相剋のドゥエット

うてな

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01 賞金狩り

003 襲撃、魔術科学園にて。

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フューレンは全ての手続きを終え、無事に入学が決定。
フューレンは呆然と貰った用紙を眺めていた。

(入学してしまった…。やっぱり下げるっつったのにあの男が手続きしやがって…!)

イライラした様子のフューレンだったが、一度落ち着く。

(待て、俺は賞金の為にこのツアーに参加したんだ。
目的の『カオスリート』とやらを捕まえれば、ツアーを終了させる事ができるじゃないか。)

フューレンは学園の広間を見回す。
広間なのに一般的な学校の体育館よりも広く、その先には人が五人並んでも余るほど幅のある階段が二股に分かれていた。
この学園の物は全て庶民的ではない、実に高貴で高級だ。

(確かこの学園には、星で一番大きい図書館があるって聞いたな。登校許可が降りたら、そこで捕獲対象の情報でも探ろう。
せっかく学園に入学するんだ、利用できる所はしっかり利用しないと。)

フューレンは学園の外に出る。
すると、目の前に男が立ち塞がった。
ガタイが良く、如何にも大将と言ってもいいほど威厳のある男だ。

「お前か、さっき召喚術使ってここを降りたのは。」

「そうだけど、それがなんだ?」

すると男性は急に拳を振りかぶってくるので、フューレンは避けた。

「なんだいきなり…!やんのかぁ?」

フューレンは怒ったのか指を鳴らすと、男性は鼻で笑う。

「入学したてで悪いが、お前の首は頂くぞ!」

それを聞いたフューレンは眉をピクリと動かすと言った。

「あん?何のつもりかわかんねぇが…売られた喧嘩は買ってやる!容赦しねぇぞ!」

相手は襲いかかってくるので、フューレンは今度は拳を受け止めて背負い投げをする。
投げられた相手は空中に飛ばされ、転ぶ事なく綺麗に着地した。

「やるな坊主!」

相手がそう言うと、フューレンは相手に拳を向ける。
フューレンの拳を受け止めると相手はニヤっとした。

「強いな。だが、俺には勝てんッ!」

そう言って相手は足を上げてから地面を強く踏むと、異変が起きる。
フューレンの立つ地から岩が飛び出るので、フューレンはその岩を踏み台にバク宙をして相手から距離を置いた。
周囲の視線は二人に釘付け、フューレンは腰に両手を持っていく。

「魔術か!ならこっちも…!」

フューレンはそう言うと、腰にあった紙とペンを取り出して陣を描いた。

「いでよ【ナイトゴースト】!」

すると陣が輝き、鎧だけで動く騎士が現れる。
ナイトゴーストは人間の二倍ほどの高さのある生き物。
フューレンはナイトゴーストに言った。

「本気を出すな、軽く魔術を蹴散らすだけでいい。」

相手は大きめの石を宙に浮かすと攻撃を仕掛ける。
ナイトゴーストはその石を蹴散らし、フューレンは相手に向かって再び走り出した。
ナイトゴーストもフューレンのすぐ横を走り、魔術で放たれた石を全て落とす。

相手の近くにやってきたフューレンを見て、相手はニヤリとした。
そして再び足で地面を鳴らすと、相手は言う。

「引っかかったな!」

しかしフューレンはその場でジャンプ、そして陣を描いた紙を掲げた。

「ファルケ!」

陣からファルケが現れ、宙でフューレンをキャッチ。

周囲は驚いていた。

「同時に二つも召喚するだなんて…!」

勿論、喧嘩を売ってきた相手も呆然。
フューレンの走った先の地面から岩が飛び出ると、ファルケはそれを通り越してからフューレンを離す。
離されたフューレンは相手に向かって一直線に落ちた。

「はああああぁっ!」

フューレンは拳を相手に向け、一歩気づくのが遅かった相手は為す術もなく殴られる。
相手は目を回して倒れてしまうと、見ていた周囲の人は唖然としつつもフューレンに拍手を送った。

