相剋のドゥエット

うてな

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01 賞金狩り

005 悪魔に魅入られた男、ワレリー・ポポフ。

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「あなたも…私の羊となりますか?」

ワレリーはにんまりとした顔で言った。
フューレンは眉を潜めると再び陣を描く。

「悪魔になってたまるかっ!いでよ【ゴーレム】!」

陣から土で出来た巨兵、ゴーレムが出てくる。
モルビスは拳で攻撃を仕掛けると、ゴーレムも拳で返した。
二つの力は互角だった。

フューレンはワレリーの元に向かうと言う。

「おい、タイマンしろよ。」

「おや、私とですか?」

「当たり前だ!俺が勝ったらコイツを止めろ!」

それを聞いたワレリーは鼻で笑った。

「ですが、私は喧嘩が強くないので。ふふふ。」

謎の余裕にフューレンは若干のイラつきを覚えたが言う。

「じゃあ今すぐ止めろ!」

「お断りします。」

ワレリーがやめない事を知ると、フューレンはワレリーを捕まえようとした。
しかしワレリーの背から悪魔の翼が生え、そのまま飛び去ってしまう。
フューレンは顔を上げてワレリーをよく見ると、ワレリーに翼など生えてはいなかった。
ワレリーが背負っている赤子、それから翼が生えているのだ。

「お空は飛べますか?フューレン。」

フューレンは煽られて怒ったのかハーピーに指示をした。

「飛ばせ!ハーピー!」

ハーピーは風を起こすと、ワレリーは近くの木に捕まる。
その暴風にモルビスが一瞬だけ足を取られると、フューレンは閃いた。

「ゴーレム!コイツから逃げろ!」

ゴーレムは指示に従って逃げ始めると、モルビスはゴーレムを追う。
フューレンはモルビスの足をよく観察しており、一瞬の隙を見つけて言い放つ。

「ハーピー!暴風だ!」

ハーピーは言われるがまま暴風を起こすと、モルビスはバランスを崩して転んでしまった。
それを見たワレリーは険しい顔を見せると、赤子に言う。

「【フェオドラ】、降ろしてくれますか?」

「ぱーぱ…うん。」

赤子、もといフェオドラはそう答えるとワレリーを降ろした。
ワレリーはモルビスに向かって走る。
フューレンはゴーレムに指示を出した。

「トドメだ!」

「モルビス!悪魔の力を解きなさい!」

ワレリーの言葉で、モルビスは徐々に体が元に戻っていく。
ゴーレムはモルビスに向かって拳を向けて落とすと、ワレリーはモルビスを押してゴーレムの拳から逃す。

しかし次はワレリーが狙われ、フューレンは流石に不味いと思って止めようとした。
フューレンが指示を出す前にフェオドラは翼を伸ばし、拳を避けた。
その弾みでワレリーの所持していたダガーが落ちる。
ワレリーが助かって、フューレンは安心の溜息をついた。

