイは、アールから距離を離す。
「アールさん!?…まさかペルちゃんに…!?」
レイは言ったが、アールはポケットからカッターを出す。
「イメージが湧いてきます…。
この、カッターで血飛沫を浴びろと言っているのです…。」
アールはそう言うと、レイを追いかけ始める。
体が言う事をきかない。
レイはアールから逃げる。
幸い、レイはアールよりも走りが速かった。
彼から離れるのは容易かった。
が、アールは呟く。
「反鏡防壁…。」
その時、彼女の目の前にアールが現れた。
レイは驚くと後ろに回って走る。
しかし、後ろにもアールがいた。
(!?…はんきょう…鏡!)
レイが思ったその瞬間、アールがカッターを振り下ろす。
レイは腰についたシザーバッグから苦無を取り出すと、カッターを受け止めた。
そう、さっきのは自分を映した鏡の防壁。何の害もない。
アールの力は強く、受け止めきれない。
レイは仕方なく余った左手を軽く握るようにして、アールの顎を殴った。
するとそのまま、アールは気絶してしまった。
レイはとにかくまずはカッターを没収。
いくら工作用とは言え危険だ。
更に手首を縛ろうと考えたが、いい感じの縄が見当たらない。
すると、アールが起き上がってくる。
起きるのが早い。
レイは再び構えをとる。
「レイ様、逃げてください。…児童園へ。」
アールは言って、児童園の逆方向を歩こうとする。
「アールさん!」
「早くしてください…!そうでないと…っ。」
アールは少し苦しそうに言った。
レイは少し黙ると、児童園に向かって走るのであった。
レイがいなくなると途端に溜息をつくアール。
(…さっきのでペルドの洗脳が完全に覚めたのはいいが、
次はいつなるかわからない…。)
変な感覚だった。
今まで命令されても、しなくてはいけないと言う
気持ちだけで終わっていたのに、今回は本当に命令内容を意識に植えられていた。
彼はある場所に向けて歩き始めた。
その場所は、ペルドがよくいる洞窟。
魔物は夜行性なので暗いところが好き。
ちなみにその影響を受けているのか、レイも夜型だったりする。
児童園に帰って、レイを襲ってしまう事を考えると気が引ける。
しかもラムにあんなところを見かけられたので、更に帰りたくないだろう。
例えペルドに殺されても、誰かを傷つけるよりマシだ。
例え自分の力が奪われようとも、親の意識が復活してみんなを、星を襲うよりもマシだ。
そこにコソっとレイがついて行く。
帰る仕草はただの演技だった。
アールは本当に自分は疫病神だと思う。
得体の知れない生き物。
暴力で児童を怯えさせる生き物。
ついには星を破壊した竜の意識を持った生き物。
周りに迷惑しかかけていない。
それなら消えていった方がいいのである。
要らないなら消えていきたいのだ。
と、また暗い方向に考えてしまう。
洞窟につくアール。
そこには勿論ペルドがいる。
「来たか…」
とペルドは笑う。
「レイは殺してくれたか?」
「わかりません。」
「は!?」
「申し訳ございません…。意識が朦朧としておりました…。」
アールが言うと、ペルドは舌打ちをする。
「…まあいいか。おい!お前ここに来い」
ペルドにそう言われたので、アールは近くに来る。
暗くてよく見えないが、ペルドの隣に何かがある。
ツンとくる鉄の匂い。
誰のを採ったのだろう。懐かしい気がする。
この匂いが自分を一番落ち着かせる。
――あの反逆者やその仲間の生物達が死した証。――
急に脳裏にそういう言葉が過ぎったので、アールは目を丸くする。
(反逆者…?)
