相剋のドゥエット

うてな

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04 大家族

031 モルビスが居たギルドへ。

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次の日。
フューレン達は、以前ワレリーと買い物に行った街にやってきた。
今はモルビスのギルドに向かっている最中で、街を通っているところだ。

そんな三人から少し離れた所に、アシュターが後をつけていた。
アシュターにはぴょこんとアホ毛が立っており、アホ毛は回転するアンテナの様にクルクルと回っていた。
アシュターは悪い笑みを浮かべて三人を見た。

「なんか企んでるぜコイツら。俺の【悪い子センサー】がビンビン反応してるぜ…!」

なんと、アシュターには謎のアホ毛センサーが搭載されていた。
生粋の悪魔だからだろうか、何か不穏事などがあるとすぐにわかってしまうのだろう。

そんなアシュターに気づかず、フューレンは街の様子を眺めながらも言う。

「バイト、新しい求人ないかな。」

それに対してキリエルは笑った。

「も~つい最近何もなかったんだからないって~」

モルビスは少し考えると、閃いたのか笑顔を見せる。

「おお、俺のギルドに行かねぇか?狩りの仕事なら山ほどあるぜ。」

するとフューレンは、この世界にやってきた日の事を思い出す。
モルビスに襲われ、首を取られそうになった事を。
それを思い出すとフューレンは険しい表情を見せた。

「まさか、人を殺せって狩りじゃないだろうな。」

「それもあるけど、食料目的の狩りもあるぞ。
俺のギルドは結構大きい団体でよ、外部からそういう仕事も受け付けてんだ。」

「なるほど、まあ考えてみる。」

モルビスはそれを聞いて、早歩きを初めて言う。

「じゃ、早くギルドに行こうぜ!俺もう仲間に逢いたくてウズウズしてんだ!」

「僕もモルビスの仲間に会いた~い!」

キリエルも元気いっぱい。
二人の元気に追いつけないフューレンだが、なんだか悪い気もせずに二人についていく。

それを見ていたアシュターは急につまらなそうな顔を見せた。

「なーんだ、モルビスが若牧師の言いつけ破ってギルドに行くだけか。つまんない。」

そう言って帰ろうとはしたが、三人の賑やかな声に視線を奪われるアシュター。
アシュターは三人がギルドに向かうのを見つめて、更に呟いた。

「ま、まあ何か危険な目に遭ったら後でフェオドラちゃんに何言われるかわからないし…監視って事でついてってやろう…」





モルビスの元いたギルドにやってきた三人。
三人はギルドの受付の方にいた。
ちなみにアシュターは受付近くの待合場にて、姿が見えぬよう新聞を広げて椅子に座っていた。
モルビスとキリエルは、ギルドに送られた依頼一覧を見て呆然としている。

「悪魔退治の依頼ばっか…」

キリエルは涙目になりながらも呟いた。

「悪魔…」

モルビスも呆然として呟いていると、フューレンは平気そうな顔で言う。

「悪魔狩りか。悪魔は人の不幸で生き長らえる生物だから、人間に迷惑をかけるのは必然だもんな。
そりゃそういう依頼は多いだろうな。」

「酷いよフューレン!」

キリエルがそう言うと、フューレンは溜息。

「エクソシストになる男が悪魔狩りに対して酷いって印象持つなよ。」

「だって悪魔だって生きてるもん!この依頼、とりあえず街にやってきた悪魔は全員狩れってものばっかだもん!良くない!」

「悪魔を野放しにして良くない事が起きてるからそういう依頼が来るんだろ。」

フューレンの言葉にキリエルは膨れると、モルビスに寄りかかる。
不機嫌になるキリエルは無視で、フューレンはギルドの広い天井を見上げた。
魔術科学園と比べたらそれは小さいものだが、それでも広い。

「こんなに大きい建物だなんて驚いたな。モルビスはこんな所で育ったのか。」

それを聞くと、モルビスは照れ臭そうに笑った。

「俺は売られた身だからよ、ギルドに買われたんだ。買った子供を養成する場所があるんだけど、そこは狭くて汚い所なんだ。
ギルドは大きさばっかで、中にはあんま気を配ってねぇってか。」

フューレンは納得していると、そこにモルビスよりもガタイの良い男性がやってくる。
その男性は不機嫌そうに受付前を横切ろうとしたが、モルビスを見つけて驚いた。

「あれ、【カヌ】!」

その声に反応したのはモルビス。

「ベラーネさん!お久しぶりです!」

モルビスは笑顔でベラーネと言う男の元へ向かった。
キリエルは目を丸くして瞬きをしており、フューレンは言う。

「カヌって名前なんだな。」

「そうみたいだね。」

「どこに行ってたんだお前!」

ベラーネは拳をモルビスに向けて怒るので、キリエルは怖くて目を伏せてしまった。
その声に、新聞を眺めていたアシュターも思わず三人の様子を見てしまう。
モルビスはしょんぼりした顔を見せる。

「すいません、色々あって…このギルドに居れなくなったんです。」

「ハァ!?」

ベラーネの声に、キリエルは驚いたのかフューレンを盾にして耳を塞ぎ始めた。
フューレンはそんなキリエルに若干呆れつつも、ベラーネに言う。

「なあ、俺コイツの連れなんだけど。カヌの知り合いなのか?」

するとベラーネはフューレンに掴みかかった。

「あん?年上にはちゃんと敬語を使えよ、クソガキ。」

「あぁん?誰がクソガキだってもういっぺん言ってみろ!」

フューレンもベラーネにガンを飛ばすと、キリエルは慌ててフューレンに言う。

「やめようフューレン!年齢の事は伏せてさ!隠してるんでしょ!」

そう言われるとふと、フューレンは自分が天使である事を隠している事に気づく。
フューレンは一度落ち着く。

「悪かったな。」

フューレンの言葉に、ベラーネは鼻で笑う。

「怖気づいたか。」

フューレンはその言葉に相手を睨みそうになるが、再び耐えた。
ベラーネはモルビスに言う。

「おおそうだカヌ、お前に依頼だ。
ギルド南の森に反逆者がいるんだ。そいつの首を持ってこい。」

「え…」

モルビスは呟くと、フューレンは割り込んで言った。

「おい、カヌはもうここの人間じゃねぇんだぞ。」

「うるせぇ!ここに買われた人間は死ぬまでここの奴隷なんだよッ!勝手に出る事は許されねぇ!
おいカヌ!」

「はい!」

モルビスは返事をすると、ベラーネは背を向けて言う。

「ちょっとこっち来いや。『輪』を付けてやる。」

その言葉に反応するアシュター、フューレンとキリエルは話が読めずにいた。
モルビスは一瞬表情を暗くして俯いたが、すぐに顔を上げた。

「わかりました!」

こうしてモルビスはベラーネに連れられてしまう。
フューレンは止めようと一歩前に出るが、それをなんとアシュターが止めた。

「アシュター!?いたの!?」

キリエルが驚くと、アシュターは言う。

「下手に動くとお前らも反逆者にされるぞ。
このギルドには強者が大勢揃ってる、俺達だけじゃかなわないぞ。」

フューレンは眉を潜め、モルビスを追いかけるのをやめた。
それからモルビスが消えた廊下の先を見つめる。

(なんにもなきゃいいんだけど。)





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