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第4章 侵食―エローション―
123 目にもの見せてあげよう!
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更にその日、誠治は綺瑠が目を覚ました連絡を受けて病院に来ていた。
病院の廊下には何十人もの研究員が並んでいて、誠治はそれに圧倒される。
(これ、全員奈江島さんの見舞いで…!?)
病室から、研究員ではない人が出てくる。
見てる限り、研究所以外の仕事関係の人だろう。
誠治は通してもらい、扉の前へ。
扉の前には『研究員は立ち入り禁止。久坂は特別入室OK!』と綺瑠の字で書かれていた。
しかし『久坂は特別入室OK!』の文字は棒線で消されており、『来るわけねぇだろバーカ』と書いてあった。
それは完全に久坂の字。
誠治は久坂の字を把握しているわけではなかったが、口調と雰囲気で誰が書いたのかわかってしまった。
思わず微笑んでしまう誠治。
(本当は来ていたんだ…)
誠治は機嫌が良くなると、ノックをした。
「誰?」
綺瑠の声。
誠治は綺瑠の声を聞くと、目を潤わせた。
そして名乗りもせず、扉を開いてしまう。
「奈江島さん…!良かった…!」
誠治が涙して言うと、綺瑠は笑って言った。
「誠治!来てくれたんだ。
いやぁ、死ぬかと思ったんだけどね。もしかしたら彼、誠治を殺す気はなかったのかも。」
それを聞いた誠治は苦笑した。
(それは私が不死身だから…)
そう思っていた誠治だが、すぐに綺瑠に対する申し訳なさが強くなる。
「えっとお体の調子は…?あの…私のせいで…」
「んー?だいぶ良くなったよ?
血を吐いた分沢山ご飯食べたしー、今からどうやって石っ子ちゃんをギャフンと言わせるか沢山考えちゃうくらい。」
安定の綺瑠の余裕綽々とした様子。
それを聞いた誠治は安心したのか、思わず笑ってしまう。
「元気そうで何よりです。」
「うんうん。だから、」
そう言って綺瑠は誠治に向かってウインク。
「誠治も気にしない。」
そう言われると、誠治は眉を困らせて笑った。
なんだか申し訳なさそうに。
すると綺瑠は、近くに掛けてあった自分の白衣のポケットを探りながら言った。
「最近サチちゃんとはどう?」
急な質問に、誠治は思わず目を丸くした。
そして頬を赤くしてしまう。
「え?そ、殆ど話せてませんよ…!」
その動揺っぷりに、綺瑠は笑った。
誠治は恥ずかしそうにしていると、綺瑠は微笑む。
「いいね、僕も誠治みたいに恋愛してみたいかも。」
誠治はそれを聞いて目を丸くすると、綺瑠は続けた。
「なんだろう…。今までしてきた僕の恋って、強迫みたいなものだったから。
それを今頃気づいたっていうか…」
そう言って、綺瑠は白衣のポケットから鍵の束を出した。
「おっと、急に変な話をしてごめんよ。」
そして誠治に鍵の束を渡した。
誠治は目を丸くすると、綺瑠は続ける。
「これ、えーっと…これが僕の家の鍵。住所は今から教えるよ。
誠治、僕の家に植物人間の資料が沢山あるから、好きに見に行っていいよ。
誠治は植物人間をどうにかしたいんでしょ。」
そう言って綺瑠は微笑む。
誠治は驚いたのか目を見開く。
「いいんですか…!」
それを見た綺瑠は笑う。
「いいよ。別にやましい物なんか置いてないし、石っ子ちゃんが植物人間を増やしてる今、家の心配してる場合でもない。」
誠治は真面目な顔をすると、綺瑠に頭を下げた。
「お言葉に甘えます。ありがとうございます。」
「そんな堅くならなくてもいいのに!
でも誠治、交換条件がある。」
誠治は首を傾げた。
「僕の研究所に来てよ。誠治に僕の秘書をしてもらいたいんだ。」
それを聞いた誠治は目を丸くして驚いた。
綺瑠は微笑む。
「僕はこれから、植物人間を人間に戻す方法を探す。
僕達と一緒に、石っ子ちゃんに目に物見せてあげようよ。協力してくれるかい?」
綺瑠が言うので、誠治は呆然としたまま。
返事がなくて綺瑠は眉を困らせると、誠治は真摯な表情を見せた。
「勿論です。」
それを聞くと、綺瑠は笑んで強く頷く。
「ありがとう。」
綺瑠はそう言うと、胸に手を当てた。
すると誠治は急に虚しい表情を見せ、綺瑠に言った。
「えっと、秋田さんは…」
「わかってる。
いいんだ、父さんの事は…
…全て覚えている訳じゃないけど、そんな夢を見たから。」
綺瑠は少し虚しそうに言った。
誠治は拳を握った。
(これも全部…植物人間のせい…秋田さんが亡くなったのも、奈江島さんが大怪我をしたのも…)
「きっと見せてくれたんだよね。」
綺瑠は言った。
誠治は綺瑠を見ると、綺瑠は真剣な眼差しになっていた。
「…ありがとう、僕は前に進めるよ。」
綺瑠は自分に語りかけていた。
誠治は不思議そうに見ていると、綺瑠は誠治に笑顔を向ける。
「なんちゃって。…独り言。」
病院の廊下には何十人もの研究員が並んでいて、誠治はそれに圧倒される。
(これ、全員奈江島さんの見舞いで…!?)
