相剋のドゥエット

うてな

文字の大きさ
64 / 94
06 忍び寄る悪魔

064 主君殺しの魔術。

しおりを挟む
開かない扉。
ケリスは焦る。

「あわわ…!鍵ですね…!結界なら壊せたんですが…!」

フューレンも眉を潜めていると、アイナは二人を退かせて扉の前に立った。

「もう!私が開けるわよ!」

「できるのか?」

フューレンが聞くと、アイナは鼻で笑う。

「こんな扉、壊せば楽勝よ。」

それを聞いたフューレンは微妙な反応。

「鉄でできてるんだぞ?」

しかし、アイナは壊す気満々。

「やってみなきゃわからない!」

アイナはそう言って、扉を二度蹴飛ばした。
すると鉄でできた扉は壊れ、扉は地面に大きな音を立てて倒れた。
ケリスは感心で目が輝いている。
フューレンは言った。

「相変わらずの怪力だな…」

「早くキュースを助けましょ!」

「おう!」

三人は地下を出ると、屋敷を見上げた。
ケリスは言う。

「こうなったら窓から侵入してやりましょう。」

「そんなセキュリティの悪い屋敷なのか?」

フューレンがそう言うと、ケリスは首を横に振った。
ケリスは屋敷を見上げながら言う。

「しかし特殊な魔術を使う場合は、一度屋敷の結界を解く必要があるのです。
今はその時の様ですね。結界が貼られてません。
…これはかなりまずいです。」

「まずい?」

フューレンが質問をすると、アイナが言った。

「今の状況から察するに、【主君殺し】の魔術ねきっと。」

「主君殺し?」

「ええ。契約した悪魔を契約の呪縛から開放する手段の一つで、悪魔を横取りする悪魔使いがよく使う手法だわ。
悪魔の力を相手の主君に押し流し、悪魔使いを絶命させる。そうする事で悪魔の契約を解消するの。」

「なんだって?そんな事したら…!」

フューレンはケリスと視線を合わせると、ケリスは頷いた。

「事態は一刻も争うみたいです。急ぎましょう。」

三人は窓から屋敷に侵入すると、廊下を走って進む。
ケリスは周囲をキョロキョロしながら言った。

「向こうからキリエルの力を感じます!」

「にしても誰もいないな。ヴァレリカに見つからないといいんだが。」

フューレンが言うと、ケリスも真面目な表情で言う。

「その時は、ケリスが皆さんをお守りします!」



タイミの部屋にて、キリエルはタイミの部屋の床に描かれた大きな魔法陣の中に入れられていた。
部屋にはヴァレリカも共にいる。
キリエルはタイミに言った。

「これで、アイナは助かるんだよね?」

「ああ。」

キリエルはタイミの言葉を信じ、深く頷いた。
するとヴァレリカはタイミの耳元で言う。

「ケリスと、天使とアイナが来ています。」

タイミは目を丸くする。

「おお、結構早い到着だったね。ヴァレリカ、ちょっと相手してきてくれないかい?」

「はっ。」

そう言ってヴァレリカは部屋を出るので、キリエルは首を傾げた。
それからタイミに聞く。

「お客さん?」

タイミはニッコリ笑って言った。

「ああ。たまに僕の首を狙ってやってくる奴とかいるからね。」

「そう…」

キリエルが呟くように言うと、タイミは言う。

「じゃ、はじめよう。」

タイミがそう言って指を鳴らすと、魔法陣の隅にあった五つの蝋燭に火が灯る。
それと同時に陣は輝き始め、キリエルは重力がのしかかった様に体が重くなった。

「ぐっ…!」

「我慢しててね。」

タイミにそう言われ、キリエルはぐっとこらえるのであった。



屋敷の庭では、ワレリーとフロルが交戦を続けていた。
一見、一歩も譲らない戦いだが、若干フロルの方が押している。
ワレリーは少し息を切らせているのに対し、フロルはまだ平気そうにしていた。

