相剋のドゥエット

うてな

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02 ヘグリスメオン教会

012 お茶目なヴァンパイア、キリエル。

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次の日の朝、フューレンは目が覚めた。
すると、また目の前に大魔導師が。

「おはよう、フューレン」

フューレンは寝ぼけて

(どこかで聞いたフレーズ…)

と思っていると、大魔導師に頭を両手で掴まれて揺さぶられた。

「しゃんしゃん」

と勿論言いながら。
目が覚めてフューレンは、反射的に大魔導師を殴り飛ばしてしまう。
大魔導師は素直に殴られつつも、嬉しそうに飛ばされていった。

「またお前かよッ!」

フューレンはそう言って着替えていると、大魔導師はぬくぬくと起き上がってくる。

「だって今日はフューレンが魔術科学園に行く日だよ?」

「なんで俺に付きまとうんだよ…!」

大魔導師はフューレンの顔に、自分の顔を近づけると言った。

「君は反応が面白いからね。」

フューレンはもう一度パンチをお見舞いすると、丁度ワレリーが部屋の前を通る。
部屋の扉は開いていた為、倒れた大魔導師を見たワレリーは言った。

「おや、躾のなってない犬ですね。
最近よく来ますね、フューレンに惚れましたか?」

「おはよう人間~そうだよ~フューレンが一番構ってくれるからね~」

「フューレンも可哀想ですね。
精々、生涯追いかけられないように頑張ってくださいね。」

(生涯…)

フューレンは呆然としつつ、本当に大魔導師は何者なのかと知りたかった。


朝食を終え、地下の扉を開ける。

「おい、ここにキリエルって信徒いないか?
ワレリーに言われて一緒に魔術科学園に行くよう言われてんだ。」

暗い地下の廊下に、フューレンの声は吸い込まれた。
すると、一人の青年の声が聞こえた。

「待って!今行くよ!」

その声が聞こえると、キリエルは翼を生やして飛んでくる。
少し長い青髪を後ろで結び、色白で真っ赤な目を持つ青年。
眼鏡をかけていて、服装はワイシャツにズボン。

「初めまして!僕はヴァンパイアのキリエル。君は?」

「…フューレン。」

「ヨロシク!」

キリエルはウインクをしてそう言うと、フューレンの手を引っ張った。

「さっ!早く学校行っちゃお!
えっと、手紙届けるだけだっけ?」

「おう。まだ登校許可が下りてないからな。」

フューレンはそう答えると、キリエルは笑顔。

「おっけ!じゃあ行こう!」

そう言って教会の外まで出ると、キリエルは言う。

「僕は学園では【キュース】って名前で呼ばれてるからそう呼んでね。」

「キュース?キリエルって名前は?」

「アレは悪魔名だよ。牧師様と契約した際に勝手に付けられたのさ、牧師様に。
みんな名前変えられちゃってるのさ。」

「キュースが本名ってわけか?」

「そう!僕は悪魔名の方が気に入ってるけどねー」

「じゃあモルビスとかも本名じゃないんだな。」

「新人クンもそうだねー。本名わかんないけど!」

フューレンは、あまりにも元気なキリエルについ言ってしまう。

「本当に元気なんだな。なんで悪魔なんかになっちまったんだ?」

それを聞いた途端、キリエルは涙目になって言った。

「不慮の事故だよー!
僕がさ、事故で大金をかけられた悪魔を退治しちゃったの!
だから僕に賞金がかかって、人々に狙われる様になって…!
そうやって逃げた先がここだったの!
あとは牧師様にいい様に言いくるめられて…!悪魔になったらヴァンパイアだよ!」

勢いのある語りにフューレンは圧倒される。

「…大変だったな。」

するとキリエルは何かに気づいたのか言った。

「ごめん話し過ぎちゃったね!次はフューレンの事でも聞こうかな!?」

「いや、学園の説明頼む。」

フューレンは遠慮すると、キリエルは眉を困らせる。

「え~天使さんの暮らしとか聞いてみたいよ~」

「いや、天使と言っても俺の家は裕福じゃなかったし、変わった生活もしてない。」

「じゃあ家族構成!」

と言ったキリエルの目は輝いていたので、話すしかなかったフューレン。

「母さんと俺だけ。父親はいない、俺が小さい頃に母さんと共に追い出してきたから。」

「はぁ!?なんつーパッパだ!ひっでぇ!」

キリエルがブーイングすると、フューレンは続ける。

「父なんて記憶に残ってねぇけど、会ったら殴ってやりたいとは思ってる。」

「おう!殴っちゃえ!」

キリエルは気分が舞い上がっているのか、いつの間にか翼を生やして宙に飛んでいた。
それを見たフューレンは言う。

「学園の人は悪魔になったって知ってんのか?」

それを聞いたキリエルは翼に気づいて、翼をしまいこんで苦笑。

「ごめんごめん舞い上がってた!教えてくれてありがと!」

「みんな知らないのか…危なっかしいなキリエルは。」

「ごめんごめん」

キリエルは舌を出して笑った。
すると、正面から一人の男性がやってくる。
フューレンはその男性を見ると驚いた。
その男性は黒い髪と執事服を着た、フューレンがこの世界に来た当初に教会を教えてくれた男性だった。

「お前あの時の…!」

「【アシュター】!」

キリエルが言うので、フューレンは驚く。

「知り合い?」

「うん!」

するとアシュターは言った。

「どうやら教会に転がれたみたいだな。」

「あん時はありがとよ。
お前に教えて貰わなきゃ、今頃学園に入学できてなかったろうし。」

「どーいたしまして。」

アシュターはフューレンにそう言うと、次にキリエルの方を見る。

「キリエル、フェオドラちゃんは?」

アシュターがそう言うと、キリエルは苦笑。

「教会にいると思うよ。」

それを聞くと、アシュターはつまらなそうな顔をする。
すると二人に微笑む。

「あっそ!
じゃ、俺は忙しいから。またな!」

アシュターはそう言うと、背中から悪魔の翼を生やして飛び去る。

「アイツ悪魔かよ!」

フューレンが言うと、キリエルは苦笑。

「そうだよ。彼にもご主人がいるんだー。
とは言いそのご主人、結構性格悪いらしんだよー。
僕は牧師様みたいな優しい人が主人で良かったぁ!」

「へー。」

(ワレリーもワレリーで腹黒いところあると思うけどな。)

とフューレンは思っていた。


そして気づけば、魔術科学園に到着していた。
いつ見ても立派な建物。
フューレンは冷や汗を浮かべていた。

「どうしたの?」

キリエルはフューレンの顔を覗き込んで言うと、フューレンは答える。

「いや、高価や高級そうなものを見ると緊張する体質で…」

その言葉にキリエルは吹いてしまうと笑った。

「何その体質!面白いねフューレン!」

フューレンは不機嫌な顔を見せると言う。

「早く行くぞっ」

こうして、二人は魔術科学園に向かうのであった。





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