相剋のドゥエット

うてな

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01 賞金狩り

011 賞金を得て、賞金首へ。

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フューレンはアジトの外に居て、ワレリーが悪魔達に指示を出しているところを見ていた。

「賞金首を【役場】に持ち込んだらそれぞれお帰りなさい。
ケリスとキリエルは人々を家まで帰すこと。
私はフューレンと共に役場に行きます。」

『はい』

悪魔達は返事をすると一瞬で散り散りに分かれるが、モルビスだけ一歩遅れて散る。
ワレリーはフューレンを見ると言った。

「捕まっていた人々も、直に家へ戻れる事でしょう。
私達も役場へ向かいましょう。」

「役場って?」

「賞金首と賞金を交換できる場所です。大丈夫、遠くないですよ。」

「…そうか。」

フューレンは浮かない様子で答えると、ワレリーが歩き出すので後ろをついていった。


暫く歩くと、寂れた街に着いた。
道は布切れや塵紙などのゴミが散乱しており、人の気配も少ない。
建物の明かりもひっそりとしているので、フューレンは違和感を覚えた。
ちなみにフェオドラはワレリーのピアスに息を吹きかけて遊んでいた。
正面に見えるそこそこ大きな建物にワレリーは指を差す。

「ここが役場です。」

そうして役場の前に来ると、ワレリーは扉を開いた。
役場の中は静かではあったが、外と比べて整理が行き届いていてさっぱりしていた。
無音の代わりに時計の音が響き、役人の紙を触る音がたまに聞こえる。
ワレリーは正面の受付に来ると言った。

