相剋のドゥエット

うてな

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02 ヘグリスメオン教会

019 アシュターの主人、悪魔使いの青年。

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皿洗いを終えたワレリーは、子供達の寝ている部屋へとやってくる。
子供達はグッスリ眠っていて、部屋の片付けも既に終わっていた。
ただ、フューレン達の姿は部屋にはない。

「ぱーぱ」

フェオドラは起きていて、ハイハイをしてワレリーに向かっていた。
ワレリーはフェオドラに駆け寄ると抱く。

「まだ寝ていなさい、眠たいでしょう?」

「ううん…」

フェオドラは明らかに眠たそうにしているので、ワレリーは溜息。

「嘘をついてもバレバレです。子供達と寝なさい。」

「やーだ!ぱーぱといっしょがいー!」

「仕方ありませんね…」

ワレリーはそう言うと、おんぶ紐でフェオドラを背負った。

「私とそんなにいたいのなら、これで我慢なさい。」

「うん!」

フェオドラは嬉しそうにワレリーの背中に捕まると、ワレリーはフューレン達を探しに廊下に出る。
廊下は静かで、人の声は聞こえなかった。
近くの窓から外を覗くと、ワレリーはアシュターを発見。
アシュターは保育園前でウロチョロしていて、落ち着かない様子だった。
するとフェオドラは目を輝かせて言った。

「あしゅたあ!」

フェオドラはそう言って翼を生やすと、窓に向かって飛ぶのでワレリーは顔を窓ガラスにぶつけてしまう。

「あ!ぱーぱ…ごめんなさい…」

フェオドラはしゅんとしてしまうと、ワレリーは鼻をぶつけたのか鼻を押さえていた。

「玄関から出ましょうね…」

ワレリーは辛うじてそう言うと、そこにキリエルがやってくる。

「牧師様どうしたの!?」

ワレリーはキリエルの方を見ると、常時瞑っているはずの目を開いた。
ワレリーの目は怖いのか、キリエルは「ヒィッ」と驚いているとワレリーは言う。

「ティッシュ持っていませんか?」

「え?」

キリエルはポカンとすると、ワレリーが鼻を押さえている指の間から血が見えた。
するとフェオドラは悟ったのか言う。

「はなぢ!」

「鼻血!?もー牧師様ったら変なところでヤワだなぁー」

キリエルは笑いつつも、近くの部屋からティッシュを持ってきてワレリーに渡した。
ワレリーはティッシュを一枚貰うと、鼻と手を拭く。
しかし血は止まっていないので、再び血が流れた。
それを見たキリエルは苦笑すると、キリエルもティッシュを手に取る。

