相剋のドゥエット

うてな

文字の大きさ
23 / 94
03 魔術科学園

023 魔術科学園に行こうよ。

しおりを挟む
次の日の朝の事、フューレンは目が覚めて布団から起き上がる。
すると、いつも通り大魔導師が添い寝していた。

「おはようフューレン。」

フューレンは構わずぶん殴ってしまうと、大魔導師は素直に拳を受けてくれる。

「しつこいんだよッ!」

フューレンはそう言って着替えていると、大魔導師はフューレンに近づく。

「そうそう!最近【私缶バッチ】作ったんだ~。一つどうだい?可愛いだろう?」

と言って大魔導師が見せたのは、自分の顔の缶バッチ。

「要らねぇよっ」

フューレンはそう言って立ち去ると、大魔導師はまた近づく。

「今日は学園に行くんだよね。楽しみぃ~」

それを聞くと、フューレンは足を止めた。

「なんでわかったんだ?」

「私はなんでもわかっちゃうからね!ちょちょいのちょい!」

フューレンは大魔導師の言葉に眉を潜めると、リビングに向かう。
するとリビングにはキリエルがいて、食事の準備をしてくれていた。

「キリエルおはよう、ワレリーは?」

「あー、今日も保育園のボランティアに行ったよ!
だから僕が代わりに朝の準備!」

「なるほどな、そう言えば陽は大丈夫なのか?」

「大丈夫じゃないけど、ちょっとくらいなら平気さ!朝ご飯食べちゃお!」

フューレンは席に着くと、キリエルも席に着こうとする。
しかし大魔導師が言った。

「私の分は?」

「あ、じゃあ盛るよ!」

キリエルは食器棚に向かうと、フューレンは言う。

「犬の皿に盛ると喜ぶぞ。」

「えぇ!?」

キリエルは驚きつつも、食器棚の犬皿を手に取った。
すると、犬皿の裏には【ペット専用】と書いてあった。

「えっと、ここにペット専用って…」

「大魔導師の事だろ。」

「えぇ…」

キリエルは引いていると、大魔導師は急かす。

「早く食べよ~う!」

「あ、うん。」

キリエルはとりあえず犬皿にスープを盛ると、大魔導師に手渡し。
大魔導師は机に犬皿を置くと、器を持って飲み始めた。

「いただきます。」

フューレンは朝食を食べ始めると、キリエルは大魔導師を気にしながらも食事を始める。

「い、いただきます。…えっとフューレン?今日は魔術科学園に行くんだよね?」

「ああ。」

フューレンの返事を聞くと、キリエルは笑顔を漏らして言う。

「そっか!じゃあ僕も一緒に来ていい?」

「いいけどなんで?」

フューレンにそう言われると、キリエルは目を丸くしてから照れ始めた。

「いやぁ、教会に住んでる人で学園の生徒なんていないし…年齢も近そうだなって思ってさ…親しみやすいんだ!」

それを聞いたフューレンは無表情のまま言う。

「…俺千歳超えてるけど。」

「えぇっ!?」

フューレンは少し怒った様子で言った。

「そんなに俺がガキに見えるかよ。」

「ち、違うよ!ごめん!ごめんってばー!」

フューレンは煮え切らない様子だったが相手を許す事にした。



食事を終えた二人は、教会の方にやってきた。
キリエルは教会に祈りを捧げると、外へ続く扉の前に立っていたフューレンに向かって走り出す。

「お待たせ!じゃ行こうか!」

二人はすぐに森に向かうと、魔術科学園に向かって歩き出した。

「森は日陰が沢山あって好きなんだ~
悪魔になる前から好きでね、風が涼しいんだよ~!」

「キリエルはよく喋るな。」

フューレンが言うと、キリエルは苦笑。

「ダメ?黙って歩くと落ち着かなくてさ~!」

「ま、騒がしい友人が昔いたから気になりはしないけど。」

「そっか!ならいいや!いっぱい話そう!」

「は?俺が話すとは言ってねぇだろ。」

「それもそう!」

二人はそんな他愛のない会話をしながら学園に向かった。



学園前にやってくると、フューレンはキリエルに聞く。

「そう言や、ここに図書館あるんだってな。俺そこに用があるんだ。」

「そうなんだ!フューレンって読書好きなの?」

「いや、カオスリートの手がかり探したくって…」

それを聞くと、キリエルは目を丸くする。
そして笑顔を見せて言った。

「じゃあ僕も一緒に手がかり探す!」

「悪いな。」

「いいのいいの!
あ、図書館は別館にあるからこっちだよ~!」

キリエルはそう言ってフューレンの腕を引っ張るので、フューレンは言われるがまま連れて行かれる。
フューレンは広い広い庭を見渡す。

見上げると首が痛くなるほどの建物が目の前にあり、その向かい側には立派という言葉を超えるほどの高い高い門の柵。
別館へ続く庭には意外と人がおり、遅めの朝食をとる者や雑談を楽しむ人の姿など。
友達と仲良く駆ける生徒を見ると、学校に来たのだなとフューレンは実感できる。

しかし学園の生徒になった実感のないフューレンは、ふと自分の腕を引っ張るキリエルを見た。
今の自分達が、学園の生徒の姿と被った気がしたフューレン。
少しだけ、自分が生徒になったのだと実感し始めるのであった。





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

春の雨はあたたかいー家出JKがオッサンの嫁になって女子大生になるまでのお話

登夢
恋愛
春の雨の夜に出会った訳あり家出JKと真面目な独身サラリーマンの1年間の同居生活を綴ったラブストーリーです。私は家出JKで春の雨の日の夜に駅前にいたところオッサンに拾われて家に連れ帰ってもらった。家出の訳を聞いたオッサンは、自分と同じに境遇に同情して私を同居させてくれた。同居の代わりに私は家事を引き受けることにしたが、真面目なオッサンは私を抱こうとしなかった。18歳になったときオッサンにプロポーズされる。

処理中です...