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5章 諧謔叙唱
第76音 古色蒼然
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【古色蒼然】こしょくそうぜん
ひどく古びたさま。
いかにも古めかしいさま。
============
地上にやってきたルネアとラムは、神殿前の女性の像が気になって立ち往生していた。
ルネアは呟く。
「この女性が…救ってくれたんですかね…。」
そう言うと、ルネアは肩にかけていたショルダーバッグから布を出した。
ラムは眉を潜める。
「どうした?」
ルネアは水筒を出して、布を濡らす。
そして象を拭くのだ。
「助けてもらったんだから、お礼くらいしないと。
綺麗にするんですよ、この像を。」
そう言われ、ラムは目を丸くした。
それからラムは微笑んで、ラムもハンカチを使ってルネアを手伝った。
ルネアはラムに気づいてラムを見ると、ラムはニコッと笑って言う。
「俺も手伝う。
綺麗にするのは得意だから。」
ルネアは目を光らせると、ラムに笑顔を向けた。
「ありがと!ラム!」
こうして、二人は像をピカピカに磨く事にした。
一時間ほど、二人は像を磨いていた。
ピカピカになった女性の像は、像とは思えないほどリアルな像だった。
更には女性を包んでいた石はどうやら宝石で、彼女を彩るようだ。
ラムは目を丸くして言う。
「すっごい…今でも動き出しそうなくらいリアルな像だな。」
「そうですね。地上は魔物の巣窟なのに、一体誰がこの像を作ったんでしょう。」
「確かにそれもそうだ。」
すると、二人以外の声がした。
「知りたい?」
二人は思わず後ろを振り返ると、そこには一人の男性が。
橙色をした髪。
そう、まめきちの親友とやらの大魔導師だった。
「誰だ。」
ラムが言うと、大魔導師は笑顔で言う。
「私はまめきちの親友の、大魔導師だよ~。
まめきちに頼まれて、二人を見守るように言われたんだが…。
この像の事を知りたがっているようだから来てしまったよ。」
そう大魔導師は言っていたが、ラムは大魔導師への警戒を解こうとしなかった。
ラムは眉を潜めて思う。
(名前が大魔導師なのか…?
その名の通り、凄い魔力の持ち主みたいだが…。)
ルネアも怪しいと思いつつも、大魔導師に聞く。
「この像について、何か知っているんですか?」
「そりゃもう。
私はなんでも知ってるからね。」
ニコニコ笑顔で大魔導師は言った。
その表情は、キラキラと輝いていた。
二人は少し引いた表情だったが、やがて大魔導師は言う。
「サグズィができる大昔…。
この地上には、人間と魔物が暮らしていたんだよ。」
「今はいないんですか?」
ルネアが聞くと、大魔導師は頷いた。
「人間と魔物は共存できない生き物だったからね。
サグズィの女神が、人間をサグズィに連れて行ってしまった。」
しかし、それに対しラムは首を傾げた。
「そうか?俺の児童園には魔物も人間の血を引いている人もいるぞ?」
「児童園が特殊なだけさ。」
そう言われ、二人は顔を見合わせた。
大魔導師は続ける。
「この地上に住む魔物は、かつて人間だった。
厄災とも言える存在に、人間は殆ど魔物に変えられてしまったんだ。」
それに二人は驚いた様子になると、大魔導師は女の像を見上げて言う。
「だから魔物になってしまった人間は、魔物にならなかった人間を羨んだ。
魔物は人間を襲うようになった。
サグズィの女神は人間だけの楽園を作ろうと、サグズィを作ったのさ。」
するとルネアは言う。
「そう言えば、女神ツィオーネは地上の一部を切り取ってサグズィを作ったと聞きました。
それって本当ですか?」
それに大魔導師は頷いた。
「でも地上を切り取ろうとすれば、地上には大災害が起こる。
大地震が起き、地下のマグマが吹き出て、波が押し寄せる。
…女神ツィオーネは、地上の魔物を絶滅させるつもりでサグズィを作ったんだ…。」
それを聞いて、二人はショックを受けた表情を見せた。
