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59 ブルーデージー=恵まれている
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ガリーナは急に真面目な顔を見せるので、ワレリーとパーヴェルは目を丸くする。
ガリーナは深く深呼吸すると言った。
「ねえ、海外に行く話なんだけど…
私、ワレリーさんと共に、ニコライを連れて海外に行きます。」
パーヴェルは驚いた顔をすると、ワレリーは冷静な様子で言う。
「心が決まったのですね?」
ガリーナは頷いた。
「私は…最初はニコライを助ける為だってずっと考えてて…自分が望むものとか、全く考えてなかった。」
パーヴェルも真面目な顔をして聴き始めるので、ガリーナは続ける。
「私、最初はニコライの事を愛しきれてなかったと思う。
ニコライは毎日苦しかったはずなのに、私は何もできなかった…!
ただ、家族三人で幸せになるという淡い期待を抱くだけで…。
なんでニコライは悪魔の瞳を持ったんだろうって、なんで私は不幸なんだろうって、そんな事ばかり考えてた…!
…でも、ワレリーさんが、それを変えてくれた。
ニコライに愛と優しさを与え、ニコライと私に希望をもたらしてくれた。
だから私は、ニコライの為に生きようと考えていたの…」
ガリーナは目を閉じる。
「でもパーヴェルくんが、もっと自分を優先してって教えてくれたの。
そしてその意味を、パーヴェルくんやワレリーさんのどちらかを選ぶ事だって受け取ってた。
でも、それじゃ答えは出ないの…
私にとって二人は、大切な人。
だからどちらかを選ぶ事で傷つけたくなかった。
傷つけたくないって考えだけで、選ぶのを拒んでた…。」
ガリーナは胸に手を当てた。
ニコライはガリーナを見上げる。
ガリーナの真摯な表情、ニコライを助ける時によく見せてくれた顔だ。
「マーマ…」
「今朝ワレリーさんが言ってくれた事を聞いて思った事があるの。
私の望み…
私ね、今まで沢山の人から支えられてきた。
私は…
ニコライの元気に支えられてきた。パーヴェルくんの愛に支えられてきた。ワレリーさんの助言に支えられてきた。レギーナの強さに支えられてきた。
そして…沢山の優しさを貰ってきた。
例え、私が泣くだけで不幸を呼ぶ魔女みたいな女でも…みんなは…!」
「ガリーナ…!」
パーヴェルは一歩前に出ると、ワレリーは止める。
パーヴェルはワレリーの顔を見てから、再びガリーナの話を黙って聞いた。
「私は不幸を呼んでしまう人間だけど、人の幸福の為に生きたいの!
優しさを知らない、誰かを支えたい。優しさを与えたい…!」
ガリーナはそう言って、ニコライを見る。
「ニコライの時のように…!誰かに愛を…希望を!」
するとガリーナは、真摯な表情のままワレリーの前に来た。
そしてガリーナはワレリーに頭を下げる。
「お願い…!私を一緒に連れて行って!
私はあなたの下で、人に希望を与えられる人間になりたいの…!」
ワレリーはそれを黙って聞いていた。
ワレリーの目に映っているガリーナ、ガリーナはつい最近までは人間の姿だったが、再び天使の姿を取り戻そうとしていた。
パーヴェルは目を丸くしてガリーナを見ていたが、不自然に黙っているワレリーを見る。
「顔をあげなさい。」
ワレリーがそう言うので、ガリーナは顔をあげた。
ワレリーはガリーナの顔を見ると、頷いてから微笑む。
「喜んで。」
そう言ってガリーナに手を伸ばすので、ガリーナは涙を流しそうになるが耐えた。
ガリーナがワレリーの手を取ると、パーヴェルは目を丸くしたまま黙り込んだ。
パーヴェルの目からツーっと、静かに涙が流れる。
時が止まった様に、パーヴェルは呆然とした。
しかし、パーヴェルはガリーナに言う。
「良かったなガリーナ!」
パーヴェルは無理に微笑んで見せた。
その顔は、もはや苦し紛れの笑顔。
ガリーナはパーヴェルを見ると、目に涙を溜める。
「ガリーナは沢山頑張ってたもんな。
俺はわかるぜ!