反逆者とは一体何なのか。
(きっと父の記憶だ…。)
アールは悟った。意識が侵食され始めている。
「さあ、その棺に入れ」
ペルドは命令する。
洞窟に夕日の日が差す。
棺がまるごと照らされ見える。
真っ黒な棺の中。
アールが手を入れると、何か液体が入っている。
真っ黒に照らされた液体は、時々赤い光を反射する。
手を出してみて、その手についたものをよく見てみる。
赤い血。綺麗な紅色をしている。
どうやって保存したのか気になるくらいだ。
アールは再び脈が速くなる。
心臓のドクドクという音がしっかり聞こえてくる。
(欲しい…。血が欲しい…。)
アールは別の意識に乗っ取られた感覚がする。
その意識が自分とシンクロしてわからなくなる。
「どうした?」
ペルドは言っている。
その血をアールは手ですくう。
「違う…。生き血が欲しい…。」
「は?」
アールは急に目覚めたような顔をした。
すると、アールの頭に聞こえてくる声。
――憎め…っ!お前を陥れた者全てを憎め!
恨め…っ!伸ばした手を離した者を恨め!
殺め…っ!勝手で理不尽な世を殺め!――
自分の心の奥にシンクロする、何者かの言葉。
目の前が薄くなる。意識が遠のきそうだ。
心臓の打つ音も痛く感じてくる。
「ううっ…意識が…っ消える…。」
頭を抱え、足掻き苦しむアール。
「うっ…ぐっ……このぉっ…!」
アールは耐える。
負けたくない。
アールはふと、自分の両手を見る。
手の一部が漆黒の鱗になっている。
(…ふ…ふふ……負け…た…?)
アールはその場で棺に寄りかかるように倒れる。
ペルドは呆れたのか言った。
「くっ!何やってんだか!」
すると、アールが笑っていた。
「な、何が可笑しい!」
ペルドが言うと、アールは棺の血を手に少しつける。
手を上げ、血の雫を棺に垂らすアール。
「これ、これが見たいんだ…。」
と、不穏な笑みをしたアールは呟く。
「お前…らしくないぞ」
するとアールは、その手についた血を舐める。
「…私らしいってなんだ?」
そう言って、ペルドの方を見る。
「お前!私に何て口の聞き方するんだ!」
「…私はお前の奴隷じゃない。
お前の奴隷はこの体の持ち主。私の意識は私のもの。」
「何!?」
するとアールは笑って言った。
「君が集めてくれた血が、私の意識を蘇らせた。」
そして、ペルドに向かって魔法攻撃をかける。
ペルドはそのまま洞窟の奥に飛ばされてしまった。
「そこで暫く寝ていろ…。」
アールはそう言うと、洞窟を出る。
当たる夕日に体を伸び伸びと伸ばす。
「はぁ。…自由っていい…。…息子よ、
嬉しいだろう?こうやって父と共に過ごせる日々を!」
とアール、いやアールの父が言うと、
赤みがかった漆黒の翼を生やして大空を飛び立った。
「さあ、まずは何をしようか。
…そうだな。大事な彼女の為に、魔法戦争を止めたいと言っていたな。
…まずはそれを止めに行こう!」
そう彼の父は言う。
本当のアールはと言うと、
父の意識の中、必死に足掻いて出ようとしているのであった。
それを見ていたレイ。
レイは思わぬ展開に呆然としていた。
恐ろしい父。もしかしたら殺しをするかもしれない。
児童園の者にまずは伝えようと足が勝手に動いた。
失った彼を見たくない。
早く彼に戻ってきて欲しい。
ただその一心で、夕日が沈んだ夜の森を駆けていった。
慌てて心が乱れ、
何が何だかわからなくなってしまう状態。
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ルネアは食堂の机に伏せる。
「アールさん帰ってきません」
ラムも表情を歪めた。
「おかしいなぁ。さっきまで……」
と、ショックな事を思い出して黙り込む。
シナは疑問符を浮かべながらも言った。
「そう言えばレイちゃんもいないわよ」
それに驚いたのはラム。
(ま…まさかこの戦時中に駆け落ちとか…!)
