相剋のドゥエット

うてな

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04 大家族

038 激突!ワレリーとフロル!

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ギルド十階にて、フロルとボリスとフューレンが共に行動していた。
既にギルドの者に囲まれており、応戦しているところだった。
三人は廊下で囲まれていたので、前後ろにギルドの連中がいる図になっている。

フロルはスナイパーライフルは使わず、ナイフで応戦していた。
相手は魔術を使う者、大きな武器を使う者も多かったが、フロルはそれらを身軽に躱しては相手の急所を突いていた。
その為かフロルに傷を付けられた者は、二度と立ち上がる事も許されない。

ボリスはフロルとは逆の方向にいる者を相手していた。
ボリスは背負っていた重いリュックを開くと、中を漁る。
フューレンはそんなボリスを見つめて言った。

「何探してんだ?」

それでもボリスは夢中になってリュックを漁っていた。

「これじゃない~…これだ!」

ボリスが取り出したのは手榴弾。
手榴弾の引き金を口に咥えてから引くと、手榴弾を相手側に投げた。

相手は冷静にも水の魔術を使って動きを封じようとするが、ボリスは笑う。

「それ、何しても爆発するよ。」

それを言った途端、手榴弾は廊下一面を包むほどの爆風で爆発した。
フューレンはバリアを張って、ボリスと自分を爆風から守る。
ちなみにフューレンは人の死体など見ていられないのか、目を庇っていた。

爆風で吹き飛ぶ数人の男達。
数人がフロルの方に飛んできたので、フロルは無情にも飛んできた男達全員の首を切って失血死させる。
爆風が収まると、そこには焦げと炭だらけになった廊下と黒く焼かれた死体がいくつも転がっていた。

ギルドの残りの者は、戦いは無謀と知ったのか全員退散。
フューレンはその惨事を見ると目を剥いた。

「おい!これはいくらなんでもやりすぎだろ!」

「ごめ~ん加減わかんなくてさ~」

ボリスは呑気にそう言うと、フューレンは頭を抱える。
次にフロルの方を見ると、フロルの方にいたギルドの者も足が止まっていた。
それは勿論、フロルはたった一人で何十人もの相手をして全員殺しているからだ。

ナイフを持って血塗れになっているフロルを見ると、フューレンはまた更に驚く。

「おい…」

フューレンは吐き気を催したのか、口を抑えた。
フロルはフューレンを見ると目を丸くする。

「大丈夫か。」

「うわ~…フューレンもやっぱり普通の人だからこういうの見てらんないんだね。」

ボリスの言葉にフロルは少々反省したような顔を見せると、フューレンは足元にあった手榴弾を踏んでしまい足を滑らせた。
手榴弾の引き金は引かなかったものの、フューレンはそのまま転ぶ。
更に吐き気が強くなったフューレンは動けない状態までに。

そこに、フロルが相手をしていた所で男達の悲鳴が聞こえる。
フロルとボリスはそれに違和感を覚えて男達の方を見ると、男達がどんどん倒れていく。
全員は倒してはいないが、倒れる男達の中から黒いポンチョマントを着た男が物凄いスピードで走ってきた。
その男はそのままフロルに接近。
フロルに刃を向けるのだが、フロルはいとも容易くナイフで受け止める。

「なかなか筋のある相手だな。」

フロルはそう言うと、力いっぱい相手を押した。
押し負けたのか相手は一瞬よろけるが、それを見ていたフューレンは気づいていた。

(あの服の袖、確かにワレリーだ…!)

僅かに見える服の袖がワレリーと被ったフューレン。
いつものダガーは使っていなかったが、それでも動きや振る舞いでワレリーとわかってしまう。

(止めてやりたいが声が出ない…!)

魔術科学園で褒められたフューレンも、流石に吐き気の前だと無力なのだ。
ワレリーはそれでも相手に攻撃を図るが、フロルはその刃も押し退ける。
フロルは眉を潜めて言った。

