六音一揮

うてな

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5章 諧謔叙唱

第74音 街談巷語

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【街談巷語】がいだんこうご
世間で語られるうわさ話のこと。

===========

暑い太陽、大地は一面に広がる海。
ノノとシナとリートは、とある星にやってきていた。
星の名は【エリメントリア】。
その海岸で、ノノは笑顔で言う。

「久しぶりじゃの!この星に来るのも!」

シナは暑くて耐えられないのか、海水に足を浸していた。

「あっつ…。ノノとリートの生まれ故郷は、凄く暑い場所なのね…。」

リートは目を丸くした。

「え、ここ私の故郷でもあるの?」

「なんじゃ知らんかったのか!
そうじゃぞ、まめきちさんはこの海岸でリートを拾ったんじゃ。」

それを目を丸くしてリートは聞いていた。
シナは溜息をついた。

「でも、この先は砂漠しか続いてないんでしょ?人なんているの?」

それに対し、ノノは言った。

「ここは大昔は自然豊かな星だったらしいぞ。
じゃがな。ある日を境に、花一つ咲かない失われた星となったのじゃ。」

「質問の答えになってないわよ。」

シナが言うと、ノノは子袋を取り出す。
中から植物の種を見せ、ニッコリ笑った。

「私はな、サグズィに来て初めて花を見たんじゃ!
だからここにも花を咲かせたくてな!ここには花の咲かない植物しかないからの。」

「私達にボランティアしろって!?」

シナが言うと、ノノは笑顔で頷いた。
シナは呆れてしまうと、リートは微笑んで言う。

「いいと思うわ。
私はここの事を全く知らないけれど、花のない世界はちょっと…悲しいわ。」

するとシナはリートの頭を撫でて言った。

「流石リート、いい子すぎる!
仕方ない、私も手伝ってあげる!」

「ありがとう、シナ。」

こうして、三人は種植えボランティアをする事となった。



数十分後、三人は海から少し進んだところで種を植えていた。
この土地は草は生えているものの、その更に内陸は砂漠しか見えない。
シナはそれを見ながら言う。

「この星の住人はどうやって生きてるの?
ノノの故郷も砂漠?」

「そうじゃ。皆オアシスに集まって暮らしておる。」

「へぇ…。
と言うかノノって、六歳にサグズィに来たわよね。
親に捨てられたとか聞いたわ。」

そう言われると、ノノは反応する。
ノノは珍しく眉を潜めると言った。

「私のところでは、不死鳥は災いの鳥と呼ばれておるのじゃ。
不死鳥は、成長しきる前に火山で焼き殺さねばならん。」

「げぇ…何それ…。なんでそうなるのよ。
不死鳥の涙って、再生効果もあるんだからいいものじゃない。」

シナが言うと、ノノは鼻で笑う。

「こんな言い伝えがある。
まだ緑が沢山あった頃、ここの星の者は緑の土地を巡って戦争をしておっての。
すると火山に住む不死鳥が、緑ごと争いをする者を全て消し去ってしまったそうじゃ。
それ以降ここら一帯は砂漠になり、不死鳥も災いの鳥と呼ばれるようになったのじゃ。」

「へぇ~。」

「私の種族は、極希に不死鳥が生まれるそうじゃ。
両親は私が不死鳥である事を知って、捨てたんじゃ。
行き場を彷徨っていたら、まめきちさんが拾ってくれたんじゃよ。」

それにリートは目を丸くして聞いていた。
リートは言う。

「じゃあ、これ以上内陸には行かない方がいいわよね。
ノノが危険だわ。」

「おう、そうしてくれると助かるぞ。」

ノノは笑顔でそう言った。
シナは「ふーん」と言いながら、ノノを見つめていた。
それからシナは海を見て言う。

「じゃあ暑いし、海にでも入らない?
リートは人魚だし、リートの事も何かわかるかも。」

「そうね。」

「賛成じゃ!」



そして一時間後。
三人は海に飛び込んでいた。
シナとノノは水着姿で、リートは上半身のみ水着の人魚姿に。
シナとノノははしゃいでいた。

「きゃー冷たい!生き返る~!」

「海の向こうまで泳ぐぞ!」

そう言って、ノノはクロールをして泳ぎだす。
それを見ていたシナは呆れ顔。

「男みたい。」

リートは水中に潜っており、泳いで散策していた。
海の生き物達と遊んだり、歌いながら泳いでいたりした。
リートは海上が気になって浮上すると、丁度ノノも遠い海で顔を出していた。