「こんなんじゃ、やがて俺に負けますよ。」

フロルが言うと、ワレリーは鼻で笑った。

「どうせ死ぬ命です。ここで消えても構いません。」

「お兄様って人は…」

フロルが言うと、ワレリーは魔導書の異変に気づく。
ワレリーは魔導書を手に取ると、魔導書がガタガタと蠢いていた。
思わず眉を潜めるワレリー。
フロルも気づいたのか近づこうとするが、急に魔導書が赤い光を発した。
ビラビラと書が開き、書から真っ赤な血の色をした触手が伸びる。
ワレリーは驚いた表情になり、呆然としていた為か触手に捕まりそうになる。
それをフロルが駆けつけ、ナイフで切ってくれた。

「ワレリーお兄様!しっかりしてください!」

ワレリーは我に戻り、再び魔導書を見た。

「これは一体…!」

「それよりも、その書を手放してください!飲み込まれてしまいますよ!」

フロルはワレリーに伸びる触手を撃退しながら言った。
ワレリーは魔導書を見つめ、やがて呟く。

「血を欲しているのですね。それも私の血を…全て。」

「尚更渡しちゃいけません!」

フロルはそう言って撃退を続けるも、遂にはワレリーとフロルは触手に捕まってしまった。
首を絞められるフロル、手足を拘束されたワレリー。
その瞬間、ワレリーは急に苦しみ出す。

「ぐっ…あ…!」

一瞬にして冷や汗を流し、呻くように苦しみだしたワレリー。
フロルは目を剥き、触手に抵抗した。
ナイフでやっとの思いで切り裂き、ワレリーの方へ向かった。

「お兄様!」

そう言って触手を切るが、いくら切ってもキリがないくらい触手が伸びた。
フロルはそれでも諦めず、ただひたすらに触手を切り続けるのであった。



屋敷内では、フューレンとケリスとアイナがヴァレリカと対面していた。
ケリスはヴァレリカを睨み、フューレン達に言った。

「ここはケリスにお任せを、先にどうぞ。」

「行かせん。」

と言ったのはヴァレリカ。
ヴァレリカは自分の背に結界を貼ると、戦う姿勢に入る。

「全員ここで死んでもらう。」

ヴァレリカが槍を持ち、天井に掲げるタイミングで外に雷鳴が鳴った。
ヴァレリカの力のせいか、周囲の窓ガラスが破損する。
フューレンは冷静な様子で言った。

「どうやらヴァレリカをどうにかしないといけないみたいだな。俺も手伝うぞケリス。」

「いいえ、フューレンは危険なので下がっていてください!」

そう言ってケリスは、ヴァレリカに襲いかかる。
ヴァレリカも槍を構え、ケリスを向かい打つのであった。





しおりを挟む
感想 6

あなたにおすすめの小説

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

【魔女ローゼマリー伝説】~5歳で存在を忘れられた元王女の私だけど、自称美少女天才魔女として世界を救うために冒険したいと思います!~

ハムえっぐ
ファンタジー
かつて魔族が降臨し、7人の英雄によって平和がもたらされた大陸。その一国、ベルガー王国で物語は始まる。 王国の第一王女ローゼマリーは、5歳の誕生日の夜、幸せな時間のさなかに王宮を襲撃され、目の前で両親である国王夫妻を「漆黒の剣を持つ謎の黒髪の女」に殺害される。母が最後の力で放った転移魔法と「魔女ディルを頼れ」という遺言によりローゼマリーは辛くも死地を脱した。 15歳になったローゼは師ディルと別れ、両親の仇である黒髪の女を探し出すため、そして悪政により荒廃しつつある祖国の現状を確かめるため旅立つ。 国境の街ビオレールで冒険者として活動を始めたローゼは、運命的な出会いを果たす。因縁の仇と同じ黒髪と漆黒の剣を持つ少年傭兵リョウ。自由奔放で可愛いが、何か秘密を抱えていそうなエルフの美少女ベレニス。クセの強い仲間たちと共にローゼの新たな人生が動き出す。 これは王女の身分を失った最強天才魔女ローゼが、復讐の誓いを胸に仲間たちとの絆を育みながら、王国の闇や自らの運命に立ち向かう物語。友情、復讐、恋愛、魔法、剣戟、謀略が織りなす、ダークファンタジー英雄譚が、今、幕を開ける。  

