カナダに追放された財閥の三男が帰国しました:父が「搾取は伝統だ」と言うので、「あらゆる手段」を使ってこの1兆円規模のブラック巨艦を完全ホワイ

RyuChoukan

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第六十六話 照らされた夜

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 時刻:翌朝/風雨は収束

 場所:F区/東京全域

夜が明けた。だが“世論の嵐”は、ここからが本番だった。浅見玲奈が昨夜、命懸けで回した生配信は、日本テレビ史級の視聴記録を叩き出した。映像には、東都電力の管内で沈黙する漆黒の東京。そして、違法と罵られながらも灯りを守り、病院を救ったF区が並んでいた。

さらに、イーロン・マスクがSNSで動画を拡散し、短い言葉を添える。

「@TotoElectric これが恐竜が滅びる理由だ。よくやった、龍立。これがCyberpunkだ」

炎上ではない。爆発だった。

「東都電力の独占を廃止しろ!」
「澄心がうちの子を救った!あれは救命電力だ!」
「発電を止めた官僚は殺人未遂だ、逮捕しろ!」

午前10:00。経産省が緊急会見を開く。昨夜の中島は職務停止・調査対象となり、大臣が深く頭を下げた。

「昨夜の特殊事情を鑑み、F区を『再生可能エネルギー分散型モデル特区』として特例指定します。電気事業法についても見直しを行い、救災型マイクログリッドの整備を促進します……」

東都電力の株価は寄り付きからストップ安。あの傲慢な常務取締役は、取締役会で辞任を迫られた。

F区・海辺の防波堤。二十基の垂直風機が、弱い風の中でゆっくり回る。勝利の凱歌のような低い唸り。龍立は欄干にもたれ、熱いコーヒーを口にした。

吉岡は隈だらけの目で走ってくる。手にはタブレット。

「社長!とんでもないです!電力問題が解決しただけじゃない。昨夜の供給が“救災電力”扱いで、病院が感謝金を三倍で払うって……それにVPPで余剰電力を主電網へ売電できます。今、毎日寝てても稼げてます!」

「それだけじゃないです」吉岡は背後の住宅群を指す。「東京中が澄心家園に住みたがってます。申込み、十年待ちです。“ここが一番安全だ”って」

龍立は静かに笑い、コーヒーをもう一口。

「電気が通って、道が通って、人が住んだ。コンクリの都市に――ようやく血が通ったな」

芝生で遊ぶ子どもたち。笑いながら通勤へ急ぐ若者たち。人が増え、暮らしが良くなれば、次の問題が顔を出す。

「吉岡、知ってるか。人々に余剰資金が生まれ、企業に利益が生まれたとき――一番必要になるものは何だ」

吉岡は一瞬、言葉を失う。「……何でしょう」

龍立はポケットから硬貨を取り出し、指先で弾いた。陽光が硬貨を白く光らせる。

「金が流れる場所だ。そして――金が安全に泊まれる場所だ」

龍立は硬貨を受け止め、視線を大手町――金融の心臓へ投げた。

「次は――金融と保険。出自も担保も見ない。未来を見る銀行を作る」

そして、声が冷える。

「だが、その前に――貧しい者から骨まで削り取る“高利貸しの吸血鬼”を掃除する必要がある」

そのとき、三上弁護士から電話が入る。声が硬い。

「社長、事件です。給料をもらったばかりの若い社員が、昨夜、正体不明の連中に襲われて病院送りになりました。学資ローンと消費者ローンの返済で、『ハッピー信販』って会社に行ったらしい。反社の皮剥ぎ業者です。利息は年300%。警察も手が出せない」

龍立は手の缶を握り潰した。眼に殺気が走る。

「高利貸し、か。いいだろう。俺の人間に手を出したなら――“本当の清算”が何か、教えてやる。喰った骨を一本ずつ吐き出させる」

金融編、開幕。「晴れの日に傘を貸し、雨の日に取り上げる」それが既存銀行の傲慢であり、高利貸しが繁殖する土壌だった。

負債の泥沼に沈む社員と、市井の人間を救うため、龍立は“澄心銀行”の設立を決める。だが、それは地下金融と高利貸し帝国の逆鱗に触れる。

暴力的取り立てと、金融寡頭の包囲網。龍立は札束の積まれた金庫室で、一挺の回転式拳銃を指で弄びながら、低く言い放つ。

「お前たちは利息を取る。――俺は、お前たちの人生そのものを回収する。今日から、利息は俺が決める」
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