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6章 行進変奏
第83音 轍鮒之急
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【轍鮒之急】てっぷのきゅう
差し迫った危急や困難の例え。
=============
ベスドマグは外を覗く。
外の殺伐とした風景に、「すげぇ…」と呟きつつも考えていた。
(これなら西軍を落とせる…)
そしてベスドマグは機械の前に行く。
ラムは苦しそうで、のたうち回りたいだろう。
「流石に火力抑えなきゃだよなー。
外も殺風景だし、これじゃ東軍が破滅しそう」
ベスドマグは半分笑いながら、機械を触っていた。
「あれ?利かねぇ。
…あ、やべ 一部壊れた。」
とベスドマグは言う。
しかし機械の様子を見て言った。
「操作ー…できりゃいいか。うんうん」
そう言いつつ、外に出た。
ノノ達は本拠地にいたが、その大きな音でみんなは外に出た。
幸い、今の騒ぎで兵も混乱していたようで、出る事自体は容易かった。
「なによ…これ…」
シナは唖然とする。
リートは「ラムの力…よね?」と呟く。
「すっげ。よっくやるなぁ」
テノは言い、ノノも言った。
「うむ、嫌な予感しかせんな」
シナは眉を潜めて言う。
「これからどうすんの?」
「せっかく出たんだから逃げた方がいいじゃろ」
「ラムはどうするの?」
リートの質問に、テノは笑顔で答えた。
「ラムの魔法は暴走してるだけ。
俺等はまずは戦争を止める。
この状況下においても戦争するキチガイを!
止めていくのが俺等だぜ!行くぞッ!!」
テノが言うので、他の三人はノリで行く事にした。
本拠地ではユネイとまめきちがいて、ユネイは落ち着いた様子で言う。
「何が起こったのでしょうか」
「ラムの魔法の暴走さ。」
ユネイが驚いていると、まめきちは続けた。
「止められる者は限られている。
私達にはどうする事もできない。
大丈夫、ピンチの時は移動魔法を使うさ。
あの四人は遊ばせておきなさい。」
それにユネイは黙りつつも(遊ばす…?)と思っていた。
ルネアは急な事態に怯えながらも外を見た。
外を見ただけでは何もわからない。
グランは児童園を出て言った。
「僕は図書館に行ってくる!」
ルネアはグランを追いかけた。
「え!僕も行きます!何しに行くんです?」
「図書館の上で見下ろすのさ。」
ルネアは「おお!」と興味を持って行った。
ルネアはグランに肩を貸しながら言う。
「ちなみに今のなんですかね?」
「さあ。戦争開始?」
ルネアが驚いていると、グランは続けた。
「仕方ないさ。君も出兵したくなければ
本地には行かない方がいいね」
それに対し、ルネアは俯いた。
ラム達が心配なのだ。
アールはヒビ割れた大地の上を走る。
時々見えるマグマにアールは思う。
これが冷たいものではなくて良かったと。
本拠地付近まで走ってきたアール。
道中で火の粉に当たり、一心に走ってきたので
髪型がどうなっていようと服や顔が汚れていようと関係ない。
アールは周りを見渡すと、ノノ達を発見した。
リートがアールに気づいた。
「アール!」
他の三人も気づいて近づく。
アールも四人に向かって走る。
ノノとシナは言った。
「アールどうした…その汚れ」
「きったないわねーダサいわよ」
アールは黙りつつ、なぜ四人がここにいるかを考える。
もしかするともう戦争に出されていたのだろうか。
「アルにゃんここまで走ってきたんだろ!
こんな汚くなるまで…カッケーッ!」
テノはそう言うと、腕を回して更に言った。
「俺もそのくらいになるまで走ってくんぜ!」
「バカテノやめなさい!
