カナダに追放された財閥の三男が帰国しました:父が「搾取は伝統だ」と言うので、「あらゆる手段」を使ってこの1兆円規模のブラック巨艦を完全ホワイ

RyuChoukan

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第一百零四話 星空の下を走れ

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 時刻:断線から5分後

 場所:旧市街の集合住宅群&黒川大橋

 退路はない。佐藤はヘッドセットを外し、窓の外の警報と――隣室で震える両親の咳を聞いた。支え切れなければ、管が爆ぜる。親も自分も死ぬ。それに――任務を途中で失敗? そんなの、絶対に許せない。

「動け……動けよ……!」佐藤は歯を食いしばり、雨具を掴み――八年間、積もった埃の扉を蹴り破った。

――街の怪景。

 暴雨の旧市街に、あり得ない光景が走った。寝癖のまま、パジャマ、サンダル、裸足――薄暗い集合住宅から、次々と人が飛び出してくる。太り過ぎて走れない者もいる。竹竿みたいに痩せた者もいる。震えるほど怖いのに、泥水の中を全力で走り、転んで、起きて、また走る。狙いはただ一つ。澄心が“念のため”に各棟の下に停めていた黒いカプセル舎。

「カチャン、カチャン!」数百のカプセルが、重い音を立てて閉じた。

「接続回復!」

――黒川大橋。

 止まっていたロボ軍団の赤い灯が、一斉に点った。「支援が来た!」さらに多くのロボが突っ込み、幾重にも重なり、最後の十分を支え切る。遠隔でバルブが閉鎖され、ようやく危機が解けた。家は守られた。

――エピローグ。

 雨が止む。雲が割れ、久しぶりの星空が出た。カプセルの扉が次々と開く。佐藤は足が震え、膝をつきそうになる。そこへ、澄心制服の“再就業”の老大爷が歩いてきた。彼はロボの番号を知っていた。監視で、あの勇姿を見ていたのだ。

 爺はタオルを差し出し、肩を叩く。「やるじゃねぇか、小僧。さっきの“ジャッキ”は……根性あった」

 佐藤は固まった。八年ぶりだ。“根性がある”と褒められたのは。タオルを受け取り、雨と涙を拭き、爺の顔を見る。声が震えた。「……あ、ありがとうございます。先輩」

 そこへ、工藤が移動式コーヒートラックで来た。一老一少を見て、守られた街を見て――熱いコーヒーを差し出す。「S級評価。賃金は倍だ。明日も来るか?」

 佐藤はカップを受け取った。熱くて、また涙が出た。星空を見上げ、爺の励ます視線を見る。「行きます。……もっと良いスキン、買いたいんで」

次回予告:洗脳の神国

 佐藤たちが“再生”を祝うその時。暗い隅で、白衣の女が冷たくその光景を見下ろしていた。新興宗教「真理の光」教祖――神宮寺 美煌。「ふん。魂のない機械で人を救う? 滑稽ね。この土地には“本物の神”が必要だわ」

 龍立 VS 邪教女皇。科学 VS 迷信。

「あなたは虚構の来世を与える」
「私は、尊厳のある今生を与える」

――開戦。
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