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第4章 侵食―エローション―
126 なんでかヒーローに
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サチ達は植物人間退治で歩道を歩いていると、外に出ている人達が手を振ってくれる。
「あ、ヒーローだ~頑張って~」
サチ達はただミンス達への栄養を減らすために植物人間退治しているのだが、一般人には自分たちを助けてくれるヒーローにしか見えないようだ。
「ありがとう!あーりがとぅ!!」
シュンは赤子を掲げて言うと、アンジェルは呆れた様子。
そして三笠の元気がない。
落ち込んでいるようで、足取りが少し不安定になっていた。
「三笠さん、大丈夫ですか?」
サチが聞くと、三笠は汚れた帝鳩羽を見せて言う。
「いいや…」
三笠は植物人間の樹液を帝鳩羽にかけられたらしく、ショックしていた。
「取れないんだなぁ…テイハ…」
三笠は帝鳩羽に語りかけながら布で拭いている、が取れない。
「テイハが元気がないと…僕も元気が出ないなぁ…」
三笠はブツブツ言っているので、サチは気味が悪いものを見るような目で見る。
(やっぱり変な人。)
すると近くの公民館前に秋菜がいたので、秋菜は三笠を見て驚いた。
「帝汰さん!元気がない…?」
三笠は秋菜を見ると言った。
「ああ君か。いや、テイハが汚れちゃって…」
と帝鳩羽を秋菜に見せる。
秋菜は帝汰を見て嫌交じりの困った顔。
「あらそれは残念です事。」
「誰かを待っているんですか?」
サチは秋菜に聞いた。
「ここの避難所で今、九重さんが演説をしていますの。私はここで案内をしていますのよ。」
「え!?九重先輩が…!?」
サチはすぐ反応して、中に入りたそうな顔をした。
アンジェルは気になるのか言う。
「何の演説だろうね、行ってみようよ。」
サチは一番先に公民館に入ってしまう。
シュンも「行くか!ゴー!」と言ってサチを追いかけた。
アンジェルも早歩きで中に入ると、秋菜は元気のない三笠を案じて一緒について行ってあげる。
「愛刀が汚れた程度で落ち込みすぎですわ。」
秋菜が三笠に言うと、三笠は急に目を見開いて秋菜を見た。
秋菜は驚いてしまう。
「な!気に障ったのなら謝ります。」
すると三笠は溜息。
「足りないなぁ…やっぱり丸い…」
秋菜は体型の事かと思ってムスっとした。
「あら失礼ですわ!それにいい大人がこんなにだらしない顔して…もっとシャキっとなさい!」
秋菜が叱ると、三笠は笑顔を見せた。
「そうだよ、そのトゲをもっと僕に見せてくれ~」
それに対し、秋菜は呆れ顔。
「植物人間になっても、相変わらずですわね…」
サチは演説が行われている部屋に入る。
すると本当に誠治は、部屋の中心で人々に訴えかけていた。
「この惨事の首謀者は、皆さんの命を狙っています。皆さんはできるだけ、周りの方に避難を呼びかけていただきたいのです。
皆さん、今こそ行動しましょう。ここで自分の身を守らなければ、次はあなたが家族を、大事な人を傷つけてしまいます!
