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第4章 侵食―エローション―
172 忘れないで、お人好しの顔
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そして二人は廊下を散歩していると、誠治はある部屋で立ち止まってしまう。
「どうしたのココノエさん。」
「ここでは第三研究グループが薬での解毒薬を作っていて、その使用実験が行われている部屋なんです。
そう言えば新しいのが出来て実験すると聞いたので、見ますか?」
「見ます!どこまで成功に近づいているか…この目で見たいです!」
サウザは真摯な表情で言うので、誠治は扉を開いた。
(真渕さんからのクロマを倒す作戦…伝えるのはこの後でもいいかな。)
誠治はそう思っていた。
今から実験が行われるようで、一人の正気のない植物人間が壁に張り付けられている。
サウザは気の毒そうな顔をしてしまうと、一人の研究員がその植物人間に注射をした。
「あれが、解毒薬ですね。」
誠治が説明すると、サウザは刺しているところ見えないように手で隠す。
「痛かった…あれ…」
注射が終わると、サウザは手を下ろして植物人間の様子を見る。
すると植物人間は急に苦しみだし、出そうに出ない声を出すと口からブクブクと泡を吐き出す。
サウザは驚愕して思わず口を両手で抑え、誠治も眉を潜めた。
その泡に更に血が混ざるとサウザは思わず部屋から出てしまい、誠治もサウザに釣られて廊下に出た。
サウザは顔を隠して落ち着くまで待っていると、隣に気配を感じたので隣を見る。
隣にいる誠治は恐怖を抑え込むように黙り込み、ひたすら脈が落ち着くのを待っていた。
「ココノエさんも、やっぱり今の怖かったよね。」
サウザが悲しそうに呟くと、誠治は視線をどこかに逸らしてしまう。
サウザは反応をしてくれない誠治を見て言った。
「…ココノエさん、凄く優しい人って聞いた。
ココノエさんを知っている、ニホンでの名前はー…スナダって言ったっけ。スナダハナって子から聞いたよ。
ココノエさんはいつも公園のゴミ拾いのボランティアをしている、感激屋で情に厚い繊細な人だって。」
誠治はそれを流すように聴いていると、サウザは大人しく笑う。
「俺は怖い顔したココノエさんしか知らないから、想像できないけどね。
最近雰囲気変わったって、言ってたよ。でも、そうなったのも全部人間の為だって聴いてる。」
サウザが言うと、誠治は目を少し見開いた。
(怖い顔の私…?
…そうか、サウザ王子は植物人間の子だから、無意識の内に私は冷たくしていたのかもしれない…)
誠治はそう思っていると、サウザは続けた。
「ココノエさん、凄く頑張ってる聞いたよ!
人間のために寝る間も惜しんで奮闘してるって。だからね、凄く俺感謝してる。」
誠治はサウザの顔を思わず見てしまうと、サウザは誠治に体を向けて頭を下げた。
「ありがとう。」
誠治は肝を抜かれたようにサウザを見ていると、サウザは顔を上げて笑顔を見せる。
そしてやっと誠治は口を開いた。
「あなた、お人好しの顔をしてますね。」
「え?」
サウザが言うと、誠治は少し考えてから携帯を出す。
携帯のカメラでサウザを撮影すると、サウザに見せた。
サウザは目を丸くしていると、誠治は優しく微笑んだ。
「自分のお人好しの顔、しっかり覚えていてくださいね。
いつまでも忘れずに、お願いします。」
その優しい笑みに、サウザは心底嬉しそうにして誠治の手を握った。
「やっとだ!やっとココノエさんが優しい顔してくれた!あは!いい顔してる~!」
サウザが喜ぶので、誠治は笑うことは抑えていたが優しい顔つきにはなっていた。
「王子も小さい頃から苦労なさっているんでしょう?たまには自分をいたわってあげたらどうですか?」
「ココノエさんが自分をいたわったら、俺も休暇取るよ!」
誠治は微笑みながらも、誰かにメールを送る。
「なにやってるのココノエさん!」
「ああ、サウザ王のお父さんがあなたを探していて、居場所を知りたがっているんです。
この場所を教える事は禁止されているので代わりに、この元気そうな写真を送ろうかなと。」
「父上か~。というか写真!?写真なんだ!すごーい!」
サウザは携帯に興味津々。
「彼女さんに見せてもらえなかったんですか?」
「うん!」
誠治はサチに写真を送ると言う。
「王の歳は?」
「二十二!」
誠治はそれに驚いた。
「す、すいません。」
「え?なんで謝るの!」
「と、歳上とは思わず…。」
と急に態度を弁える。
「そうなの!?でも謝る必要はないよ!うん!