…バリカンのせいで真似し始めたじゃない」
シナが呆れて言うと、アールは即答する。
「流石に私の責任ではない。」
ノノも笑顔で言った。
「私もそのくらいになるまで走るかの。」
「コラ!ノノまで行くの!?」
リートもアールを見つめて「カッコイイよ!」と言って満面の笑み。
アールはリートは気に入らないが、今は怒る気分でもないので軽く流しておいた。
それにシナは怒った。
「あなた、リートを無視すんじゃないわよ」
「ベスドマグは?」
それを聞いたノノは、少し眉をひそめながらも言う。
「そうじゃな。本拠地のどこかにいると思うぞ」
アールはすぐさま行こうとするがシナが止める。
「私達は逃げてきたけど!あなたが行ったら捕まるわよ!?
戦争に出されるに決まってる!」
「捕まったら何だ。私はアイツに会いたい。
それにここにいる時点で、私達は兵隊みたいなものだろう。」
確かにここにも魔法の手が及ぶだろう。
リートは少し考えるとアールに言った。
「ラムはベスドマグ隊長に連れて行かれたわ。
気絶させられて。私達戦争に出されるところだったの。
きっと彼の力を使ってこうしたんだと思うわ…」
いつもボケっとしているリートも、今日は冷静で真剣だった。
アールはそれを聞いて軽く目を閉じて言う。
「そうか…。逃げているところ、すまなかった。」
そう言ってアールは、本拠地へ向かって走っていった。
「バリカンっ!!」
シナは呼んだが、彼は振り向きもせずに走っていった。
シナは暫く黙っていたが、「行くぞ、争いを止めに」と言うノノの声に気づいて一緒に歩いて行った。
とある場所。
「あーんら大丈夫~?」
と言ったのはダニエル。
ダニエルは先程の揺れで落ちてきた、コンクリの壁を難無く受け止めてみんなを守った。
「ありがとダニエル」
とツウは笑顔。
ルカは腰が抜けている。
テナーはそこを抜けて、少し高い位置から見下ろしてみる。
ヒビ割れた大地にマグマに火の粉。
黒い煙が戦争の雰囲気を醸し出すようだった。
ダニエルはコンクリをそのまま別の壁に立てかけて、テナーの隣に来て下の様子を見てみた。
更にツウやルカも来て見る。
「な…なにこれぇえん…」
ルカは恐怖し、ツウは言った。
「映画撮影?」
「あら、大変な事になりそう。」
本拠地中心から割れるヒビ。
ふと、テナーはノノが心配で走り出した。
本拠地に向かって走るのだ。
「あ!テナー!」
とツウは言ったが聞いてくれず、ルカは「姉さんが心配…」と言うのであった。
ダニエルはルカを掴んで言う。
「行っちゃダメよ。
せっかくルカの魔法をかくしてここまで逃げてきたのに…危険よ。」
「言ってる場合じゃない!」
「あなたの魔法は戦火を消せる。
戦争に巻き込まれた人々、戦争に駆り出された児童だって救えるわ。
あっちには他のみんなもいる…。
信じましょう、私達にできる事をするのよ。」
ルカはそれを聞くと、俯いた。
それから顔を上げて、真摯な表情で言った。
「わかった、みんなを信じる。」
しかしルカはやっぱり悔しいのか、拳を握っていた。
グランとルネアは図書館についた。
図書館の中に入って見る。
本は大量に地面に落ちている。足場がないくらいだ。
出兵などで人もおらずで空いていた。
「いやぁこれは酷いね。」
「うわー…」
ここは浮いた陸なので、地震などの経験が無い。
地震の対策もされていなかったので、物も倒れていたりした。
グランは奥に行く。ルネアもついていく。
本を避けつつ、本棚の間にある扉に向かった。
ルネアは本棚の量でこの前来た時には気付かなかった。
「こんなところに扉が」
「うん、本棚で隠れてしまって見えない事が多いけど、
この先はスタッフオンリー。僕等の休憩室があったりするのさ。」
とグランは説明してくれた。
ルネアは納得していると、グランは鍵で扉を開けて中に入る。
ルネアも一緒に入っていった。
部屋の明かりをグランはつけると、その暗い先は廊下だった。
グランはそこを真っ直ぐ歩いて先の階段に登る。
ルネアもついていくのだが、その脇に見える扉の先などが気になっていた。
階段が長い。
驚くほど長いが、ここの本棚の高さを考えると仕方ないだろう。
そこでルネアはグランに聞いた。
「グランさん足は大丈夫なの?」
その言葉にグランはクスクス笑って言った。
「まだちょっと治ってないかも。
でも元々軽いもんだったから。少し治ればいい傷だったんだ。」
その言葉に納得しつつも共に登る。
そしてついに、二人は息を切らしながらも上に登った。
「やっとですグランさん…」
「そうだね…お疲れ様…」
そして鍵を開けてその先に行くと、屋上は見晴らしの良い高いところだった。
青空がよく見え、陸の端が見えそうだ。
しかし、美しい光景を見る前に、地上の悲惨な光景が目に入った。
あの日見た崖からの様子だけでなく、ヒビのある大地にマグマの赤色。
熱い地表を走って逃げる人々が見える。
家は崩れ、もしかしたら火に落ちた者もいるのではないかと。
「あ…」
ルネアは声を出せない。
しかしグランは至って冷静だった。
「ふ~ん、最悪な事態、なのかな?
