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アナニー好きによる弊害うんぬん(番外編)
見た目通りの男じゃないの(岡編)2
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僕は一般的に優男と言われる。体格はお世辞にもいいとはいえないし、顔も男らしいとはとても言いがたい。
そんな僕を心配して、親は僕に空手を習わせてくれた。おかげで筋肉がほどよくついた。着やせする性質らしく、脱ぐと驚かれるようにはなったが、見た目に変化がなかったのは残念だった。
大学受験を機に空手を辞めたので、大学に入ってからはジムに通い始めたのだった。大学二年の時、長井さんが入会してきた。
少し長めの黒髪。僕よりも背が高く、体格も悪くない。ほどよくついた筋肉は僕よりは薄かったが、その人懐っこそうな顔とか、やけにエロい腰つきが気になった。なんというか、隙がありそうに見えるのだ。
何人か声をかけているのを見たが、長井さんはつれなかった。柔和な笑みを浮かべながらやんわりと断わっている。男女共に人気があったが長井さんは全く気にしていないようで、マイペースだった。
たまたま平日出かけた先で長井さんを見かけたことがあった。スーツ姿の長井さんはとてもステキだった。思わずこっそり後をつけ、会社をつきとめた。
ジムではただ通り過ぎるだけだろう。だが会社の同僚ならどうだろうか。僕は彼の会社を調べ、彼の同行を更に観察するようになった。
そんな時父親が亡くなった。父はそれなりに稼いでいたので少なくない額のお金を残してくれた。
僕はそこで家族にカミングアウトした。
母と弟は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
「……ふうん、そうだったのね」
長いこと思索にふけっていた母だったが、何度か頷くとそう呟いた。
「そういえば、彼女とかいたことなかったわね」
「うん」
「兄貴、ホモだったのかよ……」
弟はあからさまに嫌悪感を見せた。特に仲が良かったわけではないが、身内に嫌われるというのは地味に堪えた。
「もしかして俺のことも……」
「それはない」
きっぱり答えると弟は真っ赤になった。
「き、気持ち悪い! 兄貴なんか嫌いだ。もう俺に近づくな! 絶交だ!!」
子どものような言い分だったが仕方なかった。
「母さん、僕は出ていってもいいかな」
「そうね。いい機会だからうちも引っ越すわ」
遺産は法定通りに分け、相続税は母がまとめて払ってくれた。いずれ返さなければならないと思う。それでもかなりの額が入ったので僕はそれなりに広いマンションを買った。いわゆるファミリーサイズのマンションは終の棲家のつもりだった。
引越しの前日、それまで僕を見ないようにしていた弟に声をかけられた。
「兄貴さ、男が好きだっていうのは勘違いじゃないのか?」
僕は苦笑した。
「勘違いで男は抱けないよ」
「え? 兄貴がヤる側なのか?」
「ああ、僕より体格のいい人とか組み敷きたくなるな」
「マジかよ……」
弟はげんなりしたような顔をした。
「じゃ、じゃあ俺のこともそういう目で見たこととか……」
「ありえない」
弟はあくまで弟だ。弟はまた真っ赤になった。
「兄貴なんか嫌いだ! もう俺に近寄るなよ!」
「声かけてきたのはそっち……」
「うるさいうるさいうるさい!!」
駄々をこねるように叫んで、弟は部屋に戻っていった。それほど仲がいい兄弟だったわけではないが、弟なりに思うところがあったのだろう。だが嘘を言ってもしょうがない。
翌朝母は笑顔で僕を送り出してくれた。
「たまには顔を出してね」
「うん。母さん、今までありがとう」
特に何も聞かないでくれたのが、本当にありがたかった。
「……こだわらないから、いい人ができたら教えてね」
玄関の扉が閉まりかけている時にそんなことを言われ、さすがに心臓に悪いと思った。
いい人? この先僕に恋人ができる日は来るのだろうか。
長井さんの顔が浮かんだ。
できるだけ接点を持ち、せめて頼られる後輩を目指そうと思う。その為にはまず長井さんが働いている会社に入らなければならない。
目標を見つけた僕は大学の勉強もバイトもといろいろなことをがんばった。