誰かを不幸にしない為に、泣く事を沢山我慢してた事。
…ガリーナはたっくさん成長してる。
だから、きっとその夢叶うぜ!」
「パーヴェルくん…!」
ガリーナはパーヴェルに飛びつくと、パーヴェルはガリーナを強く抱きしめて頭を撫でる。
「兄様にガリーナを取られて悔しい!
…でも、それ以上にガリーナが道を見つけた事…俺は嬉しいんだ…!」
パーヴェルは悔しい顔をして涙を流していた。
ガリーナも涙を流しながら言う。
「ありがとう…!ありがとうパーヴェルくん…!」
ニコライはそれに驚いているのか、ワレリーに聞いた。
「マーマ、なく?」
ワレリーは笑ってしまうと、ニコライをそっと抱き上げて言う。
「泣いてます。
…これから三人で頑張っていきましょうね。」
ニコライは意味が分かっていないのか呆然。ワレリーに抱かれると暴れる。
ワレリーはニコライを下ろすと、ニコライはガリーナの元に走って撫でるのであった。
「よしよし!」
==================================
その日の夜、ガリーナとワレリーは荷物を纏めていた。
ニコライが摘んでくれたヒマワリは萎れ始めている。
「ガリーナの荷物は随分とありますね。
家から持ってきたのですか?」
「うん。ニコライの分のバッグもあるからね。」
「なるほど。」
ワレリーはそう答えると、ふと一冊の本を手に取った。
それは悪魔の儀式に使用した本。
ガリーナはそれを見ると目を丸くする。
「持っていくの?どこかから借りたものじゃないの?」
ワレリーは首を横に振った。
「元々ここにあった本です。
この本は思い出深いものです。
私達の運命を変えたのも、きっとこの本でしょうから。」
それを聞いて、ガリーナは難しい顔をする。
「確かに、あの時ワレリーさんがあんな儀式しなかったら、パーヴェルくんと入れ替わってるなんて言わなかっただろうね。」
「そういう事です。
この本は、今後誰かが儀式をしないよう、私が預かっておきましょう。」
ワレリーはそう言うと、本をバッグにしまった。
ガリーナは笑ってしまうと、ワレリーは自分の腕を見て言う。
「おや、こちらは一生ものの傷がついたのですよ?」
「それはワレリーさんが悪い!」
ガリーナは笑って言うと、ワレリーも一緒になって笑うのであった。
==========================
その頃パーヴェルの家では、リビングでパーヴェルが酒を飲んでいる。
レギーナはパーヴェルの正面に座って、パーヴェルの話を聞いていた。
「そう、アイツも行くんだ。」
「レギーナはガリーナの事、どう思ってるんだ?
俺は兄様の事、自慢したくなるくらい素晴らしい兄だと思ってる!」
パーヴェルがそう言うと、レギーナは窓の外に目をやって呟く。
「ムカつく姉よ、アイツは。
構って欲しくないのに構ってきて、いっつも私を元気にしたいって言ってて…馬鹿みたい。
いつも無邪気な顔してさ、パーヴェルみたいに。」
「俺みたいに?」
パーヴェルが首を傾げると、レギーナは溜息をついた。
「私ひねくれてるから、偽善者が嫌いなの。
村の奴等もあの牧師も偽善者みたいな顔してて嫌いだった。
パーヴェルとガリーナだけよ、大きくなっても無邪気な顔してたのは。」
「ガリーナは純粋だからな。」
パーヴェルはそう言って笑うと、レギーナも鼻で笑う。
「うん。アイツは綺麗なままがいい。
私みたいなひねくれ者にならなくて正解だ。」
それを聞いたパーヴェルは眉を困らせた。
「そうだ、レギーナは色々苦労してきたもんな。兄貴の事で。」
レギーナはそう言われると微笑む。
「別にパーヴェルが一緒にいればどうって事もないわ。
パーヴェルが笑ってくれたら、私はそれで幸せ。」
レギーナはそう言うと、パーヴェルは笑顔を見せた。
「こうか?」
パーヴェルの返答に、レギーナは声を上げて笑ってしまう。
パーヴェルはそんなレギーナの顔を見ると、ふとガリーナを思い出した。
(本当によく似てる。)
パーヴェルは苦笑してしまうと、レギーナは笑顔のまま言う。
「私、パーヴェルやアイツの馬鹿みたいに素直な笑顔を見てる時だけ、悪い事全部忘れられたの。」
パーヴェルは目を丸くすると、レギーナは続けた。
「お願い、これからもその笑顔を見せてよね。」
そう言われると、パーヴェルは笑顔になって言う。
「勿論だぜ!」
ガリーナは深く深呼吸すると言った。
「ねえ、海外に行く話なんだけど…
私、ワレリーさんと共に、ニコライを連れて海外に行きます。」
パーヴェルは驚いた顔をすると、ワレリーは冷静な様子で言う。
「心が決まったのですね?」
ガリーナは頷いた。
「私は…最初はニコライを助ける為だってずっと考えてて…自分が望むものとか、全く考えてなかった。」
パーヴェルも真面目な顔をして聴き始めるので、ガリーナは続ける。
「私、最初はニコライの事を愛しきれてなかったと思う。
ニコライは毎日苦しかったはずなのに、私は何もできなかった…!