あれ、ルネアくん、中へ戻ってる?」
グランはルネアを気遣って言ってくれた。
ルネアは首を横に振った。
「いいです!…僕、どうすればいいかな?」
「そうだね、今は何もできない。
行っても無駄な気がするんだ。」
グランの言葉に、ルネアはアールの言葉を思い出す。
――知ったところでお前に今できる事はない。
言っても無駄だ。こっちで手を打つ。――
「それは嫌です!」
それにグランは困った顔をした。
「嫌とかじゃなくてね、迷惑を考えたら行ってはいけない。
僕も君も、魔法の使えない一般の人間だ。
そんな人間がこんな惨状に首を突っ込んでも、他の人の迷惑になるだけだ。」
それにルネアは考える。
確かに自分が無理に行って迷惑をかけるのは良くない。
しかし、こんな風景をずっと見ているのも変な気がする。
グランは他人事であっても、自分は他人事ではないと思うからだ。
差し迫った危急や困難の例え。
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ベスドマグは外を覗く。
外の殺伐とした風景に、「すげぇ…」と呟きつつも考えていた。
(これなら西軍を落とせる…)
そしてベスドマグは機械の前に行く。
ラムは苦しそうで、のたうち回りたいだろう。
「流石に火力抑えなきゃだよなー。
外も殺風景だし、これじゃ東軍が破滅しそう」
ベスドマグは半分笑いながら、機械を触っていた。
「あれ?利かねぇ。
…あ、やべ 一部壊れた。」
とベスドマグは言う。
しかし機械の様子を見て言った。
「操作ー…できりゃいいか。うんうん」
そう言いつつ、外に出た。
ノノ達は本拠地にいたが、その大きな音でみんなは外に出た。
幸い、今の騒ぎで兵も混乱していたようで、出る事自体は容易かった。
「なによ…これ…」
シナは唖然とする。
リートは「ラムの力…よね?」と呟く。
「すっげ。よっくやるなぁ」
テノは言い、ノノも言った。
「うむ、嫌な予感しかせんな」
シナは眉を潜めて言う。
「これからどうすんの?」
「せっかく出たんだから逃げた方がいいじゃろ」
「ラムはどうするの?」
リートの質問に、テノは笑顔で答えた。
「ラムの魔法は暴走してるだけ。
俺等はまずは戦争を止める。
この状況下においても戦争するキチガイを!
