相剋のドゥエット

うてな

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06 忍び寄る悪魔

052 なぜ共鳴の事を知っている?

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フューレンとキリエルとアイナはヘグリスメオン教会に到着した。
キリエルはまだセイレーンとじゃれていた。

アイナは教会を見ると、緊迫した表情を見せた。

(タイミには教会を探ってこいって言われた。
フューレンを殺せとも言われたけど、今はまだ…)

そう思いつつも、アイナはフューレンを見つめる。
アイナはフューレンと一緒に教会に入ろうとすると、扉に弾き返されてしまう。

「きゃ!」

アイナは尻餅をつくと、フューレンは冷静に言う。

「ちょっと待ってろ。この教会、特定の力を持ってる奴は通れないようにされてんだ。」

「え、うん。」

アイナは目を丸くしながらも、上の空で考え事。

(タイミやヴァレリカがこの教会を直接襲わないのは、その結界とやらがある為?
いや、ヴァレリカくらいになるとこんな結界を破るのは楽なはず。)

キリエルは苦笑して言う。

「ごめんね。こうでもしないと悪い賞金首が襲ってきちゃうから。」

そう言われるとアイナは、もう一度その結界を見る。
アイナは結界から伝わる微量な魔力を感じていた。

(しかも私にでもかけられるような、簡単な侵入防止魔法。
おかしい、ここにはもっと強力な力を持つ悪魔がいるっていう話なのに。
こんな欠点ばかりの魔法をかけて何になるわけ?)

「これ、侵入防止魔法ね。強い力で破壊されたら、魔法を貼った本人がひとたまりもないわよ。」

アイナが言うと、キリエルは頷いた。

「うん。侵入防止魔法は対象の侵入を一切拒める反面、強い力で打ち消されると魔法を使った本人に大ダメージが入る欠点があるよね。
でもまあ、これが牧師様の狙いっていうか…」

「え?」

アイナは首を傾げた。
すると、教会からフレノアが出てきた。
シスターの服装をしたフレノアの美貌に、アイナでさえ目を釘付けにされる。

「綺麗…」

アイナの言葉に、フレノアは微笑む。

「ありがとう。あなたも通れるようにしておくわね。」

アイナはフレノアを呆然と見つめていたが、次の瞬間に気づく。

(そうか!この人がタイミが求めてるミレサって女なんだわ。そして彼女がこの結界を貼った張本人。
無理にでも侵入しようとするならば、彼女にダメージが入る。タイミはそれが嫌で無理に侵攻しないんだわ。)

次にアイナは険しい表情になった。

(こんな姑息な考えを思いつく牧師…どんな牧師かしら。悪魔達を率いる…)

その時、アイナは背後からキリエル以外の気配を感じる。
アイナは即座に振り返ると、そこにはケリス。
目をキラキラさせながらアイナを見ていた。

(この耳…きっと教会イチの力を誇る悪魔ケリスだわ…!
と言うか、なんで目を輝かせて…)

するとケリスは言った。

「お、お名前は…!?」

「え、…アイナ。」

「おおお…!」

ケリスはそう言うと、そのままどこかへ飛び去ってしまった。
キリエルは苦笑してしまうとアイナに言う。

「ごめん驚いたでしょ?彼も悪魔なんだ。」

それを聞くとフレノアは目を剥く。
キリエルはフレノアに言った。

「ごめん、アイナに僕が悪魔である事バレちゃったんだ。
でも大丈夫!アイナは優しい子だから!」

フレノアはそれでも険しい表情をしていると、教会の奥からワレリーがやってくる。
ワレリーは笑っていた。

「ふふ、ケリスが初対面の人に興味を持つなど珍しいですね。よっぽど気に入ったのでしょう。」

アイナはワレリーを見ると口を結んだ。

(この不気味な笑みに上品な立ち居振る舞い…。
間違いないわ、タイミに日頃悪口を言われている牧師だわ。)

ワレリーは言った。

「おや、私が不気味ですか?」

ワレリーの言葉に、アイナはギョッとしてしまう。
アイナの驚く姿に、ワレリーはまたクスクスと笑った。

「ふふ、お顔に書いておりました。」

(ゆ、油断ならない…!)

アイナは一歩後退してしまうと、キリエルは笑う。

「驚かなくていいよアイナ!確かに牧師様はちょっぴり不気味だけど、とっても優しい人だよ!」

(キュースは「優しい」って…いっつもそれね!)

「それで、今日はなんの御用で?」

ワレリーが聞くと、アイナは慌てて答えた。

「あ、フューレンが召喚術の練習をしたいんだけど、悪魔を探していて。」

そこでキリエルは言う。

「え!僕じゃダメなの?」

「キュースは人懐っこいから練習にならないからダーメ。」

「え~」

ワレリーは首を傾げて続けた。

「はて、ではなぜあなたは?」

するとフューレンが答える。

「召喚術は共鳴に近い術だってアイナが教えてくれたんだ。
召喚術の練習台で悪魔を探すよう言われたんだ。」

「おや、物知りなんですね。」

ワレリーは笑うと、アイナは不気味すぎて黙り込んでしまった。
するとワレリーは続ける。

「ですが共鳴とは他の異質な力を受け入れる力。生半可な人間の体で耐えるには困難を極めるでしょう。」

その言葉を聞いて、キリエルは首を傾げた。
フューレンはピンと来た顔をしており、フレノアは黙って聞いている。
ワレリーは言った。

「そんな恐ろしい共鳴を、『人間』のお友達に練習させるのはどうかと私は思います。」

アイナは思わず言葉に詰まった。
キリエルはまだ分かっていない顔だが、アイナは俯く。

(ヤバ…ついフューレンが天使である前提で共鳴の話を進めてた。
普通の人間が共鳴するなんて、身の破壊に近いわ。)

アイナはワレリーから視線を逸らして言った。

「そうだったのね!おじいちゃんから聞いた話だったからあんまり詳しい事わからなかった!」

「おや、そのおじい様は物知りなのですね。一度お話してみたいです。」

「ははは…」

アイナは苦笑いするしかなく、ワレリーはそんなアイナをニコニコとした表情で見つめる。
するとアイナは急に教会から立ち去る。
キリエルは思わず呼び止めた。

「アイナ、どこに行くの?」

「え?ちょっと恥ずかしくなっちゃった。」

アイナは後ろ姿のままそう言うと、次に振り返ってフューレンに笑顔を向けた。

「フューレンを危険に晒す所だったわ、ごめんなさい。また学校で会いましょうね。」

「おう。」

アイナはそそくさと帰っていく。
ワレリーはフューレンに言った。

「本当に練習するつもりですか?」

「ああ。少しでもカオスリートに近づかないと、いつまで経っても天界に帰れないからな。」

「おやおや、勉強熱心ですね。」

ワレリーはクスリと笑うと、フレノアはフューレンに言う。

「あの女の子は気をつけた方がいいかもよ?」

「なんでだ?」

フューレンが疑問を持つと、フレノアはアイナが立ち去った方向を見つめながらも呟いた。

「女の勘ってやつ。」

「…勘かよ。」

フューレンは呆れると、フューレンもアイナの立ち去った方向を見つめるのであった。





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