「シナー!リートー!」

ノノが呼ぶので、二人はノノの方を見た。
ノノは水中を指差して言う。

「奥に凄いのがあるぞー!」

「はぁ?」

と言ったのはシナ。
リートは気になって、ノノの方へ向かった。

「あ、待ってリート~」

シナはそう言い、リートの方へ向かった。
ちなみにシナは、なぜかカエル泳ぎだった。

三人は集まると、ノノはシナに小型酸素ボンベを貸した。
シナは目を丸くしてそれを見ていると、ノノは酸素ボンベを付けて潜った。
リートも潜ると、シナも仕方なく潜った。

随分と奥が深い場所で、ノノは暗くなるほど奥に泳ぐ。
すると奥に、大きなクラゲの頭の様な透明な膜を発見する。
リートは驚いた様子で目を丸くすると、ノノはそれを指差した。
シナも追いついてきて、それを見て驚いていた。

そのクラゲの膜の中には、小人が一人いるだけだった。
帽子を深々と被った小人は、虚ろな瞳で俯いていた。
リートは不思議そうにそれを見つめた。

(小人…?でも何で海の中に…?)

リートは近づこうとすると、ノノも興味本位で近づく。

しかし、遠くから男性の声が聞こえてきた。

「近づいてはなりません!」

そして二人は泳ぐ足を止めると、声の方向には人魚の男性がいた。
三人は目を丸くすると、ノノとリートに近づいて言う。

「彼には強力な魔法がかかっていて…近づくと危険です。」

そう言って、小人の真上に石を落とす。
すると一定の距離に入ると、石が跡形もなく消えてしまった。
三人はそれを見て驚くと、男性は続けた。

「彼はこの星の『災い』です。
近づかぬよう…お願いします。」



数分後、三人は男性の人魚と共に海上に出ていた。
ノノとシナは岩に座り込んでいた。

「しかしなぜあの小人が災いなのじゃ?
この星では、不死鳥が災いじゃろう。」

それを聞いた人魚の男性は目を丸くした。
そして話を理解したのか、首を横に振って言う。

「不死鳥はむしろ、災いから人を救いました。
災いが地上の人間や草花を消している所を、不死鳥は海底に封じたのですから。」

「そうなのか。
見た目によらず魔力に富んだ小人なのじゃな。」

ノノも目を丸くして言うと、男性は頷いた。

「災いは争いを好まない性質の様で、争いの絶えない地上を嫌っていた様です。
逆に穏やかな海に来てからは何も悪い事をしていません。」

「そうか、ならば災いが暴走する心配もないと。」

「ええ。」

男性はそう言っていた。
しかし、リートは浮かない表情だった。
シナはリートを指差して男性に言う。

「そう言えば、この人魚は十八年前に両親とはぐれたんです。
誰が心当たりある人いますか?」

男性はそれを聞き、リートを見つめた。
リートもジーッと男性を見つめていると、男性は首を傾げてしまう。

「見かけない容姿ですね…。彼女の両親は付近にはいないでしょう。」

「そう…ですか…。」

リートが残念そうに言うと、シナはリートに聞く。

「どうする?両親探す?それともスピーカーの設置場所探す?」

するとノノは海に飛び込み、泳ぎながら言った。

「私はどっちでもいいぞ~」

「アンタに聞いてないわよっ!」

するとリートは水中を気にした。
それからリートは言う。

「両親の事は、もういいわ。
私、小人さんが気になるの。
もう少し様子を見てもいいかしら?」

それを聞いた男性は驚く。

「危険だからあまり近づかないようにね。
もし何かあったら、その近くに僕達の街があるから来るといいよ。」

「ええ。」

すると男性は立ち去った。
シナも困った顔をすると、リートに言った。

「じゃあ私はスピーカーの設置場所を探してくるから。」

「お願いしてもいいかしら。」

「勿論よ。」

そう言って、シナも泳いで去っていった。
ノノはまだ泳いでいたので、リートは微笑ましく眺めてから再び水中に潜った。



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