止めていくのが俺等だぜ!行くぞッ!!」
テノが言うので、他の三人はノリで行く事にした。
本拠地ではユネイとまめきちがいて、ユネイは落ち着いた様子で言う。
「何が起こったのでしょうか」
「ラムの魔法の暴走さ。」
ユネイが驚いていると、まめきちは続けた。
「止められる者は限られている。
私達にはどうする事もできない。
大丈夫、ピンチの時は移動魔法を使うさ。
あの四人は遊ばせておきなさい。」
それにユネイは黙りつつも(遊ばす…?)と思っていた。
ルネアは急な事態に怯えながらも外を見た。
外を見ただけでは何もわからない。
グランは児童園を出て言った。
「僕は図書館に行ってくる!」
ルネアはグランを追いかけた。
「え!僕も行きます!何しに行くんです?」
「図書館の上で見下ろすのさ。」
ルネアは「おお!」と興味を持って行った。
ルネアはグランに肩を貸しながら言う。
「ちなみに今のなんですかね?」
「さあ。戦争開始?」
ルネアが驚いていると、グランは続けた。
「仕方ないさ。君も出兵したくなければ
本地には行かない方がいいね」
それに対し、ルネアは俯いた。
ラム達が心配なのだ。
アールはヒビ割れた大地の上を走る。
時々見えるマグマにアールは思う。
これが冷たいものではなくて良かったと。
本拠地付近まで走ってきたアール。
道中で火の粉に当たり、一心に走ってきたので
髪型がどうなっていようと服や顔が汚れていようと関係ない。
アールは周りを見渡すと、ノノ達を発見した。
リートがアールに気づいた。
「アール!」
他の三人も気づいて近づく。
アールも四人に向かって走る。
ノノとシナは言った。
「アールどうした…その汚れ」
「きったないわねーダサいわよ」
アールは黙りつつ、なぜ四人がここにいるかを考える。
もしかするともう戦争に出されていたのだろうか。
「アルにゃんここまで走ってきたんだろ!
こんな汚くなるまで…カッケーッ!」
テノはそう言うと、腕を回して更に言った。
「俺もそのくらいになるまで走ってくんぜ!」
「バカテノやめなさい!
…バリカンのせいで真似し始めたじゃない」
シナが呆れて言うと、アールは即答する。
「流石に私の責任ではない。」
ノノも笑顔で言った。
「私もそのくらいになるまで走るかの。」
「コラ!ノノまで行くの!?」
リートもアールを見つめて「カッコイイよ!」と言って満面の笑み。
アールはリートは気に入らないが、今は怒る気分でもないので軽く流しておいた。
それにシナは怒った。
「あなた、リートを無視すんじゃないわよ」
「ベスドマグは?」
それを聞いたノノは、少し眉をひそめながらも言う。
「そうじゃな。本拠地のどこかにいると思うぞ」
アールはすぐさま行こうとするがシナが止める。
「私達は逃げてきたけど!あなたが行ったら捕まるわよ!?
戦争に出されるに決まってる!」
「捕まったら何だ。私はアイツに会いたい。
それにここにいる時点で、私達は兵隊みたいなものだろう。」
確かにここにも魔法の手が及ぶだろう。
リートは少し考えるとアールに言った。
「ラムはベスドマグ隊長に連れて行かれたわ。
気絶させられて。私達戦争に出されるところだったの。
きっと彼の力を使ってこうしたんだと思うわ…」
いつもボケっとしているリートも、今日は冷静で真剣だった。
アールはそれを聞いて軽く目を閉じて言う。
「そうか…。逃げているところ、すまなかった。」
そう言ってアールは、本拠地へ向かって走っていった。
「バリカンっ!!」
シナは呼んだが、彼は振り向きもせずに走っていった。
シナは暫く黙っていたが、「行くぞ、争いを止めに」と言うノノの声に気づいて一緒に歩いて行った。
とある場所。
「あーんら大丈夫~?」
と言ったのはダニエル。
ダニエルは先程の揺れで落ちてきた、コンクリの壁を難無く受け止めてみんなを守った。
「ありがとダニエル」
とツウは笑顔。
ルカは腰が抜けている。
テナーはそこを抜けて、少し高い位置から見下ろしてみる。
ヒビ割れた大地にマグマに火の粉。
黒い煙が戦争の雰囲気を醸し出すようだった。