「もーそんなんじゃ止まりませんよ牧師様!鼻に突っ込まないと!」

キリエルはそう言って無理矢理ワレリーの鼻にティッシュを詰め込むと、ワレリーは驚いた顔を見せた。

「これでよし!」

キリエルは笑顔で言うが、ワレリーはいつものような穏やかな顔を浮かべてくれない。
するとワレリーは言った。

「そう言えば、外にアシュターが来ているもようです。
フェオドラに会いに来ている様ではありませんし…不自然です。
この事をフレノアに伝えておきなさい。」

「つまり『あの人』が来てるんだね…わかったよ!」

キリエルはそう言って廊下を駆けると、ワレリーは外に向かうのだった。


外に出ると、アシュターはワレリーの前までやってきた。
アシュターはワレリーを見ると目を丸くした。

「なんだなんだー?お前、いつもは愛想笑いしてんのにどうしたその顔。」

「鼻をぶつけただけです。」

するとアシュターは大笑い。

「アッハッハッハッ!ダッサイの~!」

フェオドラは顔を出すとアシュターを見て喜ぶ。

「あしゅたあ!」

アシュターはフェオドラを見ると大喜びした。

「フェオドラちゃん!遊びに来たよー!」

そう言ってアシュターは手を伸ばすので、ワレリーはおんぶ紐を緩めてフェオドラを開放。
フェオドラは飛んでアシュターの元へ向かうと、アシュターはフェオドラを抱いた。

「きゃー今日も可愛い!」

「フェオドラと遊びに来ただけですか?あなたのご主人は?」

「来てるぞ一応。」

アシュターはそう言うと、アシュターの背後から金髪の男性が顔を出す。
その男性を見ると、ワレリーは微笑んだ。

「またフレノアに用ですか?」

金髪の男性は溜息をついた。

「それ以外に何があると言うんだ。
いいかい?ミレサはお前みたいな貧乏な牧師よりもボクの様な金持ちの悪魔になった方が幸せなのさ!」

「お引取りください。
あなたでは彼女を幸せにする事などできませんよ。」

「何を!魔術も魔法も使えない上に貧乏な人間がボクに言うんだッ!」

「おやおや、魔術も魔法も使えない上に貧乏な人間に最愛の人を奪われてしまうあなたは一体なんですか?」

ワレリーは笑うと、男性は怒る。

「お前は頭だけは回るからな!そのせいだ!」

そこにフューレンとキリエルがやってきた。

「ワレリー…って、その鼻どうした?」

「おやフューレンですか。これは色々ありまして…お陰様で頭がぼーっとしているのです。」

普段は穏やかな顔を浮かべているはずのワレリーがただ目を開いてぼーっとしている様子を見るだけで、相当なのだとフューレンは察する。
キリエルは焦った様子で言った。

「牧師様、貧血起こしたりするとああいう顔するんだよねー!
僕も毎度のように見てるよ!ちょっと怖い顔してるよね!」

(いつも血を吸ってるらしいからな…そりゃ貧血起こすわな…)

フューレンはそう思っていると、アシュターを見て驚く。

「アシュター!」

次にフューレンは青年を見るので、キリエルは説明をした。

「あの金髪の人は悪魔使いで、アシュターと契約してるんだ。簡単に言えば牧師様と同じ感じだよ。」

「悪魔使いが悪魔使いに何の用なんだ?」

フューレンは眉を潜めてそう言うと、キリエルは苦笑。

「あの人さ、フレノアを狙っててね。
フレノアが悪魔じゃない時から狙ってるらしいんだよ。フレノアはうんざりしてるんだよ?」

男性はその解説を聞くと言った。

「なわけあるかッ!おいアシュター!そこのヴァンパイアを殺してしまえ!」

しかしアシュターはフェオドラに夢中。

「今はパス。」

「言う事聞けッ!この使えない悪魔がッ!」

それを淡々と見つめているフューレン。

「全然言う事聞いてくれてないみたいだな。」

「うっさいッ!」

男性に怒鳴られるが、フューレンは動じない。
フューレンは続けてキリエルに質問。

「主人の言う事は絶対なんじゃないのか?お前達はそうだろ?」

「あの人は悪魔と契約してるってだけだからね。
牧師様は悪魔と契約して、その悪魔の力を借りて僕達を従えてるから牧師様の言う事は絶対だよ。」

するとアシュターはニコニコした顔でフューレン達に言った。

「命に価値のない人間に呼び出されて、勝手に契約結ばれて、命貰ってもあんまり嬉しくねぇじゃん?
だったら俺はフェオドラちゃんと遊ぶ事を優先するぜ」

それに対し、ワレリーはクスクスと笑うと言った。

「どの悪魔も、弱い者より強い者を欲しがります。
アシュターは、強大な魔力を持つフェオドラに惚れてしまったのでしょう。」

しかしアシュターは反論。

「確かにそうかもしれねぇけど!それだけじゃないぞ!」

それを聞くと、ワレリーは頷く。

「勿論わかっております、フェオドラを見ればよくわかります。
あなたは情熱を持つ悪魔、フェオドラが懐く理由もよくわかります。」

それを言われてアシュターは照れた顔を見せる。
すると、男性はワレリーの肩を掴むと言った。

「この悪魔をやるから、ミレサを寄越せ!」

男性の言葉にアシュターは反応。

「なんだって!?」

「おや、アシュターをくれるのですか?
ありがとうございます、フェオドラの面倒を見てくれる人が増えます。」

ワレリーはニッコリ。
それを聞いてキリエルは仰天。

「フレノアを渡しちゃうの!?」

キリエルの問いに、ワレリーはいつもの微笑みを見せるだけであった。

「やめてよ!フレノアは牧師様に堅く忠誠を誓ってる悪魔だよ!?」

しかしワレリーは何も言わない。
キリエルは、怖くなったのか顔を青くしてしまった。





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