六音一揮

うてな

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5章 諧謔叙唱

第79音 四鳥別離

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【四鳥別離】しちょうべつり
親子の悲しい別れ。

========

ノノは外に出て空を見上げる。
戦争が今休戦中となると、何だか心が落ち着く。
そうすると、昔の平和な日々を思い出す。
家族と一緒にいたあの日を。
向こうの友達は今何をしているのだろう。
親は何をして、幸せなのか気になる。

しかし、なぜか未だ信じられないのである。
親に捨てられた。
けれど親がそこまで残酷になれるのはなぜだろう。
ノノは違和感を感じ続けていた。



テナーは窓を覗きつつ空を見上げる。
ルネアはそんなテナーを見つけて話しかけた。

「どうしたんですか?空に何かあります?」

そう聞くと、テナーは首を横に振った。
ルネアはふと思う。

テナーには翼があった。
しかし、母の虐待で翼はもう生えてはこない。
きっと空が恋しいのではと思ったのである。
テナーの種族はペガサス。きっと恋しいだろう。

テナーはずっとボーッとしている。
それを気になって見ていると、テノが来た。

「お、ルネちん。テナーがどうかしたか?」

「いや、ボーッとしてるので。」

「ああ、最近女王が元気ないから気分が落ち込んでんだよ。」

「え?」

「そう言えば、自身の故郷に行ってからだ。
女王、星に行って何かあったんじゃねぇか?」

それを聞くと、テナーはテノの方に振り向いた。
テノは眉を潜めると言った。

「気になるなら、本人に聞けよ。
まあお前の考える通り、両親の事だとは思うけどよ。」

テナーは強く頷くと、ルネアは言う。

「では、まめきちさんに聞いてみましょう!」

「は?」

テノが言うと、ルネアは続けた。

「まめきちさんって、ノノさんを拾ったじゃないですか?
何か知ってるかもしれません!」

「…まあ確かに、一度聞いてみるのも手だな。」

テナーも頷くと、ルネアは笑顔で言う。

「では、早速聞きに向かいましょう!」



三人でまめきちの部屋を訪ねる。
すると、珍しくまめきちがいた。

「まめきちさん。珍しいですね、いるの。」

「私は児童園とあの竜を見張る事が務めだからね。」

そして、三人は園長室に入った。
テノは暗い部屋のカーテンを開ける。
テナーは本棚に何が並べられているかを見ていた。
ルネアは改めて部屋を見る。
書斎のような部屋だ。

「話は何かな?」

まめきちは聞いてきた。
テノはテナーの通訳で言う。

「女王の事なんだけどよ、アイツの両親について聞きてぇんだよ。」

その言葉にまめきちは笑った。

「いいよ、何から話せばいいかな。」

「まめきちさんはノノさんを拾ったって、どこでですか!」

ルネアが言うと、まめきちは目を丸くした。

「実を言うとそうじゃないんだよね。」

その言葉に三人は驚いた。

「どう言う事ですか!?」

「ノノちゃんの両親は彼女を売ったんだ。」

その言葉を聞いて、更に驚くルネア。
二人の顔が歪む。
更にまめきちは言った。

「売ったからって怒っちゃダメだよ。
両親にとっては、ノノちゃんの為にした事。」

それを聞いてルネアは疑問符を浮かべながら言う。

「ノノさんの為ってどう言う事ですか?」

「そうだね。今頃黙っていてもおかしいよね。
よし、言ってしまおうか。」

それにテナーは拍手する。
ルネアも混ざって拍手をした。

「ノノちゃんは不死鳥って知っているよね?
ノノちゃんは不死鳥だけど、ノノちゃんの星では火の鳥と呼ばれているんだ。
火の鳥は、百年に一度生まれると言われているんだ。」

「物凄くレアだ…!」

そうルネアが言うと、まめきちは頷いた。

「その星では、不死鳥は災厄をもたらすと言われている。
火の鳥はノノちゃんだけど、それとは別に不死鳥と呼ばれる生き物も存在しているようだ。
不死鳥は火山に生息し、火の鳥の力が開花すると災厄をもたらすと語り継がれていてね。
しかし火の鳥の能力が完全に開花する前に不死鳥に生贄として捧げれば、災厄は起こらないと伝えられているんだよ。」

それを聞くと、ルネアは顔を真っ青にする。

「ノノちゃんの親は愛する子を殺したくはないから、私に引き取ってもらうよう言ったんだ。
だからノノちゃんをわざと出て行かせて、私に奇跡的に出会うよう演出したのさ。
魔法の事も周りにバレてしまっていたらしいし、そう長くはいられなかっただろうねノノちゃんも。」

そうまめきちは言うのだった。
三人は納得する。
するとテノは言った。

「図書館で調べたんだ。ノノの星の事。
大体仮定はしていたが…確信になったって感じだ。
…って、テナーが。」

ルネアは「ほー」と感心し、「愛の力だね」とまめきちはニヤニヤ。
テナーは少し恥ずかしそうにしていた。
するとまめきちは言う。

「それで本人に話す?
私はそっちの方が気が晴れるだろうし。
でも、その星に戻ろうとか思ったらね…。」

それを聞いたテノはテナーに言う。

「言ってみっか」

テナーは静かに頷いた。
するとテノはテナーと共に部屋を出た。

「ありがとうー」

ルネアはボーッと見ていると、まめきちがルネアに聞いた。

「君が未来に帰るのはいつ…かな?」

その言葉にルネアは目を丸くした。

「え…確かに…倒すべき魔物は倒したし…」

そう言うと、まめきちはふふっと言ってから言う。

「ラムを封印するまでかな…?」

ルネアは驚いて「知ってるんですか!?」と聞く。
まめきちは頷いた。

「正確的には眠りにつかせるだけど、それが終わった時こそ君が未来へ帰る時だね。」

「そうなんですか。」

「まあ占い師が言っているからね。間違いないさ。」

ルネアは眉を困らせながらも、まめきちに頭を下げた。

「失礼します」

ルネアは部屋を出て、落ち着かない様子だった。
手を胸に当て、考える。

(家族に会いたい、未来に帰りたい、そう思う反面…なんだろう。
帰りたくないって思ってしまう。…ここにずっといたいって…。)