ルネアは言う。
「僕達の国では神聖で心優しい方と言われている女神が…地上の生物を全滅させようとした…?」
「ああ。
でも、それは失敗に終わったよ。」
「え?」
ルネアが目を丸くすると、大魔導師は女の像に触れた。
「この像にある力が、地上を守ったそうだ。
だからこの像はね、サグズィで言う女神ツィオーネの様な存在なんだよ。」
「そうなんですか…!」
ルネアが感心すると、ラムは浮かない様子。
ラムは言う。
「でも、こんな汚されて放置されてるけど。」
「信仰心が消えてきているんだね。
時と共に、魔物達はこの存在を忘れてしまったのさ。」
それを聞くと、二人は黙り込んでしまう。
ラムは女の像を見ると言う。
「これ、本当にリアルですよね。
誰が作ったんですか?」
「え?これは像じゃないよ、その人自身さ。」
それを聞き、二人は驚いた。
二人の様子に大魔導師は笑う。
「彼女は機械だったんだ。だから、こうして形が残っている。
ちなみに彼女が持っている瓶の中には、彼女の一番大切な人が入っているらしい。
瓶の中は空に見えるが、実は存在していると言われているんだよ。」
「わかります、瓶から力を感じます。」
「そうなの!?」
ルネアだけが気付かなかったのか、そう言った。
大魔導師は頷いた。
「彼はかつて、地上の守り神の一人だった。
だけど、厄災によって形を失った。
その守り神の力が、今も地上を守っている様だ。
そしてそれを見た魔物達が、この女性が地上を守ったと思っているだけなのさ。」
そう言って、大魔導師は再び像を見上げる。
二人も見上げると、ルネアは真摯な表情を浮かべた。
そしてルネアは、スピーカーを用意し始める。
ラムは驚いた。
「どうしたルネア、スピーカーなんて用意して!」
「ここに付けましょう!
僕達が歌って、魔物達にもこの像の存在に気づいてもらうんです!」
それに気付いた顔をすると、ラムもそれを手伝った。
大魔導師はそれを見ると、眉を困らせながらも微笑んだ。
「君達は、本当にいい子だね。」
「え?」
ルネアは目を丸くすると、大魔導師はルネアを見ていた。
妙に視線を感じるが、ルネアは気にせずスピーカーを組み立てていた。
すると大魔導師も、それを手伝った。
ラムは思わず言う。
「あ、俺達がやりますよ。」
「いいんだ、僕にもやらせて欲しい。」
「そ、そうですか。」
大魔導師は二人の手伝いをしながら言った。
「地上に人間しかいなかった時代、地上には守り神が沢山いたそうだ。」
「え?」
二人が目を丸くすると、大魔導師は続ける。
「だけど厄災によってみな姿を変え、かつての自分を忘れてしまった。
ここの瓶の中の守り神も同じさ。
だからなぜ自分が地上を守るのか、君達を救ったのか、わからないんだ。」
二人は思わず大魔導師を見つめると、大魔導師は空を見上げた。
「ある星に放された守り神は身勝手な神で、凶暴な魚となって星を氷漬けにしてしまった。
ある星に放された守り神は自然を愛する神で、小鳥となり星の自然を豊かにした。
ある星に放された守り神は寂しがりな神で、火となり生贄を欲している。
種にされた守り神もいた、小人にされて知らない星を彷徨った守り神もいた。
…どの神もかつての自我を失ったまま、なぜ自分が存在しているのかわかっていない。
実に哀しいとは思わないかい?」
すると少し間を空けて、ラムは言った。
「…そんな大昔の話を俺達にして、一体なんだよ。」
それを聞くと、大魔導師は思わずクスッと笑う。
ラムは不気味に思って顔を引き攣ると、大魔導師は言った。
「君達は言ったろう?サグズィの争いを止める為に歌う、と。
でも君達の歌はそれだけじゃない、もっと多くの心を動かせるはずさ。」
「何が言いたい。」
すると大魔導師は、組立終わったスピーカーをその場に立ててから言う。
「守り神が失った心も、取り戻す事ができるかもしれない。」
ヘラヘラ笑っているような大魔導師だが、今回の笑みは確信に近い強い笑みだった。
それを見たルネアは言う。
「まさか…まめきちさんに児童園を勧めた友人って、あなたの事ですか?」