「なかなかすばしっこい相手だな。なら…」

フロルは再びワレリーの刃を押し退けると、よろけた隙にワレリーに刃を向ける。
空かさずワレリーの腹部に一刺しすると、ワレリーの動きが鈍る。

「俺は普段、相手を殺すのに二度刺す事はないんだからな。二度刺させたお前はなかなかの強者だ。誇ってもいいんだぞ。」

フロルはそう言ってワレリーの首に刃を向けると、フューレンは立ち上がって叫んだ。

「フロル!やめてくれ!!」

フロルは動きを止めると、ワレリーも驚いた様な動きをしてフューレンを見る。
フューレンは叫んで吐き気が収まったのか、息を荒くしつつも言った。

「そいつ…俺が世話になってる人なんだ。だから…殺さないでくれ…」

「えっ」

フロルは殺気を消して目を丸くすると、怯んだフューレンは足を崩す。
空かさずワレリーはフューレンに駆け寄り、体を支えた。
フロルは慌ててワレリーに謝罪。

「失礼しました。まさかフューレンの恩人だとは思わず…。傷の手当てをしましょう。」

それに対し、ワレリーは首を横に振る。

「いいえ、そのままにしては失血してしまいます。」

ワレリーはそれでも首を横に振るので、怯みが落ち着いたフューレンはワレリーに肩を貸した。
フューレンは呆れた顔で溜息。

「俺が襲われてる様に見えたんだろ。相手を警戒するのはわかるけど、手当くらい…てかなんで顔を隠してんだ?」

そう言うと、ふとフューレンはフロルの苗字を思い出す。

(もしかしたら本当にワレリーとフロル達は家族で、顔を見られたくないのか?いやでも、家族なら簡単に刃物を向けたりしないよな…?
それに兄弟なら、フロルだって自分の兄だって気づきそうな気もするが…。)

フューレンは頭に疑問符を浮かべていると、ワレリーは肩を貸されたまま先々と歩き出した。
するとフロルは、ワレリーが着ているポンチョマントに気づいたのか言う。

「そのポンチョはお父様の…!」

ワレリーはギクッと足を止めると、フューレンも冷汗。

(確かになんでワレリーがフロルの親父のポンチョ被ってんだ…?まさか殺したとかじゃ…)

そう思っていると、フロルは俯く。
フューレンはその様子に危険を感じていると、フロルは顔を上げて言った。

「お父様のお知り合いですか!?」

フロルの目は輝いていた。
フューレンは呆然、勿論ワレリーも動きが完全に止まっている。

(殺された可能性は考えないんだな。でもそうか、フロルはワレリーを追い込んでるからな…その親父が殺された可能性を考える方がおかしいか。)

フロルは続けて言った。

「良かったらこの後お茶でもしませんか!」

フューレンは呆れを通り越して無表情。

(なんで親父の知り合いに繋がったのかもわからないし、こんな戦場に呑気にお茶の約束かよ…)

それでもワレリーは立ち去ろうとするので、フューレンも便乗して立ち去る事に。
するとフロルはフューレンに言う。

「帰るのか?ここの人を全員救出するんじゃなかったのかフューレン。」

「俺達は俺達で探すんだよ。」

「でも重症の人間一人と、人も殺せない人間一人で戦場に突っ込むのは無理難題なんじゃないのか?」

ごもっともなので眉を潜めて微妙な顔をするフューレン。
ワレリーは相手に聞こえない程度の声でフューレンに言った。

「ギルドの勢力が弱まりつつあります。放っておいても彼等がトップの首を狩るのも時間の問題。
それに、先程彼等の妹は私が救い出しましたから。」

「他の人間は?」

「彼等が避難させている事はもう知っているでしょう?私達が向かわなくとも、その内避難するのが見えています。ここは一旦退散しましょう。」

(確かに今俺達がここにいても、みんなの足を引っ張るだけ…)

するとフューレンはある事を思い出したのか言った。

「そう言えばモルビスがギルドの連中にブレスレット嵌められて。アレがあるとギルドの敷地内から出る事ができないんだ。
きっとモルビスとキリエルはまだギルド付近のどこかに…」

ワレリーは事情を大体察したのか溜息。
それから一度フューレンから離れる。
フューレンはワレリーの行き先を見ると、なんとボリスの前。
ボリスは首を傾げていると、ワレリーはボリスのリュックから一つ手榴弾を取った。

それからフューレンの元に来ると言う。

「では最期に、ブレスレットに指令を出している機械を壊しに行きましょう。」

「ああ。」

フューレンは返事をすると、二人はその場を立ち去る。
立ち去り際にフューレンはフロル達に言った。

「ありがとな!」

フロルとボリスは目を丸くしたまま。
フロルはボリスに言った。

「お父様の知り合いにしては、とっても静かな人だな。」

ボリスは静かに頷くと言う。

「そうだね。」

なんと二人して、ワレリーの事をフロル父の知り合いだと勘違いしている様子だった。





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