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5章 諧謔叙唱
第75音 拈華微笑
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【拈華微笑】ねんげみしょう
言葉を使わず、心から心へ伝えること。
===========
リートは小人の近くにやってきていた。
やはり感情が抜けたように虚ろな表情をしている小人。
リートはそれを寂しく思う。
「初めまして、私はリート・アムールって言うの。
あなたは?」
小人は顔を上げて、こちらを見つめてきた。
でも何も話してくれない。
リートは困ってしまう。
「いきなりだもの、困るわよね。
あ、そうだ。」
リートは笑顔になると、胸に手を当てて言う。
「私、歌う事が好きなの。少しだけ聞いて欲しいな。」
小人は虚ろなまま。
リートは眉を困らせたが、やがて歌った。
リートが歌うと、小人の虚ろな表情に変化が出た。
目を丸くし、目を輝かせていた。
どうやら歌に興味がある様子だった。
リートはそれに気づき、嬉しく思って歌い続けた。
周囲に他の魚や近くの街の人魚達も集まってくる。
皆リートの声に癒され、そして小人はリートの歌に魅入っていた。
リートは歌を終えると、小人の方までやってくる。
一定の距離を保ってはいたが、リートは気付いた。
小人が深々と頭を下げているのだ。
リートは思わず目を丸くすると、小人は顔を上げる。
小人は微笑んでおり、やがて拍手をしてくれた。
リートは思わず笑むと、同じく頭を下げた。
「こちらこそ、聞いてくれてありがとう。」
小人は返事こそしなかったが、小人の様子は最初とは随分と変わっていた。
リートはすると何か思いついたのか、海上へと泳いでいく。
小人は、そんなリートを見上げていた。
リートが海上に出ると、ノノは捕まえたウニを岩の上に並べているところだった。
リートはノノに手を振って言う。
「ノノ!私ここにスピーカーをつけたいの!」
「うむ?水中にか?」
「ええ!聞かせたい人がいるの!」
それを聞くと、ノノはニコリと笑って頷いた。
「わかったぞ!ではそこに取り付けるとしよう!」
そして数時間後。
海底にスピーカーを取り付けた三人。
スピーカーの近くには、小人がいた。
小人は不思議そうにスピーカーを見つめていた。
リートは言う。
「今度、私達歌を歌うの。
あなたにも聞いて欲しくて。」
小人は首を傾げた。
そこで、リートは初めて気づく。
(この人、返事をしないんじゃない…言葉が通じないんだわ。)
それを知ると、リートは目を閉じて微笑む。
リートは泳ぎながら歌い始め、スピーカーの傍にいた。
小人はそれを見つめている。
リートは小人に手を振った、別れのつもりのようだ。
小人は目を丸くして見ていたが、リートが手を振りながら海上へ向かった事で理解した。
小人も手を振ってくれた。
リートは微笑むと、歌を続けながらも海上へ帰っていった。
小人はリートが見えなくなると、振っていた手を止める。
それからリート達が取り付けたスピーカーを眺め、それからその場で寝転んだ。
小人は健やかに眠っており、次にリートに会える日を楽しみにした。
リートとシナとノノは帰るところだった。
シナは言う。
「結局砂漠にスピーカーつけなくて良かったの?」
「別にいいじゃろう。
歌を聞いたところで、不死鳥への疑惑は晴れんからの。」
「そうじゃなくてさ…」
シナは呆れた様子で言うと、ノノはリートの笑顔を見て言う。
「歌は人の心を動かす為にあるのじゃ。
だからスピーカーは、人が多く居る場所に設置しなくとも良い。
本当に歌を必要としている者の近くにあった方がいいじゃろう。」
そう言われ、シナは黙り込む。
そしてリートのご機嫌な笑顔を見ると、シナも笑顔を見せた。
「そうね。次リートの声がスピーカーから聞こえたら、小人さんは驚くわね。」
するとリートは笑って言う。
「反応を見たい気もするけど。
その日が楽しみだわ。」
ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+
そして帰宅するリート達一行。
三人はまめきちに連れられ児童園へ戻ってくると、既に帰ってきているテナーを見て驚いた。
テナーが髪を切ったからである。
ノノは真っ先に近づいて言った。
「テナー、その髪は?」
それに対し、テナーは笑顔でジェスチャーで伝える。
ノノは目を丸くしていた。
シナとリートも来ると言う。
「あら、切ったのね。さっぱりしていいじゃない。」
「うん、こっちもかっこいい。」
そう言われ、テナーは笑顔で頷いた。
ノノも笑うと言う。
「後で何があったか教えるんじゃぞ。」
それに対し、テナーは頷くのであった。
そこにテノがやってきて、テノは笑顔で言う。
「みんな帰ってきたか!