「そうだよ。」
大魔導師は笑顔で言うので、二人は反応を見せた。
するとルネアは笑みを見せる。
「あの、児童園を作ってくれてありがとうございます。
僕、人が合唱する姿が本当に好きで…。
好きになったきっかけが、この児童園のみんなが歌う歌なんです。
だから、児童園を作ってくれた大魔導師さんに感謝してます。」
大魔導師は目を丸くしたが、それから微笑む。
「どういたしまして。」
「おいルネア…」
ラムが言うと、ルネアはラムに笑顔を見せて言った。
「大丈夫、この人は悪い人じゃないよ。」
「そうかぁ?」
ルネアは大魔導師を手伝い、スピーカーを取り付けた。
取り付けた後、ルネアと大魔導師は楽しそうに笑った。
大魔導師はその後、ルネアとラムに言う。
「楽しみにしているよ。」
「お、おう。」
ラムが返事をし、ルネアは大きく頷いた。
すると大魔導師は微笑み、指を鳴らす。
その瞬間、二人はサグズィの児童園まで戻っていた。
二人は呆然としていたが、目の前にもう大魔導師はいない。
「帰ってきたのか…?」
ラムが言うと、ルネアは言う。
「そう…みたいですね。」
そう言われ、ラムは少し黙った。
ルネアはラムの方を見ると、ラムは児童園へ歩きながら言った。
「大魔導師って人の話を聞いて思った。
俺が考えていたものより、もっと多くの悲しみが他の星々にはあるのかもなって。」
ルネアはラムの後ろについていくと、ラムはルネアに振り返って言う。
「全部忘れちゃいけない事だと思う。
あの女性の像みたいに、放ったらかしじゃダメだきっと。
…頑張らないとな、俺達。」
そう言われ、ルネアは軽く笑んだ。
「そうですね。」
二人に沈黙が流れる。
するとラムは頭を抱えて言った。
「あーっ!締まらねぇな!」
それに思わずルネアは笑うと言った。
「いいじゃないですか、カッコつけなくたって。」
「でもモヤモヤすんだろ!」
「ラムは気にしすぎです。」
そう二人は会話をしながら、児童園まで帰っていった。
ひどく古びたさま。
いかにも古めかしいさま。
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地上にやってきたルネアとラムは、神殿前の女性の像が気になって立ち往生していた。
ルネアは呟く。
「この女性が…救ってくれたんですかね…。」
そう言うと、ルネアは肩にかけていたショルダーバッグから布を出した。
ラムは眉を潜める。
「どうした?」
ルネアは水筒を出して、布を濡らす。
そして象を拭くのだ。
「助けてもらったんだから、お礼くらいしないと。
綺麗にするんですよ、この像を。」
そう言われ、ラムは目を丸くした。
それからラムは微笑んで、ラムもハンカチを使ってルネアを手伝った。
ルネアはラムに気づいてラムを見ると、ラムはニコッと笑って言う。
「俺も手伝う。
綺麗にするのは得意だから。」
ルネアは目を光らせると、ラムに笑顔を向けた。
「ありがと!ラム!」
こうして、二人は像をピカピカに磨く事にした。
一時間ほど、二人は像を磨いていた。
ピカピカになった女性の像は、像とは思えないほどリアルな像だった。
更には女性を包んでいた石はどうやら宝石で、彼女を彩るようだ。
ラムは目を丸くして言う。
「すっごい…今でも動き出しそうなくらいリアルな像だな。」
「そうですね。地上は魔物の巣窟なのに、一体誰がこの像を作ったんでしょう。」
「確かにそれもそうだ。」
すると、二人以外の声がした。
「知りたい?」
二人は思わず後ろを振り返ると、そこには一人の男性が。
橙色をした髪。
そう、まめきちの親友とやらの大魔導師だった。
「誰だ。」
ラムが言うと、大魔導師は笑顔で言う。
「私はまめきちの親友の、大魔導師だよ~。
まめきちに頼まれて、二人を見守るように言われたんだが…。
この像の事を知りたがっているようだから来てしまったよ。」
そう大魔導師は言っていたが、ラムは大魔導師への警戒を解こうとしなかった。
ラムは眉を潜めて思う。
(名前が大魔導師なのか…?