ちなみにココノエさんは何歳?」
「二十です。」
「へー!若い!性格が大人っぽいから年上かなってずっと思ってたよ!俺の方が上だったんだ…」
「誠治でいいですよ。私の名前、九重誠治って言うんです。」
「いいの?じゃあセイジって呼ぶよ!」
サウザはそう言いと喜んだ。
「俺の国は苗字がないからなんかうらやましーな!二つ呼べるって楽しいね!」
「王の国では名前だけなんですね。」
「サウザでいいって!ね!セイジ!」
サウザは笑顔を向ける。
しかし誠治は元々年上を呼び捨てにする人ではない。
誠治は思わず苦笑。
「いえいえ、王って呼ばせていただきます。」
「どうしたのココノエさん。」
「ここでは第三研究グループが薬での解毒薬を作っていて、その使用実験が行われている部屋なんです。
そう言えば新しいのが出来て実験すると聞いたので、見ますか?」
「見ます!どこまで成功に近づいているか…この目で見たいです!」
サウザは真摯な表情で言うので、誠治は扉を開いた。
(真渕さんからのクロマを倒す作戦…伝えるのはこの後でもいいかな。)
誠治はそう思っていた。
今から実験が行われるようで、一人の正気のない植物人間が壁に張り付けられている。
サウザは気の毒そうな顔をしてしまうと、一人の研究員がその植物人間に注射をした。
「あれが、解毒薬ですね。」
誠治が説明すると、サウザは刺しているところ見えないように手で隠す。
「痛かった…あれ…」
注射が終わると、サウザは手を下ろして植物人間の様子を見る。
すると植物人間は急に苦しみだし、出そうに出ない声を出すと口からブクブクと泡を吐き出す。
サウザは驚愕して思わず口を両手で抑え、誠治も眉を潜めた。
その泡に更に血が混ざるとサウザは思わず部屋から出てしまい、誠治もサウザに釣られて廊下に出た。
サウザは顔を隠して落ち着くまで待っていると、隣に気配を感じたので隣を見る。
隣にいる誠治は恐怖を抑え込むように黙り込み、ひたすら脈が落ち着くのを待っていた。
「ココノエさんも、やっぱり今の怖かったよね。」
サウザが悲しそうに呟くと、誠治は視線をどこかに逸らしてしまう。
サウザは反応をしてくれない誠治を見て言った。
「…ココノエさん、凄く優しい人って聞いた。
ココノエさんを知っている、ニホンでの名前はー…スナダって言ったっけ。スナダハナって子から聞いたよ。
ココノエさんはいつも公園のゴミ拾いのボランティアをしている、感激屋で情に厚い繊細な人だって。」
誠治はそれを流すように聴いていると、サウザは大人しく笑う。
「俺は怖い顔したココノエさんしか知らないから、想像できないけどね。
最近雰囲気変わったって、言ってたよ。でも、そうなったのも全部人間の為だって聴いてる。」
サウザが言うと、誠治は目を少し見開いた。
(怖い顔の私…?
…そうか、サウザ王子は植物人間の子だから、無意識の内に私は冷たくしていたのかもしれない…)
誠治はそう思っていると、サウザは続けた。
「ココノエさん、凄く頑張ってる聞いたよ!
人間のために寝る間も惜しんで奮闘してるって。だからね、凄く俺感謝してる。」
誠治はサウザの顔を思わず見てしまうと、サウザは誠治に体を向けて頭を下げた。
「ありがとう。」
誠治は肝を抜かれたようにサウザを見ていると、サウザは顔を上げて笑顔を見せる。
そしてやっと誠治は口を開いた。
「あなた、お人好しの顔をしてますね。」
「え?」
サウザが言うと、誠治は少し考えてから携帯を出す。
携帯のカメラでサウザを撮影すると、サウザに見せた。
サウザは目を丸くしていると、誠治は優しく微笑んだ。
「自分のお人好しの顔、しっかり覚えていてくださいね。
いつまでも忘れずに、お願いします。」
その優しい笑みに、サウザは心底嬉しそうにして誠治の手を握った。
「やっとだ!やっとココノエさんが優しい顔してくれた!あは!いい顔してる~!」
サウザが喜ぶので、誠治は笑うことは抑えていたが優しい顔つきにはなっていた。
「王子も小さい頃から苦労なさっているんでしょう?たまには自分をいたわってあげたらどうですか?」
「ココノエさんが自分をいたわったら、俺も休暇取るよ!」
誠治は微笑みながらも、誰かにメールを送る。
「なにやってるのココノエさん!」
「ああ、サウザ王のお父さんがあなたを探していて、居場所を知りたがっているんです。
この場所を教える事は禁止されているので代わりに、この元気そうな写真を送ろうかなと。」
「父上か~。というか写真!?写真なんだ!すごーい!」
サウザは携帯に興味津々。
「彼女さんに見せてもらえなかったんですか?」
「うん!」
誠治はサチに写真を送ると言う。
「王の歳は?」
「二十二!」
誠治はそれに驚いた。
「す、すいません。」
「え?なんで謝るの!」
「と、歳上とは思わず…。」
と急に態度を弁える。
「そうなの!?でも謝る必要はないよ!うん!
ちなみにココノエさんは何歳?」
「二十です。」
「へー!若い!性格が大人っぽいから年上かなってずっと思ってたよ!俺の方が上だったんだ…」
「誠治でいいですよ。私の名前、九重誠治って言うんです。」
「いいの?じゃあセイジって呼ぶよ!」
サウザはそう言いと喜んだ。
「俺の国は苗字がないからなんかうらやましーな!二つ呼べるって楽しいね!」
「王の国では名前だけなんですね。」
「サウザでいいって!ね!セイジ!」
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しかし誠治は元々年上を呼び捨てにする人ではない。
誠治は思わず苦笑。
「いえいえ、王って呼ばせていただきます。」
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