後は、ラムとルネアだけだな!」
するとリートは言う。
「二人はどこへ向かったの?」
まめきちは言った。
「地上だよ、サグズィの真下の。」
『地上!?』
みんなが驚くと、まめきちは苦笑。
「そんなに驚く事はないよ。
確かに地上は魔物がいて危ないと言われるが…彼等ならきっと大丈夫さ。」
そう言われ、一同は顔を見合わせた。
シナは言う。
「まめきちさんが言うなら…」
更にリートも言った。
「大丈夫…よね?」
ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*
一方、ルネアとラムの方では。
二人はサグズィの真下、地上にいた。
地上は【ワールド】と呼ばれており、魔物の巣窟だという。
二人は何かから逃げいていた。
毒々しい色をした植物が多い地上。
二人は心に不安を抱えながら、森の中を走り続けていた。
二人の真後ろに、豚とミノタウロスを混ぜたような見た目の魔物が追いかけてきていた。
よだれを汚く垂らしながら、走ってくるのだ。
「ラム!ここって本当にサグズィと同じ星!?
サグズィと同じ大地!?」
ルネアは後ろの魔物を確認しつつも、一緒に走るラムに聞いた。
ラムは走るのに夢中で背後を確認する余裕はない。
ラムは言った。
「地上は魔物が多いってまめきちさんも言ってたろ!」
「だって…だって…!同じ星の生き物とは思えなくて…!」
「俺も信じらんねぇよ…!」
二人はそう言って走っていると、森を抜けた。
抜けた森の先には、石でできた神殿があった。
更にはその神殿の真ん前には、女性の像がある。
汚れた石に包まれるように眠る女性の像。
女性の表情は安らかで、両手で一つの空き瓶を抱きしめている不思議な像だった。
二人は思わずそれを見上げながら、神殿の方まで走った。
魔物も神殿まで追いついてくる。
しかし女性の像の前に行った瞬間に、魔物は不思議な力に弾かれてしまう。
それに二人は驚いた。
「バリア…!?」
「魔力だ…」
ラムはそう呟いた。
魔物が諦めて立ち去ると、ラムは女性の像に近づく。
金髪の女性の像だが、長い間放置されていたせいかかなり汚れてしまっている。
ルネアもラムと一緒に女性の像の前へ来ると、ラムは像が持つ空き瓶を見つめた。
「ここから魔力が溢れてる。
この魔力、俺達を魔物から守ってくれたんだ…。」
ルネアはそれに驚いた表情をして、像を見上げた。
ルネアは思わず呟く。
「一体…何の像なんだろう…。」
言葉を使わず、心から心へ伝えること。
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リートは小人の近くにやってきていた。
やはり感情が抜けたように虚ろな表情をしている小人。
リートはそれを寂しく思う。
「初めまして、私はリート・アムールって言うの。
あなたは?」
小人は顔を上げて、こちらを見つめてきた。
でも何も話してくれない。
リートは困ってしまう。
「いきなりだもの、困るわよね。
あ、そうだ。」
リートは笑顔になると、胸に手を当てて言う。
「私、歌う事が好きなの。少しだけ聞いて欲しいな。」
小人は虚ろなまま。
リートは眉を困らせたが、やがて歌った。
リートが歌うと、小人の虚ろな表情に変化が出た。
目を丸くし、目を輝かせていた。
どうやら歌に興味がある様子だった。
リートはそれに気づき、嬉しく思って歌い続けた。
周囲に他の魚や近くの街の人魚達も集まってくる。
皆リートの声に癒され、そして小人はリートの歌に魅入っていた。
リートは歌を終えると、小人の方までやってくる。
一定の距離を保ってはいたが、リートは気付いた。
小人が深々と頭を下げているのだ。
リートは思わず目を丸くすると、小人は顔を上げる。
小人は微笑んでおり、やがて拍手をしてくれた。
リートは思わず笑むと、同じく頭を下げた。
「こちらこそ、聞いてくれてありがとう。」
小人は返事こそしなかったが、小人の様子は最初とは随分と変わっていた。
リートはすると何か思いついたのか、海上へと泳いでいく。
小人は、そんなリートを見上げていた。
リートが海上に出ると、ノノは捕まえたウニを岩の上に並べているところだった。
リートはノノに手を振って言う。
「ノノ!私ここにスピーカーをつけたいの!」
「うむ?水中にか?」
「ええ!聞かせたい人がいるの!」
それを聞くと、ノノはニコリと笑って頷いた。
「わかったぞ!ではそこに取り付けるとしよう!」
そして数時間後。
海底にスピーカーを取り付けた三人。
スピーカーの近くには、小人がいた。
小人は不思議そうにスピーカーを見つめていた。
リートは言う。
「今度、私達歌を歌うの。
あなたにも聞いて欲しくて。」
小人は首を傾げた。
そこで、リートは初めて気づく。