もう一度言います…今半端な気持ちでいれば、必ずあなたは誰かを失います!もう失った方々も、だからこそ周りに呼びかけて欲しいのです…!」
誠治の力強い演説に一同は目を丸くしている。
「凄い演説能力。」
と褒めて出てきたのはハジメ。
サチはハジメに気づく。
「九重先輩は…みんなに避難を?」
ハジメは頷いた。
「そうだよ。誠治は自分の友人の研究データを拝借して、人々に植物人間のデータを提供したり避難を呼びかけたりしているんだ。」
「友人の研究データ?」
「奈江島綺瑠、誠治の友人の名前さ。
地質学者にして植物人間の研究を親子でしていた。でも先日クロマに大怪我食らわされた。
彼の頼みで、誠治が彼の家をちょっと調べてたんだ。そしたら興味深いデータがあったらしくてすぐにこの有様さ。本当に誠治は心優しい人間だよ。」
となぜか誇らしげ。
サチは誠治を見つめると、後から来るシュンとアンジェル。
アンジェルは話を聞いていたらしく言った。
「で、植物人間のデータって?」
「僕は詳しく見ていないけど、人間が植物人間になってしまうメカニズムがまずあったよ。
街の巨大植物の茎から花粉が飛ばされるらしく、それを吸いすぎると植物人間になってしまうらしい。
植物人間からも花粉は飛ばされるらしいけど、根無しの植物人間限定だね。」
「根無しの植物人間…。根のある植物人間とは何が違うの?」
サチが言うと、ハジメは続ける。
「根のない植物人間は、ミンスの力で変化した植物人間と言われているらしい。
ミンスは根を切られているからね、それから生まれる植物人間も根がないんだって。」
「ふぅーん。でもそうなると、今頃この街の人間全員植物人間じゃない。」
アンジェルの言葉に、ハジメは首を横に振った。
「それがその成分は体内に入ると秒で効果が消えるらしい。だからその時間内で大量に吸った場合、となるんだよね。
今はミンスの力も大きくなっているし、花粉の活動も活発らしいんだ。だから植物人間が一気に増えるようになった。」
「なるほどね。」
アンジェルが言うと、ハジメは更に言った。
「だから家庭には空気清浄機を置くよう呼びかけたり、ここも何台かかけているんだ。
マスクでは防げない代物らしくてね。それと何かにプラズマで表面加工をする事でその成分を引き付ける事もできるらしいからそれも検討中らしいよ。」
サチは科学的な話はよくわからないのでその部分だけスルーしていると、誠治の演説は既に終わっていた。
誠治は演説が終わった後も人と話したり、楽しげな会話を広げたりしている。
そんな様子の誠治を見て、サチは学生時代の彼を思い出すのであった。
(本当に誰からにも人気で…優しい人。やっぱり私の憧れだな。)
すると誠治はサチに気づいて、いつもの笑顔を見せた。
「あ、真渕さん。」
誠治と目が合うと、サチは顔を赤くした。
「あ、ヒーローだ~頑張って~」
サチ達はただミンス達への栄養を減らすために植物人間退治しているのだが、一般人には自分たちを助けてくれるヒーローにしか見えないようだ。
「ありがとう!あーりがとぅ!!」
シュンは赤子を掲げて言うと、アンジェルは呆れた様子。
そして三笠の元気がない。
落ち込んでいるようで、足取りが少し不安定になっていた。
「三笠さん、大丈夫ですか?」
サチが聞くと、三笠は汚れた帝鳩羽を見せて言う。
「いいや…」
三笠は植物人間の樹液を帝鳩羽にかけられたらしく、ショックしていた。
「取れないんだなぁ…テイハ…」
三笠は帝鳩羽に語りかけながら布で拭いている、が取れない。
「テイハが元気がないと…僕も元気が出ないなぁ…」
三笠はブツブツ言っているので、サチは気味が悪いものを見るような目で見る。
(やっぱり変な人。)
すると近くの公民館前に秋菜がいたので、秋菜は三笠を見て驚いた。
「帝汰さん!元気がない…?」
三笠は秋菜を見ると言った。
「ああ君か。いや、テイハが汚れちゃって…」
と帝鳩羽を秋菜に見せる。
秋菜は帝汰を見て嫌交じりの困った顔。
「あらそれは残念です事。」
「誰かを待っているんですか?」
サチは秋菜に聞いた。
「ここの避難所で今、九重さんが演説をしていますの。私はここで案内をしていますのよ。」
「え!?九重先輩が…!?」
サチはすぐ反応して、中に入りたそうな顔をした。
アンジェルは気になるのか言う。
「何の演説だろうね、行ってみようよ。」
サチは一番先に公民館に入ってしまう。
シュンも「行くか!ゴー!」と言ってサチを追いかけた。
アンジェルも早歩きで中に入ると、秋菜は元気のない三笠を案じて一緒について行ってあげる。
「愛刀が汚れた程度で落ち込みすぎですわ。」
秋菜が三笠に言うと、三笠は急に目を見開いて秋菜を見た。
秋菜は驚いてしまう。
「な!気に障ったのなら謝ります。」
すると三笠は溜息。
「足りないなぁ…やっぱり丸い…」
秋菜は体型の事かと思ってムスっとした。
「あら失礼ですわ!それにいい大人がこんなにだらしない顔して…もっとシャキっとなさい!」
秋菜が叱ると、三笠は笑顔を見せた。
「そうだよ、そのトゲをもっと僕に見せてくれ~」
それに対し、秋菜は呆れ顔。
「植物人間になっても、相変わらずですわね…」
サチは演説が行われている部屋に入る。
すると本当に誠治は、部屋の中心で人々に訴えかけていた。
「この惨事の首謀者は、皆さんの命を狙っています。皆さんはできるだけ、周りの方に避難を呼びかけていただきたいのです。
皆さん、今こそ行動しましょう。ここで自分の身を守らなければ、次はあなたが家族を、大事な人を傷つけてしまいます!