結果、晴れて長井さんが勤めるM商事に入ることができたのである。
ーーーーー
更新遅くなってすいません。
弟君は実はお兄ちゃんが大好きでした(他意はない
そんな僕を心配して、親は僕に空手を習わせてくれた。おかげで筋肉がほどよくついた。着やせする性質らしく、脱ぐと驚かれるようにはなったが、見た目に変化がなかったのは残念だった。
大学受験を機に空手を辞めたので、大学に入ってからはジムに通い始めたのだった。大学二年の時、長井さんが入会してきた。
少し長めの黒髪。僕よりも背が高く、体格も悪くない。ほどよくついた筋肉は僕よりは薄かったが、その人懐っこそうな顔とか、やけにエロい腰つきが気になった。なんというか、隙がありそうに見えるのだ。
何人か声をかけているのを見たが、長井さんはつれなかった。柔和な笑みを浮かべながらやんわりと断わっている。男女共に人気があったが長井さんは全く気にしていないようで、マイペースだった。
たまたま平日出かけた先で長井さんを見かけたことがあった。スーツ姿の長井さんはとてもステキだった。思わずこっそり後をつけ、会社をつきとめた。
ジムではただ通り過ぎるだけだろう。だが会社の同僚ならどうだろうか。僕は彼の会社を調べ、彼の同行を更に観察するようになった。
そんな時父親が亡くなった。父はそれなりに稼いでいたので少なくない額のお金を残してくれた。
僕はそこで家族にカミングアウトした。
母と弟は鳩が豆鉄砲を食らったような顔をした。
「……ふうん、そうだったのね」
長いこと思索にふけっていた母だったが、何度か頷くとそう呟いた。
「そういえば、彼女とかいたことなかったわね」
「うん」
「兄貴、ホモだったのかよ……」
弟はあからさまに嫌悪感を見せた。特に仲が良かったわけではないが、身内に嫌われるというのは地味に堪えた。
「もしかして俺のことも……」
「それはない」
きっぱり答えると弟は真っ赤になった。
「き、気持ち悪い! 兄貴なんか嫌いだ。もう俺に近づくな! 絶交だ!!」
子どものような言い分だったが仕方なかった。
「母さん、僕は出ていってもいいかな」
「そうね。いい機会だからうちも引っ越すわ」
遺産は法定通りに分け、相続税は母がまとめて払ってくれた。いずれ返さなければならないと思う。それでもかなりの額が入ったので僕はそれなりに広いマンションを買った。いわゆるファミリーサイズのマンションは終の棲家のつもりだった。
引越しの前日、それまで僕を見ないようにしていた弟に声をかけられた。
「兄貴さ、男が好きだっていうのは勘違いじゃないのか?」
僕は苦笑した。
「勘違いで男は抱けないよ」
「え? 兄貴がヤる側なのか?」
「ああ、僕より体格のいい人とか組み敷きたくなるな」
「マジかよ……」
弟はげんなりしたような顔をした。
「じゃ、じゃあ俺のこともそういう目で見たこととか……」
「ありえない」
弟はあくまで弟だ。弟はまた真っ赤になった。
「兄貴なんか嫌いだ! もう俺に近寄るなよ!」
「声かけてきたのはそっち……」
「うるさいうるさいうるさい!!」
駄々をこねるように叫んで、弟は部屋に戻っていった。それほど仲がいい兄弟だったわけではないが、弟なりに思うところがあったのだろう。だが嘘を言ってもしょうがない。
翌朝母は笑顔で僕を送り出してくれた。
「たまには顔を出してね」
「うん。母さん、今までありがとう」
特に何も聞かないでくれたのが、本当にありがたかった。
「……こだわらないから、いい人ができたら教えてね」
玄関の扉が閉まりかけている時にそんなことを言われ、さすがに心臓に悪いと思った。
いい人? この先僕に恋人ができる日は来るのだろうか。
長井さんの顔が浮かんだ。
できるだけ接点を持ち、せめて頼られる後輩を目指そうと思う。その為にはまず長井さんが働いている会社に入らなければならない。
目標を見つけた僕は大学の勉強もバイトもといろいろなことをがんばった。
結果、晴れて長井さんが勤めるM商事に入ることができたのである。
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更新遅くなってすいません。
弟君は実はお兄ちゃんが大好きでした(他意はない
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