相剋のドゥエット

うてな

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02 ヘグリスメオン教会

021 悪魔の力を持った堕天使。

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ヴァレリカに応戦を決意したワレリー一行。
キリエルはヴァレリカに攻撃を仕掛ける。

「まずはかぁるくやっちゃうよ~!クァルラマフィラ!」

その掛け声と共に氷の槍が何本もキリエルの周りに浮遊した。
そして氷の槍は空に向かって飛び、やがてヴァレリカに向かって雨のように降り注ぐ。

しかしヴァレリカは驚いた様子も見せず、槍を空に向けて掲げた。
槍をグルグルとバトンの様に回し、氷を全て蹴散らしてしまう。

「ゲェ!やっぱ勝てないんじゃないの~!?」

キリエルはそう言っていると、キリエルの横をフレノアが横切った。
フレノアは白い炎を体に纏いながら、ヴァレリカに向かっていた。

「【ガヌルゼラー】ッ!」

フレノアに纏わる白い炎は、火炎放射の様にヴァレリカに吹きかかる。
しかしヴァレリカには光のベールがかかっており、フレノアの炎は効いていなかった。

ヴァレリカは槍をフレノア達に構えると、槍に光を溜める。
槍が光輝き、電気をバチバチと帯びてきた所で光線を放った。
フレノアに当たりそうになる光線、咄嗟にフレノアをキリエルが庇った。
キリエルの全身に、光の力と強力な電撃がぶつかる。

「うわあああッ!!」

「キリエル…!」

フレノアは声を裏返しながら、目の前に倒れ込んだキリエルを優しく支える。
あまりの強力な力に、キリエルは気を失っていた。
アシュターは頭を抱える。

「だからー、ヴァレリカに勝てねぇよ。さっさと逃げる!これが得策だ!」

それを見ていた悪魔使いの男性は怒り顔。
そしてヴァレリカに言い放った。

「おい!ヴァレリカ!ミレサに当たったらどうするんだッ!」

ヴァレリカは慌てて男性に振り返ると、小さく頭を下げる。

「申し訳ございません、マスター。」

ヴァレリカは男性に頭を下げていたが、フューレン達を逃す気はないのかすぐに振り返ってきた。
フューレンは思わず一歩前に出ていた。

「クッソ…よくもキリエルをッ!」

それに便乗するようにフェオドラも言う。

「そーだそーだ!」

身を前に乗り出し、翼を出して飛び立つ。
フェオドラを背負っていたワレリーも共に連れて行かれ、フューレンとワレリーはヴァレリカの前にやってきた。
ヴァレリカは二人の顔を見る。
ワレリーは微笑むと言った。

「悪魔は簡単に攻撃できますが、私に攻撃ができるでしょうか。」

ワレリーはダガーを持ってヴァレリカを挑発すると、ヴァレリカはワレリーに槍を向ける。
ワレリーの鼻先に槍の先端。
槍が光り輝くと、悪魔使いの男はヴァレリカに言った。

「お前は馬鹿かヴァレリカ!この男を殺してしまったら、他の悪魔に魂を売る事になってしまうだろ!お前より強くなったらどうする!?」

しかしヴァレリカは顔一つ変えずに言う。

「人間の魂が悪魔に与える力など、たかが知れている…。例え周りの悪魔が強くなろうとも、私が勝てばいいのです。」

それを聞いたワレリーは腹を抱えて大笑い。
急に笑ったワレリーに一同は驚いてワレリーを見た。
ヴァレリカは勿論、顔を歪める事は一切ない。
ワレリーは微かに出てきた自分の涙を拭った。

「私の魂も舐められたものですねぇ。
魔王が選んだ魂ですよ?」

ヴァレリカはそれを聞くと、ワレリーを見つめてからフェオドラを見た。
フェオドラはヴァレリカの鋭い視線に驚き、震えながらもヴァレリカを睨みつける。
それからヴァレリカはワレリーに言った。