ダニエルはコンクリをそのまま別の壁に立てかけて、テナーの隣に来て下の様子を見てみた。
更にツウやルカも来て見る。
「な…なにこれぇえん…」
ルカは恐怖し、ツウは言った。
「映画撮影?」
「あら、大変な事になりそう。」
本拠地中心から割れるヒビ。
ふと、テナーはノノが心配で走り出した。
本拠地に向かって走るのだ。
「あ!テナー!」
とツウは言ったが聞いてくれず、ルカは「姉さんが心配…」と言うのであった。
ダニエルはルカを掴んで言う。
「行っちゃダメよ。
せっかくルカの魔法をかくしてここまで逃げてきたのに…危険よ。」
「言ってる場合じゃない!」
「あなたの魔法は戦火を消せる。
戦争に巻き込まれた人々、戦争に駆り出された児童だって救えるわ。
あっちには他のみんなもいる…。
信じましょう、私達にできる事をするのよ。」
ルカはそれを聞くと、俯いた。
それから顔を上げて、真摯な表情で言った。
「わかった、みんなを信じる。」
しかしルカはやっぱり悔しいのか、拳を握っていた。
グランとルネアは図書館についた。
図書館の中に入って見る。
本は大量に地面に落ちている。足場がないくらいだ。
出兵などで人もおらずで空いていた。
「いやぁこれは酷いね。」
「うわー…」
ここは浮いた陸なので、地震などの経験が無い。
地震の対策もされていなかったので、物も倒れていたりした。
グランは奥に行く。ルネアもついていく。
本を避けつつ、本棚の間にある扉に向かった。
ルネアは本棚の量でこの前来た時には気付かなかった。
「こんなところに扉が」
「うん、本棚で隠れてしまって見えない事が多いけど、
この先はスタッフオンリー。僕等の休憩室があったりするのさ。」
とグランは説明してくれた。
ルネアは納得していると、グランは鍵で扉を開けて中に入る。
ルネアも一緒に入っていった。
部屋の明かりをグランはつけると、その暗い先は廊下だった。
グランはそこを真っ直ぐ歩いて先の階段に登る。
ルネアもついていくのだが、その脇に見える扉の先などが気になっていた。
階段が長い。
驚くほど長いが、ここの本棚の高さを考えると仕方ないだろう。
そこでルネアはグランに聞いた。
「グランさん足は大丈夫なの?」
その言葉にグランはクスクス笑って言った。
「まだちょっと治ってないかも。
でも元々軽いもんだったから。少し治ればいい傷だったんだ。」
その言葉に納得しつつも共に登る。
そしてついに、二人は息を切らしながらも上に登った。
「やっとですグランさん…」
「そうだね…お疲れ様…」
そして鍵を開けてその先に行くと、屋上は見晴らしの良い高いところだった。
青空がよく見え、陸の端が見えそうだ。
しかし、美しい光景を見る前に、地上の悲惨な光景が目に入った。
あの日見た崖からの様子だけでなく、ヒビのある大地にマグマの赤色。
熱い地表を走って逃げる人々が見える。
家は崩れ、もしかしたら火に落ちた者もいるのではないかと。
「あ…」
ルネアは声を出せない。
しかしグランは至って冷静だった。
「ふ~ん、最悪な事態、なのかな?
あれ、ルネアくん、中へ戻ってる?」
グランはルネアを気遣って言ってくれた。
ルネアは首を横に振った。
「いいです!…僕、どうすればいいかな?」
「そうだね、今は何もできない。
行っても無駄な気がするんだ。」
グランの言葉に、ルネアはアールの言葉を思い出す。
――知ったところでお前に今できる事はない。
言っても無駄だ。こっちで手を打つ。――
「それは嫌です!」
それにグランは困った顔をした。
「嫌とかじゃなくてね、迷惑を考えたら行ってはいけない。
僕も君も、魔法の使えない一般の人間だ。
そんな人間がこんな惨状に首を突っ込んでも、他の人の迷惑になるだけだ。」
それにルネアは考える。
確かに自分が無理に行って迷惑をかけるのは良くない。
しかし、こんな風景をずっと見ているのも変な気がする。
グランは他人事であっても、自分は他人事ではないと思うからだ。
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