ラムの落ち着きのない様子に、リートは心配そうに見ていた。
(アールは大事な友達だもんね…)
ルネアはボーッと上の空を見つめていた。
そしてテノはそんな二人を見ていられないのか、
「生き返れぇッ!」
と喝を入れるのだった。
+~+~+~+~+~+~+~+~+~+~+~+~
アールは森を歩いていた。
一歩一歩、正気のない足を運ばせていた。
レイの殺害命令の件もそうだが、やはりさっきの青年の言葉も気になってしまう。
その時だった。
近くの茂みがガサッと揺れる。
アールがその茂みに近づくと、突然レイが驚かすように出てきた。
アールは少しの間止まっている。
「アールさん。どこに行っていたの?…帰りましょう?」
――レイを殺せ――
突如アールの脳内を横切る言葉。
アールはレイに両手を伸ばす。
レイは何事かと思っていると、彼の手が首に伸びていた。
驚いたレイは、アールから距離を離す。
「アールさん!?…まさかペルちゃんに…!?」
レイは言ったが、アールはポケットからカッターを出す。
「イメージが湧いてきます…。
この、カッターで血飛沫を浴びろと言っているのです…。」
アールはそう言うと、レイを追いかけ始める。
体が言う事をきかない。
レイはアールから逃げる。
幸い、レイはアールよりも走りが速かった。
彼から離れるのは容易かった。
が、アールは呟く。
「反鏡防壁…。」
その時、彼女の目の前にアールが現れた。
レイは驚くと後ろに回って走る。
しかし、後ろにもアールがいた。
(!?…はんきょう…鏡!)
レイが思ったその瞬間、アールがカッターを振り下ろす。
レイは腰についたシザーバッグから苦無を取り出すと、カッターを受け止めた。
そう、さっきのは自分を映した鏡の防壁。何の害もない。
アールの力は強く、受け止めきれない。
レイは仕方なく余った左手を軽く握るようにして、アールの顎を殴った。
するとそのまま、アールは気絶してしまった。
レイはとにかくまずはカッターを没収。
いくら工作用とは言え危険だ。
更に手首を縛ろうと考えたが、いい感じの縄が見当たらない。
すると、アールが起き上がってくる。
起きるのが早い。
レイは再び構えをとる。
「レイ様、逃げてください。…児童園へ。」
アールは言って、児童園の逆方向を歩こうとする。
「アールさん!」
「早くしてください…!そうでないと…っ。」
アールは少し苦しそうに言った。
レイは少し黙ると、児童園に向かって走るのであった。
レイがいなくなると途端に溜息をつくアール。
(…さっきのでペルドの洗脳が完全に覚めたのはいいが、
次はいつなるかわからない…。)
変な感覚だった。
今まで命令されても、しなくてはいけないと言う
気持ちだけで終わっていたのに、今回は本当に命令内容を意識に植えられていた。
彼はある場所に向けて歩き始めた。
その場所は、ペルドがよくいる洞窟。
魔物は夜行性なので暗いところが好き。
ちなみにその影響を受けているのか、レイも夜型だったりする。
児童園に帰って、レイを襲ってしまう事を考えると気が引ける。
しかもラムにあんなところを見かけられたので、更に帰りたくないだろう。
例えペルドに殺されても、誰かを傷つけるよりマシだ。
例え自分の力が奪われようとも、親の意識が復活してみんなを、星を襲うよりもマシだ。
そこにコソっとレイがついて行く。
帰る仕草はただの演技だった。
アールは本当に自分は疫病神だと思う。
得体の知れない生き物。
暴力で児童を怯えさせる生き物。
ついには星を破壊した竜の意識を持った生き物。
周りに迷惑しかかけていない。
それなら消えていった方がいいのである。
要らないなら消えていきたいのだ。
と、また暗い方向に考えてしまう。
洞窟につくアール。
そこには勿論ペルドがいる。
「来たか…」
とペルドは笑う。
「レイは殺してくれたか?」
「わかりません。」
「は!?」
「申し訳ございません…。意識が朦朧としておりました…。」
アールが言うと、ペルドは舌打ちをする。
「…まあいいか。おい!お前ここに来い」
ペルドにそう言われたので、アールは近くに来る。
暗くてよく見えないが、ペルドの隣に何かがある。
ツンとくる鉄の匂い。
誰のを採ったのだろう。懐かしい気がする。
この匂いが自分を一番落ち着かせる。
――あの反逆者やその仲間の生物達が死した証。――
急に脳裏にそういう言葉が過ぎったので、アールは目を丸くする。
(反逆者…?)