ただ、家族三人で幸せになるという淡い期待を抱くだけで…。
なんでニコライは悪魔の瞳を持ったんだろうって、なんで私は不幸なんだろうって、そんな事ばかり考えてた…!
…でも、ワレリーさんが、それを変えてくれた。
ニコライに愛と優しさを与え、ニコライと私に希望をもたらしてくれた。
だから私は、ニコライの為に生きようと考えていたの…」
ガリーナは目を閉じる。
「でもパーヴェルくんが、もっと自分を優先してって教えてくれたの。
そしてその意味を、パーヴェルくんやワレリーさんのどちらかを選ぶ事だって受け取ってた。
でも、それじゃ答えは出ないの…
私にとって二人は、大切な人。
だからどちらかを選ぶ事で傷つけたくなかった。
傷つけたくないって考えだけで、選ぶのを拒んでた…。」
ガリーナは胸に手を当てた。
ニコライはガリーナを見上げる。
ガリーナの真摯な表情、ニコライを助ける時によく見せてくれた顔だ。
「マーマ…」
「今朝ワレリーさんが言ってくれた事を聞いて思った事があるの。
私の望み…
私ね、今まで沢山の人から支えられてきた。
私は…
ニコライの元気に支えられてきた。パーヴェルくんの愛に支えられてきた。ワレリーさんの助言に支えられてきた。レギーナの強さに支えられてきた。
そして…沢山の優しさを貰ってきた。
例え、私が泣くだけで不幸を呼ぶ魔女みたいな女でも…みんなは…!」
「ガリーナ…!」
パーヴェルは一歩前に出ると、ワレリーは止める。
パーヴェルはワレリーの顔を見てから、再びガリーナの話を黙って聞いた。
「私は不幸を呼んでしまう人間だけど、人の幸福の為に生きたいの!
優しさを知らない、誰かを支えたい。優しさを与えたい…!」
ガリーナはそう言って、ニコライを見る。
「ニコライの時のように…!誰かに愛を…希望を!」
するとガリーナは、真摯な表情のままワレリーの前に来た。
そしてガリーナはワレリーに頭を下げる。
「お願い…!私を一緒に連れて行って!
私はあなたの下で、人に希望を与えられる人間になりたいの…!」
ワレリーはそれを黙って聞いていた。
ワレリーの目に映っているガリーナ、ガリーナはつい最近までは人間の姿だったが、再び天使の姿を取り戻そうとしていた。
パーヴェルは目を丸くしてガリーナを見ていたが、不自然に黙っているワレリーを見る。
「顔をあげなさい。」
ワレリーがそう言うので、ガリーナは顔をあげた。
ワレリーはガリーナの顔を見ると、頷いてから微笑む。
「喜んで。」
そう言ってガリーナに手を伸ばすので、ガリーナは涙を流しそうになるが耐えた。
ガリーナがワレリーの手を取ると、パーヴェルは目を丸くしたまま黙り込んだ。
パーヴェルの目からツーっと、静かに涙が流れる。
時が止まった様に、パーヴェルは呆然とした。
しかし、パーヴェルはガリーナに言う。
「良かったなガリーナ!」
パーヴェルは無理に微笑んで見せた。
その顔は、もはや苦し紛れの笑顔。
ガリーナはパーヴェルを見ると、目に涙を溜める。
「ガリーナは沢山頑張ってたもんな。
俺はわかるぜ!
誰かを不幸にしない為に、泣く事を沢山我慢してた事。
…ガリーナはたっくさん成長してる。
だから、きっとその夢叶うぜ!」
「パーヴェルくん…!」
ガリーナはパーヴェルに飛びつくと、パーヴェルはガリーナを強く抱きしめて頭を撫でる。
「兄様にガリーナを取られて悔しい!