その名の通り、凄い魔力の持ち主みたいだが…。)
ルネアも怪しいと思いつつも、大魔導師に聞く。
「この像について、何か知っているんですか?」
「そりゃもう。
私はなんでも知ってるからね。」
ニコニコ笑顔で大魔導師は言った。
その表情は、キラキラと輝いていた。
二人は少し引いた表情だったが、やがて大魔導師は言う。
「サグズィができる大昔…。
この地上には、人間と魔物が暮らしていたんだよ。」
「今はいないんですか?」
ルネアが聞くと、大魔導師は頷いた。
「人間と魔物は共存できない生き物だったからね。
サグズィの女神が、人間をサグズィに連れて行ってしまった。」
しかし、それに対しラムは首を傾げた。
「そうか?俺の児童園には魔物も人間の血を引いている人もいるぞ?」
「児童園が特殊なだけさ。」
そう言われ、二人は顔を見合わせた。
大魔導師は続ける。
「この地上に住む魔物は、かつて人間だった。
厄災とも言える存在に、人間は殆ど魔物に変えられてしまったんだ。」
それに二人は驚いた様子になると、大魔導師は女の像を見上げて言う。
「だから魔物になってしまった人間は、魔物にならなかった人間を羨んだ。
魔物は人間を襲うようになった。
サグズィの女神は人間だけの楽園を作ろうと、サグズィを作ったのさ。」
するとルネアは言う。
「そう言えば、女神ツィオーネは地上の一部を切り取ってサグズィを作ったと聞きました。
それって本当ですか?」
それに大魔導師は頷いた。
「でも地上を切り取ろうとすれば、地上には大災害が起こる。
大地震が起き、地下のマグマが吹き出て、波が押し寄せる。
…女神ツィオーネは、地上の魔物を絶滅させるつもりでサグズィを作ったんだ…。」
それを聞いて、二人はショックを受けた表情を見せた。
ルネアは言う。
「僕達の国では神聖で心優しい方と言われている女神が…地上の生物を全滅させようとした…?」
「ああ。
でも、それは失敗に終わったよ。」
「え?」
ルネアが目を丸くすると、大魔導師は女の像に触れた。
「この像にある力が、地上を守ったそうだ。
だからこの像はね、サグズィで言う女神ツィオーネの様な存在なんだよ。」
「そうなんですか…!」
ルネアが感心すると、ラムは浮かない様子。
ラムは言う。
「でも、こんな汚されて放置されてるけど。」
「信仰心が消えてきているんだね。
時と共に、魔物達はこの存在を忘れてしまったのさ。」
それを聞くと、二人は黙り込んでしまう。
ラムは女の像を見ると言う。
「これ、本当にリアルですよね。
誰が作ったんですか?」
「え?これは像じゃないよ、その人自身さ。」
それを聞き、二人は驚いた。
二人の様子に大魔導師は笑う。
「彼女は機械だったんだ。だから、こうして形が残っている。
ちなみに彼女が持っている瓶の中には、彼女の一番大切な人が入っているらしい。
瓶の中は空に見えるが、実は存在していると言われているんだよ。」
「わかります、瓶から力を感じます。」
「そうなの!?」
ルネアだけが気付かなかったのか、そう言った。
大魔導師は頷いた。
「彼はかつて、地上の守り神の一人だった。
だけど、厄災によって形を失った。
その守り神の力が、今も地上を守っている様だ。
そしてそれを見た魔物達が、この女性が地上を守ったと思っているだけなのさ。」
そう言って、大魔導師は再び像を見上げる。
二人も見上げると、ルネアは真摯な表情を浮かべた。
そしてルネアは、スピーカーを用意し始める。
ラムは驚いた。
「どうしたルネア、スピーカーなんて用意して!」
「ここに付けましょう!