反逆者とは一体何なのか。
(きっと父の記憶だ…。)
アールは悟った。意識が侵食され始めている。
「さあ、その棺に入れ」
ペルドは命令する。
洞窟に夕日の日が差す。
棺がまるごと照らされ見える。
真っ黒な棺の中。
アールが手を入れると、何か液体が入っている。
真っ黒に照らされた液体は、時々赤い光を反射する。
手を出してみて、その手についたものをよく見てみる。
赤い血。綺麗な紅色をしている。
どうやって保存したのか気になるくらいだ。
アールは再び脈が速くなる。
心臓のドクドクという音がしっかり聞こえてくる。
(欲しい…。血が欲しい…。)
アールは別の意識に乗っ取られた感覚がする。
その意識が自分とシンクロしてわからなくなる。
「どうした?」
ペルドは言っている。
その血をアールは手ですくう。
「違う…。生き血が欲しい…。」
「は?」
アールは急に目覚めたような顔をした。
すると、アールの頭に聞こえてくる声。
――憎め…っ!お前を陥れた者全てを憎め!
恨め…っ!伸ばした手を離した者を恨め!
殺め…っ!勝手で理不尽な世を殺め!――
自分の心の奥にシンクロする、何者かの言葉。
目の前が薄くなる。意識が遠のきそうだ。
心臓の打つ音も痛く感じてくる。
「ううっ…意識が…っ消える…。」
頭を抱え、足掻き苦しむアール。
「うっ…ぐっ……このぉっ…!」
アールは耐える。
負けたくない。
アールはふと、自分の両手を見る。
手の一部が漆黒の鱗になっている。
(…ふ…ふふ……負け…た…?)
アールはその場で棺に寄りかかるように倒れる。
ペルドは呆れたのか言った。
「くっ!何やってんだか!」
すると、アールが笑っていた。
「な、何が可笑しい!」
ペルドが言うと、アールは棺の血を手に少しつける。
手を上げ、血の雫を棺に垂らすアール。
「これ、これが見たいんだ…。」
と、不穏な笑みをしたアールは呟く。
「お前…らしくないぞ」
するとアールは、その手についた血を舐める。
「…私らしいってなんだ?」
そう言って、ペルドの方を見る。
「お前!私に何て口の聞き方するんだ!」
「…私はお前の奴隷じゃない。
お前の奴隷はこの体の持ち主。私の意識は私のもの。」
「何!?」
するとアールは笑って言った。
「君が集めてくれた血が、私の意識を蘇らせた。」
そして、ペルドに向かって魔法攻撃をかける。
ペルドはそのまま洞窟の奥に飛ばされてしまった。
「そこで暫く寝ていろ…。」
アールはそう言うと、洞窟を出る。
当たる夕日に体を伸び伸びと伸ばす。
「はぁ。…自由っていい…。…息子よ、
嬉しいだろう?こうやって父と共に過ごせる日々を!」
とアール、いやアールの父が言うと、
赤みがかった漆黒の翼を生やして大空を飛び立った。
「さあ、まずは何をしようか。
…そうだな。大事な彼女の為に、魔法戦争を止めたいと言っていたな。
…まずはそれを止めに行こう!」
そう彼の父は言う。
本当のアールはと言うと、
父の意識の中、必死に足掻いて出ようとしているのであった。
それを見ていたレイ。
レイは思わぬ展開に呆然としていた。
恐ろしい父。もしかしたら殺しをするかもしれない。
児童園の者にまずは伝えようと足が勝手に動いた。
失った彼を見たくない。
早く彼に戻ってきて欲しい。
ただその一心で、夕日が沈んだ夜の森を駆けていった。
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