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第3章 平穏―ピースフル―
119 消えない熱
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クロマは人差し指を秋田の胸に向けた。
「もういい。」
すると、秋田は物凄い殺気を感じた。
そこに丁度、博物館の外に出てくる綺瑠。
綺瑠は目を細めながらも秋田に言った。
「父さん、もう石っ子ちゃんの事は放っておきな…」
「業に報いよ。」
と言うクロマの声と、共に真っ白な閃光が放たれる。
閃光が消えると、秋田は真っ黒に焦げる。
そのまま倒れ、呆気なく死んでしまった。
ミンスは愕然とした顔でそれを見ている。
一番驚いたのは目の前で父が死んだのを見た綺瑠と、丁度駆けつけてきた誠治だった。
「と…さん?」
綺瑠は声をつっ返させる。
誠治は目を見開いてその死体を見た。
魔法少女を初めて見た時に見た、あの真っ黒な死体と全く同じなのだ。
(まさか…あの時の死体はクロマが…!?)
「クロマ…!なんて事を…!!」
誠治はクロマに歩み寄る。
クロマは誠治から出てくる真っ暗な植物に気づくと距離を置く。
「貴様は厄介だな。」
綺瑠は絶望に満ちた表情で愕然。
そのせいで周りの様子が全く見えていない。
誠治はそんな綺瑠を見て悔しい表情を見せ、クロマに言った。
「クロマは…人を殺しても平気なのか…!?
今までは、植物人間だけだったじゃないか…!」
誠治の問いに、クロマは冷めた目のまま言う。
「誰であろうと関係ない。
…悪は滅する、それだけだ。」
その時、誠治は以前を思い出す。
クロマが守を殺そうと考えていた時の事。
悪と感じた相手には容赦がなく、いつか人を殺しかねないという懸念。
そう、さっき感じた胸騒ぎの正体だった。
「そんな淡々と人殺しを…!おかしい!おかしいと思わないのか!」
誠治が言うと、クロマは腕にプラズマを纏って言った。
「貴様は邪魔だ。」
そう言うと、クロマはプラズマを飛ばす。
誠治は不死身なため特に行動を起こさずにいた。
しかしそこに、綺瑠が誠治を庇ってプラズマに当たった。
「うっ!」
綺瑠は飛ばされ、綺瑠の体はそのまま誠治にぶつかった。
「奈江島さんっ!」
誠治は綺瑠の体を支えた。
クロマは気にせずミンスを連れて帰ろうとするが、ミンスはその光景に驚いたまま呆然としている。
ミンスは鼓動の乱れを感じていた。
(なぜ…わたくし…綺瑠が殺されて…)
ミンスはそう思いながらも、綺瑠に手を伸ばす。
しかしクロマにそのまま連れられてしまった。
誠治は綺瑠を支えて呼びかけた。
「奈江島さん!奈江島さん!!」
すると綺瑠は気づいたのか、顔を上げた。
綺瑠は微笑みながら誠治を見た。
「不思議…あのプラズマに当たっても生きてるんだけど…ハハ」
綺瑠は余裕を見せようとする。
しかし、綺瑠はすぐに体の異変に気づいた。
体の中が高温になり、熱くて熱くて耐えられなくなる。
まるで、巨大植物を燃やした時のミンスの様に。
「うぐっ…!熱っ…ぐっ…」
綺瑠が顔を下げる。
「奈江島さん!どうしたんですか!」
すると、誠治は体の熱に気づく。
「体が凄く熱い…!?」
同時に綺瑠は吐血し、鼻血を流す。
誠治は呆然と言葉を失って黙り込むと、綺瑠は止まらない血に笑った。
「おっがじぃな(おかしいな)…」
そして更に吐き出す。
目に涙を滲ませる誠治に、綺瑠は力を振り絞って手を伸ばす。
「せいじ…」
綺瑠は声を搾り出し、伸ばした手で誠治の涙を拭う。
誠治は思わず目を剥くと、綺瑠はドスっと倒れてしまった。
ピクリともしない綺瑠。
「な…な…」
誠治は恐ろしくて声が出ない。
綺瑠は青ざめ、生きていない事を知らしめるようだった。
しかも既にクロマ達はおらず、誠治に虚無だけを残していく。
「なんで…」
誠治は心細く呟いた。
そこに久坂と数男とサチが駆けつける。
その光景を見て、久坂とサチは呆然とした。
「こりゃ…一体…」
久坂は青ざめた綺瑠の前でしゃがむ。
久坂は綺瑠の脈を確かめた。
「まだ生きてるし。」
その言葉に、誠治は顔色を少しだけ良くした。
久坂は救急車を呼ぶために電話をかけながらも、綺瑠の頬を少し抓ってから秋田の死体にも近づく。
「九重先輩…これは…」
サチが言うと、誠治は上手く言葉にできず黙っていた。
数男は鼻で笑うと言った。
「見ればあのマリモの仕業だな。遂には人間にまで手を出す様になったか。」
「こんな恐ろしい事を…!」
サチがそう言うと、誠治は頭を抱えて膝を崩した。
「奈江島さん…私を庇って…。秋田さんは、来た時にはもう…」
「やっぱ秋田の死体…か。」
久坂は黒焦げ死体を見つめて言った。
「九重先輩…!」
サチが心配して声をかけると、誠治は涙を堪えて二人を見つめた。
誠治の頬は赤く、熱がこもっている。
特に綺瑠に拭いてもらった左の頬は、右よりも倍熱く感じられた。
久坂はそういう事もお構いなしに、誠治の肩をポンと叩くと言った。
「状況、話してもらってもいいか?」
誠治は潰れた声を我慢して返事をした。
「はい…」
「もういい。」
すると、秋田は物凄い殺気を感じた。
そこに丁度、博物館の外に出てくる綺瑠。
綺瑠は目を細めながらも秋田に言った。
「父さん、もう石っ子ちゃんの事は放っておきな…」
「業に報いよ。」
と言うクロマの声と、共に真っ白な閃光が放たれる。
閃光が消えると、秋田は真っ黒に焦げる。
そのまま倒れ、呆気なく死んでしまった。
ミンスは愕然とした顔でそれを見ている。
一番驚いたのは目の前で父が死んだのを見た綺瑠と、丁度駆けつけてきた誠治だった。
「と…さん?」
綺瑠は声をつっ返させる。
誠治は目を見開いてその死体を見た。
魔法少女を初めて見た時に見た、あの真っ黒な死体と全く同じなのだ。
(まさか…あの時の死体はクロマが…!?)