「この子供が魔王か、見るからに弱そうだ。勿論その礎となるお前も…」

そう言ってヴァレリカは、ワレリーに槍を向けるのをやめてもう片方の手でワレリーの頭を鷲掴みにする。
ヴァレリカはワレリーの頭を掴むと、ふとワレリーから悍ましい何かを感じ取った。
咄嗟にヴァレリカはワレリーを離してしまうと、ワレリーは俯きながら唸るように笑う。
ヴァレリカは呟いた。

「お前の魂…混沌を極めているな…。人間のくせに…」

「私の魂が混沌を極めている…?
おや、あなたの存在の方が余程カオスですよ、堕天使さん。」

ワレリーはそう言うと、何かに気づいたのかとある場所に視線をやる。
それからフューレンの腕を掴んでその場を離れた。
フューレンは顔を歪める。

「ヴァレリカは天使なのか!?ヴァレリカの力から魔力しか感じないぞ!」

その言葉にワレリーは頷く。

「ですが、確かに天使なはずです。」

ヴァレリカは攻撃態勢に入ると、そこに一陣の風が吹いた。

「この風は…ケリス?」

フューレンが呟くと、ヴァレリカの前にケリスが現れる。
それを見た悪魔使いはニヤリと笑った。

「来たか。」

ヴァレリカはケリスに向けて槍を構えた。
対しケリスはヴァレリカ達を睨むように見つめると、次に二人に背を向ける。

「ケリス達はこれから帰ります。」

あっさり帰る宣言をしたケリス、悪魔使いは怒りの顔を見せた。

「はぁ!?戦う流れだろコラッ!さっさとヴァレリカに退治されろ!」

ケリスは更にやる気のない顔を見せる。

「だって、ヴァレリカ達はいつも弱い者イジメしてます…ケリス達悪い事してないのに…」

「弱いのが悪いんだろッ!」

悪魔使いの言葉を、ケリスは無視をする。
ヴァレリカはケリスに槍を向けると、そこに暴風が吹いてヴァレリカは一瞬体勢を崩す。

一度体勢を整えると、既にケリス達の姿はなく、それどころか近くにあった保育園も消えている。

「クッソ!逃げられた!」

悪魔使いが言うと、ヴァレリカはやっと表情を変えて眉を潜めた。

「逃げたか…」



ケリス達は保育園内にいた。
フューレンは窓の外からヴァレリカ達が立ち去るのを見ている。

「立ち去ったな。」

ケリスは目を輝かせてフューレンに言った。

「フューレン凄い。保育園まるまる透明化してしまうだなんて。」

「こういうのは得意じゃないから持って十数秒だがな。二人がさっさと退散して助かった。」

フューレンは透明化を解くと、気を失ったキリエルの元に向かう。
ワレリーは心配そうにしているフューレンを見かねて言った。

「大丈夫です、休めば治る傷ですよ。」

「そんな事言ってられっか!」

フューレンはメモ帳を取り出して陣を描く。

「セイレーン!キリエルを癒してくれ!」

と言って、セイレーンを召喚した。
セイレーンは姿を現すと、癒しの歌を歌い始める。
保育園の子供達は騒ぎで目が覚めそうになっていたが、セイレーンの歌声で再び目を閉じた。

キリエルの傷がみるみる癒えると、キリエルは目を覚ます。

「あれ…」

「「キリエル!」」

フューレンとフレノアが一斉にキリエルを呼んだ。
キリエルは驚いて体を跳ね上がらせてしまうと、二人を見て眼鏡をかけ直しながらも微笑む。

「あれ?怪我治ってるや!凄いね、フューレンのお陰?」

ワレリーはひょこっとキリエルに顔を出すと言った。

「フューレンとセイレーンに感謝なさい。」

キリエルはフューレンを見るが、フューレンは既にセイレーンを返していた。
キリエルはそれを見てクスクスと笑っている。

「何がおかしいんだよ。」

フューレンが聞くと、キリエルは笑ったまま首を横に振った。

「ちょっと『誰か』と重なっちゃって。」

「誰だ?」

フューレンはそう聞くが、キリエルはそれ以上答える事もなく笑っていた。





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