「はぁ…
あ、そうだ。コイツらが悪魔ってなら…!」

フューレンは自分の手に神力を込めた。
するとフューレンの手のひらにサッカーボールほどの大きさの光ができる。

「【クラレス】!」

その光にモルビスは目を庇い、動けなくなる。
更にフェオドラも羽をしまいこんでワレリーの背に隠れてしまった。
ワレリーは二人の様子を見てから言う。

「ほう、悪魔の苦手な光ですか…。」

フューレンはワレリーに近づきながら言った。

「ただの光じゃないぜ。悪魔が苦しむように出来た、聖なる光だ。」

フューレンがワレリーの近くまで来ると、ワレリーはフェオドラを庇う。
光を浴びても動じないワレリーを見たフューレンは言った。

「お前…悪魔じゃないのか?」

「…人間ですが何か。」

「馬鹿野郎!人間が悪魔と一緒に…!悪魔に協力するなんざ頭沸いてんのかッ!
今すぐ離れろ!悪魔から!」

フューレンはそう怒ったが、ワレリーは動かない。

「お前、悪魔に操られてるとかじゃないだろうな?
って、そんなの操られてる人間に言っても通じねぇか…
おい、その悪魔をこっちに渡せ!」

フューレンはそう言ってフェオドラに手を伸ばしたが、ワレリーはフューレンの手を叩いて払った。

「触れないでください。…天使などに、私の娘を浄化されてはたまらない。」

それを聞いたフェオドラは呟く。

「ぱーぱ…」

「娘?それは正真正銘の悪魔だろうが!」

「それが何か?」

フューレンは眉をピクリと動かすと言った。

「じゃあ力づくでも消すぞ。」

そしてフューレンはワレリーの腕を掴むと、フェオドラが顔と羽を出して威嚇する。

「ぱーぱに触るなっ!」

しかしフューレンは驚く事もなくフェオドラに光を向けるので、フェオドラは弱ってしまった。
ワレリーは手に持っていた本を開くと呟く。

「オドュラよ…この子供を消しされ…」

次にワレリーは狂気の混じった声で言い放った。

「私の目でも腕でもなんなり持っていくがいいッ!」

すると手に持っていた本は輝いた。
更にフェオドラは目を見開き、フェオドラから力が放出される。
フューレンは強大な闇の力に、ワレリーの手を離してしまう。
フェオドラは目を見開いたまま呆然としていたが、か細く言った。

「ぱーぱ…だ…め…!」

フェオドラはワレリーにしがみつくと、ワレリーは奇怪に笑う。

「ヒヒハハ…!子供一人に邪魔されてはたまりませんよ…!
全てを水の泡にするわけにはならないッ!ハッハッハッ!」

狂気に満ちた目を開き、実に愉快そうに高笑いをするワレリー。
それを聞いたフェオドラは涙を流し、モルビスも驚いた顔を見せた。

「ぼ、牧師様!?」

そしてフューレンは眉を潜めた。

「悪魔より人間の方が狂っていたか…」

フェオドラの翼が刃となり、ワレリーの右腕と右目を狙う。
その時だ。

「ちょちょいのちょい!」

光が飛んできて、その闇の力が打ち消された。

「ちょちょいのちょい!」

更に聞こえると、次はワレリーの手から本が弾かれた。
ワレリーはそれに気づくと、真っ先に教会の屋根を見上げる。
教会の屋根には、フューレンを連れ去ったあの男性がいた。

「【大魔導師(ダイマドウシ)】…!」

ワレリーは男性、もとい大魔導師を睨んだ。

「お前は!」

フューレンが言うと、大魔導師は屋根から降りる。
ヒラヒラと降り立ち、二人の元へやってきた。

「やあ、見守るつもりが邪魔しちゃったね~」

ワレリーは黙り込んでいると、大魔導師はワレリーの肩に手を乗せる。

「ダメだよ~、君が命を捨てるような真似しちゃ。」

ワレリーは大魔導師から視線を逸らすと言った。

「命を捨てるのではありません、体の一部を悪魔にやるだけです。」

「誰も望んでないよ、そんな事。」

大魔導師は笑いながら言うと、フューレンに言う。

「ごめんね~。この人間は自分の計画を邪魔されると手段選ばないからね。
あんまりお互い怒らせないって事で仲直りしようね~」

「は!?コイツ、俺を悪魔にしようとしたんだぞ!?」

フューレンが言うと、大魔導師はワレリーを見つめた。
するとワレリーはフューレンの目を見て言う。

「私の邪魔をしないと言うのなら、見逃しましょう。
フューレンは?住む家がないのでしょう?どうなさるおつもりですか?」

フューレンは眉を潜めると、次に溜息をついて言った。

「わかった。本当に俺を狙わないってんなら、俺も見逃してやる。」

それを聞いたワレリーは、いつもの穏やかな微笑みを見せて言う。

「約束ですよ、フューレン。」

ワレリーは握手を求めたのか手を伸ばすので、フューレンは少し躊躇ったが手を伸ばす。
ワレリーはフューレンの手を握って握手をすると、大魔導師に言った。

「あなたの望みは叶えましたよ?早く帰ってくださいな。」

「そんなに僕が嫌いかな~?」

「はい。」

「そ~だね、今夜はもう遅いから帰ろうかな~」

大魔導師がそう言っているのを傍に、ワレリーはモルビスに手を伸ばす。

「今日からうちに住みなさい。フューレンも帰りましょう。」

「牧師様…」

モルビスは立ち上がると、ワレリーについていく。
フューレンも大魔導師は放置して、陣を解いて教会に帰るのであった。

一人取り残される大魔導師。

「あれ~?みんなせっかちだね~。
ちょちょいのちょい!」

大魔導師はそう言うと、掛け声と共に消えたのであった。





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