植物人間の子

うてな

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第4章 侵食―エローション―

174 灼熱のプラズマを放って

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誠治は綺瑠の力を奪おうとする。
しかしその瞬間、誠治は不思議な力に押し飛ばされてしまう。
尻餅をついてしまう誠治。
誠治は驚いていた。

「これ…サウザ王子が弾かれた力と同じ…」

「怪我はない…!?」

「不死身に怪我なんてありませんよ。」

平気そうな誠治に、綺瑠は心底安心した。
誠治は難しそうな顔をする。

「奈江島さん、試しにプラズマの力を放ってはくれませんか?」

そう言われると、思わず綺瑠は苦笑。

「えっ、む、無理だよ。」

綺瑠の反応に、少しの沈黙を経てから誠治は言う。

「…まさか怖いんですか?」

誠治の言葉に、綺瑠はニッコリ笑った。

「あ、バレた?
うん、すっごく怖い。」

「大丈夫ですよ、クロマの攻撃を食らっても生きてたんですから。」

「いや、電気と熱は別だからね!?」

「熱…?」

誠治は『熱』という言葉に反応。
綺瑠は思わずギクッとした。

「自分の力を完全にご存知なんですね。やっぱり扱えるんだ…」

「ち、違うよ誠治!最近触れた物が焦げたりしてて、だからそういう力なのかなって…!」

すると誠治は綺瑠の隣にやってくる。
そして綺瑠の拘束を解くと言った。

「あの壁に…力を当てられますか?」

「やってみなきゃダメ?」

「でないと、ミンスを倒す事もできませんから。」

それに対し、綺瑠は難しい顔。
すると綺瑠は真剣な眼差しで立ち上がると、両手を壁に向かって構えた。

「倒すかどうかは置いておいて、出来るかどうか試すだけだから。」

「はい。」

構えたのはいいが、どうやって力を出すかわからない綺瑠。
綺瑠は思わず苦笑。

(というか、自我のある植物人間の諸君はどうやって力の使い方を知ったんだ…!?
植物人間ってこういうのは自然とできるもの?本能とかでわかったりするのかな…?
知りたい事が増えてきたな…)

綺瑠が脱線した事を考えていると、誠治は呆れた顔。

「あの…失礼ですが奈江島さん、今全然関係ない事考えてません?」

図星だった綺瑠は笑ったまま冷や汗。

「うん、ごめん。」

困った顔をした誠治。
誠治は仕方なく、綺瑠の隣に立った。

「本当は取っておきたかった力ですが、今ここでクロマの力を使います。」

「できるの?」

「奪った分だけ発揮はできます。一回分だと思ってください。」

「あ、はい。」

綺瑠は返事をすると、誠治は指一本を壁に向かって指す。
綺瑠はそれをまじまじと見ていた。
すると綺瑠は、誠治の方から強い力を感じて背筋がゾクッとする。

誠治の指先にプラズマが集まり、壁に向かって電光が飛んだ。
壁にプラズマが当たると、壁に半径五センチ弱の穴が空いた。
煙をしゅうしゅうと吐く壁、綺瑠は唖然としていた。

「凄い…クロマのプラズマだ…!」

「はい、次は奈江島さんの番です。」

「え…うん…」

綺瑠は眉を潜めながらも、先程の力を分析。

(あの力から感じたもの…。
クロマの時も、誠治の時も同じものを感じた。
あれは……『殺気』だ…)

綺瑠は壁を見つめた。

(僕のプラズマも、殺気があれば放つ事ができるんだろうか。
殺気……殺気…)

綺瑠は自身が殺気を覚えた時を思い出す。
ミンスを一度、殺そうとした時を。

(父さんが殺されるくらいなら、先にあの子を殺そうと思った時を思い出せ。
…あの子を…)

その時、誠治は綺瑠から非常に強い殺気を感じた。
誠治は思わず一歩後退すると、綺瑠の周囲から強い熱を感じる。
その熱はどんどん広がり、真っ赤な炎と陽炎を見せる。
床は溶け、室内が高温で満たされる。
誠治の体は燃え始め、部屋の隅まで避難。

「熱っ…」

誠治は思わず壁に背をつけていたが、壁までも高温になっている。
誠治はその力を見て思う。

(あまりに強大すぎる…!まさか、力の加減がまだ…)

綺瑠は壁に狙いを定めると、一気に力を放った。

「行け!」

すると周囲は高熱の閃光に包まれた。
と思うと、建造物が大爆発を起こした。

広がる轟音。
爆発に巻き込まれる植物人間達。
建造物は崩れ去り、爆発のせいで周囲はあっという間に崩壊し火事となった。
工業地帯はほぼ廃墟だった為、人間が住んでいない事だけが幸いだ。


それを遠くで、ミンス達一行が見ていた。
しかも、傍では第二故郷病院のメンバーが揃って捕まっている。
勿論、捕まっているのはテオドールの作戦の一環だが。
それをみんなで眺め、ミンスは目を丸くした。

「おや、植物人間を解放される前に処分ですか…?それにしては、随分手荒い気が…」

数男は鼻で笑った。

「せっかくの餌が全部パーだな。」

「お黙りなさい。」

ミンスは冷静にそう言うと、他の建物を見た。
無事な建物も中にはあるので、ミンスは微笑む。

「他を見てきますか。テオドール、爆発物がないか確認をお願いできますか?」

「はいはーい。」

テオドールはそう言うと、風になって消える。
ミンスは爆心地を見つめながら、眉を潜めた。

(後で調べておきますか。)
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