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2章【不誠実コントラスト】

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 座薬なんかとは、わけが違う。

 異物感に、秋在は体を震わせていた。


「指、一本だけ挿れたけど……どうだ?」


 グリグリと、根元まで挿入する。

 緊張からか、不安からか、あるいは両方からか……。

 秋在は体を硬直させながら、両手で顔を隠しつつ答える。


「な、んか……少し、だけ……きもち、わるい……っ」


 自分の内側を、他人の指が犯してきているのなら……それは、当然の反応だろう。

 それでも冬総は指を抜かず、内側を刺激し続けた。

 すると不意に、秋在が息を呑む。


「……っ! そ、そこ、っ! ちが、う……っ!」


 秋在の足に力が入り、ベッドのシーツを握った。

 後孔に挿入した一本の指が、キツく締めつけられる。


「……ココ、だな? 反応が変わったのは……ッ」
「ひっ、うぁ……っ! そこ、ダメ……っ!」
「駄目なのか? 良さそうに見えるけどな?」
「んぅ、んん……っ!」


 指の先に当たった、しこりのような部分。

 そこを擦り上げると、秋在は明らかに動揺していた。

 けれどそれは、不快感による反応ではない。


「やぁ、め……っ! 戻れ、なく……なり、そう……っ」


 ――それは【子供】になのか。

 ――それとも、別の意味で。

 秋在の真意を理解するには、二人の距離は遠すぎた。


「俺は春晴に頼まれたからな。……やめないぞ」
「ぁあ、っ!」


 挿入する指の本数を、二本に増やす。

 秋在は驚きつつも、抵抗の意は示さない。

 懸命に、咥え込む態勢をとろうとした。


「ヤッパリ、キッツいなぁ……ッ」


 これだけ強く締めつけられて、しかも、温かい。

 ――ココに、自分のモノを挿れたとしたら。

 そんな未来を想像するだけで、冬総の熱は増した。


「んく、う……っ! あ、あそこは、擦っちゃ……だ、めぇ……っ」


 ナカで感じたのが、相当受け入れがたいのだろう。

 秋在は弱いところを擦ってほしくないと、冬総に懇願した。


(まぁ、普通に無理だけど)


 普段はボーッとしていて、口を開いてもヤッパリぼんやりしている秋在が示した、大きな反応。

 その姿を見ると、冬総は嬉しくなった。

 ――『可愛い』とさえ、思ってしまうほどに。


「う、ぁあ……っ! お腹、苦しいぃ……っ!」


 三本目の指も挿入して、秋在の反応を眺める。

 顔を覆っている腕を、秋在は自身の両手で強く握っていた。

 耐えているような……そんな、様子。


(すげェ、エロい……ッ。早く、突っ込みてェ……ッ)


 直球すぎる欲望が、冬総の脳内を駆け巡る。

 ――しかし、相手は男。

 ――しかも……初めての、肛門性交だ。


(痛く、しないように……大事にしねェと)


 指の抜き差しを繰り返し、徐々に【犯される】ということを、覚えさせる。

 ……これは冬総が望んだ行為ではなく、秋在が求めた行為だ。

 ならば……冬総が好き勝手してもいい権利なんて、あるはずがないだろう。




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