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06 忍び寄る悪魔
053 フェオドラを召喚して!
しおりを挟むヘグリスメオン教会の庭にて、フューレンとキリエルとセイレーンは一緒にいた。
フューレンは陣を用意し、唱える。
「いでよ!キリエル!」
すると隣にキリエルが存在するのにも関わらず、もう一人のキリエルが出てきた。
キリエルはそれを見て目を輝かせる。
「すっげぇ!僕が二人!」
陣から出てきたキリエルは、本物のキリエルを見て驚く。
「げぇっ!召喚術ってこんな感じなんだー!」
フューレンはそう言われると頷いた。
「召喚したい者の精神と力を形にする術だからな。」
すると二人のキリエルは笑顔になって同じ様な動きをする。
「「やっぱり召喚術師って凄いなー!」」
「にしても…」
と言ったのは本物のキリエル。
キリエルは少し顔を真っ青にしながら頭を抱えた。
「なんか精霊の僕の視点も見えるからなんか気持ち悪いや。
同じ景色を二つ見るって、どっちが僕の本当の視点かわからなくなるから。」
「解いとくか?」
「うん…」
フューレンは陣を解くと、精霊のキリエルは消えた。
キリエルはすぐに元気を取り戻し、フューレンの手と手を繋いだ。
「すっごいよねフューレンは!人間も召喚できちゃうんだ!」
「キリエルは悪魔だろ。」
「若干傷つくよ~そう言われると~」
フューレンは溜息をつくと、そこにフェオドラがやってきた。
可愛らしい服を身に纏ったフェオドラ、フェオドラは言う。
「召喚してるんだって?フユーレン。」
『フユーレン』と言われてしまったフューレンは、怒りの形相で言い放つ。
「フューレンだ!もう六歳かそこらの姿なんだから言えるようになれよな!」
するとフェオドラは膨れる。
ぶすっとした顔でフューレンを睨むのだ。
「フユーレンはフユーレンだもん!」
「はぁ!?なに意固地になってそう呼ぶんだよ!つーかなんで怒るんだよ。」
「フユーレンが怒ってるもん!」
「怒ってない!」
「怒ってる!」
二人が睨み合いをしているので、キリエルは苦笑。
セイレーンも二人を止めに入るが、二人はセイレーンが視界に入らない様子。
キリエルは言った。
「ごめんねフェオドラ。フューレンはいつも怒ってるように見えるよね。」
「ぷん!」
フェオドラはそれでもフューレンから目を逸らす。
フューレンは一度落ち着くと、フェオドラはフューレンに言った。
「なんであたしを召喚しないの?」
「え?」
フューレンはそう言われると、陣を描いたメモ用紙を何枚か出す。
「この教会にいる悪魔は全員呼び出せるか試した。
だがフェオドラとケリスだけ無理だったんだ。」
「なんで!フェオドラはフユーレンの事好きだよ!?」
「知るか。」
フューレンは素っ気なく答えると、フェオドラは再び膨れた。
キリエルは首を傾げて言う。
「でもー、召喚術ってお互いに信頼を置いているともっと力を引き出せるって聞いたよ。
ほら、お父さんも言ってた。」
「フユーレンがフェオドラを信じてないんだ!」
フェオドラが怒ったように言うと、フューレンは嫌そうにフェオドラを見た。
「だったら俺の事いつも睨みつけてるスピムはどうなるんだよ。」
「スピムはつんけんしてるだけだもん!別にフユーレンの事嫌ってない!」
「じゃあフレノアは?アイツはワレリー一筋だろ。」
「知らない!」
フェオドラの呆気ない回答に、再びフューレンは溜息。
そこに、死んだカエルやトカゲを沢山抱えたケリスがやってきた。
ケリスは数匹つまみ食いしたのか、トカゲの尻尾が口から出ていた。
ケリスは麺をすするようにトカゲの尻尾を食べてしまうと言う。
「ケリスとフェオドラは特殊な魔力を持った悪魔です。
フューレンがその魔力に触れてみないと、その魔力を神力で再現する事は難しいと思います。」
それを聞いたフューレンは目を丸くして納得。
「そうか。確かにそうだ。」
するとフェオドラは笑顔でフューレンに言った。
「じゃあ魔力を見せてあげる!」
フェオドラは手に魔力を込め、攻撃態勢に入る。
しかもその標的はフューレンだ。
突然の出来事にフューレンは受身も取れずに止めに入るが、それも聞かずに魔力を放ってしまうフェオドラ。
フューレンは数メートル飛ばされ、近くの茂みに倒れこむ。
「フューレン!」
キリエルとセイレーンは慌ててフューレンの方に駆け寄ると、フューレンは不機嫌そうな顔をしていた。
あまりに不機嫌な為、キリエルとセイレーンは驚いて肩を跳ね上がらせる。
「アイツ調子に乗りやがって…!」
フューレンの言葉に、思わずキリエルは苦笑。
ケリスは困った様子でフェオドラに言った。
「フェオドラ…?いけません、乱暴をしては。」
フェオドラはケリスに叱られると、怒った様子でケリスを睨む。
ケリスは驚くと、フェオドラは舌を出してから逃げ出した。
「ケリスのばーか!パーパといっつも一緒にいる!」
「えぇ…」
ケリスは涙目になってしまうと、キリエルはその苦笑をそのままケリスに向けた。
「ケリスと牧師様はいつも一緒にいるから、フェオドラは嫉妬してるんだね。」
キリエルが言うと、今度はフェオドラはキリエルに舌を出す。
「べー!違うもん!キリエルのばーか!」
そう言って逃げるので、キリエルは思わず笑った。
フューレンは茂みから起き上がると、立ち去るフェオドラの後ろ姿を見ながらぼやいた。
「生意気な子供だな…」
「可愛いじゃん!」
キリエルは笑顔なので、フューレンはそんなキリエルの気持ちがわからないのか不機嫌な顔を保ったまま。
キリエルはそんなフューレンに気づき、笑うのをやめてから言った。
「どう?僕達を召喚して共鳴について何か知れた?それともカオスリートに近づけちゃった!?」
「いいや、さっぱりなんだ。」
「そっか…」
キリエルも落ち込んでしまうと、ふとフューレンはケリスに聞いた。
「なんでトカゲなんか持ってんだ?」
ケリスはトカゲ達を見ると、笑顔で言う。
「さっきの子にプレゼントでも…!美味しいから…!」
それを聞いたキリエルとフューレンは青ざめた。
キリエルは言う。
「あ、えっと…アイナはそういうの喜ばないと思うよ?」
「そうなんですか…!」
ケリスはそう言うと、二人は一斉に頷く。
ケリスはそれを聞いてしょんぼり。
てくてく歩きながら教会に帰っていく。
キリエルはそんなケリスを見守りながらも呟いた。
「あんなのプレゼントされて喜ぶのって、ケリスとスピムと…悪魔くらいかな?」
「キリエルも悪魔だろ。」
フューレンがしれっと言うと、キリエルはフューレンに言った。
「違うよ!元は人間だもの!」
キリエルの怒りと言うか、怖くない優しい優しい怒り。
フューレンはキリエルにお叱りを受けながらも、手に持っていたメモに描いた陣を見つめていた。
(ただ悪魔を召喚するんじゃ、共鳴には近づけないって事か…?)
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