もう一度言います…今半端な気持ちでいれば、必ずあなたは誰かを失います!もう失った方々も、だからこそ周りに呼びかけて欲しいのです…!」
誠治の力強い演説に一同は目を丸くしている。
「凄い演説能力。」
と褒めて出てきたのはハジメ。
サチはハジメに気づく。
「九重先輩は…みんなに避難を?」
ハジメは頷いた。
「そうだよ。誠治は自分の友人の研究データを拝借して、人々に植物人間のデータを提供したり避難を呼びかけたりしているんだ。」
「友人の研究データ?」
「奈江島綺瑠、誠治の友人の名前さ。
地質学者にして植物人間の研究を親子でしていた。でも先日クロマに大怪我食らわされた。
彼の頼みで、誠治が彼の家をちょっと調べてたんだ。そしたら興味深いデータがあったらしくてすぐにこの有様さ。本当に誠治は心優しい人間だよ。」
となぜか誇らしげ。
サチは誠治を見つめると、後から来るシュンとアンジェル。
アンジェルは話を聞いていたらしく言った。
「で、植物人間のデータって?」
「僕は詳しく見ていないけど、人間が植物人間になってしまうメカニズムがまずあったよ。
街の巨大植物の茎から花粉が飛ばされるらしく、それを吸いすぎると植物人間になってしまうらしい。
植物人間からも花粉は飛ばされるらしいけど、根無しの植物人間限定だね。」
「根無しの植物人間…。根のある植物人間とは何が違うの?」
サチが言うと、ハジメは続ける。
「根のない植物人間は、ミンスの力で変化した植物人間と言われているらしい。
ミンスは根を切られているからね、それから生まれる植物人間も根がないんだって。」
「ふぅーん。でもそうなると、今頃この街の人間全員植物人間じゃない。」
アンジェルの言葉に、ハジメは首を横に振った。
「それがその成分は体内に入ると秒で効果が消えるらしい。だからその時間内で大量に吸った場合、となるんだよね。
今はミンスの力も大きくなっているし、花粉の活動も活発らしいんだ。だから植物人間が一気に増えるようになった。」
「なるほどね。」
アンジェルが言うと、ハジメは更に言った。
「だから家庭には空気清浄機を置くよう呼びかけたり、ここも何台かかけているんだ。
マスクでは防げない代物らしくてね。それと何かにプラズマで表面加工をする事でその成分を引き付ける事もできるらしいからそれも検討中らしいよ。」
サチは科学的な話はよくわからないのでその部分だけスルーしていると、誠治の演説は既に終わっていた。
誠治は演説が終わった後も人と話したり、楽しげな会話を広げたりしている。
そんな様子の誠治を見て、サチは学生時代の彼を思い出すのであった。
(本当に誰からにも人気で…優しい人。やっぱり私の憧れだな。)
すると誠治はサチに気づいて、いつもの笑顔を見せた。
「あ、真渕さん。」
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