急な出来事にフューレンは微妙に戸惑っていると、一人の少女がフューレンに話しかけた。
ショートヘアの、魔女のような服を着た少女だ。

「す、凄い!本当に入学したての生徒さんですか!?」

フューレンは戸惑いつつも聞く。

「おい、この世界では突然バトルを仕掛けられるのが普通なのか?」

少女は考えてから言った。

「強い人だとそういう事は日常茶飯事なの。
学園の外で起こった死亡事件は刑罰にならないから、学園の外では結構あるの…。」

「はぁ!?ブラックな世の中だな!」

「あれ、この世界の事を全く知らないの?」

「え?」

「この世界ではね、一度でも生物の命を奪うと賞金首にされる。
そしてその賞金首を狩ると、次は狩った人が賞金首にされる。
それを繰り返したら、懸賞金は凄い事になるでしょう?
だからね、この世界では賞金首を狩る人が大勢いるの。」

「へぇ、殺人鬼と殺人鬼の狩り合いってわけか。」

フューレンが言うと、少女は頷く。

「この人も賞金首の一人で、あまり強い魔術師が増えると仕事が減ってしまうの。
だからいつも、有望そうな新入生を先に狩ってしまうのよ…。」

「なかなか酷いな。流石、悪魔が蔓延ってるって噂の惑星なだけある。」

納得したところでさっきの男性の方を見るが、そこに男性はもういなかった。

「逃げたのね。また狙われたら大変だわ。」

少女がフューレンに言うと、フューレンは教会を目指して歩く。

「その時はまた戦えばいいんだ。解説ありがと、じゃあな。」

そう言ってフューレンは立ち去り、学園の生徒はフューレンの後ろ姿を暫く見ていたのであった。





フューレンがヘグリスメオン教会に帰ってくる頃にはもう夕方。
教会の扉を正面から開くと、教会には黒いククルスを着た数人の人が教会に祈りを捧げていた。
ワレリーも教会の正面の鏡の前で祈りを捧げていると、ワレリーはフューレンに気づく。

「お帰りなさい、フューレン。もう終わりますので少々お待ちを。」

そう言って祈りを捧げるので、フューレンは退屈そうにそれを見つめながら待つ。
正面の鏡にはワレリーが映っており、鏡のワレリーには階級を示すオーラは映っていなかった。


祈祷が終わり、信徒達は教会の奥にある隠し扉の先に向かう。

「何、あの扉。」

フューレンが聞くと、ワレリーは言う。

「この先は私達の家です。
客人用の部屋はいくつか空いてますので、好きな部屋をお使いください。」

「そうか、ありがと。」

フューレンは中に入ると、静かな廊下が広がっていた。
確かに部屋は空いているように見えるが、あまりにも静かでどの部屋も空いていた。

「信徒はどこだ?」

「静かな地下で精神統一中です。」

「地下で…?一体どんな宗教なんだ…?」

フューレンがなんとなく聞くと、ワレリーは足を止めてフューレンの方を見る。

「知りたいのですか?この教会の全てを……あなたはその覚悟がありますか…?」

ワレリーのニコニコとした笑顔。
どことなく、その笑顔には胡散臭さを感じてしまう。

「教えてくれるのか?」

「ふふ、お断りします。」

「言わないんなら思わせぶりな発言やめろッ!」

フューレンのツッコミにワレリーはクスクスと笑った。
フューレンは調子が悪いのか溜息をつくと、一つ部屋を選び書類を下ろす。
部屋は綺麗で埃一つもない。
ベッドにタンスに机に鏡、普段使いそうな物は一通り置いてあった。

「この部屋にするわ」

「わかりました。では、入学に必要な物はメモしていただいて私に。」

「ん、わかった。働いて金が出来たら返すから。」

「ありがとうございます。」

ワレリーはそう言って教会の方に再び向かっていく。

(ワレリーは地下で精神統一しないんだな。)

フューレンは書類を目に通すと、ふと言われた事を思い出して必要な物をメモしていた。





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