…でも、それ以上にガリーナが道を見つけた事…俺は嬉しいんだ…!」
パーヴェルは悔しい顔をして涙を流していた。
ガリーナも涙を流しながら言う。
「ありがとう…!ありがとうパーヴェルくん…!」
ニコライはそれに驚いているのか、ワレリーに聞いた。
「マーマ、なく?」
ワレリーは笑ってしまうと、ニコライをそっと抱き上げて言う。
「泣いてます。
…これから三人で頑張っていきましょうね。」
ニコライは意味が分かっていないのか呆然。ワレリーに抱かれると暴れる。
ワレリーはニコライを下ろすと、ニコライはガリーナの元に走って撫でるのであった。
「よしよし!」
==================================
その日の夜、ガリーナとワレリーは荷物を纏めていた。
ニコライが摘んでくれたヒマワリは萎れ始めている。
「ガリーナの荷物は随分とありますね。
家から持ってきたのですか?」
「うん。ニコライの分のバッグもあるからね。」
「なるほど。」
ワレリーはそう答えると、ふと一冊の本を手に取った。
それは悪魔の儀式に使用した本。
ガリーナはそれを見ると目を丸くする。
「持っていくの?どこかから借りたものじゃないの?」
ワレリーは首を横に振った。
「元々ここにあった本です。
この本は思い出深いものです。
私達の運命を変えたのも、きっとこの本でしょうから。」
それを聞いて、ガリーナは難しい顔をする。
「確かに、あの時ワレリーさんがあんな儀式しなかったら、パーヴェルくんと入れ替わってるなんて言わなかっただろうね。」
「そういう事です。
この本は、今後誰かが儀式をしないよう、私が預かっておきましょう。」
ワレリーはそう言うと、本をバッグにしまった。
ガリーナは笑ってしまうと、ワレリーは自分の腕を見て言う。
「おや、こちらは一生ものの傷がついたのですよ?」
「それはワレリーさんが悪い!」
ガリーナは笑って言うと、ワレリーも一緒になって笑うのであった。
==========================
その頃パーヴェルの家では、リビングでパーヴェルが酒を飲んでいる。
レギーナはパーヴェルの正面に座って、パーヴェルの話を聞いていた。
「そう、アイツも行くんだ。」
「レギーナはガリーナの事、どう思ってるんだ?
俺は兄様の事、自慢したくなるくらい素晴らしい兄だと思ってる!」
パーヴェルがそう言うと、レギーナは窓の外に目をやって呟く。
「ムカつく姉よ、アイツは。
構って欲しくないのに構ってきて、いっつも私を元気にしたいって言ってて…馬鹿みたい。
いつも無邪気な顔してさ、パーヴェルみたいに。」
「俺みたいに?」
パーヴェルが首を傾げると、レギーナは溜息をついた。
「私ひねくれてるから、偽善者が嫌いなの。
村の奴等もあの牧師も偽善者みたいな顔してて嫌いだった。
パーヴェルとガリーナだけよ、大きくなっても無邪気な顔してたのは。」
「ガリーナは純粋だからな。」
パーヴェルはそう言って笑うと、レギーナも鼻で笑う。
「うん。アイツは綺麗なままがいい。
私みたいなひねくれ者にならなくて正解だ。」
それを聞いたパーヴェルは眉を困らせた。
「そうだ、レギーナは色々苦労してきたもんな。兄貴の事で。」
レギーナはそう言われると微笑む。
「別にパーヴェルが一緒にいればどうって事もないわ。
パーヴェルが笑ってくれたら、私はそれで幸せ。」
レギーナはそう言うと、パーヴェルは笑顔を見せた。
「こうか?」
パーヴェルの返答に、レギーナは声を上げて笑ってしまう。
パーヴェルはそんなレギーナの顔を見ると、ふとガリーナを思い出した。
(本当によく似てる。)
パーヴェルは苦笑してしまうと、レギーナは笑顔のまま言う。
「私、パーヴェルやアイツの馬鹿みたいに素直な笑顔を見てる時だけ、悪い事全部忘れられたの。」
パーヴェルは目を丸くすると、レギーナは続けた。
「お願い、これからもその笑顔を見せてよね。」
そう言われると、パーヴェルは笑顔になって言う。
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