病室から、研究員ではない人が出てくる。
見てる限り、研究所以外の仕事関係の人だろう。
誠治は通してもらい、扉の前へ。
扉の前には『研究員は立ち入り禁止。久坂は特別入室OK!』と綺瑠の字で書かれていた。
しかし『久坂は特別入室OK!』の文字は棒線で消されており、『来るわけねぇだろバーカ』と書いてあった。
それは完全に久坂の字。
誠治は久坂の字を把握しているわけではなかったが、口調と雰囲気で誰が書いたのかわかってしまった。
思わず微笑んでしまう誠治。
(本当は来ていたんだ…)
誠治は機嫌が良くなると、ノックをした。
「誰?」
綺瑠の声。
誠治は綺瑠の声を聞くと、目を潤わせた。
そして名乗りもせず、扉を開いてしまう。
「奈江島さん…!良かった…!」
誠治が涙して言うと、綺瑠は笑って言った。
「誠治!来てくれたんだ。
いやぁ、死ぬかと思ったんだけどね。もしかしたら彼、誠治を殺す気はなかったのかも。」
それを聞いた誠治は苦笑した。
(それは私が不死身だから…)
そう思っていた誠治だが、すぐに綺瑠に対する申し訳なさが強くなる。
「えっとお体の調子は…?あの…私のせいで…」
「んー?だいぶ良くなったよ?
血を吐いた分沢山ご飯食べたしー、今からどうやって石っ子ちゃんをギャフンと言わせるか沢山考えちゃうくらい。」
安定の綺瑠の余裕綽々とした様子。
それを聞いた誠治は安心したのか、思わず笑ってしまう。
「元気そうで何よりです。」
「うんうん。だから、」
そう言って綺瑠は誠治に向かってウインク。
「誠治も気にしない。」
そう言われると、誠治は眉を困らせて笑った。
なんだか申し訳なさそうに。
すると綺瑠は、近くに掛けてあった自分の白衣のポケットを探りながら言った。
「最近サチちゃんとはどう?」
急な質問に、誠治は思わず目を丸くした。
そして頬を赤くしてしまう。
「え?そ、殆ど話せてませんよ…!」
その動揺っぷりに、綺瑠は笑った。
誠治は恥ずかしそうにしていると、綺瑠は微笑む。
「いいね、僕も誠治みたいに恋愛してみたいかも。」
誠治はそれを聞いて目を丸くすると、綺瑠は続けた。
「なんだろう…。今までしてきた僕の恋って、強迫みたいなものだったから。
それを今頃気づいたっていうか…」
そう言って、綺瑠は白衣のポケットから鍵の束を出した。
「おっと、急に変な話をしてごめんよ。」
そして誠治に鍵の束を渡した。
誠治は目を丸くすると、綺瑠は続ける。
「これ、えーっと…これが僕の家の鍵。住所は今から教えるよ。
誠治、僕の家に植物人間の資料が沢山あるから、好きに見に行っていいよ。
誠治は植物人間をどうにかしたいんでしょ。」
そう言って綺瑠は微笑む。
誠治は驚いたのか目を見開く。
「いいんですか…!」
それを見た綺瑠は笑う。
「いいよ。別にやましい物なんか置いてないし、石っ子ちゃんが植物人間を増やしてる今、家の心配してる場合でもない。」
誠治は真面目な顔をすると、綺瑠に頭を下げた。
「お言葉に甘えます。ありがとうございます。」
「そんな堅くならなくてもいいのに!
でも誠治、交換条件がある。」
誠治は首を傾げた。
「僕の研究所に来てよ。誠治に僕の秘書をしてもらいたいんだ。」
それを聞いた誠治は目を丸くして驚いた。
綺瑠は微笑む。
「僕はこれから、植物人間を人間に戻す方法を探す。
僕達と一緒に、石っ子ちゃんに目に物見せてあげようよ。協力してくれるかい?」
綺瑠が言うので、誠治は呆然としたまま。
返事がなくて綺瑠は眉を困らせると、誠治は真摯な表情を見せた。
「勿論です。」
それを聞くと、綺瑠は笑んで強く頷く。
「ありがとう。」
綺瑠はそう言うと、胸に手を当てた。
すると誠治は急に虚しい表情を見せ、綺瑠に言った。
「えっと、秋田さんは…」
「わかってる。
いいんだ、父さんの事は…
…全て覚えている訳じゃないけど、そんな夢を見たから。」
綺瑠は少し虚しそうに言った。
誠治は拳を握った。
(これも全部…植物人間のせい…秋田さんが亡くなったのも、奈江島さんが大怪我をしたのも…)
「きっと見せてくれたんだよね。」
綺瑠は言った。
誠治は綺瑠を見ると、綺瑠は真剣な眼差しになっていた。
「…ありがとう、僕は前に進めるよ。」
綺瑠は自分に語りかけていた。
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「なんちゃって。…独り言。」
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