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
私は、夫にも子供にも選ばれなかった。 その事実だけを抱え、離縁を突きつけ、家を出た。 そこで待っていたのは、最悪の出来事―― けれど同時に、人生の扉がひらく瞬間でもあった。 夫は愛人と共に好きに生きればいい。 今さら「本当に愛していたのは君だ」と言われても、裏切ったあなたを許すことはできない。 でも、子供たちの心だけは、必ず取り戻す。 妻にも母にもなれなかった伯爵夫人イネス。 過去を悔いながらも、愛を手に入れることを決めた彼女が辿り着いた先には――

愛された側妃と、愛されなかった正妃

編端みどり
恋愛
隣国から嫁いだ正妃は、夫に全く相手にされない。 夫が愛しているのは、美人で妖艶な側妃だけ。 連れて来た使用人はいつの間にか入れ替えられ、味方がいなくなり、全てを諦めていた正妃は、ある日側妃に子が産まれたと知った。自分の子として育てろと無茶振りをした国王と違い、産まれたばかりの赤ん坊は可愛らしかった。 正妃は、子育てを通じて強く逞しくなり、夫を切り捨てると決めた。 ※カクヨムさんにも掲載中 ※ 『※』があるところは、血の流れるシーンがあります ※センシティブな表現があります。血縁を重視している世界観のためです。このような考え方を肯定するものではありません。不快な表現があればご指摘下さい。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

大ッ嫌いな英雄様達に告ぐ

鮭とば
ファンタジー
剣があって、魔法があって、けれども機械はない世界。妖魔族、俗に言う魔族と人間族の、原因は最早誰にもわからない、終わらない小競り合いに、いつからあらわれたのかは皆わからないが、一旦の終止符をねじ込んだ聖女様と、それを守る5人の英雄様。 それが約50年前。 聖女様はそれから2回代替わりをし、数年前に3回目の代替わりをしたばかりで、英雄様は数え切れないぐらい替わってる。 英雄の座は常に5つで、基本的にどこから英雄を選ぶかは決まってる。 俺は、なんとしても、聖女様のすぐ隣に居たい。 でも…英雄は5人もいらないな。

ゲーム未登場の性格最悪な悪役令嬢に転生したら推しの妻だったので、人生の恩人である推しには離婚して私以外と結婚してもらいます!

クナリ
ファンタジー
江藤樹里は、かつて画家になることを夢見ていた二十七歳の女性。 ある日気がつくと、彼女は大好きな乙女ゲームであるハイグランド・シンフォニーの世界へ転生していた。 しかし彼女が転生したのは、ヘビーユーザーであるはずの自分さえ知らない、ユーフィニアという女性。 ユーフィニアがどこの誰なのかが分からないまま戸惑う樹里の前に、ユーフィニアに仕えているメイドや、樹里がゲーム内で最も推しているキャラであり、どん底にいたときの自分の心を救ってくれたリルベオラスらが現れる。 そして樹里は、絶世の美貌を持ちながらもハイグラの世界では稀代の悪女とされているユーフィニアの実情を知っていく。 国政にまで影響をもたらすほどの悪名を持つユーフィニアを、最愛の恩人であるリルベオラスの妻でいさせるわけにはいかない。 樹里は、ゲーム未登場ながら圧倒的なアクの強さを持つユーフィニアをリルベオラスから引き離すべく、離婚を目指して動き始めた。

冤罪で辺境に幽閉された第4王子

satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。 「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。 辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。

処理中です...