相剋のドゥエット

うてな

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03 魔術科学園

024 魔女っ子服のアイナ登場!

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そしてフューレンとキリエルは、図書館前にやってくる。
美術館の様な外観の図書館。
その図書館とは思えない異様な高級感が、フューレンの背筋を凍らせた。

「ううっ」

フューレンは顔を真っ青にして、つい唸ってしまう。
それを見たキリエルは声を上げて笑った。

「も~フューレンって本っ当におかしいよねぇ~!」

嫌味の様に聞こえるかもしれないが、悪気なしにそう言っているだろう。
キリエルの無垢な笑顔が、悪気がないと思える一番の証拠だった。
そうは感じていても、フューレンは眉を潜めて不機嫌な顔を見せる。

「悪いかよ。」

フューレンが言うと、フューレンの様子を見てキリエルは目を丸くした。
それからフューレンの気持ちを察したのか、キリエルは焦った表情を見せる。

「わ、もしかしたら気分害しちゃった!?ごめん、でも本当に面白くて~!」

フューレンは思わず溜息を吐くと、キリエルは急に落ち込んだ顔でフューレンの顔を覗いてくる。
お構いなしに間近で顔を覗き込むキリエルに、フューレンは思わず距離を置いた。

「なんだよ!」

「え、…嫌われちゃったかなって。」

さっきの笑顔と裏腹に、悲しい顔を見せるキリエル。
感受性が豊かというのは、まさに彼の事である。
フューレンは呆れて言った。

「その程度で嫌うかよ。逆にお前は不機嫌にされただけで相手を嫌いになるのか?」

「程度による!」

キリエルの真面目な回答に、フューレンはご最もと思いつつも言う。

「人によるか。」

空気が少し緩んだところで、二人は図書館の扉を開く。
二人の背丈の2.5倍はある扉。
見た目が重々しい扉を開くと、すんなりと扉が開いた。

内装は外観と違って、一般的な図書館にとても似た作りになっている。
魔術科学園という名前で、驚く程広い土地を持つ学校の割に地味な図書館だった。
受付、読書スペースは生徒達の勉強や雑談の場になっていた。

「意外と普通の図書館だな。大魔導師の学校の図書館だから、天井まで本棚があるもんだと思った。」

「生徒は悪魔やフューレンの様に空は飛べないからね~」

それを聞くとフューレンは眉を潜める。

「飛ぶのは俺じゃなくてファルケな。」

「そうそう!」

フューレンは本棚の方へ直行すると、キリエルもついてきた。

「カオスリートを調べるんだっけ?えっと…天使の力を持つ悪魔…だよね?」

「ああ。そう言や、お前の父さんはエクソシストなんだってな。
悪魔に詳しそうだし、今度話を聞いてもいいか?」

「え、いいよ。て言うかさ、今会っちゃおうよ!」

キリエルの不意な提案に、フューレンは歩いていた足を止める。

「あのな、今は学園の中なんだぞ。せめて帰ってからな。」

しかしキリエルは続けた。

「だって、父さんはここで召喚術の先生やってるもん。」

「はぁ!?それを先に言えよ!」

思わず大声を出してしまうフューレン。
偶然通りを通る生徒に白い目で見られてしまう。
フューレンは一度咳払いをした。

「図書館は後にする。まずはこの世界の住人に話を聞いて、それを参考に本を探すか。」

「そ~しよう!」

キリエルは笑顔で答えるのだった。
するとそこに、一人の少女がやってくる。

「あ!新入生くん!覚えてる?」

魔女の服を来た、紫色のボブヘアの少女。
キリエルはその少女を見ると目を丸くし、フューレンは思い出したのか言った。

「ああ、そう言えばモルビスと戦った後に色々説明してくれた…」

「【アイナ】よ!キュースも一緒だったのね!」

「うん。」

キリエルが返事をすると、アイナはフューレンに近づく。
異様に近く、まるでフューレンとキリエルの間に割り込むようだった。

「あなた名前は?何を習いに来たの?」

「フューレン。勉強しようとしてる事は特に…」

とフューレンが言いかけると、キリエルは慌てて言う。

「召喚術を習いに来たんだよ!」

それを聞くなり、アイナは驚いた顔を見せた。

「えぇ!?あんな凄い事できちゃうのに!?」

「何匹召喚できたって、未熟なのは未熟なんだ。」

フューレンは冷静に答えると、アイナはそんなフューレンに痺れている様子。
アイナは咄嗟にフューレンと手を繋ぐので、フューレンは驚いた。

「ねえ!私と友達になろ!」

急に言われた為、フューレンは呆然。
キリエルも目を丸くしたまま黙っている。
フューレンは冷静に考え事をしていた。

(この安直さはキリエルに似ているっていうか…いや、キリエルでさえ初対面で「友達になろう」なんて言わなかったな。
学生ってこういうもんなのか?)

「アイナは出会った人間みんなに友達になろうって言ってんのか?」

「そんな事ないよ!」

アイナの陽気な笑顔に、フューレンは首を傾げる。
するとキリエルは言った。

「友達になってもいいんじゃないかな。
アイナはいい子だよ。きっとフューレンも気に入るよ。」

「ま、知り合いからな。」

フューレンがそう言うと、アイナはそれでもニコニコしていた。
そして更にキリエルもニコニコしていたので、フューレンは違和感を感じざるを得ない。

(なんだコイツら…似た人種じゃないだろうな…)

アイナは言う。

「じゃ、もうすぐキュースのパパの授業が始まるから行こ!召喚術の授業だから!」

フューレンの腕を引っ張るので、フューレンは言われるがまま引っ張られた。
キリエルも笑顔で後を追いかけ、フューレンはキリエルに言う。

「コイツ、お前以上に強引だな。」

その言葉にキリエルは笑顔のまま答えた。

「すぐ慣れるよ~」

「慣れそうにないな。」

二人の会話を聞いていたアイナは、なぜか膨れていた。
それからフューレンの服を思い切り引っ張る。
アイナの力は思いの外強かった為、フューレンは少し驚いていた。

「次の召喚術の授業、隣に座ってもいい?」

アイナが聞いてくる。

「勝手にしろ。て言うか、ベタベタするな離れろ。」

フューレンがそう言ってアイナから離れると、アイナはニッコリして離れた。

「私シャイだから一番後ろに座ってもいいかな?」

「シャイ?アイナが?」

フューレンが呟くが、アイナは続ける。

「あら、意外とシャイだから。」

「自分で言うなよ…。別に目が悪いわけでもないし、俺は後ろの席でもいいが。」

「やったー!」

アイナは実に嬉しそうにしていた。
ちなみにキリエルはと言うと、その様子を見て苦笑。

「僕は目が悪いから、一番前に行くよ。」

キリエルはフューレンにそう伝えると、フューレンはその言葉に頷く。
しかし、フューレンはキリエルの苦い顔を見逃してはいなかった。

「大丈夫かキュース、気分でも悪いのか?」

「えっ、き、気のせいなんじゃないかな。いいや、気のせい…」

途中から独り言のようにブツブツと言ったキリエル。
フューレンには理解しがたい光景だった。
キリエルは、フューレンにくっついたまま離れない満面の笑みのアイナを見て思う。

(アイナ、僕とフューレンを離そうとしてる気がする…。
偶然だといいけど…いや、偶然だ…。
こんな事考えちゃうなんて、アイナに失礼だな…)

キリエルは教室に着くまで、始終落ち込んだ顔だった。





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