と小走りで廊下を進んでいった。



テナーは外でノノを探す。
児童園の近くにツウやルカがいて、
作られた鎌倉が完全に溶ける前に、お城を作ろうと頑張っている様子。
それはそれでよしとして、テナーは坂の上でノノを発見する。
坂の上で爽やかな風にあたる彼女。
揺られる長い赤い髪が美しい。
キラッと反射し輝くピアス。とても綺麗だった。
そこでテノが言う。

「テナー、好きって言えよ。」

テナーは焦ると、更にテノは言った。

「次魔法戦争が始まったら
弱いお前はすぐ死んじまうだろ!言っておけよ!」

ショックで驚くテナー。
なんと死ぬと確信されているテナー。
少し悲しいが可能性はゼロではない。

テナーはノノの近くに来た。
共に、テノも通訳のために来る。
ノノは聞く。

「二人共、どうしたんじゃ?」

「話したい事あってよ」

「なんじゃ?」

テノはテナーの通訳で、先程聞いたまめきちからの情報を全て話したのだった。

聞いた後。
ノノは何とも無いような顔をしていた。
それから、ノノは眉を困らせて呟く。

「私の両親らしい…。
…なんじゃ、嫌いでなかったってだけで嬉しいの…。」

その言葉に二人は黙り込む。
テノはふと言った。

「嫌い……かぁ。俺等の両親はどうだったんだろ。
父さんは別として、母さんは…テナーとか特に酷い事…」

テナーも俯いていた。
ノノは二人の様子を見て、心配した様子で言う。

「悲しいのか?
ここに来て、後悔しておるか?」

ノノの言葉に、テナーは首を横に振った。
そしてテノが通訳で言った。

「逆だぜ!むしろ嬉しいんだよ。
だってよ、こうやってお前等に会えたんだぜ?
ここの生活の方が他の種族の事も知れて面白い!
刺激がありすぎて困っちゃうくらいだぜ!
だと。」

するとノノも笑顔を見せた。

「そうじゃの、確かに刺激は多い!
私もここに来て、常に新しい発見で驚きばかりじゃ!」

それに対し、テナーは笑顔で頷いた。
ノノは上機嫌で空を見上げていると、ふとテナーはノノの横顔を見た。
ノノを見ると、テナーは頬をピンクにするのだ。
それを見ているテノはニヤニヤしている。
テナーは恥ずかしそうにしていたが、思わずノノの服を引っ張って言った。

「好き」

ノノは少し驚いた。
テノはもっと驚きである。

声がコンプレックスのテナーが喋った。
テナーはノノを見つめる。
その真っ直ぐな目線に、ノノは笑顔で言った。

「やっと喋ってくれたの」

テナーは優しく微笑みながら、ノノの手を優しく握った。
ノノもその手を握ると、二人は笑いながら歌い始めるのだった。

それを少し距離のあるところで見るテノ。

「これがリア充か。ちぇッ。
…コイツ等いつも一緒に歌って楽しそうだもんな。」

そう言いつつ、その場を去った。



テノは児童園のピアノのある部屋で、ピアノを弾いていた。
そこにルネアが通りかかって見てみる。

彼の弾くピアノはいつもの傍若無人な感じはなく、むしろ気品があって清楚だ。
その姿に軽くのめり込んでしまうルネア。

演奏が終わるとルネアは拍手する。
それに気がついてテノは「ルネちんか」と言った。

「なんか、凄い紳士でした!」

「まじで」

(リートもいつもそう思ってくれてんのかな…。)

テノはそう言いつつ、少し照れている。

「いつもはあんな凶暴なのに」

しゅんとしたようにルネアが言うと、テノは怒りを剥き出しにした。

「今の言葉撤回してねぇと殴んぞオラッ!」

ルネアは焦りつつ「撤回します!」と言った。
「よし」とテノは言うと、ルネアは言った。

「作曲の具合はどうですか?」

それにテノは「順調」と言うのであった。
ルネアはそれを聞いてボーッとしていると、テノはもう一曲弾いてくれた。
レクの日にパートリーダー達が歌っていた曲だった。
連続六回も聞いたのでよく覚えていた。

その曲を聞きながらもルネアは、さっきまめきちが言っていた事を思い出す。

(…未来へ帰る…か。
信じられないな。児童園のみんなとお別れだなんて…。)

曲が終わり、ルネアは再び拍手をする。
テノはルネアの近くに来て言う。

「何か悩み事か?相談事なら聞くぜ?」

すると思わず、ルネアは首を横に振った。

「何でもない。」

「そうか」

テノはそう言いつつも、不安な表情をやめないルネアの傍に居てくれた。
ルネアは別れの事を考えて余裕がないのか、テノの小さな気遣いに気づかずにいた。



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