「首を持ってきました。」

ワレリーは机の上に男の首を置くと、受付の女性は言う。

「首の主のデータを探すので少々お待ちください。あなたの名前は?」

「彼はディスバ・ルデイクです。私はワレリー・ポポフと申します。」

それを聞いた役人は近くのパソコンで調べると、首と情報を見比べた。

「よろしいでしょう。賞金七千チョチョイです。」

受付はそう言って首を貰うと、ワレリーに七千チョチョイを渡した。
フューレンは、お金の単位で吹いてしまう。
それを見たワレリーはフューレンに言った。

「驚きましたか?この世界は魔術科学園の独裁なのです。
そしてその学園は、あの大魔導師が作ったもの。
だからお金の単位も可笑しなものにされているんですよ。」

「もっとマシな単位あったろ…!」

フューレンはそう呟いていると、ワレリーは受付に言う。

「ありがとうございます。
それと、連れの人も一人狩っていますのでお願いできますか?新規です。」

「はい。」

フューレンは一度外に出ると、ナイトゴーストと共に賞金首であった男の体を持ってきた。
すると受付の女性は言った。

「首だけでいいんですよ?」

「えっ…ああ、運びにくいもんな…」

フューレンはそう言うが、あまりに惨くて出来そうにない。
それを見兼ねた受付は言う。

「いえいえ、首だけの方が手軽と言うだけで受け取れない事はないので。」

「え、そうか。じゃあこれで頼む。」

そして男の死体は別の役人が持っていくと、ワレリーは言った。

「この男の名はジョーン・ウェーリックですよ。」

受付の人はまた調べると、目を丸くする。

「大当たりです。」

「それは良かった。
それよりもフューレン、名乗ってあげなさい。」

「え、フューレン・シュテル。」

フューレンは名乗ると、受付の人はパソコンのキーボードを打ち込む。
パソコンを触っている間、ワレリーはフューレンに言う。

「これであなたも賞金首の一人となりました。
自分の賞金は、自分が狩った人間の半額プラスされます。
賞金首でない生物の場合、大抵は一チョチョイくらいになります。」

「なるほど。」

フューレンは流すように答えると、受付の壁の方を見た。
受付の壁には電子看板の様な物が飾っており、そこにはランク付けされた賞金首の名前が載っていた。

「あれは今この世界で最も高額な懸賞金を懸けられた者のランキングです。
一番上を見てみなさい。」

ランキング一位の賞金首の名に【ヴァレリカ】と表記されていた。

「あれがこの世界で一番懸賞金懸けられてる奴?」

「ええ。あなたにとって、一番の脅威となる者でしょう。」

「なんで?」

フューレンの問いに、ワレリーは少し黙ってから答える。

「ここでは言いにくいですね。」

フューレンは眉を潜める。

「なんだよ焦らしやがって。
…コイツ等も、さっきの奴等みたいに惨い事をして賞金を稼いでる奴なんだろうか…」

「さあ、会ってみなければわかりませんね。」

すると受付の女性は金を出して言った。

「確認と登録が終わりました。どうぞ、九千チョチョイです。」

フューレンは金を受け取るとワレリーに聞く。

「この金って別の星の金に替えて送る事はできないのか?」

「できますよ。魔術科学園で全てやってくれます。」

「母さんに仕送りとかできないか!?」

フューレンはワレリーに一歩踏み込んでそう聞くと、ワレリーは笑った。

「ふふ、仕送り程度なら可能ですよ。親思いの優しい方なんですねフューレンは。」

フューレンは恥ずかしいところを突かれた為、若干赤面。
その様子に更にワレリーはクスリと笑う。愉快とでも思ってそうだ。
フェオドラも笑顔になって言う。

「フェオドラも、おやおもいだよ!」

ワレリーは続けて笑ってしまうと、フューレンに言った。

「仕送りの方法は…そうですね、私の信徒に聞いてみるといいでしょう。
信徒の内の一人が、魔術科学園に通っていますので。」

「おう、助かる。」

こうして、二人はヘグリスメオン教会に帰宅するのであった。



教会に戻ったフューレンは、すぐに自分の部屋に戻って机に向かう。
すると何かに気づき、廊下を歩いていたワレリーに話しかけた。

「ワレリー、金を仕送りする際に手紙とか渡せるか?」

「ふふ、できますよ。
あ、よければ便箋を持ってきますよ。」

「ありがとう!」

フューレンは部屋に戻って机にお金を広げる。
フューレンの目は若干輝いていた。

(よし、明日は絶対に仕送りを忘れないっと!)

それから表情を一瞬だけ曇らせる。

(母さん…この事を知ったら心配するだろうな…手紙、明日出したらいつ届くんだろう。)

フューレンはそんな事を考えていると、ワレリーが部屋の扉をノックした。

「どうぞ」

フューレンが言うと、ワレリーは部屋に入る。
それから大量の便箋と封筒をフューレンに渡すのだった。
便箋や封筒にも種類があり、どれでも好きなものを と言った感じであった。

「大切なお母様に手紙を送るのでしょう?便箋や封筒は余計に置いておきますね。
遠慮なく使ってください、あまり使わないもので。」

「こんなに…ありがとう、ワレリー!」

ワレリーはクスクスと笑うと、次に言う。

「明日、魔術科学園に行く前に、地下でキリエルという信徒を呼びなさい。
彼は魔術科学園の生徒です、魔術科学園の事を教えてくれますよ。」

「ああ。」

フューレンはそう言うと、少し黙ってからワレリーに言った。

「何から何までありがとな。…ワレリーは残忍な所はあるけど、あんまり悪い感じしないなこんなんだと。」

それを聞いたワレリーは一瞬だけ間を空けたが、すぐに笑う。

「あら、残忍なだけでしたら退治されてしまいますからね、あなたに。」

「そうか?」

フューレンはそう言うと、ワレリーは部屋の扉の前に立って言った。

「そういうものです。」

そう言うと、ワレリーは部屋を立ち去る。
フューレンはさっきの間が気になったが、今は気にせず手紙に集中する事にした。
いつも方陣を書いているペンを持ち、母への手紙を綴る。
そんなフューレンの表情には、活き活きとした感情が少しだけ漏れていた。





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