(この人、返事をしないんじゃない…言葉が通じないんだわ。)
それを知ると、リートは目を閉じて微笑む。
リートは泳ぎながら歌い始め、スピーカーの傍にいた。
小人はそれを見つめている。
リートは小人に手を振った、別れのつもりのようだ。
小人は目を丸くして見ていたが、リートが手を振りながら海上へ向かった事で理解した。
小人も手を振ってくれた。
リートは微笑むと、歌を続けながらも海上へ帰っていった。
小人はリートが見えなくなると、振っていた手を止める。
それからリート達が取り付けたスピーカーを眺め、それからその場で寝転んだ。
小人は健やかに眠っており、次にリートに会える日を楽しみにした。
リートとシナとノノは帰るところだった。
シナは言う。
「結局砂漠にスピーカーつけなくて良かったの?」
「別にいいじゃろう。
歌を聞いたところで、不死鳥への疑惑は晴れんからの。」
「そうじゃなくてさ…」
シナは呆れた様子で言うと、ノノはリートの笑顔を見て言う。
「歌は人の心を動かす為にあるのじゃ。
だからスピーカーは、人が多く居る場所に設置しなくとも良い。
本当に歌を必要としている者の近くにあった方がいいじゃろう。」
そう言われ、シナは黙り込む。
そしてリートのご機嫌な笑顔を見ると、シナも笑顔を見せた。
「そうね。次リートの声がスピーカーから聞こえたら、小人さんは驚くわね。」
するとリートは笑って言う。
「反応を見たい気もするけど。
その日が楽しみだわ。」
ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+ー+
そして帰宅するリート達一行。
三人はまめきちに連れられ児童園へ戻ってくると、既に帰ってきているテナーを見て驚いた。
テナーが髪を切ったからである。
ノノは真っ先に近づいて言った。
「テナー、その髪は?」
それに対し、テナーは笑顔でジェスチャーで伝える。
ノノは目を丸くしていた。
シナとリートも来ると言う。
「あら、切ったのね。さっぱりしていいじゃない。」
「うん、こっちもかっこいい。」
そう言われ、テナーは笑顔で頷いた。
ノノも笑うと言う。
「後で何があったか教えるんじゃぞ。」
それに対し、テナーは頷くのであった。
そこにテノがやってきて、テノは笑顔で言う。
「みんな帰ってきたか!
後は、ラムとルネアだけだな!」
するとリートは言う。
「二人はどこへ向かったの?」
まめきちは言った。
「地上だよ、サグズィの真下の。」
『地上!?』
みんなが驚くと、まめきちは苦笑。
「そんなに驚く事はないよ。
確かに地上は魔物がいて危ないと言われるが…彼等ならきっと大丈夫さ。」
そう言われ、一同は顔を見合わせた。
シナは言う。
「まめきちさんが言うなら…」
更にリートも言った。
「大丈夫…よね?」
ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*ー*
一方、ルネアとラムの方では。
二人はサグズィの真下、地上にいた。
地上は【ワールド】と呼ばれており、魔物の巣窟だという。
二人は何かから逃げいていた。
毒々しい色をした植物が多い地上。
二人は心に不安を抱えながら、森の中を走り続けていた。
二人の真後ろに、豚とミノタウロスを混ぜたような見た目の魔物が追いかけてきていた。
よだれを汚く垂らしながら、走ってくるのだ。
「ラム!ここって本当にサグズィと同じ星!?
サグズィと同じ大地!?」
ルネアは後ろの魔物を確認しつつも、一緒に走るラムに聞いた。
ラムは走るのに夢中で背後を確認する余裕はない。
ラムは言った。
「地上は魔物が多いってまめきちさんも言ってたろ!」
「だって…だって…!同じ星の生き物とは思えなくて…!」
「俺も信じらんねぇよ…!」
二人はそう言って走っていると、森を抜けた。
抜けた森の先には、石でできた神殿があった。
更にはその神殿の真ん前には、女性の像がある。
汚れた石に包まれるように眠る女性の像。
女性の表情は安らかで、両手で一つの空き瓶を抱きしめている不思議な像だった。
二人は思わずそれを見上げながら、神殿の方まで走った。
魔物も神殿まで追いついてくる。
しかし女性の像の前に行った瞬間に、魔物は不思議な力に弾かれてしまう。
それに二人は驚いた。
「バリア…!?」
「魔力だ…」
ラムはそう呟いた。
魔物が諦めて立ち去ると、ラムは女性の像に近づく。
金髪の女性の像だが、長い間放置されていたせいかかなり汚れてしまっている。
ルネアもラムと一緒に女性の像の前へ来ると、ラムは像が持つ空き瓶を見つめた。
「ここから魔力が溢れてる。
この魔力、俺達を魔物から守ってくれたんだ…。」
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