僕達が歌って、魔物達にもこの像の存在に気づいてもらうんです!」
それに気付いた顔をすると、ラムもそれを手伝った。
大魔導師はそれを見ると、眉を困らせながらも微笑んだ。
「君達は、本当にいい子だね。」
「え?」
ルネアは目を丸くすると、大魔導師はルネアを見ていた。
妙に視線を感じるが、ルネアは気にせずスピーカーを組み立てていた。
すると大魔導師も、それを手伝った。
ラムは思わず言う。
「あ、俺達がやりますよ。」
「いいんだ、僕にもやらせて欲しい。」
「そ、そうですか。」
大魔導師は二人の手伝いをしながら言った。
「地上に人間しかいなかった時代、地上には守り神が沢山いたそうだ。」
「え?」
二人が目を丸くすると、大魔導師は続ける。
「だけど厄災によってみな姿を変え、かつての自分を忘れてしまった。
ここの瓶の中の守り神も同じさ。
だからなぜ自分が地上を守るのか、君達を救ったのか、わからないんだ。」
二人は思わず大魔導師を見つめると、大魔導師は空を見上げた。
「ある星に放された守り神は身勝手な神で、凶暴な魚となって星を氷漬けにしてしまった。
ある星に放された守り神は自然を愛する神で、小鳥となり星の自然を豊かにした。
ある星に放された守り神は寂しがりな神で、火となり生贄を欲している。
種にされた守り神もいた、小人にされて知らない星を彷徨った守り神もいた。
…どの神もかつての自我を失ったまま、なぜ自分が存在しているのかわかっていない。
実に哀しいとは思わないかい?」
すると少し間を空けて、ラムは言った。
「…そんな大昔の話を俺達にして、一体なんだよ。」
それを聞くと、大魔導師は思わずクスッと笑う。
ラムは不気味に思って顔を引き攣ると、大魔導師は言った。
「君達は言ったろう?サグズィの争いを止める為に歌う、と。
でも君達の歌はそれだけじゃない、もっと多くの心を動かせるはずさ。」
「何が言いたい。」
すると大魔導師は、組立終わったスピーカーをその場に立ててから言う。
「守り神が失った心も、取り戻す事ができるかもしれない。」
ヘラヘラ笑っているような大魔導師だが、今回の笑みは確信に近い強い笑みだった。
それを見たルネアは言う。
「まさか…まめきちさんに児童園を勧めた友人って、あなたの事ですか?」
「そうだよ。」
大魔導師は笑顔で言うので、二人は反応を見せた。
するとルネアは笑みを見せる。
「あの、児童園を作ってくれてありがとうございます。
僕、人が合唱する姿が本当に好きで…。
好きになったきっかけが、この児童園のみんなが歌う歌なんです。
だから、児童園を作ってくれた大魔導師さんに感謝してます。」
大魔導師は目を丸くしたが、それから微笑む。
「どういたしまして。」
「おいルネア…」
ラムが言うと、ルネアはラムに笑顔を見せて言った。
「大丈夫、この人は悪い人じゃないよ。」
「そうかぁ?」
ルネアは大魔導師を手伝い、スピーカーを取り付けた。
取り付けた後、ルネアと大魔導師は楽しそうに笑った。
大魔導師はその後、ルネアとラムに言う。
「楽しみにしているよ。」
「お、おう。」
ラムが返事をし、ルネアは大きく頷いた。
すると大魔導師は微笑み、指を鳴らす。
その瞬間、二人はサグズィの児童園まで戻っていた。
二人は呆然としていたが、目の前にもう大魔導師はいない。
「帰ってきたのか…?」
ラムが言うと、ルネアは言う。
「そう…みたいですね。」
そう言われ、ラムは少し黙った。
ルネアはラムの方を見ると、ラムは児童園へ歩きながら言った。
「大魔導師って人の話を聞いて思った。
俺が考えていたものより、もっと多くの悲しみが他の星々にはあるのかもなって。」
ルネアはラムの後ろについていくと、ラムはルネアに振り返って言う。
「全部忘れちゃいけない事だと思う。
あの女性の像みたいに、放ったらかしじゃダメだきっと。
…頑張らないとな、俺達。」
そう言われ、ルネアは軽く笑んだ。
「そうですね。」
二人に沈黙が流れる。
するとラムは頭を抱えて言った。
「あーっ!締まらねぇな!」
それに思わずルネアは笑うと言った。
「いいじゃないですか、カッコつけなくたって。」
「でもモヤモヤすんだろ!」
「ラムは気にしすぎです。」
そう二人は会話をしながら、児童園まで帰っていった。
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