「クロマ…!なんて事を…!!」
誠治はクロマに歩み寄る。
クロマは誠治から出てくる真っ暗な植物に気づくと距離を置く。
「貴様は厄介だな。」
綺瑠は絶望に満ちた表情で愕然。
そのせいで周りの様子が全く見えていない。
誠治はそんな綺瑠を見て悔しい表情を見せ、クロマに言った。
「クロマは…人を殺しても平気なのか…!?
今までは、植物人間だけだったじゃないか…!」
誠治の問いに、クロマは冷めた目のまま言う。
「誰であろうと関係ない。
…悪は滅する、それだけだ。」
その時、誠治は以前を思い出す。
クロマが守を殺そうと考えていた時の事。
悪と感じた相手には容赦がなく、いつか人を殺しかねないという懸念。
そう、さっき感じた胸騒ぎの正体だった。
「そんな淡々と人殺しを…!おかしい!おかしいと思わないのか!」
誠治が言うと、クロマは腕にプラズマを纏って言った。
「貴様は邪魔だ。」
そう言うと、クロマはプラズマを飛ばす。
誠治は不死身なため特に行動を起こさずにいた。
しかしそこに、綺瑠が誠治を庇ってプラズマに当たった。
「うっ!」
綺瑠は飛ばされ、綺瑠の体はそのまま誠治にぶつかった。
「奈江島さんっ!」
誠治は綺瑠の体を支えた。
クロマは気にせずミンスを連れて帰ろうとするが、ミンスはその光景に驚いたまま呆然としている。
ミンスは鼓動の乱れを感じていた。
(なぜ…わたくし…綺瑠が殺されて…)
ミンスはそう思いながらも、綺瑠に手を伸ばす。
しかしクロマにそのまま連れられてしまった。
誠治は綺瑠を支えて呼びかけた。
「奈江島さん!奈江島さん!!」
すると綺瑠は気づいたのか、顔を上げた。
綺瑠は微笑みながら誠治を見た。
「不思議…あのプラズマに当たっても生きてるんだけど…ハハ」
綺瑠は余裕を見せようとする。
しかし、綺瑠はすぐに体の異変に気づいた。
体の中が高温になり、熱くて熱くて耐えられなくなる。
まるで、巨大植物を燃やした時のミンスの様に。
「うぐっ…!熱っ…ぐっ…」
綺瑠が顔を下げる。
「奈江島さん!どうしたんですか!」
すると、誠治は体の熱に気づく。
「体が凄く熱い…!?」
同時に綺瑠は吐血し、鼻血を流す。
誠治は呆然と言葉を失って黙り込むと、綺瑠は止まらない血に笑った。
「おっがじぃな(おかしいな)…」
そして更に吐き出す。
目に涙を滲ませる誠治に、綺瑠は力を振り絞って手を伸ばす。
「せいじ…」
綺瑠は声を搾り出し、伸ばした手で誠治の涙を拭う。
誠治は思わず目を剥くと、綺瑠はドスっと倒れてしまった。
ピクリともしない綺瑠。
「な…な…」
誠治は恐ろしくて声が出ない。
綺瑠は青ざめ、生きていない事を知らしめるようだった。
しかも既にクロマ達はおらず、誠治に虚無だけを残していく。
「なんで…」
誠治は心細く呟いた。
そこに久坂と数男とサチが駆けつける。
その光景を見て、久坂とサチは呆然とした。
「こりゃ…一体…」
久坂は青ざめた綺瑠の前でしゃがむ。
久坂は綺瑠の脈を確かめた。
「まだ生きてるし。」
その言葉に、誠治は顔色を少しだけ良くした。
久坂は救急車を呼ぶために電話をかけながらも、綺瑠の頬を少し抓ってから秋田の死体にも近づく。
「九重先輩…これは…」
サチが言うと、誠治は上手く言葉にできず黙っていた。
数男は鼻で笑うと言った。
「見ればあのマリモの仕業だな。遂には人間にまで手を出す様になったか。」
「こんな恐ろしい事を…!」
サチがそう言うと、誠治は頭を抱えて膝を崩した。
「奈江島さん…私を庇って…。秋田さんは、来た時にはもう…」
「やっぱ秋田の死体…か。」
久坂は黒焦げ死体を見つめて言った。
「九重先輩…!」
サチが心配して声をかけると、誠治は涙を堪えて二人を見つめた。
誠治の頬は赤く、熱がこもっている。
特に綺瑠に拭いてもらった左の頬は、右よりも倍熱く感じられた。
久坂はそういう事もお構いなしに、誠治の肩をポンと叩くと言った。
「状況、話してもらってもいいか?」
誠治は潰れた声を我慢して返事をした。
「はい…」
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